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深淵紀行  作者: 梓UU
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学院編:第五十三話:リスク

レオンは微かにうなずき、視線は頭上の白色の光沢を放つ魔力灯に落ち、口調には少し残念そうな色が混じっている。


「ただ残念なのは、転移法陣にもやはり上限があって、あまりに遠くまで転移することはできないんだ。」


ケトロニはレオンの表情を見て、微かに首を振り、口を開いて慰めた。


「確かに、遠距離になるとやはり差が出る、だが結局はお前の実力次第だ、お前がすでに法則級に到達しているなら、転移法陣を使うまでもないだろう。」


「何しろ、あれらは魔法級の者に合わせて作られたものだからな。」


レオンが茶碗を掲げてまさに飲もうとした時、動作がわずかに止まり、それから続けて問い質した。


「そうですね、しかし大型法陣であれば、法則級の助力があってこそ、本当の威力を発揮できるのでしょう?」


「その通りだ、まあ、間違いではないな。」


セシリアはレオンを見て、淡々とした口調で言った、それからまた戦術の確認を一通り聞いた後、レオンはまた二人と魔力の運用や魔法の習得についての話題を語り合い始めた……


首饰店内、ケルはブレスレットを一本手に取った、ブレスレットは七色の石で作られ、互いに通されて繋がっている、色合いは艶やかで、触れると温かい、彼女は歩み寄ってジャスミンとハンナの前に立ち、手首を軽く揺らした。


「ハンナ、このブレスレット、綺麗だと思わない?」


ハンナは振り返り、ケルの手首のブレスレットを見る、ブレスレットは軽く揺れる中で店の照明に照らされ、傍らの壁に色とりどりの光を閃かせている。


「あら、これとても綺麗ね、私これ好きだわ、ジャスミンは……」


ハンナは手を上げてそのブレスレットをつまみ、顔に弾けるような笑みを浮かべ、隣のジャスミンを見ると、相手がカウンターを見つめたままなのに気づく。


「ジャスミン?」


ジャスミンは我に返り、ハンナを見て、少し謝意を顔に浮かべた。


「ごめんなさい、つい見入ってしまって。」


ハンナの目は微かに細められ、彼女はそっとケルの手を引いてジャスミンの傍らへ歩み寄り、顔に悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「そう? ちょっと見せて、どんな装飾品にそんなに長い間ぼうっとできるのか。」


ハンナとケルがジャスミンの傍らのカウンターの前に立つと、二人は互いに目を合わせ、ほとんど同時に口をそろえて尋ねた。


「二十枚金貨? それは高すぎるでしょう、これはただ彫刻が少し華やかなだけの指輪じゃない!」


ジャスミンは苦笑いを一つ漏らし、視線はカウンターの中の一本の指輪に落ちている、指輪は白金で作られ、頂部には花の図案が彫られている、その花は薄黄色で、七枚の開ききった花びらを持っている。


指輪のせいなのか、それとも自分自身のせいなのか、彼女はまるで自分が最も慣れ親しんだ土地に立っているかのようで、周囲は肺腑に沁み渡る花の香りで満ちていた。


「でも、レオン様に贈りたいんです……」


ケルの白い小さな顔に困惑の色が浮かび、彼女はジャスミンの前に近づき、その声には戸惑いが満ちていた。


「え? あなた、レオンって奴に贈るつもりなの?」


「ええ、レオン様に贈りたいんです。」


ジャスミンはためらいを見せず、その言葉をもう一度繰り返す、一拍置いて、続けて言った。


「手持ちの現金は多くないですが、でも足りています。」


ハンナも口を開いて尋ねた、あの微かに細められていた目もいくぶん開かれている。


「それで、どうして彼にプレゼントを贈ろうと思ったの?」


ジャスミンは手を上げて胸の前に当てる、彼女はレオンから贈られたネックレスを披露せず、しばし考えた後、口を開いて答えた。


「それは……へへ……私の誕生日に、レオン様がとても特別なプレゼントを贈ってくださったので、どうやってお返しをしようかと考えていたんです。」


「だって、誰かからプレゼントをもらったなら、当然お返しをするべきだと思うんです、安心して受け取ってばかりいるのは良くないと思うので、そういう人はとても良くないと思いますから。」


ハンナは片手で顎を支え、何か考えるようにうなずき、顔に穏やかな笑みを浮かべた。


「なるほどね、彼ならきっと喜ぶわ。」


「包装をお願いします、ありがとう。」


そう言って、ジャスミンは自分の財布から二十枚の金貨を取り出してドワーフの店員に渡す、ドワーフの店員は微笑みながら金貨を受け取った。


「かしこまりました、すぐに包装いたします。」


彼女はカウンターの下から美しく包装された箱を取り出し、その指輪を魔力で浮かせてから、木箱の中に納めた、ジャスミンは受け取ると、贈答用の箱を空間魔法の中へ収め、引き続き二人の付き添いで品選びを続けた……


