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百均勇者。 -百均スキルで異世界チートは難しい気がする-  作者: 木持河類
第三章 伝説のオーガとバトル?
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ある日、森の中、鬼さんに……


 ……………………


 …………


『……』


 ……?


『……気がついたか、ヒトよ』


 ……なんだ……誰、だ……?


『ヒトよ、お前と話がしてみたかった。気がついたのなら、考えて応えてみよ』


 ……考えて、応える?


『……ヒトよ、まずは己の状態を把握せよ』


 俺は、頭がはっきりしていないのに気付き――周囲を確認する。


 ……しなきゃよかった。


 目の前にいるのは――「巨大な鬼の顔」。

 アレだ、えっらいリアルな「なまはげ」っていうのが一番しっくりくる――そういう、巨大な鬼顔。

 しかも俺、なんか「ものっそいでっかい手」で、死なない程度の力で握られて拘束されてるんですけど……。


『理解したか、ヒトよ』


 ……えっと。

 これってどういう状況だ?

 ……うん、人って、あまりに理解不能な状況に追い込まれると、逆に理解できなくて冷静になるっていうね。


 別名、「絶望的状況」。


 いつこれが俺にガブリンチョってくるかもしれんと思うと……あ、終わった。オワタ。オタワ。それカナダね。


『冷静に判断できるのなら良いことだ、ヒトよ』


 ……あれ? なんか目の前の「鬼の顔」が、話しかけているような気がするんだけど……?

 大小の牙が生えた口が、目の前で動いて喋っているんだけど……息が血生臭ひー。

 えーとね、こんな鬼のようなオーラ出す人には約一名心当たりはあるけど……違うよね、これ。あの方、デカイ面はするけど、物理的にじゃないしね……。


『気がする、ではない。我が語りかけておる』


 ……あ、ハイ、間違ってないんですね……。

 「鬼のような」ではなく、「鬼」そのもの。


『まずは言っておく、我はヒトを食らうつもりはない。話が出来そうなヒトを探しておったのだ』


 はあ……話ですか?


『そうだ。ヒトよ、我は対話を求めている』


 ……対話? って? 話がしたいと? 死体の話ではなく?


 ……どういった話で? 人を食ったような話は勘弁ですよ? 表現的なやつでなくて、マジで食う食わないのそういうやつ。


『最初に言わねばならなかったが、我はヒトを食らうためにここにいるのではない。それだけは理解しておけ』


 ……人……は食わないんですね? 俺も?


『うむ。お前も含め、ヒトは食わぬ。食うならもっと良い食い物が数多くいるのでな』


 ……えっと……じゃあ食うこともある、と?


『……いや、話し相手を食ってしまってはいかんのではないか?』


 ……なんだろう、相手はなんか必死に「食わないアピール」をしているんだけど……それが却って不安になる。


『……不安に思うのは致し方ないが、解った、ヒトは食わぬと断言しよう。

 もう少し付け足すなら、ヒトは食える肉が少なく、小骨が多い。あまり食った気にならんのでな。それならもっと大きな、肉の多い獣が多数いる。同じ手間なら、簡単に捕まえて十分食える、森の獣の方がずっと良いのだ』


 ……うん、ウマいマズいアピールよりも、「食わない」と言ってくれただけでいいんですけど……。


『……食わぬ。食ってしまっては話にならぬからな』


 ……解った。対話がしたいというなら、受け入れよう。

 だけど、この身体を押さえている手をなんとかしてくれませんかね。


『ん、おお、すまぬな。今までヒトを、食うか殺す以外で扱ったことがないものでな。迂闊に殺さぬよう扱うのは慣れぬのだ』


 …………食わないけど殺す、とかいうのもナシだよね?


『食わぬし、殺しもせぬ。対話がしたいだけだ。対話が終われば解放する。食わぬし、殺しもせぬ。むしろ、帰ってもらって、我らとの橋渡しをしてもらいたいのだ』


 ……ホントウニ?


『今までこうやって接触したヒトは、皆恐れ慄いて暴れ、逃げてしまったのでな。最初は誤って腕を折ってしまったりもしたが……我らオーガの王と神に誓って、ヒトをこの地で殺したり食らったりはしていない』


 ……わかった。一応信じることにする。

 だから離して。

 そして改めて……やっぱ「オーガ」だよ……うわぁ……。


『わかった』


 俺を拘束していた「巨大な手」が、俺を地上へ下した――なんか巨大ロボットに握られた人質の気分が解ったぜ。こんなところでそんな気分を味わうとは思わなかったが……。

 ……で、オーガさん。俺と何を話したいのかね?

 ……すると、オーガがぶっとい指を、俺に差し出してきた。

 これに触れろと? なんかどっかの映画で見たような光景ですね。

 もう指っつーか、俺の腕ぐらいあるんですけど……しょうがないから指先を握ると。


『うむ、ヒトよ、我はこうしてヒトに触れていないと意思疎通ができぬのだ』


 あ、触れると頭の中で話せるとか、そういうスキル?


『いや、ヒトのいう魔法というものだ。《接触対話》という。我らはヒトの言葉を正しく発音できぬでな』


 へぇ、オーガも魔法使えるんや……初めて知った。


『そのあたりも含めて、我はヒトと話がしたかったのだ。ええと、情報交換というやつだ』


 ……なるほど。情報交換ね。

 んで、アナタはどういったことが知りたいので?


『我は今まで、ヒトの地で、同胞を探して旅をしておった。ヒトに見つからぬよう旅をするのはなかなかに厳しかったぞ』


 旅? なんでまた。しかも見つからんように、とか?


『我の目的は、ヒトの地に潜んだままの同胞を連れ戻す、もしくは始末することだ』


 ……ハイ?


『※ミッション:はぐれオーガ掃討 → はぐれオーガ掃討&オーガとのファースト・コンタクト へと変更されました』


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