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深淵紀行  作者: 梓UU
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学院編:第三十三話:突然に止んだ雰囲気

女の顔には笑みが溢れ、彼女の指先が軽くテーブルの角を叩く、瞳は微かに細められている、プーヤとアリットは一瞥を交わし合うと、プーヤはナプキンを手に取って口元を拭った。


「どのようなご用件でしょうか?」


「こういうことなんです、お客様、ただいま酒場が満席でして、こちらで相席をお願いすることはできませんでしょうか? もちろん、こちらの方で割引をさせていただきます。」


女はレオンの方を見やる、プーヤも好奇心から首を伸ばしてその方向を覗き込む、そこにはまだあどけなさの残る黒いローブの少年が立っており、その傍らには極めて精緻な容貌を持つ少女が佇んでいる。


プーヤの口がわずかに開かれる、その瞳にはジャスミンとレオンの姿が映り込んでいる、アリットが少女の目の前で手のひらを軽く振る。


「プーヤ様?」


プーヤはようやく我に返る、ジャスミンを見つめていたために一瞬意識を失っていたのだ、少女は遮られたことで気まずさを覚え、顔にぎこちない笑みを浮かべる。


「え……あはは……あのお二人って……以前に何度か会ったあの男の子と、とても綺麗な女の子ですね……」


アリットはグラスを手に取り、白湯を一口飲む、何の味もしない、彼はプーヤを見て、探るような口調で言う。


「それで……プーヤ様、どのようになさいますか?」


先ほどの失態を隠すため、プーヤは喉を一度鳴らす、黒い瞳が光に照らされて輝き、とても活発に見える、彼女は女に視線を向け、甘い声で言う。


「もちろん構いませんよ、大歓迎です。」


女はうなずき、顔の笑みはより一層深くなる、その口調は穏やかだ。


「かしこまりました、ご理解いただきありがとうございます、どうぞごゆっくりなさってください、私はあちらに連絡して参ります。」


別の場所では、ジャスミンが底の見えた木の杯を見つめている、彼女の目は数十の満席のテーブルを眺め、感慨を込めた口調で言う。


「ここは本当に繁盛しているんですね……きっと特別な料理があるんでしょうね!」


「そうだな、どうだろうな。」


レオンはカウンターの前に寄りかかり、両手を組んでいる、その瞳の底には思索と観察の色が満ちている、彼は自分たちの方へ歩いてくる女を一瞥し、口元をわずかに上げる。


「うまくいったのか?」


「ええ、あちらのお客様のご様子を見る限り、どうやらお知り合いのようですね。」


女は笑い、手を上げてプーヤの方向を指す、レオンとジャスミンは首を傾げて少女の方を見る、その時、プーヤは彼らに向かって軽く手を振り、顔には笑顔が浮かんでいる。


少女を見て、レオンの顔には「なるほど」という表情が浮かび、その口調には納得の色が含まれている。


「ふふ……彼女か。」


少年は少女に向かってうなずく、ジャスミンだけがその場に残され、彼女の目には疑問が満ちている、彼女は少女に向かってうなずきで応えながら、目はレオンと少女の間を絶えず行き来させ、心の中には好奇心が渦巻いている。


「レオン様……いつ頃……お知り合いに……なられたんでしょうか?」


レオンはジャスミンの戸惑った様子を見て、思わず軽く笑う、その口調には遊び心が含まれている。


「どうしたんだ? ジャスミン?」


「い、いいえ……何でもありません……レオン様。」


ジャスミンは耳元の髪をかき上げる、その赤い瞳は少し泳いでいる、レオンは何も言わず、少女を連れてプーヤの席へと向かう。


女はレオンについて行かず、その目は妖精の少女に向けられる、その目には励ましの色が浮かんでおり、その声は穏やかだ。


「ヴィナ、後はあなたに任せるわ。」


ヴィナは女の目を見つめ、深く息を吸い込む、その顔には標準的な笑顔が浮かび、最初に慌てて泳いでいた目も、今は固い決意に満ちている。


「お任せください、姐さん!」


その時、レオンはアリットと並んで座る、二人は互いにうなずき合う、向かい側では、プーヤがすでにジャスミンと打ち解けていた、少女はジャスミンを見つめ、その目には賞賛の色が満ちている、その声は柔らかい。


