表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/64

旅路Ⅱ-6

剣術の型を一通り通し終わると、此方を窺う視線に気付く。


モンスター特有の感情のっていない物を見る様な視線ではなく、目的を持って此方を狙う者の視線。

ていにいうならば、殺意のこもった視線と言っても良いだろう。


ネットリと絡み付く様な殺意に彩られた視線というのは、このゲームで逆恨みされそうな事は何度かやっているが、そういった連中のモノでは無いだろう。

連中は確実に、「始まりの町」に送り込まれた筈である。


後、考えられるのはメンバーに話していない個人的案件位なのだが、ゲーム内でPKをしてくるだけでは済まされない筈である。

だとすれば、この視線のぬしは何が目的で此方に殺意混じりの視線を送ってくるのかが分からない。


考えてても答えは得られそうにない。

そうすると、此方が取り得る手段は一つしか考えられない。


「AI!入り口をロック!艦内へ侵入させるな!」


顔を正面に向けたまま、AIに指示を飛ばす。

背後から、ハッチが閉められロックが懸かる音が鳴る。


振り向きもせず確認すると


「誰だか知らんが、物騒な視線を向けてくるなよ?何処の誰で、誰に頼まれて俺をPKやりしに来たのかは知らんがな?」


左手斜め前方から何かを剥ぎ取る音が聞こえ、その方向へと顔を向けると、ソコにはゲーム内で会いたくない奴のアバターが存在していた。


「なぜだぁ・・・なぜお前ごときが・・・なぜ高い能力の車両を所持しているぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅっ!!」


その言葉には、他人に認められない者が他人を怨む情念が込められている様で、見方に寄っては狂気に囚われている様にも思える。

そういったモノに馴れていない人間なら、後退りや硬直起こすであろう。

俺はそういったモノには、仕込まれたわざの都合上、嫌でも馴れざる得ない環境だったのでさしたる恐怖心を感じない。


「逆恨みもここまでくると甚だしいだけだな?どうやってここにやって来たのか?とか誰に俺の進路を教えられたのか?は問わない。」


俺の前に姿を見せたのは、現実世界リアルでは傍迷惑極まりない言動をして、クラスメイト処か同学年全員に迷惑を掛けている岩動いするぎである。


ざっと見た限りでは奴は現在ボーグと為っている様だ。

両腕と両脚を機械化しているらしい。

車輪が爪先と踵に配されていてそれが両脚に取り付けられているのを見るに機動性重視の改造が為されていると考えて問題ない。


両腕は一応手はあり動く様だが、通常の腕と違って稼働領域は狭いと思われる。

腕の大半が射撃武器としての運用目的の改造が為されている事の弊害が稼働領域の縮小に繋がっている様だ。


腕の様子から判断すると、一見して近接武装は為さそうではあるが、油断は為らない。

腕部武装の大きさから考えれば、隠し武器位は仕込まれていると考えておくのが自然なながれだろう。


「きゅあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああぁぁっ!!」


岩動いするぎは奇声を上げながら脚の車輪を駆使して高速で此方に接近してくる。

それを見て取ると此方も地を這うような姿勢で大地を蹴る。


岩動いするぎの視線と銃口が狙いが何処に付けられているかを察知しつつ、右へ左へとジグザグの軌道を描きつつ、岩動いするぎが放つ銃弾を回避する事に努める。

中長距離武器を持っていない訳では無いが現状使う訳にはいかない。


中長距離武器は使うタイミング次第では窮地に陥る可能性がある。

使うならば、確実に仕止めるタイミングが必要なのだ。


「舐めるなぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああぁぁっ!!」


両腕の武器を用いたフルファイアで薙ぎ払いを掛けてくる岩動いするぎであるが、俺の走る速度に対して、身体を旋回させる速度が追い付いていない為、俺が走り去った場所を銃弾が抉っていくのみで、銃弾が俺の身体を掠める事はない。


現状出せる最高の速度で岩動いするぎの周囲を走っているだけと、奴思っている事だろう

。絶え間なく吐き出される銃弾で近寄れないから周囲をグルグル回っているだけだと。


俺は周囲を回る軌道を徐々に縮めながら、周囲を走っている。

上から俺の走る軌道見ている者がいたのならば、気付いただろう。

螺旋軌道を描きつつ、岩動いするぎの周囲を走っている事に。


そして、奴は気付けない。

銃火器という武器の力に振り回され、武器に搭載された機器の測距の表示を見落としている事に。

人間は横の動きに目が馴れてしまうと、急激な縦の動きに目が付いてこれなくなる為、姿が消えた錯覚を起こし、上方へと跳んだ事に気付けない。


岩動いするぎの正面に来たタイミングを見計らい、急激な方向転換行って上方へと跳ぶ。

それと同時に太刀を抜け放ち上段に構えながら落下。


太刀が頭に届く位置まで落ちてくると同時に太刀を振り下ろし正中線に沿って岩動いするぎを太刀で斬断・・・そして着地する。


「あ・・・り・・・えな・・・いぃぃぃぃっ・・・!!」


そんな言葉を残してポリゴンの欠片となって砕け散った岩動いするぎ

自身の能力に過剰過ぎる自信があるから、俺の様に能力ちからを隠す者を見抜けない。

能力ちからが劣っていると自信故に思い込んでしまっているから、見抜けない。

それが、奴の敗因なのだが・・・


まぁ、それはどうでも良い事だ。

来れる筈が無いであろう場所に奴が現れた事が問題なのだろう。

しかも、ピンポイントで姿を現した事が重要なのだ。ここまでピンポイントだと運営側に協力者がいると考えるのが自然だろう。

自分から協力を申し出たか、脅されて協力したかは別として・・・

しかも、身体に改造を施したボーグとなり現れた。そういった資金すら獲られる状況では無い筈の奴が・・・


運営に一報して措くべきだろう。

幸いにも、運営を取り仕切る人物のアドバイスが手元にある事であるし・・・


「キナ臭くなってきたかな?動か・・・アレ動かすべきかな?・・・・・・ルを」


そう呟くが、幸いにも周囲にそれを聞き咎めるものはいない。

風が吹き、砂埃が舞う光景を視界に収めて踵を返し、ハッチへと歩を進める。











文中のセリフが途切れている箇所がありますが仕様であり、誤字ではありません。

ご注意下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