学院編:第四十七話:代償
「私も代わりになるものを見つけたし、それに、もう取引を選んだ以上、後悔する道理はない、分かったな?」
ケトロニはそっと茶碗を手に取り口元に運んで一口含み、ケルを見つめてゆっくりと息を吐き出した。
「わ、分かりました……おじいちゃん……」
ケルはまるで糸を切られた操り人形のように、すっかり活力を失い、尾は地面に垂れ下がり、そのまま頭も下げてしまい、いかにも悔しそうな様子だった。
隣で目配せをするケトロニを見て、レオンはそっと微笑み、手元の茶碗を置き、穏やかな口調で言った。
「もし本当に必要だと思うなら、魔石を君に返してもいい、ただ、次に物を売る時は気をつけるんだ、売ってはいけないものを売らないように。」
「い、いいえ、結構です、レオンさん、おじいちゃんの言う通りです、私の過ちなら、私が認めるべきです、それに、売ったものを後悔するなんて、そんなの筋が通りません……」
ケルは口をへの字に曲げ、瞳に茶碗の中の茶を映しながら、カップの中でゆっくりと漂う茶葉を見つめ、少女はゆっくりと顔を上げてレオンを見た。
ジャスミンは傍らで認めるようにうなずき、口を開いて慰めた。
「ケルさん、そうお考えになれるのはとても良いことです、どうか気を楽になさってください。」
ケルはジャスミンに笑顔を向け、それから茶碗を手に取り唇に当てて一口飲む、茶の苦みが彼女の口の中に広がった。
チリン——
窓の外ではいつの間にか雨粒が落ち始めていた、ジャスミンとケルは二人の会話にまったく入り込めず、仕方なく二人で顔を寄せ合って小声で話し込んでいた。
レオンとケトロニが話している間にも、時折隣から二人の少女の楽しい軽い笑い声が聞こえてくる。
時は知らず知らずのうちに流れ、気がつけば日没の時刻になっていた、レオンはケトロニから媒介型法則の規則と技術について多くのことを教わった。
同時に、自身の弱点についても、レオンはケトロニの助言を聞き入れ、的を絞った訓練を行うつもりだった。
ケトロニが何度も引き止めたにもかかわらず、レオンはジャスミンと共に学院へ戻ることを選んだ、ケトロニとケルも用事を済ませた後、それぞれの住まいへと戻っていった。
ケトロニの部屋は、清潔で質素な造りだった、本棚にはびっしりと本が並び、机の上にも大量の書籍が積み上げられ、空気には書物の香りが満ちていた。
老人は髭を撫でながら、少し古びた老眼鏡をかけ、その乾いた指でページを撫でる、部屋に足音が響き、ノックの音が聞こえると、彼は微かに窓の外を見上げた。
「お入りなさい。」
タッタッ、扉の外から足音が聞こえる、しかしケトロニは振り返らず、穏やかな声で尋ねた。
「どうしたんだ、ケル?」
ケルは両手を背中に回し、毛糸のしっぽを微かに揺らしながら、輝く目でそう覗き込んでいる。
「あの、おじいちゃん、さっきの睡眠薬のことなんだけど、明日また作りに行くわ……」
その言葉が終わると、少女は少し間を置き、耳元の乱れた髪を手で整えながら、心配そうな口調で言った。
「ただ、解除薬の材料が今足りなくて、この近くの何軒のお店にも売ってないみたいなの、もし誰かに使われたら……そのまま眠り死にしちゃうかもしれない……」
ケトロニは眼鏡を外し、疲れた目蓋を揉みながら、ケルの顔を見つめ、心配そうな表情を浮かべた。
「そうだな……どうか何も起きませんように……」
どこかの古びた家屋で、太った男性が眉をひそめ、地面に倒れている数人の子供たちを見つめ、目に複雑な表情を浮かべていた。
床板を踏むと細かいギシギシという音が響き、壁の隅からはわずかな薄暗い光が漏れ、空気には埃が漂っている。
ギイ……
古びた木の扉が、部屋に入ってきた影によって押し開けられる、木の扉はあまりに古びており、発する音に思わず歯が浮くような心地がする、影が中に入ると、ようやくその顔が薄暗い灯りの下に晒された。
彼は部屋に入った瞬間、足を止め、地面に倒れている五人の子供たちを見て、肥満の男に視線を移した。
「ポンマ、これはどういうことだ? この子たちはどうしてこうなった?」
「ボス、たぶんこのせいだと思います……」
そう言って、傍らに立っていたポンマが手を上げて、ぼろぼろの木の机のわきを指さす、そこには小さな砕けたガラス片が散らばっており、地面の土には乾いた薬品の跡が残っていた。
