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西へ……

新章でござる(´・ω・`)

けど、ほぼ旅レポ章でござるw


 さて、それはそうと。

 帰ってきたのなら、マシュさんとの約束がある。


 「新魔法開発」をやるという話なのだ。


 ……そのために、俺たちは再び、首都マーダ方向へ向かう乗り合い鼠車に揺られていた。今度は客として。マシュさん、リリエラさんも一緒にだ。

 何故か?

 マシュさんの故郷が、西のアークゥエスミィ連合王国にあるからだ。


 正確には、アークゥエスミィ連合王国を構成する七つの王国のうちの一つが「エルフの王国」で、王国の端にある「人混都市圏」――人と交流するために設定された地域の町の一つにマシュさんの私塾があり、冒険者稼業以前はそこでエルフや人の塾生に魔導の講義をしていたそうな。

 俺らはそこにしばらく逗留しつつ新魔法研究に打ち込もう、という話になっている。

 俺が魔法研究している間に、ビュスナはリリエラさんと気功師の村へ、ナオは西方の故郷へ行くことに。俺も途中、両方へ行ってみることにしている。シェラは、ナオかビュスナかのどちらかについていくつもりらしい。

 ま、冒険者たるもの、広い世界を見て回って見識を広めるのも仕事の内。世界を知ってこそ、冒険者としての格も上がろうってもんよ。

 幸いにして、当座の生活資金に困ることはないし、もし新魔法開発に成功したら、それを登録して売りに出せば、さらにロイヤリティでウハウハ左団扇生活でっせほんなこつ!


 ……なんてU○ューバーとか百均アイテム開発者みたいな甘いことを考えつつ、盗賊殲滅作戦で通った主街道を今度は観光気分で西へ抜け、首都マーダへ再び到着。今盗賊が出てきたら、問答無用でバキューン!するけんね。覚悟しとけよ盗人ども!

 ……と意気込んでみたけれど、出ませんでした。そらまーこないだ大掃除したばっかだからな。


 首都マーダでアークゥエスミィ行きの長距離便に乗り換え、約二週間でアークゥエスミィ国境を越える予定。だが、途中ライ・マーストで用があって、一旦降りなければならん。なのでライ・マーストまでの切符を買う。

 あと、金はあるので、市場で思い切って胡椒買った。店の親父が「売れた!」って超はしゃいでた……売れるとは思ってなかったらしい。買っちゃったけど……大丈夫かコレ? 念のため一粒砕いてみたら、香りは十分立つから大丈夫そうだけど。ミルがないから細かく挽くのは難しそう……どうすんのこれ? まあなんとかするけどさ。粗挽きはいいけど細かくは道具ないと挽けないぞなもし。ミルとか……なさそうだな。〈絶対領域〉でどうにかできんもんかな……道すがら実験してみよう。


 馬車ターミナルで、長距離便の値段を確認していると。


「実はお金さえ出せば、超特急便もあるんだよ」


 と、マシュさんは言う。


「超特急便?」

「えーとねえ……ほら、アレだよ」


 と、マシュさんが「空」を指差す先には。


「お……おおお、んっほぉおおおおおお!」


 決して薄い本的な、アヘな表現ではない。

 驚きのあまり、ついつい口にしてしまっただけだ。

 そう、それくらいの「驚愕」が、そこにあったからだ。言うなれば脳が活性化するAHE体験!

 改めて言うが――ってそれはどうでもいい!


 見上げた俺の視線の先には――


 「空飛ぶホウキ」が、人を乗せて飛んでいるではないか!!


