↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵紀行  作者: 梓UU
48/54

学院編:第四十八話:ダンジョン

ベアンから手渡された材料リストを受け取った後、二人は軽快な足取りで去っていくベアンの背中を見送った、クリムの拳は強く握り締められ、ざらついた指が白くなるほど固く締め上げられた。


クリムの固く握られた拳を見て、ポンマは足早にクリムの前へ歩み寄り、口調に気遣いを込めて言った。


「ボス、これで……俺たち、どうすれば……」


クリムは長いこと考え込んでいたが、やがて握り締めた拳をゆっくりと解き放つ、ぎゅっと寄せられていた眉間のしわも同時にほどけていく、彼は軽くため息をつき、目線を地面に横たわり眠っている子供たちへと向けた。


「どうするか……こうなった以上、盗みを続けるしかない、昨日から今までに手に入れた金貨は合わせて八十枚、あとは役に立たない材料が山ほどある、お前はこれから食い物を買ってきて、何とか子供たちに食わせる方法を考えてくれ。」


ポンマはうなずき、クリムから差し出された一枚の金貨を受け取る、それから相手がまるで力を抜き尽くしたかのように、扉枠の段に寄りかかりながら腰を下ろすのを見つめた。


彼は手を体のあちこちに探り、最終的にしわくちゃになった煙草を一本取り出して口に咥える、指先から燃え上がる炎に伴い、白い煙が一筋、彼の周りに立ち込めた。


ポンマはその場に立ち尽くしたまま相手を見つめ、数秒が過ぎてから口を開いた。


「ボス、俺たちはこんなことをして、結局どうなるんですかね?」


クリムは煙を一口吐き出し、目線はいくぶん沈んでいたが、ポンマを見て口元を歪め、それから指先で軽く灰を弾きながら言った。


「さあな……俺たちはみんな、自分の意志だけじゃ動けない、かつてお前が、見知らぬ物乞いのために、そいつを虐めていた貴族の坊ちゃんを半殺しにした時と同じだ。」


「それもそうですね……」


ポンマは苦笑いを浮かべ、クリムの隣に歩み寄って腰を下ろす、それから相手の肩をぽんと叩いた。


「ボス、この世の病気で、そんなに大金が必要になるもんなんてあるんですかね? 俺は世間を知らないもんで……」


クリムは深く吸い込み、最後の煙草の吸い殻が灰だけになるまで吸い切ってから、足元に捨てて踏み消し、ポンマの方へ首を向けた。


「それはお前が知らないだけだ、この世にはたくさんの病気がある、だが、俺が知る限り、最も恐ろしい病気が一つある。」


「何の病気ですか?」


ポンマは頭を掻き、視線をまっすぐにクリムの目に向けた、クリムの目がかすかに曇り、顔を上げて空を見やり、声の調子は急がず緩まずだった。


「貧乏病だ……」


カタリ貴族魔法学院にて、レオンは椅子にもたれかかり、手元で書のページを繰っている、隣ではジャスミンがうつむきながら手紙をしたためているところだ、レオンはジャスミンを見て、穏やかな口調で言った。


「適当に何か書いておけば十分だ、父さんは魔獣の戦場で時間が迫っている、簡潔に書いた内容の方が、取るに足らないことをだらだらと書くより役に立つ。」


「それはいけません、レオン様、モレナ様はあなたの学習の進みを正確に報告するよう、わたくしに特に言いつけておられます。」


ジャスミンは首を振り、顔には微笑みを浮かべているが、その口調には一切の妥協がなかった、それを見て、レオンもジャスミンに要求することはせず、顔を横に向けて、隣で話し合っている学生たちを見た。


