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※諸説あります

ちょっとこの世界の魔法の設定アレコレがあります(´・ω・`)


 ――俺はその足で、マシュ・リリエラさん両名と共に、魔導士ギルドへ向かっていた。

 二人とも魔導士なので、ギルドにも登録しているし、マシュさんに至っては故郷に魔導私塾まで開設しているという。

 塾長……挨拶は「私が魔導塾塾長、マシュミーヤ・レイネーノイルである!」かな? 合わねー。むしろ顔の前で手を組んで口元を隠しながら、「学ぶなら塾に入れ。でなければ帰れ」みたいに冷徹に言い放ちそう(※あくまで個人の感想です)。

 だが現在は開店休業状態だそうだ……そりゃ塾長がここにいたんじゃな。

 たしか魔導士の私塾って、ギルド認定三級魔導士だか四級魔導士だか、けっこう実力者にならないと開設できないらしい。柔道とか空手道場が四段以上で指導者資格をとってないと開けないって聞いたが、それと同じようなもんか。

 この「魔導指導者資格」があると、私塾を開設できて、魔導士たる資格、ベーシック・コンバータを自分の判断で授与できるようになるんだそうだ。

 ベーシック・コンバータって、子コピーだけじゃなく孫コピーとかしても別に機能は変わらんのか……親からのコピー制御はあるが、ギルドがそれを実力で判断して解除しているって感じか?

 ……そういえば、気になることが一つある。


「マシュさん、ちょっと魔導士の方にお聞きしたいことがあるんですが」

「うむ、何かな」

「ゴブリンキングのことなんですが……」

「ゴブリンキングが?」

「リーダー以上になると、ゴブリンって魔法が使えるようになるっていいますけど、あいつらどうやって魔法使えるようになるのかなーって……」


 野生の怪物は、誰に習うこともなく、魔法を使う奴らがいる。ゴブリンでも「ゴブリンメイジ」っていう魔法種が大きな群れにはいることがあるが、ああいうのはどうやって魔法を覚えているのだろうか?

 ラノベでは「生き残った魔法使い種が他の群れに合流して広めている」とかいう考察もあったりしたが、そういう「渡り」でもない「魔獣」なんかはどうやって魔法を覚えたのか? まあそもそも最初はどうやって?ってとこもあるし。

 もしかしたら人間もそうやって魔法を覚える裏技があるんじゃないか?って思ったのは秘密だ。


 で、「そんなのは調べれば解ることだ」とか突き放されるかと思ったが、マシュ氏は親切に答えてくれた。


「ふむ……実のところ、あいつらがリーダーになると魔法を使えるようになる仕組みは、未だ詳細は不明なのだが……こうではないか、という有力な説がある」

「説?」

「一般魔法以上の高度な魔法を使うには、ベーシック・コンバータが必要なのは知っているかな」

「ええ」

「ベーシック・コンバータには、何種類かのベーシック・スペルというのが組み込まれている。ベーシック・コンバータが伝授された時点で、それらは全て使えるようになるんだ。

 その中には《魔 弾(フラッシャー)》バリエーションと《シールド》も含まれているから、魔法が使えるだけの知性爆発が起こった時点で、それらを使えるようになる――とそういった仮説だよ」

「……知性爆発って何です?」

「ああ、ゴブリンやボールグみたいな、群れを作る怪物にリーダーやキングが生まれる条件というのは知っているね? 一定以上の数が集まると、それらを自力で統制するためにリーダーが発生するわけだが、そのときにリーダーになりえる個体は、知性が急激に進化するんだ。

 通常、成体のゴブリン兵クラスの知性は人間なら十歳程度相当だが、それがリーダーでは通常の大人相当の知性を得るそうだよ。

 その急激な知性の獲得進化現象を『知性爆発』と呼んでいる」

「なるほど……それで十分な知性を得ると、魔法が使えるようなレベルになって、リーダーやキング、メイジは魔法を使えるようになる、しかし使える魔法はベーシック・コンバータに含まれるベーシック・スペルだけ――そういうことですね」

「そう。知性爆発現象はゴブリンだけでなく、ボールグやリザードマン・オーガなど、人類以外で平均的には知性の低い亜人にはよく見られる現象でね。

 個体が十分に増えた、と認識する何かがきっかけで、そのような急激な進化が起きるといわれているけど……個体数が増えるとどうしてそうなるのか、は解っていないんだ。

 もちろん、集団を統率しうるだけの知性がなければリーダー足り得ない、ということなのだろうが、何故そうなるのかまではね」


 なるほど……奴らが習ってもいない魔法を使えるようになるのはそういうことか。

 ただ、知性は獲得しても「知識」までは獲得できないので、最初から組み込まれているベーシック・スペル以外は、どうにかして修得しないといかん、だけど敵対する人間から修得はできない、そこでベーシック・スペルのバリエーションを伸ばしていく――そんなところだろう。


