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旅へ-5

戦闘ではなく一方的な蹂躙と呼べる戦いが終わり、残された車両を回収し再び「始まりの町」へと、フネを進める。


「いつの間にか、イベントリーにアイテムが貯まっているなぁ・・・このフネに共有倉庫みたいな場所あるのか?」


『回答します。フネにトランクルームが存在します。トランクルームの扱いはマスターのいう共有倉庫に当たります。』


何気無く呟いた事を、AIが拾いその事に回答してくる。

フネに附属するAIにしては、かなり高度な思考判断力を有していると思う。

それと同時にかなりの世話好きな気がするのだが・・・


そんな事を考えたり、イリスに修復の進行具合を尋ねたり、ヒカルに戦闘で必要な技能スキルの有用性を説明する等して、1時間余りが経過した頃。


『金属探知用ソナーの探知レンジに反応あり!9時の方向、距離3000。当該進行ルートから外れます。回収に向かいますか?』


AIからの報告に、ヒカルと顔を見合わせる。

向かうのは俺としては構わない。特に急ぐ必要性の無い旅路なのだから。

ただ、金属反応が車両であった場合イリスに懸かる負担が大きくなるのは否めない。

それが判るから、俺もヒカルも顔を互いに見合わせた訳なのだ。


『あ~・・・ジン?ウチはかまへんよ?修復も終わったとこやし・・・な~んにも、問題あらへんよ?』


心配をしていた本人から承諾の言葉が、艦内通信で届く。

それに、溜め息1つくと


「AI!これより、金属反応があった地点へ向かう。該当反応が車両では無い可能性も考慮し、主砲及び副砲展開!使用可能にしつつ反応地点へ!」


『命令受諾!これより当艦は金属探知にて反応があった地点へ進路を変更します。』


AIのアナウンスと共にフネの進行方向が変わり、該当の地点へと向き直り進む。


「反応の正体って何なのかな?・・・敵とかじゃないと良いよね?」


僅かな期待感がヒカルの発言には込められている様だ。

該当地点へ赴き、掘り出すまで何が出てくるか分からない。

それが、金属探知を使って周囲を探知して反応を探査しつつ進行する意味がここにある。


さて、このゲームに於いて戦闘に使える車両。即ち戦車は、崩壊した文明の遺産である。

プレイヤーやNPCがドロップパーツから作製する事も出来るが、発掘品の戦車と比べると一段階落ちる代物という設定なのだ。

発掘した戦車を持っている事はこのゲームに於いて、高い戦闘能力を保持する事に繋がる。

更に言えば、作製された戦車よりも高威力の車載武器を多く登載出来る利点があり、改造による能力の底上げの幅も多い事があげられる。


発掘した戦車には、元々の車載武器も登載されていて、即戦力として使える物も存在する。

それ故に発掘出来るなら発掘するべきで、使わない車両であったとしても、他のPCプレイヤーキャラクターには需要があり、そのプレイヤー達へ高額で売れるのだ。


尤も、該当反応が戦車だと限らない。

彷徨ワンダリングモンスターの強MOBに当たる事もある。



考えてみると、ログイン初日なのに何故こう忙しいのだろうか?

そういった事に遭遇しやすい運勢と言われたら、否定したくなるんだが・・・

俺は、行く先々で事件に遭遇する何処どこぞの探偵では無い。

1プレイヤーでしかないのだから。




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