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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
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伝説のオーガと共闘? 1


『ヒトよ、かなり昔だが、我らとヒトの戦った大きな戦を知っているか』


 ……かなり昔の、オーガとの戦争?――ってぇと……「西方人鬼大戦」のことか?


『ヒトはそう呼んでおるのか。我らは『死の山越え大戦(おおいくさ)』と呼んでいたな』


 死の山越えって……まあそりゃそうだわな。そっちから見たら。


『うむ、あれは酷い戦であった……山越えに向かった同胞の半数が死んだからな』


 ……半分……そりゃまあ酷い戦ですな。


『しかし、そうやって同胞が死ぬことが目的でもあったのだから、致し方ないのだがな』


 ……はい?


『あの戦は、増えすぎた我ら同胞の行く末を決める大戦であったのだ。

 我らはあの当時、約二十億という人口を抱えていたそうだ。だが食料が圧倒的に足らず、国内では食料を巡って同胞が争っていた。食料を巡って、国内は荒れに荒れていた……食用家畜の養殖によって多少の供給はできていたが、それでは間に合わぬほどに、人口が激増していたのだ。

 人口が増えすぎたために、養殖場の建設や養殖家畜の増殖も間に合わず、人口抑制政策も打ち出されていたのだが、末端にそれが行き届かず、地方では食料紛争が頻発していた。

 そこで、食料を求めて、国の周囲を囲っていた大山脈を超えて、さらなる食料を得るか、増えすぎた人口を間引いてもらうか――その結末を、南と東と北と、山向こうの者たちに任せた、というのがあの大戦だ』


 ……ええー。じゃナニ、あの大戦って、「始末してもらいたかった」ってこと?


『半分はそうだが、半分は新たな狩場を求めて、だな。勝って狩場が広がり、食料を得られるならそれはそれでよし、同胞が討ち減らされるならそれもよし。どう転んでも、我らの目的には合致しておったのだ。

 だがまさかヒトによって、我らがあれほどまで減らされるとは思わなかったが』


 ……今どれくらいいるんです?


『概算で二千万弱、といったところか。かつての百分の一もおらぬ、というところだ。おかげで食料の問題は解決したがな。最初の目論見では、半分以下に討ち減らしてもらえれば、それで引き上げるつもりであったそうだ』


 半分ったって……十億以上のオーガを討ち滅ぼせと? 全人類がかかっても、正面からじゃ無謀ちゃいますかね? 人類滅びますよ?

 ……どうやってそんなに討ち減らされたのかが気になるが、多分それは歴史書みたいなのを見れば解るんだろう。


 ……で、そんなオーガさんが、こちらに残った同胞の後始末を?


『うむ……あの大戦で我ら同胞の大多数は山向こうへ引き上げたり殺されたりしたのだが、一部が逃げ延びてヒトの地に残っていることは知れていた。

 そのため、我らはヒトに知れないようこちらに潜入し、同胞を集めて戻しておったのだ。

 仮にも停戦はしたが、我らの同胞がヒトの地で悪さを続けていては、今度はヒトの側から攻めてこぬとも限らんのでな。

 もしヒトの大軍が本気で我らの国に攻め入って来たなら、我らの命運もそこで尽きかねぬのでな』


 ……おたくらも色々考えているんですねえ。


『まあな。我らハイ・オーガは統治者としての責任というものがある』


 ……ハイ・オーガ?


『あの大戦で名乗ったはずであるがな?

 我らは、オーガの国を統べる一族である、ハイ・オーガである。

 下々はデル・オーガというのだ。我らの大半はデル・オーガでな――大戦前からヒトの地に僅かながら行っておった奴らも、デル・オーガであったな。

 何しろ我らハイ・オーガは国内問題でそれどころではなかったのでな』


 ……ハイ・オーガさんはお国の政治家とか軍人でもやっていらっしゃったので?


