旅路Ⅱ-12
仕掛けは全て整った・・・後は、タイミングさえ外さなければ良い・・・
「AI!レンジ距離5000Mよりカウント!3000Mをもって作戦スタート!」
『了解!・・・後、10秒で指定距離に到達・・・カウント開始します』
『10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・』
カウントが告げられる中、次の指示を矢継ぎ早に告げる。
焦らず、冷静に事を遂げなければミッションは失敗する・・・思考を冷静に保てと脳内で自分に言い聴かせつつ
「爆破及び着弾タイミング同期・・・「ゲイボルグT2」、「アーマード」・・・撃てぇぇ!」
船体から次々と撃ち放たれるそれぞれのミサイルの振動が船体を揺らす。
目の前に映し出される立体映像には、こちらへと向かってくる重爆撃ペリカンとその上空で爆発を起こす「ゲイボルグT2」の状況がリアルタイムで映し出されている。
やや間を空けて、「アーマード」が爆発を起こし、後は重爆撃ペリカンの動き次第となる。狙い通りと言えば良いだろう・・・
飛行中に余計なダメージを喰らう事を忌避したと同時に、こちらを撃破する為の攻撃を兼ねた急降下を開始する重爆撃ペリカン。
『敵・・・急降下を開始!爆撃準備を始めた模様!』
一つ深呼吸して・・・
「主砲!・・・拡散照射モードへ」
『・・・切り替え完了!トリガー・・・どうぞ!』
主砲操作レバーの誤作動防止装置が外れた事を示すLEDライトがレバーのトリガーを赤く彩るのを視界の隅で確認。
静かにレバーを握り照準を重爆撃ペリカンの身体の中央へと速やかに移動させトリガー引き絞るだけにする。
『警告!・・・対爆撃危険距離まで後10カウント・・・』
『10』
『9』
『8』
『7』
『6』
危険距離をカウントで告げるAIの冷静な声をBGMに最も効果的なタイミングを計る。
そして
『5』
そのカウントが告げられた刹那、トリガーを引き絞るのを合図に主砲から指向性を与えられたプラズマ塊が解き放たれ45度の二重の円錐状に拡がるエネルギー波を形成し拡がりつつ重爆撃ペリカンへと襲い掛かる。
ダメージを受ける事を忌避し、急降下でそのダメージから逃れると同時に、此方への攻撃を敢行した重爆撃ペリカンは、己のとった行動が仇となり拡がりながら迫ってくる高温高圧のプラズマの波に無防備のままその身を晒すこととなりプラズマに瞬く間に焼かれ、その身は灰燼へと刹那の間さえ措かずに変わり果てる事になった。
その光景を立体映像を通して見つつ、俺は知らず照準しトリガーを引き絞るまで無意識に詰めていた息を、一気に吐き出していた。
今回の戦闘は、運の要素に占められていた事がほぼ大半であったといった良いだろう。
ましてや、VRの中で生まれた怪物であったとしても、重爆撃ペリカンがもし地上からの高威力の攻撃を放たれる直前に回避行動を取らなかった事が敗因であっただろう。
幾度かのプレイヤー達との戦闘を経て蓄積された己の行動への過信があったのかもしれない。それが故に、生まれ持った野性の勘が本来、齎した危険警告を無視させる要因に成りえたのだろうか?
それは、判りようも無いし、俺は人間でしがない一プレイヤーであって、重爆撃ペリカンではないのだから・・・あくまでも推察することしか出来ない。
それは兎も角、賭けに勝ったのは間違いの無い事実。
喜ぶべき事だろう・・・そう思った途端、目の前にリザルトメッセージがポップアップする。
内容を見ると・・・
爆撃ペリカン(変異種)を倒した
EXP:60000Pを得た
:155m2連装対空砲×4を得た
:24連装対空ミサイル発射装置を得た
:高レンジ対応型対空レーダー装置を得た
:無人偵察飛行型ドローンを得た
:ビヒモス20V型ガスタービンエンジンを得た
:村雨型火器管制(FCS)CPUを得た
つらつらと映し出されるリザルトログをみて思った事は、他のプレイヤーになんと思われるのだろうと考えた訳だが、そんな考えに浸っている暇は訪れなかった。
何故なら・・・
『船体の継続使用経験値及び戦闘経験値の総計が規定値を上回りました。
よって当艦は形態変形を開始します!』
そんなログが目の前に表示されたからだ・・・
追記投稿終了しました。
次回、陸上戦闘艦が何故長い状態であったのかその理由が明らかになります。
お楽しみに




