学院編:第四十五話:交戦開始
ケトロニは認可するように軽くうなずき、年老いた顔に温和な笑みを浮かべ、頭頂の耳が時折ぴくぴくと動く、彼は教壇の上の教鞭を手に取り、黒板を叩いた。
教鞭が黒板を打つ音がコツ、コツと軽やかに響く、陽光が窓を抜け、教室の中にまぶしい光の斑を投げかける。
「その通り、セシリアさんの言う通りだ。」
彼の視線が一人ひとりの生徒をなめ回すように見渡す、彼らの中には背筋をぴんと伸ばして座っている者もいれば、セシリアを見つめ、目の奥に淡い嫉妬と不満を宿す者もいる。
レオンは横目で少女を一瞥する、相手も自分を見ていることに気づく、少女の灰色の短髪はとても柔らかく、窓の外の陽光を受けて艶やかに輝いている。
その灰紫色の瞳には、何の波立ちもない、レオンの眉がそっと上がり、それから彼女を見るのをやめ、引き続きケトロニの話を聞く。
ジャスミンはレオンの素振りに気づいたが、特に気にしなかった、これらの課程と知識は、ずっと昔に导师が教えてくれたものであり、今はもう一度思い出すようなものだ。
教室の中は随所でペン先が紙を擦る微かなさらさらという音が響く、数人の生徒が肘を机に突き、指先で無意識にペン軸を弄っている。
ケトロニは左手を教壇に置き、右手で懸賞任務の依頼書をめくり、間違いがないことを確認した後、顔を上げて生徒たちを見据え、声は穏やかだ。
「さて、王都の冒険者協会の討伐リストには、大きく分けて二つのカテゴリーがある、魔獣と魔物だ。」
「魔獣とは、この大陸に生息する危険な野獣で、一定の知性を持ち、縄張り意識と攻撃欲求が極めて強く、時には我々の戦闘技術や魔法を模倣することもある。」
「一方、魔物とは、神に見捨てられた異形の怪物たちだ、その体は奇形に変異し、中には人型に進化した者もいて、高い知能と集団での協調能力を持っている。」
「教授、本で読んだんですが、どちらの方が脅威が強いんですか?」
短髪の男子生徒が手を挙げる、その顔には疑問と困惑が浮かび、声には期待が満ちている。
ケトロニは軽くうなずき、髭を撫でながら、その男子生徒を見て説明する。
「君の質問はとても有意義だ、純粋に客観的な視点で見れば、魔獣の方が明らかに脅威的だと言える、何せ我々の討伐任務のほとんどは魔獣が占めているからね。」
「しかし、本当に脅威という点で言えば、魔物は明らかに魔獣よりも恐ろしい、彼らの知能と戦術は我々の水準に近づいており、それはつまり、待ち伏せなどの魔獣にはできないこともやり得るということを意味する。」
「そうなんですね……」
男子生徒はそっと手を下ろし、眉をぎゅっと寄せ、複雑な表情を浮かべる、しばらく迷った後、彼は続けて質問した。
「では、今後の冒険者協会の任務考核についてですが、魔物の討伐の方が魔獣より単位が高いということですか?」
ケトロニは首を振り、手の動きを止めて、教室のすべての生徒を見渡す。
「それは脅威度による、もちろん魔獣の方が魔物より脅威度が高い任務も存在する、だが事実として、魔物の単位は確かに魔獣より高い。」
「わかりました……」
生徒たちはノートを手に取り、ペンでケトロニの言葉を記録し、それから再び相手の解説に耳を傾ける。
ケトロニはチョークを手に取り、黒板にゴブリンと幽影狼と書き、チョークでそれらを一つずつ丸で囲む、白いチョークがさらさらと音を立てる。
ケトロニは教鞭を手に取り、そっと黒板を軽く叩く、細かいチョークの粉がひらひらと地面に落ちる。
「ゴブリンは魔物の類に属する、彼らの知能は極めて高く、同時に戦術と策略を用いる、ほとんどの冒険者にとって極めて脅威的な存在だ。」