一人の短髪の少女が斜めに席に座り、その顔には心配の色を浮かべて、隣の三人の学生を見やっていた。


「昨日、たくさんの錬金工房や商会が盗難に遭ったって、聞いた?」


「本当か? そんなに度胸があるのか?」


「本当だって、聞いたんだ、私はパロ酒場の隣に住んでいるから、朝に通った時にはもう噂を聞いてたよ!」


彼らの話を聞き、レオンの机を叩いていた指が止まる、眉を一瞬ひそめたが、すぐにまたほどけ、視線は教室の扉に向けられた。


ガチャ。


教室の扉が開かれると、灰色の髪の少女が一人、ゆっくりと足を踏み入れてくる、彼女の目は平穏そのもので、何か彼女の注意を引くものがあるようには見えない。


多くの学生が彼女の方に視線を向け、すぐにまた視線を戻して会話を続ける、頭も上げずに手元の書物を熱心に研究している学生もいる。


少女が自分の隣の席に腰を下ろしても、レオンは何も言わず、思い思いに本をぱらぱらとめくるだけだった、時間の流れと共に、鈍い鐘の音が窓の外から教室内へと響いてくる。


全員が背筋を伸ばし、静かにケトロニの到着を待つ、教室の扉が開かれると、ケトロニも時間通りに講台の前に現れた。


ケトロニは背筋を伸ばして座る学生たちを見て、とても穏やかな口調で言った。


「皆さん、おはようございます。」


「おはようございます、ケトロニ教授。」


学生たちは立ち上がり、声を揃えて挨拶する、その声ははっきりとしており、青春の活力に満ちていた、それを見て、ケトロニは手を上げて学生たちに着席を促した。


ケトロニは一本のチョークを手に取り、指先に少しだけ力を込めると、パキッと、チョークは二つに折れる、細かな粉がいくつも講台にこぼれ落ちる、彼は振り返り、黒板に書き記す——ダンジョン。


多くの学生が彼が書き記したダンジョンを見て、目に興奮の光を宿す、机の上の拳をそっと握り締める学生もいれば、早速ノートを開き、ケトロニのこの後の話に期待を寄せる者もいる。


ケトロニは振り返り、後ろの尻尾を動きに合わせて揺らしながら、熱気を帯びた、あるいは真剣な表情を浮かべるすべての学生に視線を通し、笑った。


「皆さん、今日の講義が何かはもうお気づきでしょう、そう、大陸で最も重要なダンジョンです。」


「ネソトムの世界には、大地や海洋などの領域にそびえ立つ様々な巨大な塔が存在します、それらは破壊と創造が共に形作った特別な造物です。」


一人の学生が手を上げて合図を送る、ケトロニはそちらに顔を向け、穏やかな声で尋ねた。


「どうぞ。」


「ケトロニ教授、私は本でダンジョンのことをかなり学びましたが、ダンジョンは本当に危険なのでしょうか?」


「はは……それは良い質問だ。」


ケトロニは笑い、その声には朗らかな笑い声が満ちている、彼は手を上げて学生に着席を促し、それから講台の上の教鞭を手に取り、黒板をコンコンと叩いて言った。


「もちろん、ダンジョンは危険です、いや、大陸全体で最も危険な区域と言っても過言ではない、ですが……危険は高い見返りをも意味するのです。」


「例えば、冒険者協会の討伐依頼に登場する魔獣や魔物が落とす素材も非常に価値がありますが、ダンジョンがもたらす素材は外界のものより遥かに希少で、用途も広いのです。」


ケトロニの言葉を聞き、学生たちは納得したようにうなずく、誰かが急いでペンを取って本に書き留め、また別の者はケトロニの次の言葉に耳を傾け続ける。


「ダンジョンは大陸のどの地域にもランダムに出現します、層数の分布はそれぞれ異なり、二層だけのものもあれば、三層のものもあります、ただ、その中にはもう一つ極めて特別な存在があります。」


