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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
67/249

伝説のオーガと共闘? 3


 ……


 …………


『――起きろ、ケン』


 気がつけば、半ば放心状態になっていた俺だったが……よく落ちなかったもんだ。だが肘と肩がめっさ痛い……完全にフックして引っ掛けていなかったら、絶対獣のエサ確定だったわ……死因:落下事故って、どんな冒険者やねん。いややでそんな死に様……スカイダイバーや登山家ちゃうねんで……大体それ、「冒険家」の死に様であって、冒険者ちゃうやろ……。


『奴の狩場が近い。気配を探れ』


 気配って……俺、今精神的に瀕死なんだけど?


『あの程度で瀕死とか言うのか?』


 ……あの程度、ってなあオイ!

 人間はお前らよりずっと脆弱なんだよ!

 お前ら基準ですっ飛んでいくんじゃねーよ!


『……うむ、忘れておった。お前たちは我らよりずっと弱い生き物であったな』


 そーだよ!

 少し、回復する時間を寄越せ……ハアハア。


『……そのような脆弱な生き物が、よく我らが同胞をあれだけ殺せたものだな』


 知らねーYO! 第一俺はあの大戦に参加してねーんだよ!


『そうなのか……今までのヒトも、大戦のバケモノがどうこうとか喚いておったようだが』


 いや、あの大戦参加した奴の大半はもう死んでるから……若い奴らは、親や祖父母である大戦参加者の話や記録文書読んで、知識として知ってるだけだからな?

 ……そりゃあ、人間界ではオーガっていったら、人間の天敵みたいなもんだからな……ほとんどの人間がタイマンで戦えるわけねーだろ。タイマンしても勝てる人間なんて、ごく少数の特殊な奴だけだ。

 あ、タイマンてのは一対一の戦いのことな。


『ふむ……そのような話を聞くのは初めてだな』


 ……お前さあ、今まで人間とまともに話したことないのか?


『あるわけがなかろう。こうしてお前と話すのが初めてだ』


 マジか……今まで出会った人間、全部モグモグゴクンしたからじゃないよね?


『情報を得る相手を食ってしまっては情報どころではないだろう。先ほども言ったはずだが』


 ……てことは、コンタクト自体出来てなかったと?


『……その通りだ』


 ……まあ普通に考えたらそうだわな。

 何で俺、オーガとこんな話ししてんだろ……。


『お前が話に応じてくれたからであろう?』


 いや、そうなんだけどさ……普通の人間だったら、オーガに遭遇=死、って観念するべさ。

 大戦で戦ってきた以外でも、人間の世界でのオーガの扱いって、そんな感じだからな。

 てか俺だって「話が通じる相手」って、今さっき初めて知ったんだよ。


『……現に恐ろしきは無知なるか、であるか』


 せやな。ここにもう一人ぐらい加わってくれれば、お前とのコンタクト話ももう少し真実味があっていいんだけどな……俺一人が言ったところで、誰が信じてくれるのやら。「人を食った話」って笑われるのがオチだな。


『ヒトとはそこまで疑り深いものなのか』


 疑り深いてかさー、人類の天敵と思ってる相手と話すっていう、そこにまず考えがいかねーんだよ。

 「話が通じる」とすら思ってないんだから。

 まあお前と俺となら、二度目以降もいけるけどさ……他の奴と同じように話せるとは思わん方がいいぞ?

 だってお前、何年人の地に潜伏してたんだ? その間、ずっとコンタクト失敗してたんだろ?


『ぐぬ……それはそうだが……』


 まず、意思疎通の手立てがなあ……接触しても、その見た目がまずよろしくない。人間から見たら、恐怖しか感じないもん。子供が見たら泣いてチビる。大人でも倒れる。冒険者でも逃げる。

 それくらい、オーガってのは人間受けが悪い。


『……いや、解ってはいる。解ってはいたが……改めて言われるとな』


 ……いやまあ、こうして話してみれば話せないことはないって解るけどさあ。

 「見た目」ってのは大事だと思うよ?


『……うむ……我も国元では『ちょっと強さが感じられない』などと、牝どもに言われたことはあるが……確かに素早さには自信はあるが、力では少々劣るとは自覚しておるが……だがハイ・オーガは、魔法でその欠点を補って余りあるほど強いのだから、あの牝どもは見る目がなかっただけかもしれんな』


 その体格と機動力でか……オーガのモテ基準とは。

 オーガの「モテ雄」ってのがどんなのか、想像つかんな……つか、牝オーガのイメージが掴めん……セクシー・デスゴリラ……うーんこの。そういやイケメンゴリラなんてのがいたな……。


『その話は後だ。今は先に、あのデル・オーガを捕らえるぞ』


 ……へいへい。そういやそうだった。気配気配……と。

 ……いた。あの岩山の中腹あたり、洞窟あるみたいだな。そこに潜んでいる。


『相解った。では捕獲といこう』


 ……ところで、俺は何したらええのんな。


『できれば、奴の足止めをしてくれ。直接やり合えばなんとかなるが、とにかく逃げ足が驚異的に速い。逃げにかかったら、なんとかして、僅かな時間でいい、奴を止めてもらいたい』


 逃げ足速いって……あんたより?

 なんつー身体能力や……人間が勝てる相手じゃねーよな、常考。

 止めるったって……まあ方法はないでもないけど……多少ケガさせてもいいよね?


『構わぬ。少々の傷なら我が治す』


 わかった。多分あいつ、洞窟から飛び出してくるよな?


『そうなるだろうな。まあ、逃がさず確保できればそれに越したことはないが……腕の一本ぐらいなら、落としても直後ならくっつけられる』


 なるほど、キレイに切り落とすならあり、と。


『できるならそのような欠損負傷は避けてくれるとなお良い。やむを得ぬ状況でなければな』


 ……わかったわかった。できるだけ五体満足でケガもさせない方向で、だな。

 難しい注文してくれるなあ……。

 むしろ、全力で殺すつもりでかかれ!って言われた方がずっと楽だわ。

 解ってる、できるだけ殺さないように、だろ。


『――では、行くぞ!』


 うわまてまてまたすっ飛ぶのか!

 ……と思ったら、ふわりと、まるで月面散歩のような軽やかさで、グルーガは宙に舞う。

 お、おう、こんな静かに跳ぶこともできるのか……オーガの身体能力すげぇな。


『ここからは静粛に行かねば、また取り逃がすでな』


 そうだな……せっかくここまで接近したんだから、逃がす手はないな。

 ――そのまま、跳躍・着地の度に多少反動はあるものの、最初の移動に比べたら、ものすごい静かなジャンプで、グルーガは目的の洞窟前に着地。

 俺は先ほどの消耗を引きずらず、地上に再び降り立つ。今回のは、むしろ「世界最悪のジェットコースター」から観覧車に乗り換えたぐらいだ。

 揺れない地上っていいよねー。まだ感覚は上下運動してるけど。


『……向こうから出てくる気はない、か』


 確かに、奥には巨大な生物――オーガらしき気配が一つある。

 静かだが――外に「何か来た」ことには気付いたのか、動こうとはしない。

 ……よし、それじゃあちょっとばかし突いてみるか。


『何をする気だ?』


 俺も一応、最小限の魔法ぐらいは使えるんでね。

 奴がこれで出てくる気になるかもしれん。


『……よかろう。やってみろ』


 そんじゃ、一発やってみるか。


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