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宙に糸はる蜘蛛
野原を歩いて行きますと、
大きな蜘蛛が一匹。
目の前に現れました。
僕は。
まず上を眺め。
つぎに、丁寧に。
あたりを眺めました。
はて。
糸を張るものなど。
何ひとつ。
無い。
野原は、ずっと。
向こうまで。
続いている。
樹木や建物は、
ひとつも。
無い。
僕は、とても困り。
直接、蜘蛛にたずねました。
いったい。
どこに。
最初のひとはりを、
したんだい。
さあ。
存じませぬ。
飛んでまいりましたら、
たどり着いたのでございます。
それから。
破れたところを直しながら。
ずっとこうして。
ここに居ります。
不思議なものだな。
首を傾げると。
蜘蛛は、小さな澄んだ声で、
穏やかに笑いました。
あなた様も。
同じ。
僕は。
人だよ。
蜘蛛は頷いた。
けれども。
あなた様も。
あなた様だけの巣を、
背負われているように。
わたくしには。
見えるのです。
基点はどこか。
網目がどのように。
交錯しているか。
ご存知でなくとも。
少しも。
お困りではない、
ご様子。
それゆえ。
同じ、と。
申し上げたのでございます。
そんなものかな。
そんなものでございますよ。
僕たちは、しばらく話したあと。
互いに、お辞儀をして別れた。
2024.11.2
373 m(_ _)m 39




