第十六章「誰もが真実に耐えられるわけではない……」
ミズシは驚愕の眼差しでリョウタを見つめ、考える。
「どうして……」
「どうして、そんなにも自信満々に嘘をつけるんだ?!」
「天地にかけて、どうしてほんの数分前まで自分で『不公平だ』と言っていたシステムを、そこまで信頼できるんだ?!」
「俺たちの命だけじゃない。
どうして、自分の命まで……自分が『不公平だ』と評したシステムに、たったいくつかの仮定を根拠にして、そんな簡単に賭けられるんだ!!」
「そして、何より奇妙なのは……」
「他に選択肢がない!」
数秒後。
彼らはついに危険区域から抜け出す。
無事に通り抜け、二本目の巨大な柱を越えた。
彼らは呆然としたまま、その巨大な柱を振り返る。
その表面は今や、無数の亀裂に覆い尽くされていた。
そして互いに顔を見合わせる。
震える自分たちの手へ目を向ける。
何人かが、呟くように口を開く。
「……倒れなかった?」
「本当に……?」
「俺たち……生き残ったのか?」
突然、歓声が上がる。
「生き残った! 生き残った!」
「リョウタ卿、万歳!」
次々と声が飛び交う。
「亀裂の音が突然大きくなった時、いつ押し潰されてもおかしくないと思った!」
「俺たちはリョウタ卿と一緒で幸運だったんだ! あの人は未来を予測している!」
「アキラと、あいつについていった者たちのことが本当に気の毒だ……」
「たとえ試験に失敗したとしても、どうにか生き残っていてほしい……」
群衆の歓声と口々の言葉が飛び交う中、リョウタは周囲を見回しながら、右へ、左へと歩く。
そして、少しでも危険の気配を感じ取ろうと、意識を研ぎ澄ませている。
そのまま、彼らに向かって叫ぶ。
「黙れ!」
そして、考える。
「妙だ……」
「本当に、近くに危険の気配が何もない……」
「最初、最初の亀裂が増えたこと以外に何の違いも見つからなかった時、俺は通過中に悪質な罠が仕掛けられていると思っていた。」
「特に、亀裂の音は前回よりも大きくなっていた。
俺はすでに、最悪の事態に備えていた。」
「そして、俺たちが無事に通り抜けた時は……」
「悪質な罠は、その後に来ると思った。」
「俺たちは無事に通り抜け、ようやく息を整える。
その瞬間、自然と警戒を緩める。
そして、最も弱くなったその瞬間に、罠が俺たちを襲う。」
「そういう悪辣さは、この試験の設計者にとって、決して珍しいものじゃない。」
「だが……今ここにいる俺には、近くに危険の気配をまったく感じられない!」
「あの亀裂と音は……本当に、ただ精神的なプレッシャーを高め、俺たちの注意を散らすためだけだったのか?!」
数秒間、沈黙する……
そして、群衆へ声をかける。
「先へ進もう……」
歩きながら、リョウタはエヴァンダーに近づき、声を潜める。
「俺は、あの亀裂に気づいていた。」
「だが……」
ミズシへ視線を向ける。
「誰もが真実に耐えられるわけじゃない……」
そして、群衆へ視線を向ける。
「よく見てみろ……」
「さっきの興奮に惑わされるな。
あいつらは、もう崩壊寸前だ。」
そして再びエヴァンダーへ視線を戻し、真剣な表情で続ける。
「二度と俺の話を遮るな……」
そう言い残すと、エヴァンダーを後ろに残し、数歩前へ進む。
そして、そのまま集団の先頭に立って、歩みを続ける……
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凄まじい亀裂音!
そして、リョウタが言葉を終えるよりも前に――
一人が叫ぶ。
「左だ!」
そして、一人で駆け出す!
リョウタはすぐさま、その間違いを正すように叫ぶ。
「動くな! 俺たちには当たらない!」
その者はリョウタの命令を聞き、一瞬だけ躊躇する。
そして、慌てて走って戻る。
だが……
近くの柱が倒れる。
瓦礫が一気に飛び散り、そのうちの一つが彼の左肩を直撃する!
全員が、その場で凍りつく。
彼は辛うじて難を逃れたものの、地面へ倒れ込む。
肩を押さえながら、痛みに顔を歪めて叫ぶ。
リョウタはすぐさま彼のもとへ駆け寄り、負傷した肩に手を置く。
そして、軽く押さえる。
どうやら、かなり痛むようだ。
リョウタはポケットから袋を取り出す。
中には、すり潰された薬草が入っていた。
それを負傷した肩へ塗りながら、言う。
「残念だが、治療用のヴィラでさえ、使用は禁止されている。」
「これは鎮痛作用のある薬草だ。
ここから出るまでの間、痛みを和らげてくれる。」
ヒトシが彼のもとへ近づき、立ち上がるのを助けようとする。
そして、鋭い目で彼を見つめ、怒鳴る。
「天地にかけて、なぜ隊長の命令を聞く前に動いた?! 正気か?!」
彼は震える声で答える。
「俺は……」
「俺は、生き残ろうとして……」
リョウタの目が、一瞬だけ見開かれる。
だが、すぐに集団の先頭へ戻る。
そして、彼らへ告げる。
「先へ進もう……」
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彼らはしばらく歩く。
音はない。
さらに歩き続ける。
音はない。
長い……
長すぎる……
静かだ……
静かすぎる……
突然、そのうちの一人が立ち止まる。
抑えたような、皮肉な笑い声を漏らす。
そして次第に、狂ったように大声で笑い始める。
そして、叫ぶ。
「もういい!」
「何も聞こえない!」
頭を両手で抱え、ヒステリックに笑い続ける。
「いや、いや、いや……また繰り返されてる!……」
「全部だ!……何もかも、あの時と同じだ!……」
「俺たちは、ただ死へ向かって歩いているだけなのか?!」
……
誰も答えない。
リョウタも、彼を見ない。
ただ、前へ進み続ける。
…
しばらくして……
彼は……
無言のまま、彼らに追いつく……
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