夕陽が幕を下ろし、夜の闇が空全体を包み込む、街道の行く人もますますまばらになり、ただ一部の冒険者だけが店の入り口に寄りかかり、彼らの視線はたまに通り過ぎる行く人を物色している。


ケトロニ邸の内、ろうそくの火が机の上でそっと揺らめき、空気には食物と飲み物の匂いが漂っている、食卓の上には様々な佳肴が並べられ、灯火に映されて色艶が光り、非常に食欲をそそる。


ケトロニは酒壺を掲げ、レオンやセシリアたちを見つめ、彼はそっとうなずいた。


「今夜は君たちに頼むことになる、何か新しい進展があれば、必ずすぐに私に知らせてほしい。」


「承知しました、教授。」


レオンとセシリアたちは酒壺を掲げて持ち上げる、チン、酒壺が澄んだ音を一つ立てる、レオンは一口グラスの中の葡萄汁を味わい、視線を隣のケルに落とし、彼は軽く笑った。


「どうしたんだ? ケル?」


「別に。」


ケルは首を振り、適当にステーキを一切れ切って口に運んで噛む、香ばしく柔らかいステーキに胡椒の香りが合わさって彼女を満足させる、しかし彼女の心中は無念でいっぱいだ。


(なぜ私がこんな奴の隣に座らなきゃいけないのよ。)


「そうか。」


レオンはひとりでうなずき、それ以上ケルをからかうつもりはないとばかり、セシリアを見た。


「俺たち二人が主力なんだ、今夜は怪しいことがあればすぐに知らせろ、一人で勝手に動くな。」


「分かってる。」


セシリアは顔も上げず、ただ手の中のナイフとフォークが一瞬止まっただけ、それからまた口の中の焼き肉を噛み続けた。


ジャスミンは唇を引き結び、視線はレオンに注がれている、手の動きは止まらないが、心の中ではまだレオンが自分の贈り物を気に入ってくれるだろうかと考えている。


ハンナはジャスミンの異変に気づき、彼女はそっとジャスミンの手の甲を叩き、ジャスミンに向かって目をぱちぱちさせた、ジャスミンは彼女の小さな仕草を見て、明るい目を三日月のように曲げた。


一方、ボロボロの部屋の中、クリムとポンマは服を着替えている、クリムは身に着けたボロい平民服の裾を締め直し、振り返って忙しくしているポンマを見た。


「準備はいいか?」


「親分、もう少しで終わります、ちょっと待ってください。」


ポンマは慌ててブーツを履きながら、クリムに向かって慌てて叫んだ。


二人が服を着替え終えると、ポンマは手を上げて身に着けたボロい服をはたき、クリムを見て疑問そうに尋ねた。


「親分、今日はどうして服を替えるんですか? 黒い夜行衣も結構いいと思うんですけど?」


クリムは振り返りもせず、彼は扉枠に寄りかかり、口にはいつの間にか煙草を銜えていた、彼はひと吸い強く吸い込み、火の先が唇を焼きそうになるまで止めなかった。


彼は濡れた煙草の吸い殻を足元に投げ捨てて踏み潰し、それからようやく煙を吐き出し、しばらくしてからポンマに向き直った。


「今日の午後、観察したところによると、街道の巡回兵は姿を見せていないようだったが、各店の入り口には冒険者がかなり増えていた……」


「考えたんだが、黒いローブは目立ちすぎる、こういう状況だからこそ、我々はより一層慎重にならなければならない、最も心配なのは人に目をつけられることだ、こうするのは、敵を惑わすためだ。」


ポンマは一瞬呆けたが、それからしばし沈思し、ゆっくりと左手を広げ、右拳を掌に落とした、彼は長々と息を一つ吐き出し、低い声で言った。


「なるほど……親分、分かりました。」


雲はまるで一組の見えない大きな手のようであり、夜空に銀色の輝きを放つ明月を覆い隠す、一陣の冷たい風が吹き、骨を刺すような冷たさを伴って、店の前に座っていた一人の冒険者を震え上がらせた。


