学院編:第二十八話:不意の訪問者
ティロの視線はレオンに向けられ、海風が彼女の顔を撫でるのを感じる、淡い金色の長い巻き毛がそっと揺れる中、彼女の心中では思わず感嘆が湧き上がる。
彼女が初めてレオンに出会った時は、またあの横暴な貴族の子弟の一人かと思ったものだ。
しかしレオンの振る舞いは、目の前の少年が人付き合いにおいても、問題に対する姿勢においても、常に底知れぬ様子であることを彼女に教えていた、彼女は唇を引き結ぶ。
「正直に言うと、船賃が百五十枚の金貨だと聞いた時、確かに下心を持ちました、私は商人です、何をするにもまず利益を優先して計算します……
「最初は、もし向こうが五十枚を取るなら、私は手数料として五枚の金貨だけもらえば十分だと思っていました……」
彼女の指先は無意識にスカートの端を握り締め、指の関節が微かに白くなる、顔の表情と口調には、幾分かの自嘲が混じっている。
「でも、今回のセムール商隊の貨物の損失があまりにも大きくて、利益どころか、この旅が赤字にならずに済めばそれで満足だと思っていました、あの時、頭の中は、あなたに半分を出してもらえないか、ということばかりでした。」
「何しろ……貴族は大抵、その程度の金は持っているでしょうから、残りは……私が歯を食いしばって何とかしようと……」
「でも、この考えは最初から成り立っていませんでした、あなたは手を引くこともできたのに、それでも私を助けようとしてくれて、船代まで出してくれた、あなたに比べれば、私の器量はあまりにも小さすぎます……」
ティロは仕方なさそうに首を振り、精緻な顔に苦笑いを浮かべる、これらの言葉を口にしたことで、彼女の心の重石はようやく下りた、もうこれで悩むことはない。
少なくとも彼女自身にとっては、自分が逆にレオンに借りを作ってしまったことになる、これは数日間食事をご馳走になる程度で返せるものではない。
「商売には元々、儲けも損もつきものです、それは運の問題です、私も言いましたが、借りを作るのは好きじゃない、この件はこれで終わりで十分です。」
レオンは手すりに寄りかかり、腕をそっと欄干に乗せて、全く気にしていない様子だ。
「分かっています、でも、やはり言っておきたい、私はあなたに大きな借りを作った、もし将来、私たちの力が必要なら、ガレンムー砂漠にいる古蘭商隊に使いをよこせば、私に連絡がつきます。」
そう言って、ティロは片方の手を固く握り拳にして、そっと自分の胸の前に置く、その口調は非常に真剣で、彼女の普段の豪快さは微塵もない。
「私はティロ、世界の意志にかけて誓います、決してこの約束を違えません。」
そう言って、ティロは空間から金貨大のボタンを取り出す、全体が黄金玉で作られており、複雑な紋様が刻まれている、太陽の光の下で淡い金色の輝きを放つ、彼女はボタンを握り締め、手を上げて宙に掲げる。
レオンはしばらく考えた後、最終的に手を伸ばしてそのボタンを受け取る、指先で滑らかな表面を撫でる、まだ少し温もりが残っている、彼はボタンを空間に収め、うなずく。
「よし、それでは預かっておく。」
二人はさらにいくつか雑談を交わしたが、ちょうど甲板の扉のところにやって来たノエロアに遮られる、少女の口元にはまだ一片のパンが挟まっており、その目は澄んでいて、自分とティロを見つめている。
ジャスミンはノエロアの隣に立っており、顔にはかすかな笑みが浮かんでいる、しっかり休めたようで、昨日までの疲れは消え去っている。
「すみません、先に失礼します。」
ティロはレオンの合図を見て、振り返って背後を見る、その口調には幾分かの謝意が含まれている、レオンは何も言わず、手を上げてティロにご自由にと示す、そして再び手すりのそばに留まり、静かに海面を見つめる、その顔には何の表情も浮かんでいない。
ただ、振り返った瞬間、彼の視線は隅に立つ中年の男をかすめる、相手はきちんとした執事服を着ており、その目はずっと自分に注がれている、レオンは何も言わず、見えなかったふりをする。