「ジャスミンさん、本当にお肌が綺麗ですね、いつもどんなものでお手入れされているんですか?」


ジャスミンは頭上の魔導石を一瞥する、少女のまぶたがわずかに下がり、白い睫毛が微かに震える、彼女は少し考えてから言う。


「そうですか? 私は錬金美容品などは使っていませんよ、普段はお風呂に入る時に、時々花びらを散らすくらいです。」


「本当ですか? 嘘じゃないですよね!」


プーヤの目は見開かれ、その桃色の唇もわずかに開かれる、アリットとレオンは目を合わせ、二人は苦笑いしながら首を振る、全ては二人が説明するまでもないことだった。


その時、ヴィナが紙のメニューを握りしめて、ゆっくりとレオンの傍らに歩み寄る、彼女は水平にメニューを彼の前に差し出す。


「お客様、ご注文はお決まりですか?」


レオンはまぶたを上げて紙面を一瞥し、手を上げて直接ジャスミンの方へと押しやる、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。


「ジャスミン、食べたいものを選んでくれ、何でもいい、君が好きなもので。」


ジャスミンは軽くうなずき、微笑みを浮かべて遠慮しない、少女はすんなりとメニューを受け取り、その目は一項目一項目と料理名を行き来する、真剣に比較検討した後、彼女はメニューをレオンに差し返し、その口調にはかすかな満足感が滲んでいる。


「特製焼き魔竜のステーキを一つ、それにクリームマッシュルームスープと、ジュースを一杯お願いします。」


レオンはメニューを受け取り、適当に牛乳を一杯、パンケーキを一皿、そして牛肉のスープを一碗選ぶ。


レオンの隣に座るアリットは、向かいのプーヤをちらりと見る、ヴィナを見て、彼は付け加えるように言う。


「すみません、ケーキをもう一つ追加で。」


プーヤは微かに口を尖らせる、レオンとジャスミンが自分のテーブルの端に積まれた数枚の空の皿に気づいたのを察し、彼女はそっと拳を握って口元に当て、軽く咳を一つして気まずさを隠す、


「お食事の後は、どうされるおつもりですか?」


レオンは手を上げてヴィナに軽く合図する、ヴィナは少年の意図を理解し、微かに身をかがめてから、振り返ってカウンターへと向かう、少女が去るのを見届けてから、レオンは再びプーヤを見て、口を開いて答える。


「時間はまだ十分にある、食事の後、まずは物資を調達して、その後学院に登校するつもりだ。」


「え? 本当ですか?」


プーヤの眉が上がり、その顔には意外そうな表情が浮かぶ。


「はい、レオン様がそうお決めになりました。」


ジャスミンが隣で軽くうなずく、その指先は無意識にテーブルの木目の縁を撫でている、アリットの眉間が少し引き締まり、彼は少し考えてから言う。


「よろしければ、プーヤ様もご一緒させていただけないでしょうか。」


アリットの言葉を聞いて、プーヤは反論せず、むしろ納得したようにうなずく、ジャスミンは何も言わず、ただ視線をレオンに落とし、唇を微かに引き結んで、レオンの答えを待つ。


レオンは三人の視線を感じ、軽く笑う、その碧い瞳は光に照らされて輝き、明るい光の弧を放つ、右手の指先が軽く脚を叩き、その口調は気軽だ。


「もちろん構わない。」


四人は何気なくいくつかの話題を交わしながら、料理が運ばれてくるのを待つ、しかし彼らが錬金材料についての話題を議論していると、隣で突然、重い机を叩く音が響く。


音は酒場の中に響き渡り、多くの人々が横目で注視する、料理を運んでいた少女は驚き、トレイの中の食べ物が落ちそうになる、その危急の瞬間、一人の冒険者が手を差し伸べて彼女のトレイを支えた。


「大丈夫か?」


「大丈夫です、大丈夫、ありがとうございます。」


少女は慌ててトレイを握りしめ、冒険者にうなずいて感謝を示す。


ある者は驚いて手にしていたナイフとフォークを床に落とし、慌てて拾い上げる、ある者は眉をひそめ、まぶたを細めて、顔には不満の色が浮かび、机の上に置いた拳も徐々に握り締められる。


空気は見えない圧力で凝固し、静まり返って呼吸の音さえもはっきりと聞こえる、しかし誰も行動を起こさず、彼らはただその男を見つめ、説明を待つ。


短髪の私服の男は表情が怒りに満ち、額には青筋が浮き出ている、その顔色は茹でた蝦のように赤く、どうやら酔っているようだ、彼の体と顔は酒で濡れ、机の上の木の杯は割れており、ひび割れから酒が絶えず溢れ出し、さらに机の端へと流れていく。


ポタッ、ポタッ!


