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光と影  作者: 紗綾
『片鱗』  −天−
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陸『動揺』

 雛と別れたあと、ぼんやりとした足取りで頭領の部屋へ向かう。勿論彼女の特訓の終了を報告するためだ。…だが、いくら心を落ち着けようとも、彼女の言葉が頭から抜けない。

「美しい薔薇には棘がある…か。」

10以上も離れている少女だというのに、一瞬その魅力に魅入られたが最後、きっと彼女に殺されてしまうのだ。罠だとはわかっていても…。本来ありえないことだと分かっていても、つい陥ってしまうような。

「何やっているんだ、俺…」

ずるずるとその場でしゃがみこんだ。……いくら恋愛事に慣れてないとはいえ、大の大人がこんなにも惑わされるとは。本当に情けない。心を入れ替えよう。丁度頭領の部屋についた。ノックすると、いつもどおりな間延びした返事が返ってくる。

「失礼します。…えっと、あー…」

何故か言葉に困りドアノブを握ったまま口ごもる。普通に報告すればいいだけだ落ち着け、落ちつ

「あらあら、もしかして天ちゃんってば、雛ちゃんに告白されたのかしらぁ?」

「あぁ!?」

動揺。手にかけていたドアノブをひねり過ぎる。バキッと音が鳴った。その様子を見てか頭領は更に楽しそうに微笑んでいる。…相変わらず、恐ろしい人だ。

「…はい。殺されました。」

「当てられた、じゃなく、殺されたの?」

「…………はい。」

肯定すると頭領は本当に楽しそうに声を上げて笑う。…楽しんでいるな、この人。多分彼はほとんど何があったか察しが付いているのであろう。

「うふふ、近々碧ちゃんのところに預けてみようかしら。きっと才能を磨いてくるわ!」

藤咲の当主に…。彼女のところに行かせるのは、確かにあっているかもしれない、が。あそこの当主のようになられるのは…。

 想像して戦慄する自分の様子を見ていた頭領も危惧していることを察したようで、

「安心してちょーだいな。そんな長期間行かせないわ。それにお目付け役もつけるつもりよ。ふふっ」

そういって微笑んでいた。


 最近、赤目さんが私を避けている気がする。修行を終えたあたりから、私への態度がよそよそしい。まあ、元から仲がよかったわけじゃないし。別に避けられていても気になんてしないけど!けど…。もしかして、私の嘘告白がほんとうだと勘違いしているのではないか。それだから一方的に避けて…って。

「私が振られたみたいじゃないですかっ!」

ざわっ…。店にいたお客さんが戸惑ったように一様に私を見る。

「………おい。…一旦こっちにこい。」

すぐ後ろに、苛々したように仁王立ちになる小さな店長。

「あー…申し訳ございませんお嬢さん方。美しい微笑みを陰らせてしまったお詫びにカフェアートは如何?」

背後ではざわざわと私の言葉に困惑していた店内を収めるため、禅さんが何かを始めたようだった。すぐにお客さんの話題は逸れ、禅さんに魅入っている様子。

 仕事中に失態をおかした私は、壱さんに連れられて奥の事務室に入る。

「おまえなぁ…なんなの?死ぬの?まだ現場に入るわけにも行かないし店の方にはいっているけど、最近ぼんやりしていると思えば急に叫ぶしマジありえないんですけど!!」

「うぅ…ごめんなさい…」

身を縮めた私をしばらくじっと機嫌悪そうに見ていた壱さんが、ため息をつく。

「あーもー。落ち着くまで出てくんな!ボクも収めてくるから一人で休んでるんだな!」

ぱたん。壱さんが出て行ってしまった。…多分、気を使ってくれているのだろう。とはいえ、多分ここに一人でいても赤目さんに避けられていることに落ち込んでいる事実を認めてしまわざるを得ない。それも嫌だ。やっぱり仕事に戻ろう。

 そう思って立ち上がろうとしたところでドアの外からのノックの音に気づいた。店に続く方でなく、裏口。食べ物の搬入だろうか。ドアを開けるとそこには、大きな荷物を背負い、真っ黒なフードを目深に被る男が立っていた。

「ど、泥棒!!!」

撃退すべく近くにあった掃除モップを振りかぶる。素早い反応に驚いたのか不審者は「ちょっ…」と小さく声を上げる。ふふん。散々しごかれたんだぞ。女だからって舐めないでよね!

「ちょっ…ストップストップ!確かに初めて会ったわけだけど俺ちゃんと関係者!あいあむ人畜無害の暗殺者!」

 暗殺者は人畜無害じゃないと思うんですけど。不審者はフードを外した。藍色の長めの髪。前髪も長いから、目も見えるかどうかレベル。…。………。……………。

「やっぱり不審者じゃないですかぁっっっ!!!」

「ちょっ、まっホント違うから待って待って!!」

 私のモップの攻撃を何やら言いながら華麗にひらりひらりと避ける不審者。…む。この不審者強い。只者じゃないな。

「あーもーっ!ほら、いい写真あげるから収まって!」

避け続けていた不審者がなにかを私につき出す。写真。赤目さんが優しく微笑んだような、レアショットだった。

「っていらないですよ!なんですか貴方赤目さんのストーカーですか気持ち悪いですね見る目ないと思います!!!」

再び振りかぶろう…としたところで、ばしっと不審者にモップを掴まれた。髪の隙間から覗く金色と藍色の瞳と目があった気がした。

「姫ちゃんだよね?俺は荊!自宅警備こと自室警備やってます!」

荊と名乗る男は、にっこりと口元に笑みを浮かべた。


『おい、データが抜き取られているぞ!』

『まずい、ハッキングされている!』

『なぜだ?なぜ雇用者データだけを抜きとるんだこの犯人は!』


「………あーあ。ここにもいないか…おっかしいなあ。」

うっはあああ。やっと出したかった人全員出すor出すフラグかけた!

今回視点変わって忙しかったですね。申し訳ないです。

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