『我は軍の指揮官であったな。まあ、戦争末期に若造の成り上がり指揮官として押し込まれたのだがな。

 もっとも、大戦で軍がほぼ崩壊してしまったので、現場を知って生き残っている者として、こういった回収係にならざるを得なかったのだが……全く、本土の政治屋どもは、偉そうにふんぞり返っていないで、自ら現場へ出て苦労を知れと……』


 ……ああ、アチラもいろいろそういう上下の問題があるんですね……。


『……ゴホン、それはまあよい。

 本題は、我がここにいる理由についてだ』


 ああ、そっちが本題でしたね。


『我は、この近辺に潜んでいる同胞を追っているのだが、どうにもそ奴が捕まらぬ。

 ヒトよ、お前には気配を感知できる力があるようだな』


 ……ええ、まあ……。


『ならば、そ奴を捕まえる手伝いをしてもらいたいのだ』


 ……ええー……やっと終わったと思ったのに……。


『放置しておけば、奴はヒトに徒為すぞ? 早々に処分なり強制収用なりせねばならんのだが……いや、処分するしかないな。あ奴は今までに数多のヒトを殺して食らっておるし、我らの国には戻らぬと言い放っておったからな』


 ……会ってはいたんですね?


『説得に失敗した。というより、聞き入れる気が全くなかった』


 それは……ご苦労様です。

 かつての敵地にまで潜入して、しかも長期出張仕事とか……普通、やりたくありませんよね?

 軍人だから仕方ないとはいえ、ほんとにほんとにほんとにほんとにご苦労様です。


『……我が上の者も、お前ぐらいの気遣いが出来るなら、我ももう少しやる気も出るのだがな……』


 ……なんかスンマセン。


『まあよい、それで手伝ってはもらえるのか? 何、お前に戦えとは言わぬ。案内さえしてもらえればそれでよい』


 ……その逃げてる同胞は、どのあたりにいるとか大体解ってるんですかね?


『奴はこの周辺で大体の狩場を決めている。それを辿って行けばすぐにでも追うことはできる。だがどこかに潜んだままだと、見て探し出すのは難しかろう』


 狩場、ねえ……その割には、マシナ――そこの町で犠牲者が出たって話は聞かなかったけどな。


『町と町の間を行くヒトを襲ったりしたことはあるらしいが、やはりというか、ヒトよりは森の獣を食うた方が腹に溜まるとは言っておったな。ヒトを狩るのは、挑まれた時、そして見つかったときだけだったそうだが、それでも百を越える人間を殺し、食らったと自慢げに言っておったわ。

 ついでに、やはりヒトは森に入ってくる連中より、肥え太った、道を行くヒトを捕らえた方が食いでがある、などとも言っておったな。若い方が、それもメスの方が脂の質が良くて旨いともな』


 ……まあオーガさんの食事情はいいや。俺ら人間の食レポとかされてもね……誰かに「人を食った話」ってブラックな話題話すときに言えるだけで。

 で? その追いかけてる奴の、大体の場所ぐらいは掴んでるん?


『うむ、ここより少し離れた、あの方向の岩山に潜んでおるようだ。だが隠れる場所が多くてな、奴の潜んでいる場所が特定できぬで難儀しておった』


 北の岩山か……確かに隠れるには好都合な場所だな。天然の洞窟が多くて、オーガでも潜むのに都合良さそうな場所だ。


『奴が狩場に留まるのは長くて三日ほどだ。獲物がいなければ、すぐに次の狩場へ移るから、いつまでもそこにいるわけではないが、その次の狩場も押さえておる。追いつくのに時間もかかるまいて』


 さいですか……で、今から突撃するんですかね?


『うむ。すぐにでも取り押さえねばな。また奴を逃がしては、我も帰るに帰れぬでな』


 あ、これ終わったら帰れると?


『うむ。やっと規定数の回収をこれで果たせるのだ。一刻足りと無駄にしたくはない。ヒトよ、すまぬが付き合ってもらうぞ』


 ……しょーがねえ、やるか。

 こっちもできるだけ早急に撤収してもらいたいしな。


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