必殺のスクリューバレット
基本、殴りはしません(´・ω・`)つ =>
「そかそか、うん、ええよ、やろやないの」
「いいよ、ボクは用も大体終わったし」
その夜、冒険者ギルド・宿泊所のロビーでナオ・シェラをつかまえて、ギルドからの依頼の件を話す。
ビュスナは先に話して了承を得たし、ナオとシェラも了承。
「んじゃ明日行ってくるか……あとで依頼書に署名してもらうからな」
その場はそれで解散。お三方は日中の所用で疲れたのだろう、各部屋へすぐ撤収。
――俺だけは、ちょいとギルドの地下訓練所を借りて、ヒミツの訓練である。
この地下訓練所は、「他人に見せたくない技や魔法の鍛錬」をするためにある。冒険者には、「奥の手」は他人には極力見せたくない、と考える者は少なくない。同じパーティでも、である。
なので、ここはそういった秘密主義者の「個人技の訓練専用」として使用されている――もちろん、技の研究目的で使ってもいいのだが。
先の戦いで一応の完成をみた〈スクリューバレット〉だが、色々と改良を加えている。
弾丸も形状でレベル分けた。
レベル1:衝撃弾、レベル2:螺旋弾、レベル3:高回転螺旋弾、レベル4:炸裂螺旋弾。
レベル1は「衝撃弾」、回転をかけてない弾丸。貫通力より打撃力に優れた弾丸として使うことを想定している。弾丸の形状も、天辺は平らにした。「円筒」をぶつけてるイメージで発射している。ホローポイント弾というより暴徒鎮圧用のゴム弾的な扱いだ。まあホローポイント弾みたいに弾頭が変形しないから、最初から貫通しない形状にした。
レベル2の螺旋弾が、いわゆる普通の弾丸。地球の弾丸だと5・56ミリだの規格があるが、そんなん要らんし適当。これは連射用。パンパンパンと連続で多数に続けて撃ちたいときの形状。拳銃感覚で撃つタイプ。
レベル3はその螺旋弾を、ライフル弾みたいにな形状で高速回転させるやつで、貫通力重視。「小型のドリル弾」みたいなイメージで。
レベル4は「エッジをつけたドリル」。貫通衝撃で物理的に破壊するのが目的。ゴブキンさんを始末したやつだ。
弾丸自体小さいから威力の向上はなかなか難しいが、形状は思ったとおりに変えられるし、回転も「12000rpm」ぐらいはすっとイメージできる――大きくできれば「○ガ・ド○ル・ブ○イク!」とかやってみたかったが……できんもんはできん。領域さん、全く広がってくれんのや。
さて、そっちは比較的簡単に完成したが。
打撃・貫通攻撃ときたら――次は「斬撃」だよね! グー・パーはできた、次はチョキ! ですよ。
ってことで、斬撃攻撃をこれでできるようにはどうしたら?
例えば、通常モードで横向きシールドスラッシュかませば「すぱりらっ」ていけるんだけど、なんせ小さい。もっと大きければ、ゴブリンキングの首切り落としてくれたのに。小さくて正確な距離が掴めないと外れるからな……「当たらなければどうということはない」って速い人に言われかねん。
なので、それを拡大したいわけです。もしくは、剣の斬撃強化の方向で。
〈絶対防御線〉で一応の完全防御はできる、だから「完全斬撃」ってのができれば……無敵やん?
「またつまらぬものを斬ってしまった」とか……言いたいやん?
斬撃と防御、両方は一斉にできませんけどね。
剣でそれが実現できれば、まあなんとなく「不自然ではない」感じになるし。すっとぼけるにしても理由付けがしやすいのもある。
で、とりあえず考えているのは――「薄く長く平らに」伸ばせば、とりあえず斬撃効果は出せること。
それを、剣の刃に沿って折り曲げて固定すれば――幅2ミリ×50センチで展開すると、刃全部覆うにはちょい足りない。
なので、刃全部覆う感じで伸ばす。
よし、これで試し斬り――地下の訓練所には、そういう破壊可能な素材がゴロンゴロン置いてあるので、好きに破壊できる。
まずは岩――せいっ!
ガリン、と刃が引っかかった――あっれー? すぱーん!と斬れるはずなんだけど……。
と、よく見れば、「刃の厚み」で引っかかっていた――切れた部分は「厚みゼロ」だが、その後から厚みのある物理刃がついてくる。そこが引っかかる原因になるんだな。
となると、この剣に装着方式だと、硬いものはスパーン!てわけにはいかんか……多分、怪物相手なら上手いこといくだろうが、大扉をズババババーン!みたいに乱切り、というのは無理か……だが!
今度は2ミリ×50センチの〈絶対領域〉の刃を、単独で指先から伸ばすように形成――それで岩に向けて一振り!
――岩は、なんの音もせず、そのまま。あっれ?
だが、上を横へのけてみると――ぬるり、と滑るように動き。
「おおー、こりゃまた……」
岩の上二十センチぐらいが、鏡面加工のように滑らかに削ぎ落とされた。
まあ厚みゼロだからな……だが、ちょっと気ィつけないと気がついたら味方も全部バラバラでした、みたいになりかねんな。なんせ俺以外に見えないんだし。下手に振り回して、俺まで足がとれました、なんてことになったら大惨事だ。
あ、ちょっと待て……これならどうだ。
俺は伸ばした〈絶対領域〉を、拳の前に「円錐螺旋状」=「中空のドリル」みたいにイメージして……これを回・転!
「ッりゃあ!」
シュバッ!と削れる音もせずに岩に穴があいた――が。
「ぶわッいてってってってっペッペッペ!」
削りカスが大量に顔面に飛んできた。だめだこりゃー。
螺旋がスッカスカなので、螺旋の中にもカスが飛んでくるのが欠点だ。これナマモノにかましたら……うっわ血塗れ肉塗れやないか! やらんでよかったー!
「むう……内側に別のシールドが必要だな……ってやっぱりそこで《シールド》へ回帰するんか……」
やはりこういう応用技は、〈シールド〉と組み合わせてこそ、ってことか……これぞまさにシールド攻法。マジで穴掘りとかに応用できるし。
――いかん、やっぱり〈シールド〉は必須だ! 面防御ができない俺に対する試練だ!
今度のミッション終わったらベーシック・コンバータ取りにいく! あれがあるとないとじゃ全然違うわ!
〈絶対領域〉の魔改造は〈シールド〉ゲットしてからやろう。
そこいらの敵なら〈スクリューバレット〉や〈バッシュ〉でも十分やれるし。
『※〈絶対領域〉応用技:〈シールド・スラッシュ〉を修得しました』
『※〈絶対領域〉応用技:〈スパイラル・スラッシュ〉を修得しました』




