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連合王国

「背後を取られて気づかないなんてアレックスらしくない。それよりさっきの演説は悪くなかった。“。この俺アレックス=ローザラインが新たなる伝説の勇者になってやる”か。ノイエラントを開放した勇者アレフの正統継承者であるアレックスにしか言えない台詞だね。」


「思わず勢いだけで言ってしまったが、新たなる伝説ってどうすればいいと思う?」


 アレックスはそう心底困った顔でネイリーの方を向いた。


「方法はともかくとして、この大厄災を終わらせることだね。現時点で分かっていることは裏に魔族が暗躍していることと、その魔族に追随する者がいること、そして彼等に対抗する手段として精霊神の加護を得なくてはならないこと、この三つだけ。さてどこから手をつけたらいいものかな?」


「魔族に追随者がいる?何でそんなことが分かるんだ?」


「それは魔族が使った魔法と昨日の神官が使った魔法が類似しているからだよ。浄化する炎とか言ったかな?ジギーが使える大火球の魔法と同じだけどパワーワードが違う。」


「ああ、あの炎の魔法か。勇者の盾じゃなかったら多分弾けなかったな。」


「多分じゃなくて間違いなくやられてたよ。それに火球じゃなくて火炎の魔法だったらどうするつもりだったんだ?無謀にも程がある。」


 大したことでもなかったような顔で話すアレックスに、ネイリーが怒りの表情を見せた。


「まあいいじゃないか。こうして命もあることだしよ。経験は次に生かすってことで・・・。」


「・・・・・本当に分かっているのか?」


「分かっているさ、俺も死にたくないしな。それより次は何処に行く?やっぱりノイエブルクか?」


 ネイリーの不信の目に耐えられなくなったのか、アレックスが強引に話題を変えた。


「呆れた・・・君がすぐにでも出港したいと言うから急いで出てきたのに何処に行くのかも決めてないとは・・・。だいたいノイエブルクならわざわざ船で行く必要ないよ。」


「あっそうか。じゃあ何処に行く?」


「それを聞きに来たのは僕なんだけど・・・。」


「じゃ、じゃあさ、連合王国の首都ミレニアムに行こう。何か情報が得られるかもしれない。」


「また思いつきだけで言って・・・分かったよ、船長にそう告げてくる。」


 そう言うとネイリーは操舵室へと歩いていった。残されたアレックスは船首から前方の海を眺める。しばらくして船は東から南へと行き先を変えた。


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 ローザライン大陸から西に船で一週間程行った所に連合王国のある大陸があり、海から川をさかのぼった大陸の中央の湖畔に首都ミレニアムが位置している。その港に船は入港しようとしていた。


「ずいぶんと物々しい警備だな。」


 船を誘導する人とは別に数多くの武装した兵士が並んでいる。ローザラインに入港した時と同じく簡単には入城させてもらえないことが予想できた。


「アレックス、あそこの城壁だけどまわりと色が違う。最近修繕されたみたいだ。」


「そうみたいだな・・・あそこなんか大きく焦げ痕があるし、向こうの崩れた所には足場が掛かっている。大きな戦闘があったことは間違いないな。」


 そうしている間に船は港に停泊し、港側からタラップが渡された。その先に厳しい顔をした兵士が並んでいる。アレックスは涼しい顔をしたままタラップを渡った。


「船籍と入港目的を教えていただ。」

「ローザラインの王子アレクサンデルだ。出迎えご苦労。」


 かぶせ気味のアレックスの返事に双方皆が呆気にとられた。理解できていないのか、しばらく無言の時が流れる。まだ答えていないことがあるのに気付いたアレックスが再び口を開いた。


「連合王国の大王に用があってきた。取り次いで貰えるか?」


「はっ、承知しました。」


 アレックスと対面していた兵士はくるりと向きを変えると並ぶ兵士の一人に小声で話しかけた。指示に従うべく兵士が走り出そうとする。そこにアレックスが声をかけた。


「ちょっと待った。会談を望んでいるのは俺だけじゃない。メタルマのマレーネ王女、ローゼンシュタインのコルネリアス王子も同行していることを伝えてくれ。」


「承知しました。必ずお伝えします。ではっ!」


 兵士はアレックスに敬礼すると城の方へと駆けて行った。


「で、俺達は何処で待てばいい?船か?それともそれなりの場所があるのか?」


「申し訳ありませんが予定にないことでして用意ができておりません。よろしければこの船でお待ち下さい。」


「分かった。そうさせてもらう。」


 アレックスはそう答えるとさっき渡ったタラップを引き返した。その背で兵士達が明らかに安堵の表情を浮かべた。

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