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深淵紀行  作者: 梓UU
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学院編:第九話:沈黙

再びすべては静けさを取り戻し、平原の緑草は依然として最初のように、微風に身を任せて絶えず左右に揺れていた。


ただ、空気中の匂いだけが、より一層不快なものになっていた、ジャスミンはメイアの倒れた身体を見つめても、白皙の顔に一片の悲哀も浮かべなかった。


彼女の心の底にある考えは、永遠にただ一つだけだった。


優しさは苦難に生きる者に与え、刃は加害者に示すもの、独りよがりの憐れみこそが、最も人を厭わせる、もし憐れみが罪悪のための殺戮をすべて許すことができるのなら、この世界に罪など永遠に存在しない。


「ジャスミン、黒竜を処理しろ、今夜はここで一泊する。」


レオンは町の方へと向き直り、振り返ってジャスミンに淡々と指示を出した、ジャスミンはもはや一片の躊躇もなく、あの浮遊していた長剣が素早く黒竜の頭蓋骨の中心に突き刺さった。


ガキッという骨の砕ける音とともに、哀嚎を上げていた黒竜は声を失い、縦瞳からは徐々に光彩が消えていった、ただ巨大な体躯だけが平原に伏せ、時折痙攣するのみであった。


聖騎士と冒険者たちは互いに顔を見合わせた。つい先ほどまで生きていた命が、こうして消え去ったのだ、しかし彼らはメイアの死に激昂することなく、ただ沈黙していた……


広範囲にわたって家屋は損壊し、地面には幾筋もの亀裂が刻まれていた、ただ一つの、無数の傷跡が刻まれた石門だけが、ひときわ目立っていた、それは護盾魔法によってしっかりと保護され、その上にはエノートの魔力が残されており、淡い銀色の光を放っていた。


あの体つきの細い青年聖騎士が避難所の護盾魔法を解除した、薄い蝉の羽のような膜状のものが瞬時に砕け散り、光の粒となって空中に消えた。


彼は深く息を整え、震える手を上げて、重い石門を押し開けた、そして避難所の中にいる、まだ動揺の冷めやらぬ人々に視線を向けた。


彼の顔には親しみのある笑みが浮かんでいた、その笑みは温かかったが、今にも崩れ落ちそうな虚脱感が滲んでいた。


「皆さん、脅威は討伐されました、安心してお出かけください。」


眩しい陽光が彼の身体の周りを通り抜け、灯りの暗い避難所全体を照らし出した、空気中の重苦しい雰囲気は打ち散らされ、清涼な風が石門を通ってこの区域に流れ込んだ。


彼の背後にあるすべては、なんと人を惹きつけることか、すべての者の視線が、思わず彼に集中した。


恐怖、不安、恐れ——すべてが陽光への渇望へと変わった、彼らの顔には崇拝の念が満ちており、慎重に出口へと向かっていく、青年聖騎士は身体を脇に寄せ、十分な出入りの空間を確保した。


ただ、一人ひとりが彼の前を通り過ぎるたびに、拳を固く握りしめ、その銀白の鎧に刻まれた獅首の紋様を軽く叩いた、それは最高格式の賛美であった。


最初に避難所を出た女性は、自分の家が廃墟と化したのを見て、大粒の涙を絶え間なく流した。滴り落ちる涙が地面に落ち、花火のように炸裂して広がった。


彼女は堪えきれずに顔を覆って泣き、その声は嗚咽にまみれていた、この光景を見て、聖騎士の中の一人の中年男性が隊伍を離れ、目の愧じる色を帯びて女性の前に歩み寄った。


彼はあまり強く抱きしめることができず、ただそっと彼女を腕に包み込んだ、無数の刃を防いできたあの鎧が、今は彼の動作を硬直させていた。金属の擦れる音を立てまいと、一つ一つの動作は慎重かつ注意深かった。


