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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
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悩める鬼殺し


 ……俺は、もう一本の、「グルーガの角」を取り出し――「ハイ・オーガ」との接触、協調、そしてはぐれオーガとの対戦の様子、等々、「真実」を話して聞かせた。

 ついでなので、二人にも〈絶対領域〉のことを話した……部分的に、だが。どうせあるってことは知られてるんだし。

 あと、「グルーガの角」が鍵になるとかナントカは黙っておいた。「単なる友情確認アイテム」ということで、俺の手元に記念品名目で置いておくためだ。デル・オーガの角は提出したんだから、それで勘弁してな。


 ……全てを聞き終えた後。ラスさんは俯いてこめかみを押さえ、大きな溜息を吐く。

 沈黙が重い……そりゃそうだ、こんな話、公表できたもんじゃない。


「……じゃあ何か、お前は結局、オーガ・キラーじゃない、と?」

「そういうことです。ちょっと戦いはしましたけど……誰も死んでませんし」


 ローディさんが、顔を覆う。


「……ですが今更、オーガ退治はウソでした、とするわけにはいかないでしょう。

 証拠品もある、実際にオーガもいなくなった。ただ、退治されたのではなく、同族に回収されていった……ということだったと。

 ですが……付随する情報がちょっと……」


 ラスさんも、「これ」をどう扱ったものか、困っている。


 実際、過去の「西方人鬼大戦」では、ハイ・オーガからの宣戦布告というか「人類殲滅宣言」は受けているので、そこから人類並の知性を持つ存在であることは知れている。

 だがその後、西方大山壁に穿たれた「大鬼回廊」は大破壊魔法で塞がれ、オーガの国の情報は全く判っていない。もっと南の獣人国ルートも同様だ。

 スパイを送ろうにも、人とオーガでは形態が違いすぎてスパイどころではないし、潜んでいても探し出されて食われるだけの「地獄の国」へ誰が行くというのだろうか?


 ……とはいえ、ハイ・オーガとの対話内容、そこから得られた情報は、全て文書に書き起こされ――冒険者ギルドから魔導士ギルドへ「売却」されることになった。後にそれを魔導士ギルドで精査した結果、今まで不明であったオーガの生態、知性のレベル、国家の形態や現状、文化的素養などがいろいろ明らかになり、軍事的・学術的に非常に価値のある情報である、と判断されたという……。


「……今の話、他の誰かに話しましたか?」


 ラスさんに問われ、俺は全力で首を横に振る。話せるわけがない。話したところで信じてもらえるとも思えんけど。


「……なら、この話はここだけの話にしておいて下さい。他には一切他言無用。よろしいですね」


 ……ですよねー。俺だってそーする。

 てか、こんな話誰が信じるんだよ……「オーガと話してたら上司のグチ聞かされた」とか「オーガの牝にモテる基準」とかさあ……。

 あと、ユプニック高原がオーガの国への移動拠点だとか……あの高原って、「巨神の国」とか言われてる場所やん?

 あの近辺じゃ「巨神の御座」とか呼ばれてるそうだけど……そんなとこ、誰が行くねん。

 俺? 御免被ります。

 それを聞いたからって、調査能力があるわけじゃありませんのでー。

 百年ぐらい経ったら、魔導士ギルドあたりの責任で行ったらええのんや。

 それくらいしたら俺も死んどるし。


「しっかしまぁ、お前は毎度毎度やらかしてくれるなぁ……」


 ローディさん、俺が突っ込んで行ってやらかしてるわけじゃありませんから。

 向こうが先に、文字通り「手出し」してきたんですから。

 結果論ですよ結果論。


 ……で、その情報料として、後に魔導士ギルド(本部)から三百万ゴネル(手数料抜き)が支払われた。口止め料も込みで。

 日本円で言えば三千万ぐらい……ただ、物価感覚でいえば一億円以上にも相当する。棚ボタでもくれるもんはゴミと病気以外はもらうのが俺の主義。あ、不幸もイランで。もう十分持っとるから……。

 あと、魔導士ギルドからの特典として、「魔法の無料習得権」を四〇個分もらった。魔導士魔法は買うと地味に高い(一つ数千ゴネル前後から青天井)ので、これは嬉しい。もう百万ゴネルぐらい余計にもらった気分だ。なんかハンパな数な気もしたが、「パーティで分けて使えるようにしてくれたんでしょうね」とラスさんに言われた。んじゃ分けて使わせてもらうかのう。青天井価格のアレを買おうかと思ったが、買ったところで使いこなせないので止めた。もっと有意義な実用性のあるのに使おう。

 報酬は……一部俺がもらって、残りはパーティプール金てことでいいか。今はそんなに金に困ってないしな。

 これであとは一生遊んで暮らせるぜヒャッハー!って思うと、ほんと人生の自由度が上がるなあ、って感じるわー。

 社畜だった前世の俺には悪いが、死んでくれてありがとう!

