#4 ベッドでの甘い言葉
キングサイズの大きなベッドに2人の身体が倒れ込む。
濡れた髪から落ちた水滴を、アラタがそっと舐めとった。
「んっ……」
身体のあちこちにアラタのキスが降ってきて、私はたまらずに声を漏らす。
「どこがいい?」
掠れた声が耳元を甘く撫でる。
「どうしてほしい?」
「っ、ぁ……」
「……ほら、教えて。もっと愛香の気持ち」
「だ、だって」
「だって、なに? 言ってくれないと分からないよ」
アラタは愛し合うとき、いつもこうして私の言葉を求めてくる。
言葉と、態度と、身体のすべてで、私に愛されていることを欲しがる。
それは、過去の恋愛に関係していると、私は気づいていた。
「俺のこと、好き?」
「うん……」
「それだけじゃ、足りないな」
今のアラタを作っているのが、過去の女性だとしたら……。
そんな複雑な気持ちも、アラタの言葉と指と唇で、段々熱に浮かされていく。
「……す、すき」
「もっと、ちゃんと言ってくれないと」
「アラタが、好き……。アラタじゃなきゃ、いや……っ」
思わずアラタの手を強く握り返した。
「や、ねぇ、もう……」
「まだ、だめ。もう少し聞かせて」
「もう……や…だ……」
困ったように目を潤ませる私を見て、アラタが熱っぽく目を細めた。
「かわいい」
その瞬間、触れる指先が少しだけ強引になって、頭の中が真っ白になっていく。
だけど、アラタは簡単には逃がしてくれない。
「いい子だね」
大きな身体に包み込まれる安心感と、独占されるような甘い息苦しさ。
そのどちらにも抗えなくて、私は何度もアラタの名前を呼んだ。
「……愛香のここ、こんなに熱くなるくらい、俺のこと待ってたんだな」
「う、うん……」
アラタの背中に腕を回す。
「離さないで、俺のこと……」
「あっ――!」
アラタの愛で満たされていく。
溺れていくような感覚。
「愛香の中にいると、すごく安心できるんだ」
唇を離したアラタが、少しだけ幼く見える顔で笑った。
dulcis〈ドゥルキス〉最年長でリーダーのアラタは、いつだって冷静な司令塔なのに。
そんな顔、ファンが見たら失神しちゃうよ。
だから……だよ。
アラタのファンでもある私。
アラタにいっぱい愛されたあと、いつも意識が遠のいてしまうのは、仕方ないよね――。




