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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
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伝説のオーガと共闘? 4


 俺は〈光弾〉を発動。目標は、洞窟内に潜むデル・オーガ。気配がデカいから外しようはない。見えなくても気配でロックオンできると解ってるから、気功術様様だ。

 だが、そこで俺は気配をさらに細かく探る――手、身体、頭――よし!

 〈光弾〉が、洞窟の闇へ吸い込まれていき――パン!と小さな音を立てて、目標に命中。


『……ゥゴアアアアアァァァァァァ――――ッッッ!!!!』


 うっわ、オーラが「怒り」一色になりよった!


『おい、何をした、あ奴、ものすごく怒っておるぞ』


 あ、ハイ――ちょっと精密に、「目」を狙ったんで。


『目?――この暗がりで、どうやって狙ったのだ』


 ちょいと気配を細かく探り、顔の中ほどで小さく動いているところへ〈光弾〉ぶつけたんで。多分命中したと思う。


『器用な……ヒトの魔導士はそういうことができるのか』


 あーいや、今のは俺の思いつきで。出来るのもいるかも知らんけど……てなこと言ってないで、来るぞ!

 大地を震わせる地響きが、洞窟奥からせまってくる――よし、ここでもう一発! 〈絶対領域〉発動!

 って、入り口に置いとくだけで。


『ガアアァァァァァゴフゥッ!!』


 はっはっは、見事に奴からヒットしおったわ! 苦しんでる苦しんでる。


『お、おい、今度は何をした?』


 あ、いやちょっと入り口に固定魔法トラップをね。それに見事に衝突したってわけ。自分からボディブローよ。


『……ヒトが狡猾なのか、それともお前がそうなのか……』


 今のは俺だけだな。てか先手取れ!


『う、うむ!』


 俺が一歩離れると、グルーガが一気にデル・オーガに向かって、地面を蹴って跳ぶ。

 わっくそ、もう一歩離れてれば土塗れにならずに済んだかもぺっぺっぺ!


 グルーガがデル・オーガの顔面に拳をヒット。相手の顔、ド正面に全体重を乗せた一撃――いける!と思ったら。

 デル・オーガはぐらついたものの、その場で逆にグルーガに殴り返した。なんつータフネスだ……。

 ……なんだろう、双方全力で一発殴っては殴り返す、っていうのを始めやがったぞ。

 「俺とお前、どっちが強いか試そうぜ!」みたいな、そんな殴り合いっていうか、タフネス勝負してやがる。

 しかも一発一発の打撃音が、こっちにまで響いてくる……すげー、あれ一発の衝撃力何トン?とかいうレベルじゃね?

 もう音っていうより「震動」みたいなの。ほら、巨大な建築重機が、ビルの基礎に鉄杭打ち込んでるみたいな、あんな感じのが、断続的に、ゴォン、ガァン、てね……生物の出す音じゃねー。

 普通に殴り合ってるように見えるのに、なんであんな音するのん……。

 「地上最強の親子喧嘩」をリアルに見てるような……しかもこれ、両方「オーガ」だ。マジモンの。


 ……ナンなの、オーガってこういう様式美みたいなので戦うわけ?


 人間でもこういう「脳筋の極み」みたいな戦い方する奴はいるけどさあ……グルーガみたいな立場でそれやる必要ってあんの? あいつ、人間で言ったら軍の高官みたいなもんだべ? それが下っ端の脳筋脱走兵と殴り合うの図……きっと人間には解らない、オーガならではの「常識」があるんだろうな……うん、きっとそうだ。

 「殴り合わずして相互理解なし」みたいな……イヤな連中だな!


 ――だが、グルーガが先ほど言っていたように、徐々に形勢はグルーガに不利になっていく。

 先行ダメージは与えたものの、その程度ではデル・オーガの戦力を削ぐには程遠かったようだ。

 真正面から殴り合ったら、(オーガの中では)体力的に劣るグルーガが圧倒的に不利だ。


 ズン……何十発かの殴り合いの末、グルーガがついに、デル・オーガの一発で片膝を落す。


 ……どうやら、反撃が一定時間できないと、「さらに俺のターン!」になるらしく――立ち上がれないグルーガに対し、デル・オーガがもう一度拳を振り上げる。


 あ、これヤバくね?――と思ったその瞬間。


 グルーガが、突然デル・オーガにアッパーを放った。


 それも、全身のバネをきかせて、全力でアゴに向かって突き上げる一撃――あ、しかもあれ、「雷神拳」アッパーストレートだ。電撃纏ってやがるわ。

 汚い、さすがハイ・オーガ汚い……とオーガの世界に匿名掲示板があったら書かれそうな一撃。


 その一撃で、デル・オーガもさすがに頭を大きく仰け反らせて、ゆっくりと宙に舞い――地響きと共に地面に伏した。

 不意打ちに近い全力の一撃を食らったせいか、デル・オーガはそれ以上立ち上がって反撃はしてこなかった。

 テンカウントを脳内で数えたが、デル・オーガは起き上がる気配がない――というより、気配が戦えるレベルじゃない。


 ――勝者、グルーガ!


 とりあえず脳内で勝利コールしておく。ゴングも鳴らしとくぞ! カンカンカンカン!

 だが、さすがにグルーガもダメージが大きかったようで、ドズン、とその場に座り込んだ。

 俺はゆっくりとグルーガの背後に回り、「大丈夫か?」と声をかける。


『……うむ。少々キツい戦いではあったが……まあ、結末は予想通りではあったがな』


 お、おう……まあ見事な戦いだった、な。勝ちは勝ちだ。


『うむ。我らは敵を正面から力で打ち破らねば、勝者とは認められぬ――正式な戦なら、あのような不意打ちは許されぬのだが、このような場だ、致し方あるまい』


 ……やっぱり正面から殴り合って勝つ、みたいな様式美はあるんだな。


『……これからの時代、それだけで国を成り立たせるのは難しいのだがな。ヒトの世界にも、法というものがあろう。それを統治の基本にせねば、我らオーガも獣と変わらぬままだ。それでは我らの時代にならぬでな』


 ……うん、まあ、頑張れ。


『……それはそうと、少し《治療》をかけてもらえぬか』


 おう、いいけど……これってオーガにも効果あるのか?


『基本、《治療》は回復力の活性化で傷を治すものだと聞いている。ならばヒトの魔法でも効果はあろう』


 ……とりあえずやってみるわ。慣れてねーから、何回かかけるぞ。


『うむ』


 ……十回ほども〈治療〉をかけると。


『もうよいぞ。すまぬな』


 と、グルーガは立ち上がる……血の臭いがすげー。これでも生きてんだもんな。

 で? こいつはどうすんの。

 と、倒れているデル・オーガのことを訊いてみる。


『正面からの戦いで勝ったのだ、こ奴は我の命令に一つ従わねばならぬ』


 ……それで「帰れ」と?


『うむ。我が帰還できるところまで連れてゆく』


 帰還できるところ、ね……これから西へまた隠れながら帰るのか。


『いや、我らの国へ一気に帰還できる場所があるのだ。ここへ来るときにも利用した』


 ……へ?


『……詳しくは話せぬが、この大陸には、いくつかそういうポイントがある。それを回収のために、一時的に我らが使えるようになっておるのだ。

 でなければ、我らの国からここまではさすがに陸路では来られぬ』


 ……オーガの国への直通帰還ポイント、ねえ……どうやって帰るかも言えない?


『それに関しては詳細は我らも知らされておらぬが……何か、あの雲を通過して一気に帰還するモノがあると聞いている』


 雲? あの雷雲をか?


『我から言えるのはそこまでだ』




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