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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
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伝説のオーガと共闘? 5


 ……機密事項か。まあそれを聞けただけでよしとしよう。

 で、そいつ起こして命令するわけ?


『うむ』


 ……俺、食われないよね?


『それは大丈夫だ。心配なら少し離れておるがよいぞ』


 そうしますー。

 ……俺が離れると、グルーガはデル・オーガになんか魔法――治癒系だろうかショック系だろうか――をかけると、デル・オーガが徐に頭を起こし、周囲を確認するような様子を見せ、上体を起こした。


『ガrンjこあたえおジュじたjぽ』


 ……うん、離れてると何言ってっかわかんねー。


『カえくbおあえsんjjわう亜jkl……ごう青けwんかkが』


 しばらくそういうやりとりが続いた後。何だろ、「盟約に従い、敗者は勝者の命に従うべし」とかそんなん?

 ……なんか知らんが、デル・オーガが跪いて、頭を下げた。

 その頭に、グルーガが拳を乗せる。

 ……マウンティング儀式完了のようだ。

 すると、グルーガが俺を指で招いた。


『終わったぞ。こ奴にも手出しはさせぬゆえ』


 あ、ハイ。これで任務完了だな。


『うむ……ケン、お前には世話になったな』


 ……いや、まあ俺も滅多にない貴重な経験させてもらったよ。それには感謝しとこう。

 ……ちょっとそのデル・オーガさんの視線がコワいけど。


『気にするな。少々空腹なだけだろう』


 それを一番気にしてるのは俺なんだけど……手出しはしないんだよな?


『させぬ。我らの『力の契約』は命より重い。

 『力の契約』は我らハイ・オーガのみならず、デル・オーガにとっても唯一絶対の掟なのでな。それゆえに、こ奴もそれは破れぬよ』


 ……さいですか。お前がそう言うんなら、そうなんだろう。


『……さて。これで我は――』


 その瞬間、俺は「強烈な閃光」を見た。


 同時に、無意識に、その「閃光」を避けるように、俺は大きく右へ跳んだ。

 「気」が、察知した危険を避けるように、俺の身体を勝手に動かした――そんな感じだった。


 ――一秒前に俺のいた場所に、「巨大な拳」が叩き込まれていた。


 な――あっぶねえぇぇぇぇぇ!!

 何かと思えば――デル・オーガの奴、俺を捕まえようとしやがった!

 このヤロウ、「掟」を平気で無視して――そういうこともあろうかと思っていたら、マジでやりゃあがったぞ!


 うーわっ、怖っ! 今の掴まれてたら、完全アウトだろ!!

 巨大ロボの手の中でグシャッてやられちゃうやつ!

 よく身体動いたな!


 だが――デル・オーガの気配は「驚愕」に包まれている。

 しかもこのデル・オーガ、失敗したとみるや――


 ドンッ!


 地面蹴って、森へ逃げようと跳んだ。


「逃がすかこのクソがっ!」


 俺はデル・オーガの正面に〈絶対領域〉を生成――衝突。

 グシャ、と頭から壁にぶつかって勢いで潰れたような感じになったデル・オーガは、一瞬空中で止まった後。

 ドズゥウウン――地響き立てて、地面に落ちた。


『……あの愚か者が!』


 グルーガが嘆いていた……あ、グルーガの方はマジだったんや。

 とりあえず、あのアホにちょっと思い知らせておかんといかんのじゃないのか?


『……そうだな。掟を破り、しかも我が盟友をも傷つけようとしたのだ、これは万死に値する』


 盟友……か。


『すまぬが、あ奴を回収してくる。ここで待っていてもらってよいか』


 ああ。ちょっと厳重に拘束しといてくれると助かるが……


『腕をへし折っておく。あとは……角は全部、お前のものだ』


 角? 顔に生えてるやつ?


『うむ。あ奴は掟を破った。あのような愚か者には、最大の恥を与えて、見せしめにする必要がある』


 ふむ……角を全部へし折るってのもそういう罰なのか。


『顔の角は、我らの強さの象徴でもある。それを全て折られるということは、完全なる敗者であり、奴隷階層の証左でもある』


 なるほど、解りやすい……のか?


『……先に奴を回収してくる』


 お、おう。

 こっちも今になって心臓バクバクしてきたから、ちょっと鎮める時間が……はあはあ。


 グルーガが闇の中、岩山の下へと降りていく。

 ……周囲は完全に闇の中になっていた。こっちの世界の夜は、月がないからすごく暗い――と思っていたのだが。


 よくよく空を見ると、僅かに「まだら」になっているのが解った。雲の濃淡があると、空の上の僅かな明かりの漏れ方が変わるのだろう。少しだけ明るさがあって、周囲の山の稜線や、森と空の境界ぐらいは区別がつくぐらいには明るかった。

 それと――遠くに、町の明かりが見える。あれは多分マシナか……そのずっと先にも小さな明かりがぽつぽつ見えるのは、ククリグへ向かう街道沿いの村だろうか。

 こうしてみると、意外と町は明かりが多く、こんな闇の中では一際それが目立つ。衛星写真とかあれば、町の位置もはっきり判るだろうが……まあないものをねだっても仕方がない。

 しかし、こう暗い中に一人だけで待ってるってものなあ……気配のない「何か」がいきなり迫ってきたら、さっきみたいに避けようがないぞ。

 だからって〈灯火〉を点けるのもどうか……何が寄ってくるかわからんし。

 そう一人でどないしょーどないしょーと悩んでいると。


 森の方から、ズズ、ズズ、と重いものが引きずってこられるような音と、グルーガの気配が近づいてきた。


『待たせたな』


 ……戻ってきたグルーガは、先ほど言ったとおり、両腕をへし折って、蔦で雁字搦めに拘束したデル・オーガを引きずっていた。また血の臭いが……折檻追加したんかな? よく死なねーな。


『この愚か者は、見せしめのためにも是が非でも国に連れ帰らねばならん。この場で処刑できぬのは申し訳なく思う』


 ……いやまあ、結果としては俺も生きてるわけだし。

 こういうのでやられるようじゃ、冒険者やってらんないっすよ?


『……これを渡しておく』


 と、なんかデカい革袋を渡された……オーガなら小物袋だろう。

 〈灯火〉をつけて、中を確認……するまでもない。皮袋の外から触れた感触でだいたい解った。

 デル・オーガの顔にあった角……八本。血生臭い。

 一本が二十センチぐらいある大きいのだけで、折れるものだけだそうだが……。


『全ての角を渡すのは、我らとしては最上級の詫びである。謝意として受け取ってもらいたい』


 ……うん、判った。詫びとして受け取ろう。


てれれれってってってー♪


『アイテム:オーガの角×8を手に入れた!』


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