 第二の人生はよろしくやってるから心配すんな!




 ……それとは別に、ナオの追及をどうにかするのが非常に難題だった。

 あいつ、オーガ退治に異常な執念燃やしてるからなぁ……「どーやって始末したん」とか「どれくらいの奴やってん」とか「殴られた時の打撃力はどんなんやった」とかもう、事細かに聞き出そうとするんだよ……俺の脳内オーガのスペック設定ではカバーしきれないところまで聞いてくるんで、「必死だったんでそんなとこまで覚えてないし見えんかった!」で誤魔化してはおいたが……それに俺殴られてないからな? それは設定に入れてないからな? あんなのにマジ殴りされたらワンパンで消滅するわ。

 なんでもワンパンで消滅させるヒーローに対する弱い怪人の気分がよー解るわ。俺なんかせいぜい、自転車乗るヒーロークラスだよ。


 ……だが実際、自分で戦ってみたらどうか?っていうのは、グルーガの戦いである程度は解った。「(けん)」ってゆーの? いや俺の名前じゃなくて、達人の戦いを見て技を自分のモノにするとかいう。

 別にオーガのパワーも得られないし、あいつらの技とかってどーなん?って思うからそこは見てなかったけど……ボクシングのヘヴィ級同士がクロスレンジでガンガン殴り合ってるのを、レフェリーぐらいの至近距離で見てたら、近いんじゃないかなーぐらいのイメージしか湧いてこない……それでも人間だったら、踏み込む度に地響きとかしねーよな。正に鬼畜人外の戦いやで。


 というわけで、人間の俺には参考にはなりませんでした。

 ナオさんも参考にはできませんでした。「めちゃ強い」ってことが実感できただけで。


 それで、あれを余裕で叩きのめす魔法拳士――ベレー・レイヴァーみたいな奴がいるってことがもう信じられん。

 マジモンの魔法拳士はバカみたいに強い、なんてよく言われるんだが、あのオーガに素手の殴り合いで勝つとか、もうバカかと、アホかと。

 ナオにはそういうの目指してがんばれ、と言っておくと、目に炎を宿して修行に行ってくれるから、扱いは楽だが。


 あと、あれ以来、ビュスナからツン要素が半分以上消えて、ツン子じゃなくなった。デレは相変わらずないけど、たまに思い出したようにツン子に戻るぐらい……その変貌振りがちょっとコワい。

 「だからケンはねえ、女子の気配を読めないとダメだよ」ってシェラの奴がしたり顔で言うのだが。

 なんだよ女子の気配って。ビュスナやナオの気配なら判るぞ。あとリリエラさんとか、ギルド受付のネコ姉さんとか。


「そういうんじゃないんだよねぇ……はぁ」


 はぁって何だよ、はぁって。「はぁと」だったらキモチワルイぞ。

 シェラちん、キミこそ年上のお姉ちゃんに小動物扱いされて食い物与えられてるけど、ペットのように思われてるんじゃないかね?

 俺だってビュスナにあんな風に泣かれれば、そりゃまあ思うところはあるよ。

 でもなあ……あいつがあんな風にしおらしくなると、ちょっとやりにくいっていうかさあ……今まであんなんじゃなかったからさあ。あんないきなり女子っぽくなられても、違和感しかなくてなあ。

 ホラ、ガキの頃、男の友達だと思ってたら、五年ぐらい経って再会したらなんか「ばいんばいんの美女」になってたとかいうどこのエロ漫画だってレベルのさあ……いやそんな見た目の話じゃなくてね。例えだよ例え。そういうの期待してるとかじゃねーし。今からビュスナがナオみたいな「ばいんばいん」になるとは思えんし。

 ……まあいいや、別にケッコン(仮)しろとか迫られてるわけでもないし、様子見様子見。日本人らしく先送りだ。

 何かYES/NOを求められてるわけでもないしな。


 あと、「オーガ・キラー」は公式記録に残されてしまった……。

 なかったことにできませんかねえ……できない? どうしても?

 できませんか、そうですか……非公式情報が絡むから無理と。

 「キング・キラー」はともかく、こっちの称号はメンタルダメージが響くなぁ……。

 評価上がっても、俺的には心労ばっかでいいことないんやで……。


オーガバトル編はここまで。次から新章です。


「オーガバトラー・ケンバイン」とどっちがいいか悩みましたw(´・ω・`)ナヤムナ



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