学院編:第三十五話:カタリ貴族魔法学院
ケイルの碧い縦瞳が輝きを増し、後ろのふわふわした尾が軽く揺れる、白い顔には誠実さが満ちており、狡猾さは微塵も見えない。
「このアンドルート魔石、お値段は金貨百枚となります。」
その言葉が落ちると、レオンはゆっくりと魔石から視線を外し、両腕を軽く胸の前で組む。
少年の表情は淡々としており、何の感情も読み取れない、彼は指先で前腕を軽く叩き、うつむいてしばし考えた後、顔を上げて隣のジャスミンを見る。
ジャスミンはケイルの後ろに静かに立ち、すべてを目の当たりにしている、レオンが改めて問いかけるまでもなく、彼女はすでに彼の意図を理解し、すぐに軽くうなずく、その眉目は従順で柔らかい。
レオンの声は相変わらず平淡だが、その顔にはかすかな笑みが浮かんでいる。
「買おう。」
ジャスミンは腕を微かに上げ、指を空間魔法の財布の中に差し入れる、再び空間魔法の財布から手を引き戻すと、精巧に作られた亜麻の銭袋が彼女の手に握られていた。
布袋の縁には細かく整った暗紋が縫い込まれており、生地は非常に厚手で、ふっくらとした弧を描いて丸く膨らんでいる、中には金貨がぎっしりと詰まっている。
ジャスミンはそっと紐を解き、袋の口が微かに開く、一枚一枚の温かみのある金貨が重なり合い、錬金工房の灯光の下で明るい金色の輝きを揺らめかせる。
彼女の動作は優しく確かで、膨らんだ銭袋をしっかりとケイルに差し出す、ケイルの両目が輝き、すぐに魔石の入った箱をレオンの手に押し込み、両手で布袋を抱え、顔の喜びを隠しきれない。
「ありがとうございます、お客様、良いお取引でした。」
彼女は手を差し出してレオンと握手する、レオンはジャスミンを見て、箱をジャスミンに渡し、店の扉に向かって歩き出す、ジャスミンは箱を空間魔法の財布に収め、先に扉の前に立つ。
木の扉は最初と同じように、耳障りな軋み音を立てる、レオンは扉の前に立ち、空を一瞥してから遠くへと歩き出す、あの匂いは確かに耐え難かった。
午後四時半の日差しはもはや眩しくなく、行き交う人々はここでは多くない、時折、冒険者や傭兵が互いに話し合い、ある者は肩を組み、またある者は眉をひそめて地面を見つめながら歩いている。
地面は淡い暖かな橙色に染められ、白い雲が空をゆっくりと流れる、雲の隙間から差し込む光がレオンとジャスミンを照らす。
錬金工房の付近を離れると、空気はようやく清新になった、街道の遠くからは、パン屋の焼ける焦げた香りが漂い、冷えゆく空気の中をゆっくりと広がっていく。
「暮色が訪れるまでにはまだ時間がある、魔導具店は今回は行かず、また機会を見つけて来よう、今は優先して学院に向かう。」
レオンの声は穏やかだ、彼は空の太陽を見つめ、次に髪の毛が金色に染まったジャスミンを見る、少女の顔には優しい暖かな光が宿っている。
「もちろんです、レオン様。」
ジャスミンは静かに応じる、その瞳には暖かな橙色の残光が宿っている、彼女は多くを語らず、ただ静かにレオンの脇に立ち、彼の次の指示を待つ。
視線がジャスミンを越えて、レオンは向かいの通りからゆっくりと歩いてくるプーヤとアリットを認める、アリットは白いローブをまとい、姿勢は真っ直ぐで背が高い、プーヤは黒いローブを着て、体つきは小柄だ。
二人は歩きながら何か低声で話し合っており、アリットは時折うなずく、斜陽が彼らの学院の制服に薄い暖かな黄色の層を镀っている。
「え? もう終わったの? 必要な材料は手に入った?」
プーヤが近づき、顔には好奇心が浮かんでいる、手に弄っていた短剣をアリットに渡す、アリットはそれを受け取り、手際よく腰の空間魔法の財布にしまう。