痩せた高身長の男は足早に前方へ歩み寄り、腰をかがめて一人の子供の鼻先に指を当てる、彼はほっと息を吐き、それから肥満の男を見た。
「大丈夫だ、フタは中毒じゃない、おそらくあの薬が原因だろう、間違いなければ睡眠薬だな。」
そう言って、彼は地面から机に一番近い男の子を抱き上げ、奥の部屋のわら山へ向かう、歩きながら、仕方なさそうに咎める口調で言った。
「ポンマ、何度も言っただろう、薬はちゃんとしまっておけと言ったんだ、売れるかもしれないんだからな、きっと子供たちが触ってしまったんだろう、これで面倒なことになった。」
言い終えると、彼は手際よく男の子をわら山の上にそっと下ろし、すぐそばで顔中汗を浮かべている女の子を見た。
女の子のやや黄色がかった肌には淡い紅潮が浮かび、鼻先からは絶えず汗が流れ出ている、彼は軽くため息をつき、それから部屋の外の肥満の男に向かって叫んだ。
「ベキの時間はもうあまり残っていない、まだ五十枚の金貨が足りない、俺たちが彼らを助けると決めた以上、今夜ももう一稼ぎするぞ、他の店も見逃すな。」
「だが、あの錬金工房にももう一度行く必要がある、あのまま全員を眠らせてしまっては何も良いことはない、この薬にほかに副作用があるかどうか誰にも分からないんだからな。」
「でも、ボス……これだけ頻繁に盗みを働けば、本当に俺たちの居場所がばれないんでしょうか?」
ポンマは女の子を抱きかかえ、そっとわら山の上に下ろす、それから眉をひそめた痩せた高身長の男を見た。
男は拳を強く握りしめ、あごを引き締めて、少し間を置いてから言った。
「それもそうだな、だが俺たちに選択肢はない、それに、そもそも俺たちは指名手配犯だ。」
「ダンとフタに治療してもらえなければ、今回の馬車からの脱出で負った傷で、俺たちは確実に死んでいただろう、俺の生きる上での流儀は、恩を忘れないことだ!」
「君の言う通りだ、クリム。」
ポンマはクリムの言葉を聞いて、後頭部を掻きながら、認めるようにうなずいた、それから二人は残りの三人の子供たちを手際よくわら山の上に運んだ。
二人は古びた木の扉をそっと閉め、再び全身を真っ黒な服に着替えた、二人は再び目を合わせ、互いの目に光が宿っているのを見た。
バタ、パタ。
二つの足音が夜色の中を素早く駆け抜ける、ときどき松明を持つ普通の兵士を避け、道行く人に遭遇しても隅に身を隠して息を潜める、こうして、誰にも知られることなく、これは大規模な盗みとなるのだった。
チュンチュン——
窓辺に一羽の七色の小鳥が舞い降り、くちばしで少し乱れた羽を整え、芽吹いたばかりの枝の上で左右に跳ねる、一陣の清風が吹き、彼女は首を傾げて窓の内側を見た。
ジャスミンは鳥の声で目を覚まし、ゆっくりとあの赤い瞳を開ける、その瞳には魅惑的な赤色が煌めいている、陽の光がまぶしく、少女は無意識に手を上げて遮った。
意識がはっきりしてくるにつれ、ジャスミンはゆっくりとベッドから体を起こし、手を上げて伸びをし、窓の外で自分を見つめる小鳥を見て、微かに笑みを浮かべた。
少女の体に着ている白い寝間着にはウサギの模様が描かれており、いくばくかの愛らしさを添えている、ジャスミンはスリッパを履いた後、のんびりと浴室へ向かった。
少女が再び姿を現した時、すでにカタリの白いローブに着替えていた、長い銀髪の大半を左肩にまとめ、後頭部にはわざわざ三つ編みの一つを編み、きつく締めないままにしている。
数本の乱れ髪が額や耳の脇から零れ落ち、頬に柔らかく垂れている、編み目はゆったりとしており、髪の間にわずかな隙間が見える、頭を動かすたびに軽く揺れ、陽の光が当たると、髪は淡い光沢を放った。
白いうなじには、レオンから贈られたネックレスがかかっており、陽の光を受けて虹色の輝きを放っている、少女は姿見の前に立ってしばらく見つめ、それからうなずいた。
「うん、今日もいい一日になりそう。」
そう言って、ジャスミンはそっと扉を開け、レオンの朝食を作り始めた、リビングの窓辺にはすでにジャスミンが組み立てた簡易キッチンがあり、さまざまな道具と調味料が整理されて配置されていた。
ジャスミンは手を上げて防音魔法をかけ、透明な壁がレオンの部屋を包み込み、自分の忙しさで彼が目を覚まさないようにした。
少女は自分の手と食器に浄化魔法をかけ、白い光の粒が漂い散ると、調理が本格的に始まった。
パッ!