鎧が女性を傷つけることを恐れ、愛する人の秀髪を撫でながら、その口調は自責の念に満ちていた。


「すまない、アイリーナ……俺は俺たちの家を守れなかった……」


腕の中の女性はそっと首を振り、涙を流しながら中年聖騎士を見つめ、指で彼の手をしっかりと握りしめた、彼の温もりを感じながら、それが最良の結末だと理解していた。


「ジェロ……分かっているわ……あなたたちは最善を尽くした、あなたが生きていて、私たちの家にまだ希望がある……それで十分よ……」


戦闘中、彼らはとっくに時間を忘れていた、夕陽の残照が一人ひとりの身体に降り注ぐまで、蕭瑟とした晩風に冷たさと鉄錆の匂いが混じっていた……


無数の崩壊した建造物の上には、まだ溶け残った氷霜が残っていた、しかし黒竜の死とともに、時間がこれらの氷霜を水滴へと融かしていくだろう。


遠くの聖騎士と冒険者は恍惚とした表情を浮かべていた、すべての者の視線が彼らに向けられ、彼らは沈黙した……


エノートは最前列に立ち、平民たちを見つめながら、その表情は複雑に満ちていた、何かを言おうとしたが……言葉が出てこなかった。


無意識に逃げ出したいと思った、何も守れなかったという恥辱から、しかし、その後の出来事は彼の予想を裏切るものだった。


一人の小さな女の子がいた、七歳くらいに見え、少し汚れた赤い小さなドレスを着て、頭には精巧な騎士団の紋章のヘアピンを付けていた。


「おじさま……お兄さん、お姉さんたち、私と私たちの家を守ってくれてありがとう。」


少女の澄んだ漆黒の瞳には、無邪気さと恥じらいが満ちていた、緊張と恐怖のあまり、無意識に自分のスカートの端を握りしめており、とても可愛らしかった。


エノートは何かを思い出したように、驚いて顔を上げた、すると、すべての者が自分たちを見ていることに気づいた、少女の両親は励ますような眼差しで少女を後押ししていた。


あの誠実で理解に満ちた視線は、すべて聖騎士と冒険者たちに注がれていた、エノートは口を開こうとしたが、再び唇を閉じた、数秒後、彼は嗄れた声で言った。


「すまない……私は失敗した、持てる力のすべてを使ったのに……町を守り切れなかった……」


「分かっています! あなたは最善を尽くしました、町は壊れても再建できます、あなたがいなければ、私たちは生きていることさえ望めませんでした!」


「そうです! エノート隊長! お疲れさまでした、聖騎士の皆さん、冒険者の皆さん、お疲れさまでした!」


「心からの感謝を捧げます!」


エノートはその場に立ち尽くし、あの誠実な笑顔の一つ一つを見つめた、その歓声が……まるで刃のように、彼の心臓を切り裂くように感じられた。


彼の後ろでは、他の聖騎士や冒険者たちも笑顔を浮かべていた、しかしその笑顔にも、守り切れなかった苦渋が混じっていた。


晩風が草原を吹き抜け、緑草は依然として揺れている、まるで先ほどの黒竜との戦いなど、存在しなかったかのように。


その夜、月は明るく星はまばらだった、遠くの山岳のような黒竜の死体はとっくに冷たくなり、ごくわずかな建物だけが灯りを漏らし、より多くは廃墟の中で燃える数々の焚き火であった。


平民、聖騎士、そして冒険者たちは円になって座り、互いの瞳にはそれぞれの表情が映っていた、火焰は闇を、心の不安を追い散らし、すべての者に生命の温もりをもたらした。


平民、冒険者、聖騎士たちは必要な食物を分け合い、最初の緊迫した感情はなくなっていた、家族や友人、愛する人を失った悲しみを抱える者もいたが、それ以上に彼らは僥倖を感じていた、彼らは円になって座り、この貴重な温もりを享受していた。


