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スパイ?


「ほう、わが友は何か秘技を隠し持っているのかな?」


 サガ、「わが友」とかやめろ気持ち悪い。きれいなジャイアンかおまえは。

 仕方ねえな……それじゃあ……何がいいかな。


「罠対策ができるのがいいね。見つけるのによさそうなの」


 罠対策? そう言われても……俺って防御からっきしのアタッカーなんだからさ。

 そうだなあ……地面叩く棒の替わりみたいな感じだと、〈DBグローブ〉かな。見せてもいいタマな。これならバラしても大したリスクにはならんし。


「じゃ、狙撃相手に対抗する感じで」


 俺が部屋の隅に立ち、反対側の対角線に弓を構える新人スカウト、左右の端にサガチームの魔導士女子が杖、そしてサガが剣を構える。

 俺は〈DBグローブ〉を発動し――指の動きだけで、正面の弓、左右の杖・剣をペンペンペペンと弾き飛ばした。


「んなっ……何だそれ!?」


 サガが驚くが、それを教えたらキ……いや隠し玉になりまへんがな。


「威力はもっと出せるよね?」


 とシェラの笑顔……えーまだやんの?


「だってそれだけじゃ役に立つのかどうかわかんないじゃん?」


 そらそうだけど……わかった、さっきの板持ってこい!

 パーティション板を新人ボーイズ二人に支えてもらう。数メートル離れて俺。


「じゃ威力のほどを見せて頂きましょー」


 もうタイトルの意味なくなっとるやん。

 俺はボクシングっぽいファイティングポーズから、右拳の前に〈DBグローブ〉を発動し――板に向かってジャブ。

 バゴォン!という音と共に、支えていた新人ボーイズ二人が衝撃によろめく。


「……なんだこれ」


 板の中ほどに、直径五センチほどの、何かぶつけられた凹み。貫通はしてないが、厚さ二センチほどの板が凹み、反対側まで割れている。

 本気でやれば貫通もするだろうが、これでも威力は十分。貫通には貫通させる形状ってもんがあるし。


「これで遠距離狙撃をする。不意打ちでブン殴るようなもんだな。罠を発見した際にも、触らずに安全圏から壊せるし」


 おお、というざわめきが広がる中――あれ、なんかコワい視線が……。


「ああゴメンゴメン、目ェふさいどくから」


 ナオがビュスナの視線をガードしてくれてる……慣れてきましたね。


「ハイありがとーございました。こういう方々がしっかりフォローしてくれるので、落ち着いて対処すれば大丈夫です」


 シェラが勝手にまとめ始めてる……こんなんでいいんか?

 まあいいわ、まとめんの俺の仕事じゃないし。




「ところでさー」


 集会後は実戦授業のお時間と相成る。ギルド付属の鍛錬場を使っての付け焼刃訓練ではあるが、知っていればそれだけでも注意・対処できるものもあるというので、新人どもは全員参加となる。

 それを見物に来たリリエラさんが、始まる前にシェラと俺を呼ぶ。


「さっきヘンなのいたよね」

「あーうん、いましたねー」


 シェラが自然に応える。

 ……ヘンなの? ナニソレ?


「……はあ。ケン坊は技術はあってもぼーっとしてるわねぇ」


 とリリエラさんが背後からのしかかってくる。おやめハズカシイ。そして誰がケン坊だ。普段はぼーっと生きてんだよ!


「僕らが対策会議やってたときにさ、外に何回か人通ってたのは知ってた? 二人だけど」


 とシェラが言葉を継ぐ。


「それは知ってる」

「あれだよ」

「あれが? ギルドの人間じゃないのん?」


 ……ギルドの人間が見物してるんかと思ったんだが、違うのか?


「服装は確かにギルド職員のだけど、あれ、ギルドの人間の視線じゃなかったね」


 とシェラは応える。

 確かに視線は感じたけど、別に変な視線じゃないでしょ? すぐ行っちゃったし。


「そだねー。観察されてるって感じだったわねぇー」


 観察? ってことは……


「考えられるのは二つねー。協力国のスパイか、それとも――」

「ギルド内の内通者」


 シェラがイヤな言葉を口にした。


「盗賊団のか?」

「もしくは協力国の、ね。連中の仲間が入り込んでるにしては、ちょっとお粗末な気もするし。金で篭絡できるなら、国レベルでなら簡単だろうしね」


 いずれにしても、そんなスパイがギルド内でうろうろしていて誰にも見咎められないというのは、ちーとばかりよろしくない気がする。


「ギルド内でも泳がせているのかもしれないよ? 今回のこれで尻尾掴めると考えているのかもね」


 ……何にしても、気付いてて泳がせてるならいいが、もし気付いていなかったら?


「うーん……それはなんとも言えないかなあ」


 リリエラさんは「ちょっとコソコソしている感」があったというので、犯人も気をつけながら行動しているように思えた、という――ということは、「気付かれそう」と思っているのか、疑われているのを薄々感づいているのか、そんなところではないかと。


「一応確認はしてみるけどぉー、ギルドも実害なければとりあえずは放置じゃないかなー」


 ……確かに、敵でなければ即排除、というわけにもいかない。


「そういうのはマーシーに任せるわー」


 リリエラさん、マーシーて……覗きでもさせるんかい。まあ「こっそり様子を見る」的な意味なら間違ってないけど。


「それはまた後で話そう。それより今は実戦編だよ」


 おっとそうだった。せっかくシェラちんやギルドのスカウターズさんが不意打ち対策してくれるんや。

 まったく、俺たちゃ不意打ち合戦やるために冒険者やってんじゃないってんだよ。

 難しいこと考えずに、「怪しい奴はとりあえず殴れ」ぐらいでいいよねぇ。脳筋脳筋。


てれれれってってってー♪


『スキル:トラップ知識→レベル1を取得した!』


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