「幽影狼は魔獣の類に属する、その体躯は一般的に五、六メートルほどで、速度は極めて速く、さらに歯には猛毒が含まれており、全身から毒霧を放つ。」
教室にたちまち細かなひそひそ声が響き渡る、数人の生徒が小声で見聞を交わし、あちこちで途切れ途切れの低い声が教室中に広がっていく。
時折椅子がわずかに揺れるギシッという音も聞こえる、一人の女生徒が眉をひそめながら手を挙げて質問する。
「教授、ゴブリンが冒険者の武器を回収するという噂は本当ですか?」
もう一人の男子生徒が続けて口を挟む、その口調にはいくばくかの後悔が滲む。
「幽影狼の毒霧は鎧の隙間まで浸透するそうです、手慣れた冒険者でも倒されたという話を聞いたことがあります。」
ケトロニは微かにうなずき、辛抱強くいくつか応じ、簡単に両者の危険性を裏付けた上で、固定観念だけで怪物の危険性を判断してはならないと皆に注意を促す。
多くの生徒がペン先を素早く滑らせ、要点を慌ててノートに書き留める、中には厳しい表情で、隣の仲間に野営での狩りの過酷さを低い声で語り合う者もいる。
窓の外からちょうど鐘の音が響き渡る、悠長で重厚な音が教室を切り裂く、ケトロニは教鞭を置き、年老いた声を落とした。
「本日の授業はここまで、諸君、解散。」
生徒たちは一人ずつケトロニに礼を言い、それから次々とノートを閉じ、机や椅子が擦れる微かな音があちこちで響き、続々と立ち上がって教室を離れていく。
周囲の人波が徐々に散り、教室の大半の席が空いていく、先ほどの喧騒が少しずつ消え去り、窓の外から吹き込む風がページをめくる軽やかな音だけが残る。
ただレオンとジャスミン、そしてセシリアだけが席に残っている、三人は顔を見合わせるが、誰一人として口を開かない、ケトロニは三人を見やり、声は穏やかだ。
「ふふ、レオン君、セシリアは我が友人の子だ、彼女と交流してみるといい、彼女は媒介型法陣にも一定の理解を持っている。」
「そうですか?」
レオンはうなずき、目の前の少女を見て、手を相手の前に差し出し、声は平淡だ。
「初めまして、レオン・ウォラゴです、レオンと呼んでくれればいい。」
少女は相手の宙に浮いた手を見つめる、少年の手のひらはさほど広くないが、多くのタコが付いており、長年の戦闘で残した痕跡だ。
彼女は手を上げてレオンと一握りする、少年の手はひんやりとしており、彼女の眉を微かに、ほぼ気づかれないほどひそめさせる、それから彼女は手を引き戻し、口調は淡々としている。
「初めまして、セシリア・ヒューズです。」
少女の視線がジャスミンに向き、再び手を差し出す、ジャスミンは微笑みを浮かべ、少女の指を握り、口調は穏やかだ。
「初めまして、ジャスミン・蓮です、お会いできて嬉しいわ。」
「私もです。」
少女の表情はいくぶん和らぎ、それからケトロニを見て、驚くべき言葉を口にする。
「ケトロニ教授、レオン君と手合わせしてもよろしいでしょうか?」
「え?」
ジャスミンは少し驚き、目の前の少女を見つめ、顔に驚きの色を浮かべる、ケトロニは仕方なさそうに苦笑いを一つ浮かべ、それからレオンを見る。
「この子は普段こうではないんだが、レオン君、都合が悪ければ断っても構わないぞ。」
レオンは微かに首を振り、相手の瞳に映る自分の姿を見つめ、それからそっと微笑んだ。
「いいですよ。」
「では、訓練場でなく、決闘場へ行きましょう。」
そう言うと、少女は歩みを進めて教授のもとへ向かう、残されたケトロニとジャスミンは顔を見合わせ、二人とも思わず笑いながら首を振った、ジャスミンはレオンを見て、顔に心配の色を浮かべる。
「レオン様、本当によろしいのですか?」
「もちろん、格闘ばかり練習してきたから、たまには魔法を使ってみるのも悪くない、実戦こそこの一か月の訓練を試す基準だ。」