ジャスミンが指を一つ鳴らすと、一団の炎が簡易コンロの上に現れる、傍らのフライパンが自動的に宙に浮かび、炎の上に停まった。
鍋底の温度が適切になると、二人分のバターが鍋の中に落ちる、バターが溶けていくにつれ、四つの卵が自動的に半空に浮かび、卵の殻が自動的に割れ、澄んだ白身と黄身が鍋の中に落ちていく。
卵液が溶けたバターに触れると、じゅわっと音を立てて細かい香りが立ち上る、白身は瞬時に乳白色に固まり、縁がうっすらと黄金色に焼ける、空気中に目玉焼きの香ばしい匂いが漂う。
目玉焼きが焼き上がると、ジャスミンは皿を操ってそれを並べ、空間法則を使って目玉焼きの時間を止めた。
ジャスミンは振り返ってサラダの準備を始める、手を忙しく動かしながら、ベリー類、みずみずしい香草の葉、そしてレタスを切り、それぞれ木の器に並べていく。
発酵させた生クリーム、粗塩、黒コショウを取り出し、最後に圧搾したクルミ油を数滴垂らし、割合に従って調合し、手で軽く混ぜ合わせる、すべてが完了した後。
ジャスミンが指先を微かに動かすと、粉のように細かい粗塩と挽いたコショウの粒が宙から目玉焼きの表面に振りかけられる、魔力が木の器と皿を運び、ゆっくりと机の上へと漂っていく、空気にはサラダの爽やかな香りと目玉焼きの香ばしさが満ちていた。
ジャスミンが後に続き、ナイフ、フォーク、木のスプーンを皿の横に並べる、すべてが静かに並べ終わると、少女はそっと一息つき、空間魔法のポケットから牛乳を取り出し、それぞれのコップに一杯ずつ注いだ。
少女は微かに首を傾けてレオンの部屋を見やると、防音魔法を解き、ゆっくりとレオンの扉の前へ歩み寄り、手を上げてそっと叩く、声を落としながら、少女は優しく言った。
「レオン様、起きてください。」
扉を叩いた瞬間、言葉がまだ終わらないうちに、レオンの声が扉越しに部屋の中から聞こえてきた。
「分かった、すぐに行く。」
しばらくして、レオンは清潔な黒いローブを身にまとい、扉を出てきた、食卓の横に立つジャスミンを見て、眉をわずかに上げ、穏やかな口調で言った。
「朝から忙しくてすまないな、前に言っただろう、君が先に食事を取ってくれていいと。」
ジャスミンはそっと首を振り、優しい笑みを浮かべ、彼女はさらに二枚の料理皿を取り出して食卓に並べ、レオンが着席してから、ようやく笑顔で言った。
「それはいけません、あなたに対して失礼です、従者が主家より先に食事を取る道理はありません。」
「好きにしろ。」
レオンは笑い、ジャスミンが彼の皿に取り分けてくれたサラダを受け取り、それからジャスミンも静かにレオンの向かいに座り、二人はこの穏やかな朝食を味わった。
どこか古びた家屋の一室で、白いローブを身にまとった一人の牧師が部屋の中に立っていた、彼の視線は荒れ果てた室内を眺め回し、空気にはカビの匂いが漂っていた。
壁にはびっしりと蜘蛛の巣が張り巡らされ、時折蜘蛛が巣の上を這っている、湿気を帯びた冷たさが地面からじわじわと染み出してくる、彼がちょうど足を上げて前に踏み出そうとした時、漆黒の影が彼の足元を素早く駆け抜けていき、彼は思わず眉をひそめた。
そばに立つ二人の男、一人は痩せて高身長、一人は肥満、二人の顔には焦燥の色が浮かんでいる、彼は眼鏡を押し上げ、無意識に半歩後退し、意地の悪い口調で言った。