モニーはポリーの肩に寄りかかり、二人は互いに寄り添っていた、彼らは高い城壁の上でこの事件の幕切れを見守っていた、今は住む場所もなかったが。


両親は黒竜の襲撃で命を落とした、しかしモニーは、自分たちが生きていることこそが最良の結果だと思っていた。


エノートはゆっくりと立ち上がり、遠くの微かに灯る火のところへと歩いていった、あの体つきの細い青年聖騎士は立ち上がって後を追おうとしたが、隣の情報収集を担う冒険者にそっと押し止められた、彼こそがこの町の冒険者協会の会長だった。


彼は首を振り、エノートの背中が闇の中へと消えていくのを見送りながら、やや諦めの口調で言った。


「カイ、メイアのことはエノートに任せろ、お前の気持ちは分かるが、これはお前が処理できることじゃない。」


カイは焦った様子で、彼を止める冒険者に向かって慌てた口調で言った。


「リンガ、でも……」


リンガの目には、すべてを見透かした坦然とした色が宿っていた。


「彼女はお前たちの仲間だった、それは間違いない。しかしメイアという人間は複雑だ……だから……エノートを信じろ。」


高い城壁の縁、あの引き裂かれたような缺口が月光の下で冷たく白く光っていた、それはルートが黒竜を撃退した証であり、鋸歯状の亀裂の中心には、遠くで跳ねる焚き火と、その焚き火のそばにある微かな人影が映っていた。


高い城壁の鋸歯状の缺口の下で、レオンは壁に寄りかかっていた、彼は遠くの火光を見つめ、その目には何の憧憬の色もなかった、視線をジャスミンに移すと、少女は食事の準備に忙しくしていた。


「今夜、招かれざる客が来る。」


ジャスミンは手を止め、レオンを見つめた、彼女はおおよそレオンの言葉の意味を理解し、顔に笑みを浮かべた。


「レオン様、彼との会話がお嫌いですか?」


「いや、ただ時間の無駄だと思うだけだ。」


レオンはゆっくりと石材の山に腰を下ろし、顔を上げて遠くのあの巨大な影を見つめた、それは依然としてそこにあり、強い生臭さを放っていたが、ジャスミンが空間障壁魔法で遮断していた。


そしてその傍らには、もう一つの微かな白い影が地面に横たわっていた。


ただ、遠くから一人の人影がその方向へと歩いてくる、月明かりは非常に明るく、すべてをはっきりと照らし出していた。


レオンには顔ははっきりと見えなかったが、間違いなくあの聖騎士隊長の装束の者だろう……


耳元には蟋蟀の鳴き声が聞こえ、小さな緑の葉の上には一匹一匹の微かな夜光虫が止まっていた、周囲は一片の静寂に包まれていたが、ただあの耐え難い匂いだけが鼻腔を満たしていた、エノートはその生臭さにむせて、何度か咳き込んだ。


彼はとっくに冷たくなった白い影を見つめた、草地には一片の黒赤い液体が残っていた、エノートが手を上げた時、一瞬止まった、彼は草地に残されたあの小さな十字架の護符に気づいた。


それは一昨日、彼女が市場で買ったものだった、どこにでもある安物で、当時カイは彼女を笑ったものだ、エノートは明月を見上げ、その後、その目は確固たるものになった。


彼はもはや一片の躊躇もなく土魔法を使用した、地面の下から砂利の擦れる音が響き、その後、あの白い影はゆっくりと地中に沈んでいった。


すべてが幕を下ろし、エノートはその場に長く立ち尽くした、あまりに静かで、自分の鼓動しか聞こえなかった。


彼はため息をつき、腰の聖騎士の長剣を抜いて地面に突き刺し、振り返ってあの高い城壁の缺口へと向かった……


ジャスミンは馬車の座席に座り、白皙の顔を手に乗せて、遠くの人々を見つめていた、彼女は振り返って、石材の山に座って本を読んでいるレオンを見た。


「レオン様、本当にあちらに行かれないのですか?」


「俺は彼らとは何の関係もない、彼らと関わるのは好きではない。」


レオンは手にしていた本を置き、微笑みを浮かべた、振り返って遠くの人々を見つめたが、彼らを注視するその瞬間、目尻に一筋の冷たさが走った、彼はしばらく考えてから、再び口を開いた。


