学院編:第四十四話:漆黒の影
滴答、滴答……
絶え間なく降り注ぐ雨粒が地面を打ち、澄んだ音を響かせる、夜色は溶け切らない墨のように濃く、セムール帝国全体を一面の暗黒に染め上げる、わずかに見えるのは点々とした灯火だけであり、雨音だけが沈黙した深夜の中で幾度となく反響する。
「兄貴、本当に大丈夫なのか? この店、見たところボロボロで、どう考えても金品が隠されているようには見えないけど……」
体の肥えた男が体を丸め、痩せた高身長の男の後ろに縮こまる、二人は黒衣を身にまとい、その衣はすでに夜雨でびしょ濡れになっていた。
刺すような冷たさが衣服に染み込み、彼の体は制御できないほど微かに震えている。
夜は深く暗く、彼らは黒い頭巾を被っていた、頭巾が二人の顔を覆い隠し、暗闇の中に露わになっているのは二対の目だけだ、その振る舞いは夜闇の中にあって、異様に不気味で怪しげだった。
痩せた高身長の男は振り返り、手を上げて肥えた男の頭を叩いた、目を細め、その口調には憤りが込められている。
「何が分かるというんだ? 店が古ければ古いほど、存在した年月が長い証拠だ、逆に新しく開いた店など、蓄えがあるとは限らない。」
「よく見ていろ、お前も学ぶことがあるはずだ。」
言葉が終わると、痩せた高身長の男は身をかがめて古びた店の扉に張り付く、扉の隙間からは絶えず異様で鼻を突く異臭が漏れ出しており、濃厚な匂いに彼は無意識に眉をひそめた。
店の扉には普通の鉄錠が一つかかっているだけだった、質感は非常に薄く、少し力を込めればそのまま引きちぎれてしまいそうだ、後ろの肥えた男は口と鼻をしっかりと押さえ、目尻は刺激臭でつんと痛み、いくぶん開けづらそうにしている。
「兄貴、この匂いは強すぎる、俺もう耐えられません。」
痩せた高身長の男は彼の言葉を無視し、手のひらをしっかりと鉄錠に重ね、もう一方の手は腰元を探り、指先が瞬時に一本の細長い銀色の針金を摘み出した。
ガチャッ——
針金が錠前の中で絶えず回転し、軽やかな音が一つ響いた後、鉄錠は応えるように弾け開いた、彼は振り返って脇の肥えた男を見やり、平淡な口調で言った。
「こういうこともやむを得ないんだ、お前は今なら去ってもいい、しかし、あの人たちのことを考えたか? 俺たちが手を引けば、あの人たちはどうなるんだ?」
肥えた男の動きが一瞬止まる、雨が頭巾の縁を伝って絶えず滴り落ち、水たまりの地面に落ちる、しばしの躊躇の後、彼の眼底の神色は完全に沈み切り、その口調は力強く響いた。
「兄貴……俺、やります!」
痩せた高身長の男は手を上げて木の扉を押し開け、足を踏み入れて屋内へ入る、店内の空間は広々としており、地面には濃淡さまざまな焼け跡と古びた薬の染みが入り乱れていた。
部屋には整然と積まれた収納箱が重なり、屋内の異臭は戸外よりもさらに強烈で、むせて二人は思わず体を低くし、声を潜めて軽く咳き込んだ。
チーン——
肥えた男の手のひらに一団の瑩白色の光球が浮かび上がり、柔らかな明かりが瞬時に家中を照らし出す、さまざまな錬金素材とガラスの薬剤瓶が規則正しく陳列され、目の保養になるほど豊かだが、それでも二人の視線を引くことはなかった。
痩せた高身長の男は足を止めず、まっすぐにフロントへ向かう、肥えた男は列をなす薬剤棚の間で立ち止まり、迷い続けている。
フロントの木製戸棚がそっと引き開けられ、五十枚余りの整然と積まれた金貨が忽然と目に飛び込んできた。
金貨は静かに引き出しの中に敷き詰められ、光球の照り返しを受けて温かな金色の輝きを放っている、幾重にも重なり、きちんと秩序正しく並べられていた。
金貨の裏面には、枯れ果てて骨張った鋭い爪が彫られており、その掌は一枚の鋭く細長い縦長の瞳を支えている、長く見つめていると、骨を刺すような寒気が背筋を伝って這い上がってくる。
金貨の表面には、広げた翼が精巧に彫られ、その双翼は一つの温かな瞳を環のように守っている、自ずと神聖で柔和な趣を帯び、人知れず心の安らぎを呼び起こす。