レオンはうなずき、視線を二人から遠くの空へと移す。
「調達は済んだ、だが……時間も遅くなってきた、そろそろ学院へ向かおう。」
プーヤも彼の視線に従って空の色を一瞥し、それ以上追及することはなかった、少女は快活にうなずく、ジャスミンとアリットは互いに一瞥を交わし、こちらにも異論はない。
四人は街角で一台の四輪馬車を探し当てる、車体の外観は磨き上げられて輝いており、内部に嵌め込まれた濃い色の木板は堅固で厚い、二匹の逞しい馬は真っ直ぐに立ち、誇らしげに首を上げている。
「いらっしゃいませ、お客様、どちらまでご旅行ですか?」
御者はレオンたち一行が歩いてくるのを見ると、慌てて馬車の側扉を開け、顔に素朴な笑みを浮かべる。
レオンは軽く手を上げて、プーヤとジャスミンに先に乗るよう促す、プーヤは遠慮せず、真っ先に足を踏み入れて車内に入る。
「ありがとう、レオン。」
レオンは何も言わず、静かにうなずくだけだ、そして再びジャスミンを見る、ジャスミンは微かに戸惑い、その瞳が柔らかくなる。
「レオン様……」
ジャスミンはレオンの横を通り過ぎる時、彼に軽く微笑みかけ、それから続けて馬車の中に入り座る。
レオンは御者の方に向き直り、手を袖の中に差し入れて探る、数秒後、少年は一枚の金貨を差し出す。
「カタリまで頼む。」
御者は金貨を受け取り、黒い顔に笑みが咲く、声を連ねて応じる。
「へい! 日没までにはお届けします、ご安心を!」
レオンは微かにうなずき、遠くの錬金工房に一瞬視線を留めた後、アリットと共に車内に入り着席する、御者は馬車の扉を閉め、御者台に戻り、軽く馬鞭を振るう、その声は熱気を帯びている。
「出発しますよ、お客様!」
蹄が石畳を打ち、規則的な音を立てる、馬車はゆっくりと動き出し、車輪が夕暮れの街路を碾きながら、学院の方へと平稳に走り去る。
車内は一時静かになる、ただ窓の外の風音と蹄の音だけが交錯する、プーヤは窓辺に寄りかかり、街並みに視線を落とす、道ゆく人々が目の前を絶えず過ぎ去っていく。
ジャスミンは背筋を伸ばして座り、両手を重ねて膝の上に置き、眉を低くして何かを考えているようだ、アリットは腕を組んで目を閉じ、指先で肘を軽く叩いている。
レオンは窓の外を見ず、ただ落ち着いてそこに座っている、指先で袖口の内側をそっと撫で、その瞳は平淡に満ちている。
彼らの馬車がカタリ貴族魔法学院へと向かう一方、一人の白い髪の猫耳の老人が錬金工房へと歩いていく、手では絶えず髭を撫でている。
彼の尾は後ろに垂れ下がり、元気がなさそうだ、顔には多くの皺があるが、彼の纏う服飾は非常に目を引く、それは錬金術師の上等な長袍だ。
普通の錬金長袍はただの黒い生地で、服の上には古い銘文がいくつか刻まれ、縁取りの宝石がいくつかあるだけで、極めてありふれたものに見える。
しかし上等な長袍は上等な布地で縫製され、袖口には二本の白い紋様が追加され、背中には白い六芒星の陣が刻印されている、陣の中心には赤い目があり、一双の大きな手が六芒星を支えている。
「ケイル!」
猫耳の老人は店の前に立って一声叫ぶ、その声は年老いてはいるが、力に満ちている。
「どうしたの、おじいちゃん?」
ケイルは錬金工房の木の扉を押し開け、困惑した様子で猫耳の老人の前に立つ、猫耳の老人は笑い、彼女の頭を撫でながら、穏やかな口調で言う。
「一昨日、わしは列クロン勒と魔法陣研究会に参加してきたのだが、ちょうど媒介型魔法陣の話になったのだ。」
「そういえば、以前アンドルート魔石を収集していたのを思い出してな、お前、それを取ってきてくれ、使う必要があるのだ。」
