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世の中ラブ&ピースやで!


 ……といった対盗賊講習は一応行うが、知識や技術の底上げはともかく、自分の装備点検は自分で行う。

 冒険者たるもの、自己防衛ぐらいは最低限できなければ話にならんのだ。

 もちろんパーティ間の相互協力は不可欠だが、総員臨戦となれば、誰かが防御専門で誰かが攻撃専門、とか言っていられなくなる。この間のゴブリンキング戦がいい例だ。

 そんなときに、動き回って鎧が外れたーとか、いきなり剣が折れたーとか、そういうのはナシの方向でいきたいので、万全の状態で仕事には臨みたい。

 ……ハードウェア面もそうだが、ソフトウェアもしっかり充実させたい。

 ソフトってなんぞや?

 メンタルケアのことですよ。心構えとか、戦に臨むために心を落ち着けるとか、リラックスさせるとか、不安要素を取り除くとか。

 具体的に言いますと――あたくしの前に鎮座おわします、「邪眼」みたいな視線をこちらに向けてきている鬼神のごとき御仁のことですよ。

 大事な仕事の前に、こういう「恨みがましい視線」をじ――――っと向けられるこっちの身にもなって欲しいざます。

 不安要素爆増です。すごくよろしくないのです。


「……話すならまずあたしから、って言ったわよね?」


 そうはおっしゃいますがビュスナさん、物事には「成り行き」ってもんがあるんですよ。

 それは個人では如何ともし難い状況を生むこともあるのです。大いなる世界の潮流には、流れていく小魚一匹では抗えんのですよ?

 そこんところをご理解いただけませんと、人の都合や欲や意図渦巻く現代社会で、一人前の人間の振る舞いとしては失格なんですよ?

 で、あなたはなぜに〈光弾〉を発動待機させてるんでしょうかね?


「……一応、殴るか一発ブチ込む前に言い訳だけは聞いてあげるわ」


 鉄拳か魔法かどっちか確定なんかい!

 暴力的解決イクナイ! 世の中ラブ&ピースやで!


「まーまーまーまー、そないケン追い詰めるのはよーないで。

 世の中何でもかんでも自分の思い通り行くもんとちゃうんやから」


 そうですよナオさん、もっと言ってやって下さいな!

 この「鋼鉄の箱入りお嬢様」ったら、外から箱開けようとすると頑強に抵抗するんですから!

 その「自分だけの常識」っていう枠に囚われるのはいい加減およしなさいって何度も言ってるんですがねえ……ほんとに困った娘だよこの子は!


「……あー、まあそやなー、そんでも口約束とはいえ、ビュスナの言うことにもほーんのちょっとぐらいは理がないわけやないからな。ケンもそこんとこはちーとでええから考慮したりや」


 ……ほーんのちょっとも理なんかありませんよこのツン娘さんには!

 だいたい俺がどんだけ今まで泣かされたか! 泣かす理由なんて飾りです! 偉そうな人にはそれがわからんのです!

 理があるというなら俺の言い分にこそ理があるんじゃありませんかねえ?

 ナオさん、あなたの言い分なら、理は俺99にビュスナ1ぐらいの割合でげしょが!


「まーまーまーまー。今それ言うても始まらんでー。

 せやなー、ほなら」


 と、ナオが俺に耳打ち。


「ちょいとあの娘にチューでもしとき。どっか裏にでも連れ込んでゴーインに、な」


 …………はあぁあ!?

 なんでわしがそがんこつ!!


「そんで機嫌直してくれんのやったら話早いやんかー」


 いやいやいやいやナオさん、あんた頭おかしいんちゃいますかねー。

 そんなんで機嫌直るわけないっしょや! むしろ「何さらすんじゃワレぇ!」ってソッコー殺されまんがな!

 イヤでゲスよ、「光弾百発撃てるかな♪」とか「何発目で死ぬかな~?」なんてのは!


「そんなことあれへんでー。あんた、まだ気付いてへんやろけど、そんなんでなんとかなる話やで」


 ナントカなってしまうのはこっちじゃい! きっと「ナントカ」って状態異常に陥るに決まってんだから!

 他人事や思うてニヨニヨしとんなや!

 見ろや! 目の前のこの鬼神、おまえがなんとかせえや!


「で! 言い訳がないなら、殴られるのがいいか魔法がいいか、選びなさい! 早く!」


 いややそんな究極の選択!

 ちょ、待って待ってわかった言い訳させて。

 ほんと、あれ、成り行きっていうか強制暴露だから。

 命かかってた状況だから。マジ殺されそうだったんだから!

 それはとっ捕まえたシェラの弟が言ってたって知ってるよね!?

 死ぬか、秘密の手の内晒すかどっちがイイ?って聞かれたら、死ぬよりいい方選ぶよね?


「…………」


 なんだよ! 俺だって死にたかーねーんだよ! 手の内晒す方選ぶよ!

 それにアレはお前に言われる前のもあるんだよ!

 墓まで持っていくような秘密なんかまだねーんだよ!

 エンジョイ&エキサイティングな人生始まったばっかや!

 エキサイティング&DEAAAAAAAAAAATH、なんてのはまだ五十年早いわ!


「…………」


 わかったわかった、教える、教えるから!

 さっき公開してないのも! 全部!

 だからその目は止めて! 俺のMPはゼロよ!


「なんや、まだ隠しとるもんあるんか」


 あるよ、そりゃーあるよナオさんよ。

 あれで全部公開するわけないっしょ?

 「必殺技」ってゆーのはですね、知られてないから必殺技でもあるんですよ。

 知った奴は全部ぬっ殺す。だから「必殺」、「必ず殺す」技なんですよ。

 いや味方まで殺しませんけどね?

 だからキミタチもペラペラと喋ったらイカンですよ?

 最悪、必殺な仕事人しなきゃならなくなるかもですよ?


 ……というわけで、その場はなんとかそれで危機は回避できた。

 ビュスナには、さっきの〈DBグローブ〉の他、〈スクリューバレット〉バリエーション、デフォルトでのバッシュアタック、〈絶対防衛線〉……までは公開した。

 もちろん、「実験中」の使い方は教えてない。「これ以外にもバリエーションがいくつもあるし今後ももっと増える」ことは言わない。

 本当の必殺技ってのは、「必ず殺す」から必殺なんデスよ?

 生かして帰さない、見敵必殺。「見ぃ~たぁ~なぁ~」とか言いながら、追いかけて殺すとか? 相手が「くっころ」って言っても「ひっころ」ですからコロします。そういう技デェェェス。


「……なんなの、そのスキル……ってか、それ魔法なの?」


 いいえ魔法じゃないですよビュスナさん。

 俺の固有能力、エクストラスキルです。ショボいっすけど。

 生まれ持ってきた能力なんで……目覚めたのは冒険者になる前だから、六年ぐらい前?

 マジマジ、マジだから。ホント。

 ……さすがに「転生したときもらいました」とは言えねーけど。

 そこまで言ったら信じてくれんだろ。他に転生者がいれば別だけど。


 ……まったく、転生のこの俺がなぜぇ~!

 他に転生者いたら、この悩みは解ってくれるだろうにな……。

 どっかに都合のいい完璧超人のオパーイ美少女転生者がいて、俺の理解者になってくれんもんだろうか!

 ついでに嫁になってくれればげふんげふん。


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