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旅路-6

さて、作り上げた太刀の具合を確かめてみない事には作りましたが、使えませんでした!は話に為らない訳だ。


暫し、黙考してふねの外で試し斬りをしなければ為らないと結論付ける。


「AI、一度外に出て作成した太刀の試し斬りをしたいのだが、個人で対応出来ないモンスターは周囲に現れるか?」


と、AIに問い掛けてみる。

暫くの沈黙の後、解答が返ってくる。


『該当するモンスターは、探知範囲内には出現兆候はありません。

万が一に備えふねの制圧機銃で警戒する事が外に出る最低条件と為ります。』


との返答。

多少、過保護な気もしないでも無いが周囲に出現するモンスターは俺自身のレベルより高いのだから無理はないだろう。


「了解。ふねからそう離れるつもりもないし、無理だと思ったら逃げる事にするよ?」


そう告げると、AIは渋々ながら承諾した様だ。

恐らくだが、ヒカルとイリスにも俺の希望を伝えた結果として、AIが提案した制圧機銃での警戒で取り敢えず納得してくれたと思われる。


俺自身、そうそう死ぬつもりは無い。

俺の第一優先はメンバー全員で、「始まりの町」に帰還し、チュートリアルを受ける事である。

引き際を見誤り死に戻りする結果は行うつもりは毛頭無い。


艦内通路を通り、外へ出るハッチの前に立つ。

此処から、1歩外に出たなら弱い者は強い者に駆逐される世界が拡がっている。

そう目を閉じつつ自分自身に言い聞かせる。


覚悟は定まった。

目を開き、外へと踏み出そうと動いた直後"プシュー"と空気が抜ける音が鳴ってハッチが開く。


視界に拡がる光景は、岩と砂漠に覆われた荒野と呼ぶに相応しい景色だった。


現実世界リアルワールドに当て嵌める場所があるなら、世界の警察を自称する国にある、グランド・キャニオンという地域が該当するだろう。

そんな光景が地平線の彼方かなたを越えてひろがっているのだ。


後ろを振り返れば、俺が出てきたハッチはエレベーターの様に動く機構を備えている様だった。

降りている事を感じさせない技術力に驚きを感じるのも何か違う気がするが、何が違うのかは分からないので保留にする。


ふねから離れる為に歩きだして数㍍程で立ち止まり、周囲を見渡す。

立ち止まった理由はといえば、何者かが此方を窺い視る視線を感じたから。


手にした太刀を左手で握り、右手は柄に添え足を肩幅に拡げ僅かに腰を落とし全方位に意識を配る。


何者かの窺い視る視線は未だ途絶えておらず、しかしながら俺の視界で見える範囲には動く者はいない。


と、いう事は視覚そのものを無効化する能力を所持する何者かが此方を窺っている事に他ならない訳だ。


視覚は無意味ならば、意識を網の様に張り巡らし知覚する手段しか無いわけだが、ここはVRワールドであり、現実世界リアルワールドの様に意識の一部を網の様に薄く拡げるといった知覚技は使えない。

のであれば、どうするか?


答えは、単純で頬にあたる風をも再現しているのであれば、モンスターが動く際に共に動き生じる空気の動きも再現しているとみて間違い無い。


風を感じ取り、僅かな兆候も感じ取れなければ死ぬのみ、意識を一点に集中させるのではなく大きく拡げつつ、均等に集中する。


何者かが此方へと飛び掛かってきたと意識が捉えたと同時に身体に叩き込まれた抜刀技を繰り出していた。


"ドシャッ!”


という何者かが地面に崩れ墜ちる音を太刀を振り抜いた姿勢のまま聞く。

周囲には先程迄の窺い視る視線は感じられない、それであれば太刀で斬り裂いた者がその窺い見る視線を発していた相手だということだろう。


太刀を一度振ってから鞘に納め、振り返る。

そこにあったのは、ゴーグルを頭に被り防弾チョッキの様な衣服を纏う猿。

そういった表現しか合わない者が、立てに真っ二つに為って倒れていた。


チラリとログを見ると、"ステルスエイプ"を倒したと標示されていた。

ステルスエイプのステータスを見ると、俺がレベル20に対してステータスエイプはレベル50とある。初見でレベル差が30もあるモンスターを一刀で斬り伏せた訳だが、斬った感触は全くといって良いほど手応えは無かった。


レベル30の差を全く感じさせない切れ味には戦慄を覚える。

しかも、太刀が持つ本来の機能である高周波振動を使っていない状態であり、両者にあるレベル差をモノともせずに容易『たやす』く斬り裂いた訳である。

もし、高周波振動を加えた斬撃は如何いか程のものだろうか?

想像するのも恐ろしい切れ味だろう。


高周波振動を使わずにこの切れ味であるなら、レア度uniqueユニークというのも納得がいく。


ただ、この太刀の存在を知られると間違いなくPK 専門のプレイヤーに狙われるのは間違い無いと思われるが、此方としても黙って殺られてやるつもりも無い訳だが・・・


ステルスエイプをそのまま放置していると、そのまま砕け散りポリゴンの欠片になって消え去る。


取得アイテムはあるのかと気になり、再びログへと目を向ける。


内容は

【ステルスエイプを倒した】

取得アイテム

ステルス回路:×1【レア度5】


のみであった。


回路のみだと使い道が無い訳だが、その内動力炉とかも手に入る事もあるかもしれない。

コレはトランクルームに入れておくとしようか?


切れ味を試した結果だが、武器としては一級品であるが、同時に使い方を考慮しなければ為らない代物シロモノとうい評価に落ち着く。

普段は、高周波振動を用いず普通に太刀として使うのが無難であろう。


そう評価し、きびすを返しハッチへと戻っていく。

他にも試すべき物は色々とあるにはあるが、太刀の切れ味の凄まじさに呆れやる気が削がれたので、また後日気が向いたら試そうと考えた為だ。


ハッチを潜り抜けて首だけで振り返り、静かにハッチが閉まっていくのをただ眺める。


閉まっていくハッチの外から、一瞬だけ先程と同じ視線を感じるも、ハッチに遮られ感じなく為った。


「外はどうなっている?」


AIに尋ねると『問題無し』の解答が返ってくる。

恐らくだが、近づいてきていたモンスター達は制圧機銃の銃火を受けてあなだらけに為っている気がするのだが・・・

気にする必要も無いと思い直し、周囲を見渡せば、艦内通路が目の前に現れていた。

上下する感覚を搭乗者に感じさせないというのは技術的に凄いのではないだろか?


まぁ、プレイヤーとしてゲーム内でストレスを感じるのは本末転倒であるから気にしないでおこう。




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