痩せた高身長の男は宙に止めた手のひらを微かに止め、何かを思い出したかのように、次の瞬間、彼は余計な感情を収め、歯を食いしばって二十五枚の金貨を取り去り、全てを脇で微かに揺らめく空間魔法の中へ収めた。
彼は顔を上げて、いまだに迷っている肥えた男を睨み、低く切迫した声で言った。
「まだ選ばないのか? 適当に二本取って、すぐに行くぞ!」
「すぐに終わらせます!」
肥えた男は応えるように手を上げ、別枠で陳列された二本の薬剤を取り、素早く空間魔法の中へ送り込んだ。
痩せた高身長の男は微かにうなずき、相手を連れて足早に扉の前まで歩き、音を立てないよう慎重に店の扉を閉めた、蝶番がかすかな鈍い音を立て、木の扉はまた元の姿に戻った。
パタッ、パタッ……
雨の夜の中、痩せた男と肥えた男の二つの影が重い夜色の中へ飛び込み、水たまりの地面を踏みしめながら足早に遠ざかっていく、この深夜の行動は手際よく、誰の目にも触れず、誰にも知られることはなかった。
翌日、通りにはいくばくかの冷たさが残っている、深く息を吸い込めば、極めて清新な空気が肺の腑に流れ込んでくる、空模様は灰色がかっており、まるで大きな手で目を覆われたかのように、はっきりと見通せない。
「うぅ……」
一つだるそうな声が白い布団の中から漏れ出る、続けて一対の毛深い耳が顔を出す、湛藍色の瞳には水気が滲み、彼女はゆっくりと体を起こし、白い寝間着が体に張り付いている。
少女は窓の外の景色を一瞥し、扉の外からは年老いてはいるが慈愛に満ちた声が聞こえてくる。
「ケル、早く起きなさい、私は先に学院へ行くよ、朝食はマリーがもう用意してくれている、ちゃんとご飯を食べるんだよ。」
「分かったわ、おじいちゃん。」
ケルはそっと手を上げて目をこすり、その声はだるさと柔らかさに満ちている、その時、扉の外からさらに言葉が続く。
「ああ、今日の午後にはお客さんが来るよ、私の学院の生徒だ、それから、私が教えた睡眠薬剤、もう出来上がっているだろうね?」
「うん、出来てるわ、すぐに起きる。」
ケルは扉に向かってそっと言い、顔には淡い笑みを浮かべている、タッタッタ、扉の外の足音が次第に遠ざかっていく、少女は裸足のまま地面を踏みしめる、地面は少し冷たく、少女はついでに長い髪を梳かした。
そう言って、ケルは浴室へ向かう、しばらくして、少女はすでに着替え終えていた、やはり以前と同じ錬金術師のローブで、普通の黒い生地だが、質感は非常に上等だった。
少女の背中には白い五芒星陣が刻まれており、陣の中心には青い眼が一つあり、大きな手がしっかりと五芒星を支えている。
ケルは鏡の前に立ち、手を上げて頭頂の髪を撫でる、髪は柔らかく冷たく、少女の体に漂う花の香りを帯びている。
白くて幼い顔に恥じらいの色が浮かび、彼女はそっと手を背後に回し、口元を上げ、鏡の中の自分を見つめる。
「うん、やっぱり前より可愛くなったかも。」
そう言って、彼女は衣架から紫灰色の帽子を手に取り頭に載せ、足早に階下へ向かう、その時、一人の婦人が静かに食卓の前に立っており、その立ち居振る舞いは思いやり深く、非常に優雅だった。
彼女は階下へ降りてくる少女を見ると、その口調は恭しく優しく、自然な流れでそっと腰を折った。
「おはようございます、ケルお嬢様。」
「おはよう、マリーおばさん、私は牛乳を一杯飲めば十分だから、急いで錬金工房へ行かないといけないの。」
ケルは足早に食卓の前の牛乳へ向かい、マリーの目の前で一気に飲み干し、それからそっと息を吐き出し、マリーを見て軽く笑った。
「でも……」
マリーの眉が微かにひそまり、ケトロニの言葉を思い出し、口を開いて慰めようとしたが、ケルに遮られてしまった。
「大丈夫よ、本当に急ぎの用事があるから、行ってきます!」
パッ、少女は手を上げて澄んだ指鳴らしを一つ鳴らす、一本の法杖が傍らから飛んでくる、その速さは極めて速く、それはしっかりとケルの傍らに停まった。