レオンは歩みを進め、セシリアの後ろに従う、ケトロニとジャスミンも後ろに続く、ケトロニは歩きながらジャスミンに尋ねる。
「本当に大丈夫なのか? 正直なところ、セシリアがあの子が自ら人と対戦するのを初めて見たよ。」
ジャスミンは何か考えるようにうなずき、ケトロニに返答する。
「問題ありません、レオン様の実力はとても強いです、彼女に負けることはありません。」
ジャスミンの言葉を聞いて、ケトロニの歩調が一瞬止まり、それから尋ねる。
「なぜそこまで確信が持てるんだ?」
「なぜなら彼はレオンだからです。」
ジャスミンの目には光が宿り、白い顔には自信と確信が満ちている、少女がこれほど自信に満ちているのを見て、ケトロニは何も言わず、前方へ歩き続けた。
決闘場は訓練場の南側に位置し、黄褐色の螺旋状の高塔であり、外壁には光る銘紋が刻まれ、塔の中は環状の闘技場になっている、幾重もの石造りの観客席が中央の試合台を囲み、石板には戦闘で残された痕跡が至る所に刻まれている。
ここでは存分に魔法を振るうことができる、銘紋の加護により、どれほど深刻な傷を負っても、決闘場を離れる時には元通りに回復する。
現在は昼時なので、ここに集まっている者はあまり多くない、レオンは顔を上げて目の前の高塔を見つめ、眼底は平静だ、隣のセシリアがレオンの様子に気づき、その瞳は冷たく輝く。
「初めてあなたを見た時から、ずっと気になっていたの。」
少女の言葉を聞いて、レオンは首を横に向け、少女と目を合わせる、彼の声は平淡だ。
「例えば?」
「あなたは特別、他の人とは違う、私と同じ類だと思うの。」
セシリアの声は淡々としており、顔に悲しみも喜びもない、少年を前に、拳が徐々に握り締められる、レオンは軽く笑い、それからまっすぐに決闘場の内部へ歩いて行った。
「さあね。」
ケトロニは首を振り、仕方なさそうにジャスミンを見る、ジャスミンは何も言わず、ただ考え込むような表情を浮かべ、それから決闘場の席に座った。
ジャスミンとケトロニが最前列に来る、二人が腰を下ろすと、レオンとセシリアももう一方の試合用通路を通って試合台に上がった。
空気中には極めて冷たい雰囲気が漂い、いつしか一陣の清風が吹き、試合台の土埃を巻き上げる、ケトロニは髭を撫で、後ろの尾が左右に揺れる。
「セシリアのあの子の実力は魔法級の中でも強い、レオン君も手強い相手に出会ったな。」
「ええ、しかし私から見れば、レオン様も魔法級で彼女に決して劣りません。」
ジャスミンは微かにうなずき、手をひじ掛けに置いて次第に握り締める、その赤い瞳に映るのはレオンの姿、落ち着き、自信、そして平静。
試合台の上で、二人は向かい合う、微風が二人の黒いローブを揺らす、セシリアが構えを取り、体の魔力が湧き上がり始める、少女はレオンを見て、声は平淡だ。
「準備はいい? あなたの実力を見せてちょうだい。」
「始めよう。」
レオンの体はまっすぐに伸び、顔には余裕と自信が浮かぶ、自身の魔力の波動が相手と比べて確かにいくばくかの差があるとしても、それが障害になることはない。
セシリアの腕が右側の揺らめく空間に伸びる、次の瞬間、嗡という剣鳴りが響き、一振りの銀白色の魔導長剣が彼女の手に握られていた。
レオンも携帯している魔導長剣を抜き放つ、剣身には魔力の紋様が絶えず輝き、まるで生き物のように呼吸している。
セシリアは左手を右手に持った剣身に当て、眼光がたちまち鋭くなる、剣上の魔力が四方に漂い、地面の砕石をゆっくりと浮き上がらせる。
彼女はすぐに全力で突進せず、剣先をわずかに傾け、力を蓄えながらいくばくかの余裕を残している。
砰!