「個体数がある程度以上に増えたことを認識する生体物質か何かがあるのか……フェロモンみたいなもんがあるんかな。それとも、その濃度で群れの個体数を判断しているなら――」

「……ケン君?」


 マシュさんの声に、俺は思わず呟くのを止める。いかんいかん、そういう科学的な原因究明みたいなの、好きなんよ俺。


「あ、す、すみません――それで、奴ら、ベーシック・コンバータをどうやって入手してるんですかね」

「ああいった連中は、ほぼ全員がベーシック・コンバータを生まれながらに持っているんじゃないか、といわれているね」

「生まれながらに?」


 なんやそれズルッ。俺ら人間は教えてもらわないかんのに。


「――でも知性が足りなくて、生まれながらには魔法は使えない、ってことですか?」

「だから知性爆発によって、魔法を理解する知性を獲得した段階で魔法が使えるようになる。そう考えると今までの現象も、一応矛盾なく説明がつくんだ。ただ、奴らがベーシック・コンバータを最初から持っているのかどうかを誰も確認したことがないので、どのように得ているかは証明はされていない、ということさ。

 もしかしたら、一部の個体とその血統のみがBCを伝承している――という可能性もあるがね。そういった血統の個体のみが、メイジやリーダー、キングになりうると」


 ……なるほどなあ。

 調べようにも、あいつら人間とみると、オス=エサか殺す(あそび)相手、メス=ハラマセオ○ホ、みたいにしか見てないならなあ……知性持っても敵対心は変わらないし。むしろ余計なこと考えるだけだ。

 生まれながらにベーシック・コンバータは持ってる、しかし知性が足りないと使えない、知性爆発が起きるような場合に魔法が使えるリーダーが生まれる――だが全体では少数、他にない力を持つ者がリーダーやキングになる。群れを統率するにはいい仕組みなんだな。

 他の最初から知性の高い魔獣は、最初から魔法を使えるのも、そういう理由からか……ドラゴンなんかが異常な能力持ってるのも、長寿で独自の魔法使えるようになるからだろうかね。あの体型で翼で空飛ぶのは空力学的には無理だから、魔法で補助しないとどうしようもなかろうし、そういう能力を生まれつきもっている種だけが生き残っていける、自然淘汰の結果なんだろう。

 ……てことは、魔獣系の魔法って、人間にとって有用なものがけっこうあるんじゃなかろうか。

 もし、人類に友好的な魔獣がいたら、その魔法教えてもらって、逆に人類の魔法で使えるものを相互に教え合っていくなんてできるんじゃないか?

 ――あ、それがエルフか。生来魔法使えるらしいし。ドワーフやらケモミミさんたちもそういう存在か?

 なるほど、人の魔法もそうやって進化進歩していくんだな……いや、俺まだ魔法そんな使えんけど。ベーシック・コンバータも持ってないし。

 それでも、ゴブリンキングの戦い方で考えると、ベーシック・スペルだけでも使えれば相当な戦闘力強化になるってことか……よし。俺もレベル魔法使えるようになろう。〈魔弾〉〈シールド〉〈治療〉の三つが使えるだけでも、戦術の幅がぐっと広がるしな。

 〈絶対領域〉の応用技も、魔法に紛れて使えばバレずに済むし。何より個人戦力の増強しないと……(表向き)パーティ内最弱の男、じゃカッコつかんしなー。

 何よりも〈絶対領域〉の男、って二つ名つけられるのはちょっと……どこの変態かと。


 ……そうこうしているうちに、俺たちは魔導士ギルドの魔法研究所に着いた。

 ククリグの魔導士ギルドの事務部門は冒険者ギルドと同じ建物にあるが、魔導士の研究所や魔導学院分校のような「魔法研究・教育施設」は別にある。研究所には新しい魔法を習うための魔法教習所と、新魔法審査場も併設されている。この隣に、魔法学院分校が別にあるが、今日は用はない。

