表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/58

メタルマの女王

 メタルマ城の謁見の間はローザライン城と同じくノイエブルク城のそれに酷似している。王座の奥に国王のプライベート空間があり、向かって右側を文官、左を武官が並ぶところまで同じだ。


「只今戻りました。後ろの三人は右からローザラインのアレクサンデル王子、ローゼンシュタインのコルネリアス王子、そしてグランローズのジークリット嬢になります。」


「ふ~ん、やっぱり何となく似てきたわね。貴方はどう思う?」


 王座の主である女王マグダレーナはアレックスと大臣の顔を交互にまじまじと眺めると、おおよそ一国の王とは思えない言葉を並べた。マリアの口上が聞こえているとは思えない態度である。


「女王陛下、お控え下さい。ここは謁見の間にございます。」


「はいはい、分かったわよ。じゃあ・・・アレックス、よく来たわね。前に会ったのは5年前だったかしら?」


「確か・・・7年前だったかと。」


「7年ねえ、それは大きくなるはずだわ。アレクシス義兄様は元気?」


「さあ?旅に出る前は元気でしたよ。」


 女王と他国の王子とは思えない会話が謁見の間で交わされる。その意味不明な内容にネイリーとジギーが首を傾げていた。


「アレックスと私は従兄弟なのよ。ほら、そこに立っている大臣が私のお父様でローザライン王弟でもあるの。」


「・・・なるほど。」


 マリアが小声で説明する。ネイリーは大臣の顔を一瞥すると納得の声を上げた。


「おほんっ!」


 その話題の主がわざとらしい咳をして注意を促す。それで一座が静まり返った。


「ええっと、なんだったかしら?ああ、そうでした。コルネリアス王子、お父様のことは残念でしたが貴方が残っていて幸いでした。今すぐに無理ですが、いずれ復興の協力を約束致しましょう。」


「ありがとうございます。いずれ依頼することがあるかと思いますが、その時はよろしくお願い致します。」


「ええ、その時が来るといいわね。それでそちらのお嬢さんは?」


 女王の視線がジギーに移る。女王の記憶にある各国の王族、貴族にジギーに該当する者はいない。マリアに説明を求めた。


「彼女はグランローズの商人の娘で航海の手伝いをしてもらっています。」


「航海の手伝い?その割にはずいぶんと若いわね・・・もしかして貴女の父君の名前はライマー=グランローズではなくて?」


「父様を知っているの?」


「ええ、グランローズ商会の長はあの町の長も兼ねているの。それで何度かお目にかかったことがあります。その娘にジークリットの名があったのを思い出したわ。」


「そう、父様は偉い人だったのね。知らなかったよ。」


 ジギーはそう呟くと悲しげに俯いた。女王マグダレーナはそれでまた見知った者の死を悟った。


「今回の助力には報いさせてもらいます。それが慰めになるかどうか分からないけど、必ず・・・。」


「うん・・・ありがとう・・・・・。」


 ジギーの返答はこの場に相応しいものではなかったが誰も咎めずにいた。普段なら叱責するはずの大臣もあえて聞こえなかった振りをしている。


「それでマレーネ、どうして戻ってきたのかしら?もしかして頼もしい仲間ができたから見せに来たと言う訳じゃないでしょうね?」


「違います。その程度の理由で戻って来たりはしません。実はお願いがあって戻って参りました。」


「お願い?話ぐらいは聞いてあげてもよろしくてよ。」


 さっきまでとは違って女王の言葉に刺がある。ネイリーはその不自然さに気付いたが黙っていた。アレックスとジギーに気付いた様子はない。


「水の宝玉をお貸し下さい。」


「それはまた大胆なお願いね、素直に聞いてもらえるとでも思っているのかしら?」


「思っていませんが必要になりました。必ずお借りしていきます。」


「マレーネ、控えなさい。水の宝玉は国宝、所持できるのは女王陛下のみ、それを知らぬそなたではあるまいっ!」


 女王ではなく大臣の口から叱責の言葉が発せられた。


「いいえ、引きません。世界をこの厄災から救う為には必要なのです。」


「世界を救う?あれにそこまでの力があるとは聞いてないわね。理由を言いなさい。その内容次第によっては貸すことを考えないでもありません。」


「ありがとうございます。では・・・。」


 そしてマリアはノイエラントの魔王の話からノイエブルク王家との約定まで総てを語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