Parliament building 70th floor7 議会庁舎ビル70階7
ジーンがこめかみに指先をあてる。
「アン、乗っ取り完了まで援護おねがいね」
床に目線を落とした。
「ああ」
そう返事をして、アンブローズは窓ぎわに立つヒューマノイドの動きをうかがった。
「兄さん、国体護持のさまたげになる人物および国家転覆をくわだてる個人や団体等に所属する人物、それらに連なる思想をもつ人物ということを認めて投降して」
ヒューマノイドが同じセリフをくりかえす。
「兄さん、国体護持のさまたげになる人物および国家転覆をくわだてる個人や団体等に所属する人物」
「うるさい」
アンブローズはそう返した。
「プログラムくりかえしてんのはマルウェアのせいだとずっと思ってたが、アボット社のAI学習汚染も影響してると解釈していいのか……」
「あ、なるほど」
ジーンが顔を上げる。
「もう特別警察のヒューマノイドに使ってんのかな、ドロシーちゃん」
「いいから、さっさとどこ所有のか知らんけど人工衛星にアクセスしろ」
窓ぎわと議事堂の両方に神経をとがらせる。
「……時間かかるか」
「時間はそうかからないんだけど」
ジーンが眉をよせる。
「だいぶまえにお酒飲みながらふざけてアクセスしたやつだから、データどこに置いたか」
あははははとジーンが笑いだす。
アンブローズは眉根をよせた。
まあ、スクエアーにアクセスできないのではしかたがない。
軍の人工衛星なら将校のIDで使えるだろうが、特別警察が相手なら念を入れて使わないほうがいいだろう。
「待っててやるから、さっさとさがせ」
「アンに守られてる感がキュンキュン来るぅ」
ジーンがこめかみに手をあてて笑う。
「……おまえを議事堂に放りこんで偵察させるって手っとり早い方法もあるな」
「パワハラであります、大尉」
ジーンが苦笑いした。