「君たち、この生活水準はどうなんだ? 言っておくが、二人の大人が大勢の子供を連れて、こんな環境に住まわせているのか、この部屋に入った瞬間、吐きそうになったぞ。」
クリムは隣で気まずそうな表情を浮かべるポンマを見て、それから男の前に歩み寄り、手を上げて横で顔色の悪い少女を指さし、いくぶんへつらうような口調で言った。
「ベアン牧師、私たちのこんな粗末な場所ではあなたの身分を貶めてしまうのは分かっています、ただ、あの少女を治療していただけるなら、金額が適正であれば、いくらでもお支払いします。」
「ふん、話せば分かる、まずは診せてもらおう。」
ベアンが少女の前に歩み寄り、手を上げようとした瞬間、強い酸っぱい匂いが彼の鼻腔を突き、たちまち絶え間なく咳き込んだ。
彼は手を振って空気を扇ぎながら、クリムに向かって罵った。
「君たちはこんな患者の世話をしているのか、もう数日も風呂に入っていないだろう? それに、何人もの子供が一緒に押し込められている、あれは何の匂いだ?」
「はいはい、おっしゃる通りです、私たちもあの子の病状が分からなかったもので、下手に触れて悪化させてはいけないと思ったんです、さあさあ、ポンマ、清潔魔法を使え。」
クリムがポンマに合図を送ると、ポンマはすぐに六人の子供たちに清潔魔法をかけた、一瞬の光が走ると、子供たちの汚れと異臭はすっかり消え去った。
「ちっ……」
ベアンは口をへの字に曲げ、再び腰をかがめて少女の前に歩み寄りしゃがんだ、彼の視線は少女の蝋色のやつれた頬をなぞり、眼底に一瞬のうちに消える哀れみが走った。
しかし、それはすぐに彼自身の傲慢さによって押し潰された、手を上げてそっと少女のまぶたを開き、たちまち眉をひそめ、二人に向き直ると、ゆっくりと口を開いた。
「この子は晶石症だ、だが幸いなことにまだ初期で、今は昏睡と栄養失調に陥っているだけだ、これから私が言う材料を用意しろ、それから報酬として二百枚の金貨を用意すれば十分だ。」
「いくらだって? 二百?!」
ポンマはベアンの言葉に驚き、目を見開き、相手を見つめ、その口調は信じられない思いに満ちていた。
ベアンは眼鏡を押し上げ、立ち上がって自分より背の低いポンマを俯瞰し、高慢にうなずいた。
「そうだ、私の治療費は二百枚の金貨だ、それも薬代は含まない、さらに残りの子供たちにかかっている睡眠薬の影響を解除してやる、手元にちょうど対応する材料があるからな。」
「だがこの子の病状は一刻を争う、この値段は絶対に妥当だ、この一帯で聞いて回るといい。」
「私のように腕があって、なおかつこんな安値で治療してくれる医者は、ほとんどいない。」
そう言って、ベアンはまた手を上げて目の前の空気を扇いだ、まだ異臭が漂っているかのように、ポンマが口を開いて反論しようとした時、クリムが先に進み出た。
「何かご要望があれば、できるだけお聞きします、不足している薬材についても、お知らせいただければ、すぐに用意いたします。」
「それでこそ話になる。」
ベアンはクリムの肩を叩き、ポンマに蔑んだ一瞥を投げ、それから眼鏡を押してもう一度話し始めた。
「彼女の病状は今は初期だが、このままだと三日後には悪化する、君たちに二日間の準備期間を与える。」
「私は三日目の早朝に治療に来る、もしそれまでに準備が整っていなければ、この子は晶石症によって完全に石と化すだろう。」