マリーはもう一度慰めようとし、彼女がちょうど手を上げた時、少女は軽く跳躍し、そのまま体を横向きにして法杖に座った、大扉が自動的に開き、それから、シュッという音とともに法陣は十数メートルほど飛び出し、瞬く間に遠くへ消えていった。
「ああ……」
マリーは上げた手をまた下ろし、顔には仕方なさと温和な笑みを浮かべ、食卓の上の食べ物を片付け始めた。
もちろん、彼女は捨てるという選択はせず、ケトロニの指示に従い、近くの貧民窟に住む、さまざまな理由で見捨てられた子供たちに送ることにした。
シュッ……
法杖は錬金工房の前にしっかりと停まった、ケルは手を上げて大きなあくびを一つし、それから法杖から飛び降りる、ブーツが一つ軽い音を立てる。
少女は鍵を取り出して錠を開け、扉を押し開けた瞬間、眉をひそめ、顔に疑惑が浮かんだ。
「知らない人の匂いがする……」
ケルの視線は屋内を見回し、最終的に一つの隅へと落ちる、そこに置かれていた催眠薬剤が消えていた、彼女はフロントの木製戸棚へ歩き、整えられていた金貨も半分になっていることに気づいた。
少女の指は金貨を弄り、白い小さな顔は自信を失い、後ろの尾はだらりと垂れ下がる。
「家の中に……泥棒が入ったの……?」
それと同時に、マリーは籠を提げて路地の奥へやって来る、空気にはいくらか鼻につく異臭が漂い、隅の方には何人かの子供たちが隠れていた、これらの子供たちは皆、さまざまな理由で見捨てられた者たちで、顔には警戒心を浮かべ、身には古びた麻布の服を纏っている。
しかし、彼らはマリーの姿を見ると、顔の警戒心は喜びへと変わり、素早くマリーの周りに集まり、汚れた小さな顔を上向けて彼女を見つめた。
マリーはそっと籠の蓋を開ける、中にはサンドイッチとさまざまな小さな菓子が並べられ、空気は甘い香りに満ち、子供たちは無意識に唾液を飲み込んだ。
マリーは手を上げて一人の女の子の頭を撫で、ゆっくりと体をかがめて、唾液を絶えず溢れさせている子供たちの前にしゃがみ込み、その口調には軽蔑も侮蔑も一切なく、彼女は慈愛に満ちた微笑みを見せた。
「お腹空いたでしょう、みんなそれぞれ少しずつ食べなさい。」
一呼吸置き、彼女はまた籠を自分の元へ引き寄せた、子供たちが戸惑う様子を見て、彼女は手を上げて水の魔力を用い、一つ漂う水球を自分のそばに作り出した、水球は「ぽよん」と音を立てていくつかの小さな球に分裂する。
それらはそれぞれの子供の前に浮かび、マリーは手を叩いて言った。
「まず手をきれいに洗ってから食べてね。」
それを見て、子供たちは一人また一人と汚れた手のひらを洗い終え、また整然と列に並んだ、その中には度胸のある子供が声を上げて感謝の言葉を述べる者もいた。
「ありがとう、マリーおばさん。」
「どういたしまして。」
マリーは手を上げて一人の大胆な女の子の頭を撫でた、女の子の髪は意外なほどさらさらとしており、普段から手入れが行き届いているようだった。
次々とパンや菓子を受け取った子供たちは、その場に座り込んだり、壁に寄りかかったりして、手にしたパンを大口でかじり、顔には幸せと安心の表情を浮かべている。
そんな子供たちを見つめながら、マリーは眉をひそめ、隣の男の子に目を向けて尋ねた。
「ムノウ、ベキ、ダン、そしてフタの三人はどこへ行ったの?」
ムノウは舌で口元のクリームを舐め取り、手の中のパンを見つめ、考え込んでから言った。
「マリーおばさん、ベキのことなんだけど、どうやら重い病気にかかっちゃったみたい……」
「アンダとフタの二人は、見知らぬ二人の人の後について行ったみたい、行くときに言ってたよ、大金を稼いで、ベキの病気を治すんだって。」
「そうなのね……」
マリーは一枚の金貨を取り出してノムに渡し、目の前の少年を見つめ、そっとため息をついて言った。
「お願いね、彼らが帰ってきたら、この金貨を彼らに渡してちょうだい、私はもう帰らなきゃならないから、また時間ができたら来るわ。」