「もし、お前が見に行きたいのなら、それはもちろん構わない。」


「え~……では結構です……」


ジャスミンは首を振り、そっと座席に寄りかかり、顔を上げて空の星々を見つめながら、諦めの混じった口調で言った。


二人が雑談していると、障壁の波動がジャスミンの注意を引いた、彼女は振り返って見ると、月明かりの下で銀白色の輝きを放つ一人の高い影だった、レオンはジャスミンを見て、穏やかな口調で言った。


「通してやれ。」


障壁がゆっくりと、相手の体型に合わせた戸口を開いた、その影は一片の躊躇もなく中に入り、その後、障壁は再び最初の状態に戻った。


彼は草地を踏みしめ、一步一步と重く石材の山の方へと歩いていく、月明かりが彼の影を引き伸ばし、ついにレオンの前に到達した、彼は石材の山の下に立った。


「あなたは、この町の聖騎士隊長だろう?」


レオンの言葉が届く、エノートは顔を上げて石材の山から立ち上がった少年を見つめ、軽く頷いた。


「はい。私はこの町の聖騎士隊長、エノートです。」


「では、あなたはここに来て、何を言おうとしている? もしあの牧師について何か言おうとしているのなら、今すぐ立ち去ったほうがいい。」


少年は服の埃を払い、無表情でこの自分よりはるかに高い影を見つめた、エノートはその顔を見て、言葉にできない矛盾感を覚えた。


目の前の、彼から見れば十歳そこそこの小僧が、これほどまでに辛辣で冷たい言葉を発するとは、子供の無邪気さなど微塵も感じられなかった。


「私は……」


エノートは言いかけて止めた、彼はレオンと、傍らで自分を見つめるあの少女に対して、メイアについて何かを語ることができなかった、なぜなら相手は全く気にしていないからだ、この対面は、完全に相手のペースに巻き込まれていた。


エノートは深く息を吸い込んだ、あの生臭さが障壁を突き抜けて、再び彼の鼻腔を満たしたようだった、彼はもう言葉を紡ごうとはせず、ただその疲れ果てた、老いを帯びた目でレオンを見つめた。


「おっしゃる通りです、彼女の話はすべきではありません、あなたにとって価値のないことですから。」


「私がここに来たのは、ただ一目見たかったからです、災害の後にも、これほど理性と沈着を保てる人間が、どんな姿をしているのかを。」


「今、私は見ました、扉をありがとうございます、それは私が歩いてきた時の心と同じくらい重かった……失礼します。」


ジャスミンはエノートの姿を見つめた、その背骨は押し曲げられているかのようだった、彼は振り返って人々のいる方へと向かおうとした、しかし、レオンの声が彼の背後で再び響いた。


「あなたが私を訪ねてきたのは、私に好奇心を持ったからではない、自分自身の心と向き合えなかったからだ。」


「あなたが憎んでいるのは黒竜ではない、すべてを救えなかった自分自身だ。」


「聖騎士隊長として、自分の能力でどこまでできるのかを自覚すべきだ、私のところに、欲しい好奇心や答えを求めに来るのではない。」


エノートは足を止めた、その目には震撼の色が満ちていた、そして、もはや一片の躊躇もなくその場を離れ、あの火焰へ、あの自分が守ってきた人々の群れへと向かっていった。


目の前の温もりと、目の前の冷たさが彼を引き裂いた、彼は忽然と、レオンのあの言葉の真の意味を理解した。


「自分の能力でどこまでできるのか」


それは貶めではなかった、冷徹な真理だった、彼の能力の境界こそが、彼が責任を負える境界だった、そのことに気づいた時、彼はむしろ一種の絶望的な平静を覚えた。


彼は押し曲げられた背骨を伸ばすことができなかった、その重みがあまりにも大きすぎて、彼の心の中に、これからはっきりとした形を刻むことになったのだ。

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