ローはしばらく眺めていたが、少し体を動かす、昨夜からずっと甲板で状況を監視しており、今も休んでいない。
彼は歩みを進めてレオンのそばに来る、その声は低く、感情のない冷たさを含んでいるが、悪意はない。
「昨日はお助けいただき、ありがとうございました、あの一剣がなければ、我が家の小姐に危険が及んでいたかもしれません。」
彼は微かに身をかがめる、その姿勢は端正で、距離感の取り方が絶妙であり、プロの執事としての礼儀を十分に示している。
「お気になさらず、これは私が為すべきことでした、あなたが礼を言う必要はありません、誰であっても、きっと真っ先に助けたでしょう。」
レオンは横向きに、碧い瞳を相手に向ける、そして再び正面を向き直る、二人は互いにうなずき合い、正式に挨拶を交わしたことになる、ローはレオンを見て、その表情もいくらか和らぐ。
「しかし、恩義は恩義です、どのみち私は小姐に代わってあなたに御礼をしなければなりません、こちらは五十枚の金貨です、些少ながら、貴重品というわけではありませんが、どうかお受け取りください。」
そう言って、ローは黒い布袋を取り出す、布地は特殊な織物で縫合されており、太陽の光の下で細やかな油のような光沢を放っている、見るからに高価そうだ。
「結構です、手を出したのは私の務めだったからです、それだけのことです、あなたが報酬をくれる必要はありません、彼女が無事でそれで十分です。」
レオンはそっと手を上げる、その口調は依然として固く、幼い顔立ちには平淡さが満ちている、ローは少し迷ったが、結局無理に押し付けることはしなかった、二人は前方の航路の状況について簡単に言葉を交わし、ローは歩みを進めて食堂区へ向かう、レオンはその場に立ち、彼の背中を見送る。
レオンの瞳の底にはまだかすかな笑みが浮かんでいるが、相手の背中が完全に視界から消えると、その笑みは瞬時に消え去り、また無関心な表情に戻る。
まるで、先ほどまで穏やかに人と話していた少年は、自分ではないかのように、レオンはそのままそこに立ち、風に自分の短い髪を乱されるに任せ、深い眼差しでじっと海面を見つめている……
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竜鰐事件が終わってから、五日間が経過した、竜鰐の首領の襲撃によって予定の航程が遅れた上、岩礁への衝突や黒紋血鮫との衝突を避けるため、船団はローの指示に従って絶えず迂回を続けた。
時間は高速で回る針のように、気づかないうちに静かに過ぎ去っていく、そして今、空はまだ薄暗いが、遠くの海面には、濃密な白い霧が広がっている、わずかに建物の端々が見えるだけで、遠くの景色ははっきりと見えない。
全ての船の人々はとっくに甲板に集まっている、一人ひとりの感情は異なっている、商人の中には、安堵と僥倖を感じ、連日の緊張がようやく解け、拳を握ったり開いたりして、心の底からようやく大地を踏めるという実感が湧いている者もいる。
冒険者の中には、無表情で指で剣の柄を撫でている者もいる、連日の海上での殺戮と危険な遭遇が、彼の往日の熱情を完全に消し去ってしまった。
貴族の学生たちは、もうすぐ始まる入学の生活に期待を膨らませ、その目は好奇心で満ちている、両手で手すりを掴み、心は高揚し、明日の生活を想像し始めている。
甲板は異様な静けさに包まれている、誰も話さず、ただ静かに遠くの王都を見つめ、耳元でささやく波の音に耳を傾け、頬を撫でる濃霧の湿り気を感じ、空気中に漂う海のかすかな生臭さを嗅いでいる。
その静かな海面の上で、一輪の真っ赤な太陽がゆっくりと姿を現す、まるで巨獣がその頭を持ち上げ、静かに群衆を見つめているかのようだ。
周囲の濃霧は次第に晴れていくが、王都はまだその姿を現していない、この海は赤く照らされ、海面のさざ波は血色の炎のようだ。