「お――――!! 魔女のホウキ!! そうか、あれが例のホウキかぁ……」


 上空五十メートルぐらいか、バイクの二人乗りのような感じだが、乗っているのは紛れもなくホウキ――しかも、竹箒っぽいやつ。乗っている人との対比から推定、1・5メートル前後。スピードは……わからんが、結構速い。シュピ――ン、って感じで空を横切っていく。レースでピット前を走り抜けてくバイクみたいな。そりゃまあそうだろう、でなきゃ「超特急便」なんて言われねーわ。200キロや300キロは出てるよな。


 いやあ、あれには長いこと疑問があるんだよな……「乗っていると股が痛くなる」とかいう魔女あるある? それが事実なのか。それを防ぐために横乗りに乗るのが大人の魔女の常識だとかなんとか……まあそこいらの常識は、ジャパニーズエセファンタジーに出てくる魔女の言ってることだから、現実の魔女はそんなことないのかもしれんけど。実際そうだったらなんかマヌケだよなあ。だったらなんでホウキなんかに乗るのかと。


 ……実はこの「空飛ぶホウキ」便の噂は、かねがね聞いていた。ヴァロースの親父様からも。

 人類居住圏の主要都市を結ぶ、超高速定期輸送便。文書や重要な荷物を高速で運ぶために使われ、ジシィ・マーダとライ・マーストの間なら、地上なら二週間かかるところを最短二日で輸送できてしまう。主要都市を結ぶ便だけで、その絶対数もさほど多くはない、魔導士ギルドがその製造・管理・運用を一手に握っているので、魔導士ギルドのある都市でしか見られないのだ。だからマシナで実物を見かけることはなかった。国家レベルで多数運用できているのは、魔導王国ライ・マーストだけだというし。

 ……最初に「空飛ぶホウキ」の話を聞いたときには、「こっちの世界にもホウキに乗って飛ぶ」っていう魔法使いの伝説とかあったんだなあ……とか思ったのだが、マシュさんに聞いたところ。


「ああ、あれはねぇ……ブライト・ワルダーが創ったものなんだよ。こっちの世界じゃそもそも、空を飛ぶこと自体が禁忌に近いからね」


 ブライト・ワルダー?


「百年以上前、西方人鬼大戦以前に、異世界の門が開かれていてね。その向こうの世界は、こちらより明るい、輝く星が照らす世界――ブライト・ワールドと呼んでいた。その世界の住人だから、ブライト・ワルダー。彼らはこちらのことを逆に『薄曇の世界』、ドーン・ワールドと呼んでいたそうだよ」


 ブライト・ワルダー、ねえ……なんか、地球に似た世界だったのかな?


「ブライト・ワルダーの子孫なら、今でもこの世界に数多くいるよ。人鬼大戦より少し前に門が壊されて、帰れなくなったブライト・ワルダーが数多くいてね。こっちに何十万人という単位で住みついたからね」


 へ? 門が壊された?


「理由は解らないけど……一説には、この世界の生物に多様性を与えるために、神が門を開いたり、勝手に閉じたりする、なんて説を唱える人もいたね。それで用が済めば、世界を安定させるために門を閉じる。

 つまり、長きに渡って停滞しているこの世界に、外界からの血や知識をこちらに入れて進歩させるためではないか、なんて説が有力視されているね。

 ああ、今はもう一度門が開かれて、その周辺に新しい町が出来たそうだけど、今はブライト・ワルダーはあまり外に出てこないらしいね。出国規制があるとかで。

 今シティの外にいるブライト・ワルダーは、最初のゲートの頃からこっちにいた人間の子孫がほとんどだよ」


 ……なんかどっかで聞いたようなプロッ……おっと。

 だがもしそんなことだとしたら、俺もまたその「神の見えざる手」で、こっちの世界に放り込まれた、とでも? いや思いっきり神から「YOU死んだデスYO!」って言われたから、見えざるってこたーないわな。ふつーに神の手? 猿よりはマシな手だけど、なんかあの話っぷりからして、ものっそい意図的なアレコレが隠れていそうだな……。

 異世界転生なんて、そんなもんなのかもしれないが……「お神」の考えるこたー下々の者には解りかねますね。

 いつか機会があったらその町行ってみよう。地球みたいなとこかもしれんし。


 まーお神やそのブライト・ワルダーとかの事情はさておき、一回ぐらいホウキ乗ってみてぇな……機会があったら乗ろう。いや、金ならある! あるうちに! 乗る、ゼッタイ!


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