 ビュスナが入り浸っているのは魔法教習所の、魔導士コース。より上級の魔法やら、役に立つであろう魔法を頭に詰め込んでいることだろう。


 ――ビュスナの親父様から聞いただけの知識しか俺にはないが、この世界の魔法には七系統ある。

 それが「天地力命熱気流」という、「七輪成法(しちりんじょうほう)」の思想を表す言葉に沿った七系統だ。

 「七輪成法」というのが、この世界の「力の循環」を表す思想で、世界はその流れで成り立っている、というもの。

 それを魔導の七系統として分類しているのだそうだ。そしてこの七つがそれぞれの系統の魔法を「法」として体系的にまとめられていて、この一つの法で十分な知識を得ると「一級魔導士」として認定される。

 つまり三級とか四級魔導士っていうのは、三つとか四つの法で十分な知識と技量を持っているとギルドに認定された魔導士、ということ。最高位が「七級魔導士」ってことになる。

 なるほど、私塾を開いてBC伝授できるにはそれくらい知識も実力ないとダメだよねー。

 ちなみに、全部の法を修得した七級魔導士というのは、800年近い魔導の歴史でも数えるほどしかいないそうだ。魔導の開祖と呼ばれるゼライト・フォーン・マイアンジャールが最初の一人で、それから五人だか六人だか……そのくらいだ。

 百年に一人の天才、ってレベルってことだな。


 で、各法をざっくりいうと、「天」は儀式や広域魔法、召喚術などの大掛かりな魔法、「地」は土に関わる魔法全般やゴーレムとかの建築・クリエイション魔法や土操作、「力」は〈飛行〉などの物理現象操作、「命」は高度治癒や解毒など生命操作、「熱」は熱や炎・冷気、「気」はオーラを変化させて操作したり探査したり、「流」は水や空気のような流れゆく無形のものに関する魔法――とされている。

 とはいっても、近年は魔法が増えてきて、その境界も曖昧になっているという。申告した系統で管理されるので、「いやこの系統じゃねえし!」とツッコまれそうなものも結構あるんだそうな。それは後で登録時にギルドで再編されるそうだが。

 これらの系統は「魔導士魔法」もしくは「レベル魔法」と呼ばれ、専業魔導士――つまりベーシック・コンバータを持っている魔導士専用の魔法。


 これとは別に、ベーシック・コンバータなしに使える、一般人向けの魔法が「一般魔法」や「職業魔法」だ。

 俺も使える〈灯火〉やら〈点火〉のようなものは一般魔法。他にも百種類以上の一般魔法がある。

 この一般魔法の中でも、各職能ギルドが特注で魔導士ギルドに創ってもらう一般魔法が「職業魔法」で、こちらは所有しているギルドに所属しないと教えてもらえない。

 魔導士ギルドにも専用の職業魔法があって、所属する魔導士や魔法管理の事務作業に使われているそうな。やっぱり事務作業の効率化にも使われるよな。

 これは商業ギルドにもあって、特に財務・経理効率化には欠かせないらしい。エ○セル・○ード魔法?

 そんで街娼ギルドでは「避妊魔法」なんてのもあるとか……まあそりゃそうだ、そういうお店には必須ですよねー。

 ちなみにビュスナの親父様に「そういうお店に通ったりしてませんでしたか?」とこそり問うたところ……「自由なのは嫁に捕まるまでだぞ」と、ぽつり申されたのが印象的だったな……男として心に刻みますよ親父様! そして嫁は選びます! それまではこの手に自由を!


「……ケン君? 今ちょっといかがわしいこと考えてなかった?」


 ――突如俺の後頭部にやわらか○車二台が! しかもなんかええ匂いする!


「え、な、なんですかリリエラさん?」

「今ちょっとオーラが変わったのよねー、ちょーっとエッチなこと考えてるときに出るのがー」


 オーラ? うぇ、何このヒト、男のエロスオーラ感知するん!? やめて! 男の尊厳の侵害よー!


「そーゆーのはぁ、お姉さんに相談してくれないとぉー♪」


 ……いやその、相談したいのは山々ですが! 相談したらお相手願えますか!


「やめんか」


 マシュさんの声とスパン、という音と共に、後頭部圧力が低下していく……いいじゃないですか、おっ○いの一つや二つ!!


「お前はもう少し慎みを覚えろ」

「え~、初心者を導くのもセンパイの役目だよ~」

「そういう導き方はいらん。後輩に欲望の毒を撒き散らすんじゃない」


 いえ、そういう導き方も全然オッケーですが! 毒ではなく薬として頂きますよ! 毒も少量なら薬になります!


「ではケン君、我々はここで。受付あたりで待っていればビュスナもそのうち来るだろう」


 もったいない……とは思いつつ、マシュさんと引っぱられながら手を振るリリエラさんに一礼し――受付の付近で待たせてもらうことにしよう。


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