船団はその炎の中を絶えず波を切って進む、レオンは甲板の最前列に立ち、両手をその上に乗せ、船体と共にそっと揺れている、深夜の時から、彼は既にここに来ていた。
ジャスミンは白いローブを身に纏い、レオンの隣に立っている、その目は澄んでいるが、白い顔は厳しさで満ちている、少女の指先はそっと袖口を撫でている。
「レオン様、目的地まではあと数時間の行程です、王都の姿はもうはっきりと見えてきました。」
レオンはうなずく、相変わらずあまり感情を見せない様子だ、突然、彼の目が遠くの区域に向けられる、そこには尖った淡い紅色の背びれが一基、泳ぎ回っている、ただその背びれは非常に薄く、注意して見なければ、全く気づかれない代物だ。
「そうだな、しかし、やるべきことはしっかりやらなければならない、終点に近づいたからといって、気を緩めてはいけない。」
「承知しています。」
ジャスミンはうなずく、魔力の運用と共に、体の周りに透明な泡のような光の膜が静かに広がり、その後、猛然と数十里外に向かって拡散する、これは探査魔法の発動の兆候だ。
ヴェロシアは白いシャツを着て、その上に革のベストを羽織り、青と白の細身のズボン、足には黒い長靴を履いている、少女は隅に立っている。
彼女は濃霧の下のぼんやりとした輪郭を見つめ、心中に数ヶ月の別離の艱難と曲折が浮かび上がる、彼女の口元は微かに引き結ばれ、薄紫色の瞳には懐かしさが滲んでいる。
「ついに……帰ってきたわね、久しぶり……ファノダ。」
「そうですね、ついに戻ってきました。」
ローはうなずく、その表情は相変わらず厳しい、彼の視線はヴェロシアに移り、ここ数日ますます疲れの見える少女の表情を見て、心中に一抹の寂しさが増す、彼の手は波打つ空間に差し入れられ、そっと一枚のスカーフを取り出して少女に差し出す。
「ありがとうございます、ローおじさま。」
ヴェロシアは微笑み、手を上げてスカーフを受け取り、潤んだ目尻を拭う、ローは黙って脇に立つことを選ぶ。
ベランドは周囲の海面を見つめ、眉をしっかりと寄せている、体からは微かな魔力の波動が漂っている、テミスは彼の肩を叩き、雰囲気を和らげようとする。
「ベランド、ローの旦那の探査魔法はずっと作動している、お前も休め。」
「分かっている、でも、あの時の飛来した鱗の一件は、完全に俺たちの職務怠慢だと思っている、取り返しのつかない結果を招くところだった。」
ベランドはため息をつき、魔力を収める、その整った顔には疲れが満ちている、彼は船壁に体を預け、ゆっくりと腕を組む。
ベランドの言葉を聞いて、テミスの動作が一瞬止まる、彼のまぶたは伏せられ、指先はベランドの見えないところで握り締められる、その心情は非常に複雑だ、もしあの時、自分がヴェロシア殿下のそばに立っていれば……そうすればベランドはあんなに自分を責めたりしなかったのではないか、と思う。
一方、ティロは左手を腰に当て、右手で木製の酒杯の取っ手を握り、麦酒を一口飲む、口の中には酒の香りと苦味が広がる、彼女の眉はひそめられている。
「ようやく、こんなに長く経って、またここに戻ってきたな、でも……この荷物があまり大きく損をしませんように、元が取れればそれで十分だ……」
ポントは仕方なさそうに苦笑いする、彼は両腕を組んで体を抱きしめ、ティロを慰めるように言う。
「安心しろ、何が起ころうと、今より悪くなることはないさ。」
「少なくとも、俺たちは命を守った、これから金を稼ぐチャンスはいくらでもある。」
ポントの言葉を聞いて、ティロはもう一口麦酒を飲み、顔に諦めの笑みを浮かべる。
「それもそうだな、金は無くなってもまた稼げる、命が無くなったら、それこそ大変だ、ははは。」
ティロが突然の緊張から解放されたのを見て、遠くのノエロアは少し困惑する、彼女は女性の前に歩み寄り、その顔には不理解の色が浮かんでいる。
「姐さん、何かあったんですか?」
ティロは首を振る、その口調は非常に穏やかだ、彼女は隣で微かに微笑むポントを見て、口を開いて説明する。