彼は頭上の雲を見上げ、手を目の前に置いて軽く息を吹きかけ、それからすぐに手をこすり合わせた。


「今日は……少し寒いなあ……」


ポンマとクリムは道路の中で店を探しているが、ほとんどはすでに法陣が張られているか、冒険者が監視しており、クリムの眉を深くひそめさせた。


「どうやら……なかなか手を出しにくいな……」


「親分、どうすればいいですか?」


ポンマの顔に心配の色が浮かび、彼はあたりの路地を左右に見渡し、そっと相手の傍らに寄った。


クリムはしばし考え、リストを取り出して確認した後、ポンマを見て深く息を吸った。


「先に分かれて行動しよう、あとは最後の二つの材料だけだ、お前は幻石髄を探せ、俺は骨竜の断指を探しに行く。」


まさに去ろうとした時、クリムはポンマを呼び止め、手を上げて相手の肩を叩いて言い含めた。


「気をつけろ、決して無理はするな、誰も見張っていなくて法陣もない店だけを探せ、動作は自然に、変装も忘れるな、鐘の音が鳴ったら、鐘楼に集合だ。」


「うん、分かってる。」


ポンマは白い歯を見せてにっと笑った、それからクリムの見守る中、ゆっくりと真っ暗な路地の奥へ消えていった……


クリムとポンマは二手に分かれて路地へ潜り込んだ、夜風が彼の傍らを吹き抜け、ポンマは思わず震え上がった。


いつものこの時間なら、街中は松明を掲げて罵声を浴びせる巡回兵でいっぱいなのに、今夜は不思議と静かだ。


クリムの言った通り、彼は影すら見かけなかった、代わりに街角にいるのは、店の前に座って警戒している冒険者たちだ。


「静かすぎる……おかしい。」


ポンマは唾を飲み込み、揺らめく空間からわら帽子を一つ取り出し、そして帽子のつばをぐっと下げた。


彼が探している幻石髄は大型の魔法薬店にしかない、ポンマは壁際に張り付いて角まで滑り込み、ようやく頭を出して見たところで、心が半分凍りついたようだった。


あの一番大きな魔法薬店の入り口には、軽鎧を着た三人の冒険者が立っており、彼らは臨時の木の机を囲んで酒を飲み、傍らには法杖や長剣が無造作に立てかけられている。


その中の一人の狗頭の冒険者が鼻をひくつかせ、目を微かに細め、彼は手の中の酒杯を置いて路地を見た。


「変だな? 知らない人間の気配がする、それと何か匂いも?」


背後に骨翼を持つ魔族の冒険者は杯の中の麦芽酒を飲み干し、狗頭の冒険者の肩を叩き、その声はだらりとして気ままだった。


「みんな酒を飲んでいるんだ、そんなことを言ったら気分が悪くなるだろう? さっさとお前の酒を飲み干せ、今夜はまだ長いんだ。」


「気のせいだといいんだが。」


狗頭の冒険者は首を振り、仰向けに杯の中の酒を一気に飲み干し、手を上げて口元の泡を拭った。


ポンマは汚水溝のそばにしゃがみ込み、息一つすら大きくできなかった、平民の服を着て変装していても、彼は正面から歩いていく勇気はない、ひょっとしたら自分より強い誰かがいて、自分という逃亡者を簡単に見破るかもしれないからだ。


「くそ……」


ポンマは焦って頭を掻き、遠回りするしかなかった、彼は通りを三本も走り回り、少し大きめの店は全て冒険者たちが見張り犬のように見張っていることに気づいた。


最後に、彼は人気のない袋小路で、「休業中」の看板を掛けた小さな薬材屋を見つけた。


彼は扉の隙間に張り付いて長いこと耳を澄まし、中に気配がないことを確かめてから、針金を取り出し、慎重に鍵を開け、ようやく扉を押し開けると、棚から舞い上がる埃の匂いにむせて、くしゃみをしかけた。


「ゲホゲホ……こんなにボロい店に、本当に必要な材料なんてあるのか? 」


彼はしっかりと口と鼻を押さえ、暗闇の中で引き出しを手探りし、半刻ほど探し回ったが、収穫は皆無だった。


まさに一歩踏み出して立ち去ろうとした時、扉の外から突然足音が響く、ポンマは全身の毛が逆立つほど肝を冷やし、猛然と扉の陰に飛び込んで、短剣を引き抜き、壁にしっかりと張り付いた。


一人の冒険者が扉の外を通りかかり、ただ通りすがりに痰を吐いただけのようだが、ポンマの背中はもう冷や汗でびっしょりだった。


もう一方の側、クリムの立場もさして良くはない、大通りを避けてはいるが、彼も同様に極めて慎重に行動していた。


今夜の暗い路地には湿気と腐った木の匂いが漂っており、彼がちょうど路地に曲がったところで、二人の魔剣士が見えた、彼らは悠然と壁に寄りかかり、手の中の燃える煙草の煙が白く立ち上っている。


二人もちょうど顔を上げ、冷たい視線がそのままクリムを捉えた、手の中の煙草の吸い殻を適当に地面に投げ捨てて踏み潰す、クリムが一歩後退したところで、二人に呼び止められた。