猫耳の老人の言葉を聞いて、ケイルの目つきが少し泳ぐ、彼女は作り笑いを浮かべ、声にはためらいが含まれている。
「あの……おじいちゃん……あの……」
猫耳の老人は少し困惑し、ケイルを撫でていた乾いた手を引っ込め、目を微かに細める。
「どうした?」
「わ、わたくし……それを売ってしまいました……」
ケイルの目はさらに激しく泳ぎ、額には汗が滲み始め、袖口の中の指は白くなるほど握り締められている、背中で絶えず揺れていた尾も垂れ下がってしまう。
「売……売っただと!」
猫耳の老人はケイルの耳を一気に掴み、怒りのあまり口元の白い髭が逆立ち、垂れていた尾も立ち上がり、その上の毛も逆立つ、ケイルに向かって一喝する。
「この放蕩娘め! わしの収集品はいつかお前に使い潰されるわ!」
「以前、わしが集めた魔力凝集草を、乾草だと思って焚き火に放り込んで燃やしたのは、まあ許そう!」
「わしが唯一持っていたアンドルート魔石を、お前は売りやがった!」
「痛い痛い痛い……おじいちゃん……売っちゃったけど、金貨百枚で売れたんだよ!」
ケイルは慌てて手で自分の耳を覆うが、老人は手を離さない、特に強くはないが、それでもケイルは痛さに絶えず跳ね回る。
「百……百! ふん……ふん……」
猫耳の老人はケイルの耳を離し、無表情でケイルを見つめる、彼もこの孫娘には非常に手を焼いている。
彼はしばらく落ち着き、仕方なさそうにため息をつき、ケイルを見て首を振ると、振り返って錬金工房の中に入っていった。
ただケイルだけが残され、少し不満そうに猫耳を揉んでいる、その明るい目も微かに赤くなり、非常に愛らしく見える、少女の尾は地面を掃き、口を尖らせて、レオンが去っていく方向を恨めしそうに見つめる……
蹄が石畳を打ち、澄んだ音を立てる、馬車は学院の方へと平稳に走り去る。
車内は一時静かになる、ただ窓の外の風音と蹄の音だけが交錯する、レオンは窓辺に寄りかかり、絶えず後方へ流れていく街並みに視線を落とす。
街の喧騒が窓の両側に広がる、沿道の商店が次々と現れては消え、香辛料の店からは濃厚な香りが漂い、武器屋の前には磨き上げられた様々な武器が並べられている、多くの露店商が隅にしゃがんで大声で呼び込み、通行人を絶えず引き寄せている。
行き交う人々は多彩だ、革鎧を身にまとった冒険者が肩を組んで笑い合い、身に着けた武器が歩くたびにカチャカチャと音を立てる、籠を提げた婦人が商人と値引きの交渉をしている。
数人のカタリ学院の長袍を着た少年たちが連れ立って歩き、小声で魔法理論について議論している、獣の耳をつけた旅人が人混みを縫い、王都の賑わいに溶け込んでいる。
馬車が進むにつれて、密集した民居は次第にまばらになり、整然と剪定された並木道が混雑した街路に取って代わる、郊外の緩やかな丘陵が遠くへと延びていく。
落日は溶けた黄銅のように、ゆっくりと地平線へ沈んでいく、橙色の霞光が大地を覆い、街路樹の影は長く引き伸ばされる、空の雲は落日に点火され、半空で熱く燃えている。
時間は馬車が巻き上げる風のように、音もなく前方へと流れていく、町の喧騒は遠く後方へと置き去りにされる。
原野が道の両側に広がり、視界が再び開けると、一片の壮大な建築群がゆっくりとレオンとジャスミンたちの前に浮かび上がる。
レオンの視線はその建築群にしばし留まり、その眼底には何の波も見えない。
ジャスミンとプーヤの目が輝く、目の前の壮大な建築を見て、無意識に両手を握り締める、アリットでさえも震撼し、眉が寄せられる。
あの夕陽の下で神が鋳造したかのような庭園、それが―――「カタリ貴族魔法学院」だ。