「いや……何でもない、ただ感慨に耽っていただけだ。」
彼女は一呼吸置き、再び麦酒を一口飲んでから、続けて言う。
「運命についての感慨さ、もっとも、私は運命なんて信じちゃいないけどな、それは、私が知っているエヴェイム帝国の友人がよく口にしていた言葉だ。」
「彼はいつも言っていた、『運命は無常であり、全ては不確定な未来である、むやみに動くよりも、その場に座って幸運を待つのが良い』と。」
「でも、私はむしろ『事は人による』と思う、人生の至る所に選択と道がある、それをどう歩むかは、自分次第だ。」
ティロは手を上げて少女の髪をそっと撫でる、指先の柔らかさと、かすかな良い香りを感じる、彼女の目は空に向けられ、考え込む。
しかし彼女が空を見上げたその時、一つの黒い影も雲の層の中から船の上の全ての人々を睥睨している、その縦の瞳は、船に乗る全ての人を捉えている。
その影の長さは百メートルにも及び、雲の層の中で絶えず穿梭し翻弄する、一瞬前には厚い雲の中に隠れていたかと思うと、次の瞬間には別の側から輪郭を現す。
それは一切の嘶きや咆哮を発することなく、ただ黙って雲の間を遊泳する、まるで雲海に生きる巨鯨のようだ、時折、青い残像を現しては、また雲の中に隠れる、白い波濤に飲み込まれたかのように。
甲板の人々も次第に雲の層の異変に気づき始める、ある者は顔を上げて見上げるが、陽光がまぶしすぎて無意識に手を上げて目を遮り、目を細めてそれが何なのか見極めようとする。
ある者は足をわずかに止め、眼底に驚疑の色を浮かべ、厚い雲をじっと睨みつける、ある者は息を呑み、無意識に自分の指を握り締め、白くなるほど握りしめる、一人ひとりの動作と表情は異なっている。
竜鰐の戦いに参加した冒険者たちと学生たちは、腰の剣の柄と武器を握り締め、眉を無意識に寄せ、唇を噛みしめ、困難そうに唾を飲み込み、指はまだ武器を握る動作を保ったまま、彫像のようになっている。
黒い影が雲の層の中を穿梭する速度はますます速くなり、軌跡もますます高くなる、それが太陽に近い高空に達した時、その影は急降下する。
ドン!
それは鈍い音速の衝撃音を伴いながらも、雲の層に近づくと、その影は突然急上昇する、翼は一陣の轟音の風を巻き起こし、周囲の雲海を翻る波濤のように巻き上げる。
その時、その体は突然動きを止める、ただ二枚の巨大な青色の翼だけが絶えず羽ばたいている、しかし体躯は動くことができない、まるで見えない大きな手に掴まれたかのようだ。
その長さ百メートルにも及ぶ影は、雲の層の上に停止し、数秒間静止する、全ての人が息を呑み、雲の層の中の黒い影に視線を注ぎ、何が起こるのかを待っている。
次の瞬間、その速度はその場のほとんどの人が見切れないほど速く、巨大な体躯はまるで一つの隕石のように、垂直に海中へと高速で突入する。
その瞬間、ローはヴェロシアに一層の重力魔法を施したが、彼自身は手を出さなかった、ジャスミンは体を瞬時に緊張させて力を溜め、既に斬りかかるための動作を完了している。
少女の目はレオンに向けられ、少年の指示を待つ、しかしレオンはただそっと手を上げてジャスミンを制止する、少女の動作は突然停止し、体もリラックスする、赤い瞳は黙って見守る。
ドン!
巨大な水の幕が天に向かって吹き上がる、高さは数十メートルにもなる、海水は大きな窪みを作り、海水は急速に収縮し、再び跳ね返り、最終的にゆっくりと元に戻る。
ただ、大量の白い泡と波濤が四方八方に狂ったように広がる、五十数隻の船はこの衝撃波に押され、激しく揺れ始める、多くの甲板上の人々は慌てて手すりを掴むか、重力魔法を使って体勢を安定させる。
水しぶきが落ち、海面はしばらく荒れ狂った後、次第に平静を取り戻す、しかし、あの黒い影は二度と水面に浮かび上がることはなかった。
甲板は死のような静寂に包まれる、多くの人が慌てて手すりのそばにうつ伏せになり、その目は遠くの平静を取り戻した海面を見つめ、その心中は不安でいっぱいだった……