「待て。」


その中の一人の背の高い魔剣士が腰の剣の柄を押さえ、彼の周りをぐるりと上下に眺めた。


「こんな夜遅くに、まだ外をぶらついているとは、お前は何をしている者だ?」


クリムの心臓は猛然と沈み込んだが、顔の緊張を一瞬で緩め、慌てて腰を曲げ、へつらう笑みを絞り出し、手をこすり合わせ、声には卑屈さが滲んでいた。


「ああ、すみません、本当にすみません、外でうっかり猫の小便を飲んでしまって、飲み過ぎて遅くなってしまいまして……」


「今まさに帰るところで、冒険者様たちに道を塞がれてしまって、すぐに消えます、すぐに消えますから。」


「酒? ははは、よくも猫の小便なんて言えたものだ、酒の匂いすらしないぞ、酸っぱい臭いばかりだ。」


背の低い方の魔剣士が軽く笑い、鼻をつまんで半歩後退した、まるで何か極めて気持ちの悪いものを嗅いだかのように、剣の鞘で嫌そうにクリムの肩をぽんぽんとつつき、口元を歪めた。


「ここはお前のような貧乏人が居座る場所じゃない、ここにいるなよ、盗賊にでも出会って殺されるといけないからな。」


「はいはいはい、すぐに帰ります、すぐに帰ります。」


クリムは何度も頭を下げて腰を折り、顔中に愛想を振りまきながら、同時にゆっくりと後退していく、背中を丸め、まるで尻尾を振って哀れみを乞う老犬のようだった。


「さっさと消えろ、ここで邪魔をするな!」


背の高い魔剣士が苛立たしげに手を振る、クリムは愛想笑いを浮かべて、向きを変え、遠くの路地へと歩み去っていった。


ようやくこの腐臭漂う路地に入ると、彼の顔に張り付いていた愛想笑いは一瞬で綺麗に消え去り、代わりに極めて凄まじい殺意が浮かんだ。


彼は両手をきつく握りしめ、爪はほとんど肉に食い込むほど、歯はギリギリと音を立て、関節は力を入れ過ぎて震えている。


(たかが魔剣士二人が……)


クリムは目を閉じ、冷たい空気を深く吸い込み、無理やり胸の内の怒りを飲み込んだ。


彼は拳をゆっくりと開き、腰を丸め、酔っ払いのような調子外れの鼻歌を口ずさみ、よろめきながら、さらに深い闇の中へと消えていった……


長い間徘徊した後、クリムは古びた雑貨屋の裏窓に目をつけた、そこには冒険者がいない、しかし彼は油断できず、壁際に身を伏せて半刻ほど観察した。


店の中に何の物音もなく、魔法の罠も張られていないことを確かめてから、ようやく彼は針金を取り出し、あちこちを見回してから、ようやく鍵をこじ開け始めた。


カチリ。


鍵が外され、クリムはまるで泥鰍のようにするりと滑り込み、素早く店の材料と道具が並べられた棚へと辿り着いた、ただ棚の上には、もうたいして物は残っていない。


彼が長い間忙しく動き回っても進展がなく、撤退の準備をしていた時、外から突然一匹の猫の鳴き声がした。


クリムの全身の筋肉は瞬間的に張り詰め、彼は短剣を引き抜き、息を殺し、暗闇の中でぴくりとも動かなかった。


本当にただの野良猫だと確かめてから、彼はようやく長く息を吐いた、素早く窓を乗り越えて出ると、扉を再び鍵で閉め直し、闇の中へ消えていった……


ここまで、彼らは一度も本物の戦闘に遭遇してはいない、だがこの一連の身を隠したり警戒したりする行為で、すでに彼らの体力の大半は奪われていた。


ドーン!


重い鐘の音が一つ、商店街全体に響き渡った、うつむいて忙しくしていたポンマとクリムは慌てて顔を上げ、鐘楼の方を見やる、そこでは鐘の音に驚いた大群のカラスとコウモリが飛び回っている。


「くそ、やはり見つからなかった、先に集合しよう!」


ポンマは低い声で悪態をつき、左右を見渡して周囲の様子を確認し、本当に人がいないのを見届けてから、ようやく息を吐き出し、去り際に忘れず鍵をかけた……


クリムは眉をひそめ、手を上げて手の中の骨竜の断指を撫でる、断指の色は灰色がかり、表面はざらつき、切り口は砕けた石のように凸凹している。


触れた瞬間、クリムは思わず震え上がった、これはまるで爪の形をした氷のようで、骨まで凍えるほど冷たい。


「集合しなければな……あいつがどうなっているか分からない。」

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