学院は山の斜面に寄り添って建てられている、延々と続く白石の塀は冷たい壁のようで、壁の間には展望用のアーチ窓が嵌め込まれ、四季折々の常緑の青い蔦が這い巡り、脈打つ血管のように見える。
千百の塔楼がキャンパス内に錯綜と配置され、塔楼の尖塔は夕陽の天穹を突き刺す、最も高い観星主塔は雲層にまで伸び、塔身には柔らかな光を放つ魔導水晶が嵌め込まれ、半空に光の暈を揺らめかせている。
学院の正門は無比の壮大さだ、巨大な一枚岩の雲紋岩から彫り出されたアーチ門は高く広く、数十台の馬車が並んでも余裕がある。
アーチ門の石壁には歴代の大学者、魔法使い、錬金術師の彫像が刻まれている、魔法陣、書頁、薬瓶、法杖など、学識を象徴する古の符文、紋路は柔らかくも、学院の荘厳さを失わせない。
門の両側には二体の巨大な石像が聳え立つ、左手は書を抱えて思索する賢者、右手は魔法の光球を掲げる学者、静かに門前の広い白石の広場を見下ろしている。
高壁の内側では、景観が幾重にも広がっている、透かし彫りの空中回廊が一棟一棟の教学楼を繋ぎ、露天の魔法訓練場は整然と区画されている、清らかな小川が庭を縫って流れる。
両岸の建物は希少な魔獣や植物を育成する温室庭園だ、遠くには図書館の円形のドームが見える。
ドームには大規模な星図の紋様が描かれている、淡い魔力の青い霧がキャンパス全体の上空を覆い、燃え盛る焼け雲と鮮明な対照を成している。
「お客様、カタリ学院に到着しました。」
御者は軽く手綱を引き、馬車もゆっくりと速度を落とし、学院の正門前の広い道路にしっかりと停まる。
「これが……カタリ学院……ネソットム大陸の最高峰の学院……」
「すごい……書物の中の描写よりも壮観だわ!」
ジャスミンとプーヤは窓越しにあの壮大なアーチ門を眺める、その瞳には夕陽の余韻が映っている、二人はそっと息を吸い込み、ようやく心の中の興奮を静める。
行き交う学生たちと教師は馬車を一瞥し、すぐに視線を戻してそれぞれの用事に忙しくしている、門の前には二人の法則級聖騎士が立ち、アーチ門の両側に真っ直ぐに立っている、夕陽が彼らの鎧に薄い暖かな黄色の層を被せている。
レオンは馬車の扉を押し開けて降りる、ジャスミンとプーヤ、そしてアリットもゆっくりと飛び降りる、彼らはレオンの傍らに立ち、目の前のすべての人々を見渡すが、誰一人として彼らに気づく者はいない。
「それではお客様、私はこれで失礼します。」
御者の声がレオンの後ろから聞こえる、レオンは笑い、さらに五枚の銀貨を取り出して御者に渡す、その口調は穏やかだ。
「持っていてください、ご苦労様でした。」
「ありがとうございます、お客様、私は堅苦しいのは苦手ですので、遠慮なく頂戴します。」
御者はためらわず、手を差し出して銀貨を受け取り、レオンに向かって微かに身をかがめる、その顔には相変わらずあの素朴な笑顔が浮かんでいる。
彼は馬車の御者台に歩み寄り、レオンに手を振る、馬鞭が振られるにつれて、カツカツと馬がゆっくりと歩き出し、王都の方へと速やかに走り去る。
レオンは馬車が去っていくのを見送り、振り返って聖騎士たちを正面に見据える、彼の脇の空間がさざ波立ち、彼は手をその中に差し入れる、一通の封筒が彼の手に握られる。
「ジャスミン、プーヤ、アリット、準備はいいか? いよいよカタリに入る時だ。」
そう言って彼は足を上げ、何の躊躇もなく聖騎士たちの方へと歩き出す、ジャスミンとプーヤは互いに一瞥を交わし、それぞれの目に期待の色が宿っているのを見る。
「もちろんです、レオン様!」
「もちろん。」
アリットは何も言わず、ただ深く息を吐き出し、プーヤの後ろに従って歩いていく、そのすぐ近くの木の上では、一匹の黒猫が静かに四人の行動を見つめている。




