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旅路Ⅱ-4【3人】

「なんや?ジンはんって今日はログインせんてほんま?」


そうソファに座り、対面に座る少女に問い掛けたのはイリスと仲間から呼ばれる少女。


「うん。なんか、知り合いからどうしても調べて欲しい事があるって事でどうしてもログイン時間が取れそうにないってメール貰ったよ?」


そう答えたのは、ヒカルと仲間から呼ばれる少女。静かな所作でテーブルの上に載るカップを取り口元へと運び、お茶を飲む。


「え?ヒカルさんってリーダーとリアルで知り合いなんですか?」


そう声を上げたのは、最近パーティーへと加わったライルと呼ばれる少年。

本人は否定するが、少女っぽい容姿をしている為、男の娘扱いされるのは否めない。

ただ、当人も男っぽさが無いのは自覚しているのは当人だけの秘密。


「誰に何を頼まれたんやろ?聞きたいけどよう恐くて聞けんわ。」


そう呟くイリス。

ヒカルは苦笑を浮かべるものの否定の言葉はなく「だねぇ」と呟くに留める。

二人の様子に、ただ1人首を傾げるライル。


「聞いちゃいけないんです?リーダーなら教えてくれそうですが?」


と、口にするのだが


「普通はそうだよね?・・・でもね?何か裏があるよと判る笑顔で、極秘事項って言われるのは恐いんだよねぇ・・・ジンが言うと・・・」


と、のたまうヒカル。

事実、ヒカルとイリスの両名はその笑みをじかに目撃しているので、その言葉には実感が怖いほどこもっているのだ。


「それは、それで別に僕も聴こうとは思わないんですけど・・・怖いんで」


ライルは、そう呟くだけに留まった。

ライル自身、二人の言葉にしり込みしたのはいなめないだろうしまた、非難も無粋ぶすいだろう


「・・・あぁ、そうだね?・・・ただ、ジンとは、リアルではクラスメイトだからねぇ?アドレスの交換位はしてるよ?勿論もちろん。」


と、ライルが口にした疑問に答える事で話題の修正を図るヒカル。

この辺りの気配りは彼女の本質に端を発するものであろう。


その答えに、目を輝かせるライルであったが


「それはあくまでも、それなりに仲の良いクラスメイトってだけだから、余程の事が無い限りはお互いにメールのやり取りしないよ?」


と、告げてライルが聴こうとしてくるであろう質問を先回りする形で封じてしまうヒカル。

こういった事を不自然さを感じさせる事を難無なんなくやってのける事からも、彼女の頭の良さが伺えるであろう。


「それは、置いとくとして聞きたいんやけど?ええ?」


と、ライルを庇う形でイリスが口にするのは前振り。

それに、頷くことで同意を返すヒカル。

それを見て、口を開くイリスの陰で踏み込まなくて良かったと胸を撫で下ろしていたライルが居たのは言うまでも無い事だろう。


「ぶっちゃけ、ジンって現実リアル世界でもああなん?」


と、イリスは問い掛けていた。

聞きたい事は言うまでもなく、ゲーム世界と現実リアル世界での性格の差である。


「私が知らない事は多分結構あると思うけど・・・裏表は無いよ。殆んど見たまんまかな?」


ヒカル自身は現実世界でも、ゲーム世界でも自身に隠している部分はありながらも、大概他者と接する時は裏表なく付き合っていると告げるに留めた。

この事からも、ヒカル自身がある程度節度を持ってジンと一人のクラスメイトとして向き合っているだけなのだろう事は推察できる言葉を告げる。


ヒカルの答えに、イリスとライルの両名は感心した表情でしきりに頷いていた。


この後も、3人の話し合いは彼方あちら此方こちらへと、脱線を交えて続いていくのであった。

ただ、一つ言えるのは3人共にジンの秘密を探ろうと言い出さなかった事は確かである。


『藪をつついて蛇を出す』ということわざがある。

興味本意に手を出すと痛い目、恐い目をみるという意味合いであるが、3人からみてジンが隠しているであろう事は、ことわざ以上にあやういと無意識に感じ取ったから言い出さなかったのかもしれない。

このパーティーのリーダーである『ジン』。

居ても居なくてもメンバーに与えている影響は計り知れないものである事は確かな様だ・・・

そして、三人が知り得ない事がある謎多き人物であろう事もまた一面の事実なのだ。


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