そこまで話して、ケトロニは言葉を止め、輝く瞳を見渡し、手を上げて髭を撫でつけながら尋ねた。


「誰か答えられる人はいますか?」


「私!」


「私が!」


学生たちは我先にと手を上げる、一人の魔族の少年がつい立ち上がるが、危うく床に転びそうになった。


周りの何人かは思わず口を押えて笑いをこらえる、それを見て、ケトロニは危うく転びそうになった少年に発言を促した。


魔族の少年は身にまとう黒い長袍を整え、それからわざと喉を軽く鳴らす、さっきの失敗を少しも恥ずかしいと思っていない様子で、声には活力が満ちていた。


「その特別な存在とは——隠しダンジョンです。」


ケトロニはうなずき、それからまた笑みを浮かべて尋ねた。


「では、この生徒、ダンジョンの特徴をすべて語っていただけますか?」


「もちろんです、私の名はリオ、光栄に存じます、ケトロニ教授。」


リオは軽くお辞儀をし、それから深く息を吸い込み、ゆっくりと語り始めた。


「ダンジョンは独自の生態系を持っています、生態系の中のすべての魔獣と植物は、領主を中心に存在しています、言い換えれば、それらは共生関係にあるのです。」


「その通り、見事な答えです、どうぞ続けてください。」


ケトロニは満足そうにうなずき、それから彼に視線を注いだ、リオの隣では、レオンが相手の話を気にする様子もなく、穏やかな目で本を見つめていた。


すぐそばのジャスミンはまだ返信の構想に忙しく、他の学生たちは視線をリオに注いでいる。


「それから……次は領主です、領主はダンジョン全体を支配しており、その階層における絶対的な実力者です、その身には破壊神と創造神が加護を施しており、この加護は彼らの体の三箇所から四箇所の部位を強化します。」


そこまで話し、魔族の少年は深く息を吸い込み、少し考えてから言葉を続けた。


「魔法攻撃であれ、物理的な攻撃であれ、強化された部位を破壊しない限り、与える攻撃は大きく弱められます、領主の部位を一つ一つ打ち破り、最後に一箇所だけが残るまで進めた後は……」


そこでリオは突然言葉を止める、眉をわずかにひそめ、しばらく考え込んだが、やはり答え方を忘れてしまい、声が途切れ途切れになる、そんな時、隣から冷淡な声が聞こえてきた。


「領主は第二の変貌を遂げます、攻撃の方式は様々に変化しますが、それまでに受けた傷は完全に残ったままです。」


「神々は彼らに強化を与えたのではなく、ただその本能に宿る野獣の性質に過ぎません、最後の一箇所の部位を撃破すれば、領主は完全に行動能力を失い、なすすべもなく倒されるだけです。」


ケトロニは声のした方を見て、軽くうなずき、それから言った。


「その通り、セシリアの答えは完全に正しい、いや、非常に模範的です。」


セシリアの表情は平穏そのもので、まるで最も簡単な答えであるかのようだ、しかし彼女はこれをリオへの助けだと思っている。


それゆえに、彼女の態度が隣のリオを一層不快にさせたが、彼は何も言わず、黙って腰を下ろす、ただ少年の袖口の下で拳が固く握り締められていた。


隣のレオンはセシリアをちらりと一瞥しただけ、少女は何も言わず、ただ平穏な目の中にいくばくかの玩味を含んでいた。


ケトロニは教鞭を手に取り、黒板を軽く叩く、それにつれて多くのチョークの粉が黒板に沿ってパラパラと地面に落ちる、学生たちの注意は再び彼の上に集まる。


「両名の答えはどちらも非常に良いものです、ただ、私から一つ補足します、ダンジョンの生態と環境についてです。」


「生態と環境は領主の属性によって変わります、領主は強大ですが、神々によって制限されており、使えるのはただ一つの元素のみです、例えば風属性の領主なら、風に関連する魔法しか使えません。」


「もちろん、これと同じことがダンジョン内のすべての資源にも影響します、鉱石なども含めて……です。」


そう言いながら、ケトロニは手を上げて隣の絶えず波打つ空間の中に差し入れ、再び取り出すと、その手には拳大の緑色の石が握られていた。


石は全体が翠緑の光の弧を放ち、日の光の下で一抹の異様な感覚を漂わせる、続けて、教室内全体にそよ風が流れ始めた。


この風はとても穏やかだが、その内側には強力な風魔力が秘められている、風が学生たちの顔を撫で、特有の清涼をもたらす。


続けて、ケトロニは緑色の石をしまい、今度は全体に電光を放つ紫色の花を取り出した、花は全体が半透明の紫色で、妖艶な七枚の花びらの縁には一抹の赤が差している。


バチバチ!