少女の足元の石板が踏み抜かれて窪み、びっしりと蜘蛛の巣状の亀裂が炸裂する、彼女の動きは立ち回りと変化を繰り返しながら急速にレオンへ迫り、接近した瞬間、体を一回転させ、長剣をまっすぐにレオンの頭部へ突き刺す。
砰!
轟音が炸裂し、土埃が舞い上がる、レオンは依然として安定してその場に立っており、目は深く沈んでいる、先ほど垂れていた長剣は、いつしか自分の前に横に掲げられていた。
セシリアはレオンの後ろに着地して立ち、眉をぎゅっと寄せ、眼底に一瞬の驚愕が走るが、すぐにそれを隠す、彼女は手にした長剣を握り締め、口調にはいくばくかの賞賛が込められている。
「反応が速いわね、あなたは私が突っ込んだ瞬間、バリア魔法を剣身に重ね、金属性魔力を加え、さらに重力魔法で腕を強化して、ようやく私の攻撃を防ぎ切った。」
「そうですか?」
レオンはゆっくりと手にした剣を下ろす、地面がたちまち震動し、数本の太い蔦が猛然と土を突き破って生え出る、硬い石板を直接貫いて砕き、砕石が四方に飛び散り、ぱちぱちと地面に落ちる。
セシリアは素早く剣を振り、襲い来る蔦を一本また一本と斬り落とす、しかし断ち切られた蔦はそのまま死滅せず、残った断片が石板の隙間を潜り、瞬く間に再び地面を破って生え出し、狂ったように彼女へ巻き付こうとする。
セシリアは一歩ずつ後退しながら、生い茂る蔦の間を高速で移動し、体を横にして一撃一撃の突きを避けていく、彼女は移動しながらようやく一つの隙を見つけ、手のひらを剣身に撫でる。
長剣が激しく震え、烈焰が瞬時に剣全体を包み込む、セシリアの腕が素早く舞い、数本の炎の剣気が斬り放たれ、襲い来る蔦はすべて焼き尽くされて灰と化した。
しかしこれで終わりではない、レオンがそっと足を上げて一歩前に踏み出す、次の瞬間、その体は瞬時にセシリアの背後に現れ、長剣が少女の腰を突き刺す、これはすべて一瞬の出来事であり。
砰!
セシリアの剣を持つ腕が背後に翻り、剣身が彼女の背中にぴたりと添えられる、二つの剣がぶつかり合い、一筋の火花が迸る。
レオンのこの一撃が少女の剣身に突き刺さり、それから彼は素早く数十メートル後退し、手を上げて前方を指す、体の雷魔力が涌き動く。
嗞嗞嗞!
数本の狂暴な雷電が四方にほとばしる、弧光が石板に触れるたびに、絶えず炸裂音を発し、砕石が飛び散り、地面を一つの穴また一つの穴と打ち抜いていく。
雷電が彼の背後に五本の雷電の長槍を凝縮する、レオンは手を上げて一本の雷電の長槍を掴み、セシリアに向かって力いっぱい投げ放つ、嗖!破空の音が響く。
セシリアは眉をひそめ、素早く身を起こして回避しようとする、しかし次の瞬間、彼女に向かって飛んで来た雷電の長槍が瞬時に透明になり、まるで先ほどのすべてが幻想だったかのようだ。
セシリアの耳が微かに動き、猛然と体を横にずらしてかわす、嘣!轟音が炸裂し、彼女がちょうど立っていた地面に二十メートルの大穴が轟き出る、穴の底では弧光がぱちぱちと輝いている。
彼女は迷うことなく、片足を地面につけ、体の魔力を駆動させる、激しく渦巻く金魔力が彼女の足元に九つの蛇頭を凝縮する、太い体躯が左右に揺れる。
凶暴な縦瞳がじっとレオンを睨みつける、九本の金色の蛇頭が絶えず伸び、少女の背後に高くそびえ立つまで成長する、蛇の舌を空気の中で絶えず出し入れしている。