酒場は非常に静かで、誰も声を発さない、ただ酒が床に滴り落ちる音だけが聞こえる、男の向かいに座っていた青年は慌てて立ち上がり、全ての人に向かって深く頭を下げる。


「大変申し訳ございません! 本当に申し訳ありません! 私のこの友人がどうしても気分が優れず、皆様にこの場を借りてお詫び申し上げます!」


「お前たち、何をやってるんだ!」


「喧嘩でもしたいのか、この野郎!」


「飯を食う気がないならとっとと出て行け! ここはお前たちの店だと思ってるのか!」


「その態度は何だ? この野郎! 過ちを犯した者に謝らせろ!」


他の者たちが反応する、彼らの声が二人の間を飛び交う、ある者は表情に苛立ちを露わにし、ある者は問い詰めるような不満の色を浮かべ、さらには袖をまくり上げ、手にした武器を握り締める者もいる。


ヴィナは女の後ろに隠れ、その指先は白くなるほど握り締められている、その口調には恐怖が含まれている。


「どうしましょう……エイドリ姐さん……」


エイドリの眉はひそめられ、その表情には厳しさが浮かんでいる、火薬臭く満ちた酒場を見て、彼女は軽くため息をつき、顔に職業的な笑顔を貼り付ける。


「皆様! 皆様! どうか一言お聞きください。」


「どうしたんだ? 女将さん?」


「まさか、あいつらをかばうつもりじゃないだろうな?」


女の声が響き、人々は一時的に男への非難をやめ、視線をエイドリに移す、彼らの戸惑った表情を見て、彼女は喉を鳴らし、笑顔で言う。


「こういうことなんです、皆様、私はどちらかをかばおうとしているわけではございません……ただ……」


ここで彼女は一呼吸置き、ヴィナに合図を送る、少女はその意図を理解し、慌ててカウンターへと走っていく、その後、彼女は続けて言う。


「皆様、我々は外に出ていれば誰でも気分の優れない時があります、時には他人に影響されることもあるでしょう。」


「もし皆様に酒場で喧嘩をさせてしまえば、私自身も巻き込まれてしまいます、店が壊れるのは構いませんが、結局は皆さん刑務所行きです、これは全くの割に合わない商売ですからね。」


エイドリの言葉を聞いて、ある者は既に心の中の怒りを鎮め、立ち上がっていた体もゆっくりと腰を下ろす、また、納得したようにうなずく者もいる。


女は深く息を吸い込み、顔には相変わらずあの職業的な偽りの笑顔を浮かべている、彼女は続けて言う。


「皆さん、外に出て生活のために働く者同士です、誰にでも気分の優れない時はあるでしょう? お互いに理解し合って、この件はなかったことにしませんか。」


彼女は手を顎の下に置き、数秒考えた後、さらに言う。


「こうしましょう、本日は全員のご飲食代を一律一割引きとさせていただきます、皆さん、どうかごゆっくりお楽しみください、些細なことで言い争う必要はございません。」


言い終えると、ヴィナが彼女のところへ歩いてくる、その手には木の杯が握られており、表面にはたっぷりと白い泡が覆っている、彼女は少女から麦酒の杯を受け取り、全ての人の方向に向かって順に杯を掲げる。


ゴクン……


エイドリは一気に麦酒を飲み干す、顔には笑顔が浮かび、全ての人を見渡す、ようやく雰囲気が弛緩し、一人ひとりの顔色もだいぶ和らいだ、ある者は男に向かって軽蔑の息を吐き出し、ある者はグラスを手に取ってエイドリに掲げる。


青年はようやく息をつく、彼はまるで力が抜けたかのように、全身を椅子に投げ出す、彼は男を一目見るが、相手はただ沈黙しているだけだ、彼の目は複雑な色を帯びてエイドリを見つめ、再びうつむく。