「任せてください、マリーおばさん、僕に任せて!」
ノムは痩せた胸を軽く叩き、顔には得意げで嬉しそうな表情を浮かべ、忘れずにもう一口パンをかじって噛みしめる、マリーはうなずき、子供たちに見送られながらその場を離れていった。
カタリ貴族魔法学院、レオンは片手で頬を支え、静かにケトロニの授業を聞いている、学生たちの中には眠そうな者、時折小声で話し合う者、熱心に耳を傾ける者がいる。
ケトロニは興味のなさそうな学生たちを見ても、少しも怒る気配はなく、そっと黒板を叩き、顔に笑みを浮かべた。
「諸君、こんなに疲れている様子を見ると、どうやら昨日自分たちで語ったあの言葉に刺激を受けて、過度な訓練で休養が取れなかったというところかな?」
「はい、教授、昨日は朝の三時までずっと訓練していました。」
「いえいえ、ただ教授のお話を消化していただけです。」
学生たちはケトロニの言葉を聞くと、手を振って説明する者、うなずいて軽く息を吐く者、黙ったまま手元のペンを指で弄る者もいた。
ケトロニがそっと手を振ると、澄んだ音が教室に響き、学生たちは次第に静かになり、彼は喉を整えて言った。
「君たちの言葉を聞いて、私は嬉しく思う、ただ、休息もきちんと取るようにね。」
「皆がこれほど元気がないなら、近頃各地の冒険者協会が懸賞金をかけている魔物について話してみようか?」
ケトロニの言葉を聞いて、学生たちの目は輝き、すぐに姿勢を正した、沈黙していた学生たちも手の動きを止め、その目には好奇心が滲んでいる。
レオンは腕を下ろし、そっと背もたれに体を預ける、隣のジャスミンも本をめくる動作を止め、顔を上げてケトロニを見る、相手の口調は穏やかだ。
「魔獣、それはこの世界の特別な種族の一つであり、我々のような文明を持つ種族とはまったく異なる特徴を持っている。」
「その体格や姿、生活習慣、あるいは戦い方も、それぞれに異なっている。」
「誰か魔獣の価値について説明できる者はいるかな?」
「はい!」
「私が話します!」
学生たちが次々と手を上げる、ケトロニの視線は教室を見渡し、それから一人の少女に向けて、顔に笑みを浮かべた。
「セシリアさん、皆に説明してあげてください。」
そう言って、彼は手を上げて彼女に立ち上がるよう促した、少女は立ち上がり、その声は平淡だ。
「魔獣の体はそれ自体が素材であり、肉は食用になりますが、中には食べられないものもあります、魔獣は骨、爪、牙、皮革に至るまで、さまざまな武器、道具、錬金、防具などを作るための希少材料になります。」
少女は一呼吸置き、隣で表情を変えないレオンを一瞥し、続けて言った。
「その中で、魔獣は極めて低い確率で魔石を落とすことがあります、魔石は付与、魔法陣の媒体に用いることができ、競売にかけることもできます、いくつか特別な用途もありますが、古い典籍の中で既に失伝しています。」
「どれだけ低品質の魔獣でも百金の価値があり、地下城の主が落とすものであれば、五万から十万前後、あるいはそれ以上の価値になります。」
ケトロニはうなずき、満足そうに髭を撫でた、年老いた顔には認可と喜びが満ちている。
「セシリアの言う通りだ、その通り、魔獣の用途は極めて広く、あらゆる面に行き渡っていると言っても過言ではない。」
セシリアはそっと座り、後ろの長い髪が微かに揺れる、それを見た隣の学生たちが顔を寄せて話し始める。
「彼女がセシリアか、あの一年生の首席……」
「事情は知ってるよ、彼女は新学期が始まる前から、学院で学生の質問に答えたり、教授たちの手伝いをしたり、他にもいろいろやってたから、自然と単位がすごく伸びたんだ。」
「本当かよ? あの娘、普段はすごく近寄りがたい感じなのに、まさか博識な人だったとはな。」
学生たちの話し声が教室に響き渡る、しかしセシリアは聞こえないかのように、ただ本をめくることに夢中で、白い顔には冷淡な表情を浮かべていた。