電光が絶えず走り、生み出される光の弧はまぶしく、思わず顔を横に向けて避ける学生もいれば、この奇妙な紫色の花をじっと見つめる学生もいる。


紫色の花をしまい、ケトロニは両手を講台の上に突いて、ゆっくりと話し続けた。


「資源の紹介が終わったところで、次は領主の討伐についてです、領主の部位を完全に撃破した後、領主は瀕死状態に入ります。」


そこまで話し、ケトロニは講台に突いていた両手を引き、学生たちを見てほほえんだ。


「では、瀕死状態の領主に対してするべきこと、そしてダンジョンからの脱出方法について、誰か説明できる人はいますか?」


学生たちは互いに視線を交わす、一人の金髪の少女がゆっくりと手を上げた、少女の顔立ちは白く、どう見ても身分が極めて高い様子であり、挙措動作の隅々まで優雅さと余裕が満ちていた。


「リアナさん、どうぞ。」


ケトロニは笑い、微かに手を上げて少女に発言を促した、少女は微かにうなずき、ケトロニの質問に答え始めた。


「領主の部位が完全に破壊された後、領主は瀕死状態に入ります、この段階の領主は、あらゆる抵抗能力を失います。」


「このとき、私たちは空間魔法を使って領主の根源を断ち切る必要があります、根源が断ち切られた後、空間全体が急速に崩壊し始めます。」


「この場合、起こり得るのは二つの状況だけです、領主が死亡した後に、次の層への転送門が現れる、あるいは転送門が現れない、すなわち、このダンジョンにはこの一層しかないということを意味します。」


「ここで重要な点が一つあります、通常、次の層へ進む転送門は赤色であることがほとんどですが、隠しダンジョンの場合は、緑色の光を放ちます。」


リアナの言葉を聞いて、多くの学生が小声で話し合う、すべてが少女の耳を逃れることはないが、彼女は意に介さない様子だった。


そんな時、後ろの席に座っていた一人の男子生徒が手を上げ、ためらいながら口を開いた。


「では、戦いの途中で撤退したくなった場合はどうしますか? 転送石は使えますか?」


ケトロニはうなずき、穏やかな口調で補足した。


「それはとても現実的な問題です、転送石を使うにはかなり高い魔力を消費します、これこそが、なぜ多人数でダンジョンに挑むことが選ばれるのかという理由です。」


「なぜなら、チームには常に、チーム全体の離脱を保障するために、最良の魔力状態を保っておく人が一人必要だからです。」


リアナはそっと息を吸い、それから質問した男子生徒を見て説明を続けた。


「ダンジョンに入った後は転送石を使うことができません、領主の根源を断ち切って初めて、逃走に使うことができるのです、また、領主が死亡した後も、しばらくすると再び復活し、魂が再び還ってきます。」


「非常に良い、まだ補足したいことはありますか?」


ケトロニは満足そうにうなずき、それから穏やかな口調で目の前の金髪の少女に尋ねた。


リアナは深く息を吸い込み、ケトロニを見て優しい笑みを浮かべてから、続けて言った。


「以上です、ケトロニ教授。」


「うむ、非常に模範的で正しい答えでした、お疲れさま、リアナさん。」


リアナは微かに笑い、そっと席に戻った、少女をこっそり見ていた男子学生たちは慌てて視線を戻し、ケトロニの講義を聞き続けた。


「数千年の間、ダンジョンは歴史の過程を貫いてきました、無数の強者たちがこぞってダンジョンに足を踏み入れ、世界の真実を求め、最後に彼らは古代の書物の中で、世の人々を震撼させる一つの答えを得たのです。」


「すべてのダンジョンには、一定の確率で未知の領域へ通じる可能性があります、そして領域の奥深くには、この世界で最も特別なものが埋もれているのです……」


「神々はそれをこう呼びます——アナトロペ。そして、その真の強さは、その能力に由来しています……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。