青年は体を起こし、ナプキンを手に取って自分の方へ流れてくる酒を拭き取りながら、困ったような口調で言う。


「それで、もしあれがまた現れたらどうするんだ?」


「分からない、もうあの奴にはうんざりだ。」


男は鼻を鳴らし、青年と同じように酒を拭き取る、男が机を拭いている時、彼の右手の手首の内側に一つの印が刻まれているのが見える。


印は黒い竜の頭の紋様で、紋様の後ろには一対の黒い翼もある、非常に奇怪に見える、レオンはそれに気づき、そのまぶたがわずかに下がる。


隣ではジャスミンとプーヤがまだ会話を続けている、二人の会話の内容は相変わらず肌の手入れや服装のコーディネート、その他の趣味についてだ……


アリットは口を挟まず、黙って窓の外を行き交う人々を見つめている、その目は平淡で、何を考えているのか分からない、ただレオンだけが静かに二人の会話を聞き、指先で軽く机の表面を叩いている。


青年は仕方なさそうに首を振り、木の杯を手に取って麦酒を大口で飲む、苦い酒の味が味蕾の上で弾ける、彼は男を見てさらに言う。


「それはそうだな、ただ、王都の防御はずっと受け身だ、あいつが魔力を使わなければ、あるいは悪意を持って攻撃してこなければ、城壁に刻まれた銘紋は飾り同然だ……」


「そうだ、あの野郎はもう数十回も俺たちをからかってやがる、聖竜騎士団の飛竜はただの役立たずだ、あいつの鱗にすら触れたことがない。」


男はうなずき、ステーキを一枚手に取って口に放り込む、彼は作法など無視して大口で噛み、脂が口元から垂れても全く気にしない。


カツカツと足音が聞こえてくる、レオンは横を向く、ヴィナがもう一人の少女を連れて、盆を手に自分たちの方向へ歩いてくる、彼女たちの顔には笑顔が浮かび、音を立てずにそっと料理を机の上に並べる。


「ありがとうございます。」


ジャスミンとプーヤはほとんど同時にそう言う、二人は互いに一瞥を交わし、顔には甘やかな笑顔が浮かぶ、レオンはヴィナともう一人の少女に向かってうなずき、彼女たちは身をかがめて立ち去る。


机の上の皿には料理が並べられている、一枚の外は焦げて中は柔らかく焼かれた魔竜のステーキ、焼き竜のステーキは皿の大部分を占め、表皮は濃い茶色に焼き上がり、縁は少しパリッとしている。


クリームマッシュルームスープは浅い陶器の椀に盛られている、スープは濃厚で、表面には細かい気泡が浮かんでいる、ミルクの香りが菌類の旨味を包み込んで立ち上り、その香りは極めて濃厚だ。


パンケーキはきれいに重ねられ、表面には均一な黄金色の焼き目がついている、牛肉のスープは深い木の椀に盛られ、スープの色は澄んでおり、琥珀色の油の光沢を帯びている。


空気中にはこれらの料理の香りが漂っている、クリームとマッシュルームの旨味、牛肉スープの醇厚さ、パンケーキの焦げた香ばしさ、そして焼き竜のステーキの香辛料と肉の香り。


ジャスミンは静かにそれを見つめ、口の中には絶えず涎が溢れている、しかし少女は行動を起こさず、レオンが先に味わうのを待っている。


レオンは木のスプーンを手に取り、牛肉のスープをそっと一すくいする、彼は軽く吹いてから口に運ぶ、口の中に広がるのは濃厚な旨味と塩気で、後味には牛骨の醇厚さが残る、細かく刻んだ香葱が加わることで、その味わいはさらに美味しくなる。


レオンはジャスミンが苦しそうに涎を飲み込む様子を見て、少し可笑しくなる、彼は眉をひそめてジャスミンを見る。


「ジャスミン? 何をぼんやりしているんだ、早く食べなさい。」


レオンの言葉を聞いて、ジャスミンはうなずく、彼女は食卓ナイフを手に取り、切り始める、カリッという音とともに、ナイフが切れ込む時に外皮が砕ける軽い音がはっきりと聞こえる、肉汁が切り口から滲み出し、白磁の皿の底に琥珀色の汁のたまりを作る。


ジャスミンは焼き竜のステーキを口に運ぶ、あの野性的な味わいが口腔の中に広がる、焦げた香ばしさが脂と香辛料の香りと混ざり合って一気に押し寄せる。


「本当ですか! 本当に美味しいですね!」


ジャスミンの目は大きく見開かれ、小さな口は焼き竜のステーキを頬張ってわずかに膨らんでいる、食べ物を詰め込んだハムスターのようで、とても可愛らしく愛嬌がある。


アリットはグラスを手に取り、また白湯を一口飲む、最初と同じで、何の味もしない、しかしプーヤの笑顔を見て、彼の口元はわずかに上がる。

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