旅の始まり-7
「いや~~!めちゃめちゃおおきに!あぁ~せやせや。ウチはイリスっていうねん。ログインしてみたら、辺境に出現やろ?でもって車両が近くにあると思って探してみたら、先にログインしてた奴に取られらしゅうてなぁ、影も形もありゃせんのよ?で困ったなぁとその周囲を探してたら人1人通れる穴見つけてな?でぇ、そこを進んで来たら、ここに着いたっちゅう訳や!そや!職種はメカニックやで!」
と、マシンガントークで自身の名前とこのドッグへ来た経緯を要求してないにも関わらず話してくる、メカニックのイリス。
メカニックを選ぶとは酔狂な女子なのだろう。
現在も発進シーケンスは実行中である。
イリスの話を聞いている間にも、このドッグをいち早く離脱する準備は進んでいる。
「事情は分かった・・・で、イリスはどうしたいんだ?」
イリスの1人語りを聞いてそれに相槌を打ちつつ、ヒカルへと目配せすると「大丈夫だと思うし、仲間になって貰おう?」とハンドサインが笑顔付きでかえってきたので、イリスの返事を待つ。
実際問題としては、大型兵器には自動修理機構や調整機構が備わっているのが通常だが、人の手が要らない訳ではない。
寧ろ、人の感覚でしか分からない異常に対処する為には人手がいる。
メカニックという職種はそういった事に幅広い対応力を有する!長い旅には不可欠な人材である。
しかし、攻略を目指す戦闘第一主義の連中からは役立たずと言われている職種でもある。
「あー・・・二人が善ければウチをパーティーに入れてくれへん?ウチかてレベルは低いけどメカニックや!それなりに役に立たせて貰うでぇ!」
と意気込んでくるイリスに俺達は
「「承認」」
と声を併せてつげれば。
『新メンバーにイリスを登録。艦内移動制限をパーティーメンバー権限に移項。ホーム登録にイリスを追加します。・・・発進シーケンス完了まで後1分。・・・ドッグハッチコントローラーへ信号を発振・・・反応無し。・・・ハッチを破壊しますか?』
AIから即座に反応が返ってくる。
その内容は、イリスの艦内移動が俺達と同等になった事と、ホーム登録に追加した事を告げてくる。が、発進状況の報告においてこのドッグの外壁に何らかのトラブルが生じ、開閉出来ない状況になったらしい。
AIは手っ取り早い、発進方法としてハッチを艦載の武器を持って破壊する事を提案してきたのだった。
「了解・・・他の選択肢は時間が懸かり過ぎる『肯定』・・・2連装主砲3基をもってドッグ外壁ハッチを破壊。その後進発。目的地に変更無し。・・・命令の変更も無し。実行せよ!」
と、AIに告げる。
AIは復唱する事なく命令を即座に実行する事で復唱の変わりとしたらしい。
スクリーンに映し出されたハッチは、艦の主砲3基の一斉砲撃によって、吹き飛んでしまった。
それと同時に、戦闘ログが流れ連続したレベルアップメロディーが、人数分鳴り響く。
結果として、俺達パーティーはレベル1から平均レベル15へと急激なステータス上昇に戸惑う事になり、ステータスポイントの割り振りに頭を悩ませる事になったのも、必然だろう。




