学院編:第二十六話:亡霊が落とした羽
ジャスミンは傍らで静かにその光景を見守り、時折、納得したようにうなずいた、少女の目には認める色が浮かんでいる。
レオンはヴェロシアの解答を聞きながら、少女の身にまとう、一般大衆には属さない気質を感じ取っていた、そのことで彼の心中に一つの推測が浮かび上がる、その推測が何なのか、彼の顔から微塵も読み取れる者はいない。
「よかった、ようやく終わった! 今夜は必ず祝勝会を開いて、諸君らの勇士をねぎらおう!」
「はあ……彼らやあの法則級の強者がいてくれてよかった……もし彼らがいなければ、俺たちは今日ここで命を落としていただろうな……」
「あの竜鰐の死骸……少なくとも千枚以上の金貨の価値はあるだろうな……」
船団の人々が次々と船室から出てくる、九死に一生を得た僥倖が顔に書いてある、大声で笑い合い、雑談を交わす者、甲板に座り込んで大きく息を吐き出し、顔中に疲れを浮かべる者、そして竜鰐の死骸を睨みつけ、目に貪欲さと計算の光を宿す者もいる。
ローはそんな下心のある商人や冒険者たちを視界に入れない、危険が来れば後退し、戦いに勝利すれば分配にあずかろうとするような連中を、彼は心の底から嫌悪していた、生き延びられただけで最良の結果であるというのに、人間の貪欲さとはそういうもので、満足するということを決して知らないのだ。
彼は振り返って戦いに参加した勇士たちを見る、冒険者たち、貴族の学生たちとその従者たち――彼らの顔には血の跡が飛び散り、戦いでついた傷跡が残っている、彼の口調は冷たく、厳しい。
「戦場の竜鰐の死骸は、戦いに参加した全ての者が処分する権利を持つ、他の者は、余計な心配はしない方がいい、自重するように。」
言い終えると、彼は目を輝かせていた投機家たちに構うことなく、ヴェロシアを連れて船内へと歩いていく、人々は自然と彼らのために道を開け、その目は尊敬と理解に満ちていた、投機家たちは完全に諦めてため息をつき、船壁に沿って甲板に座り込んだ。
テミスはベランドを支えながら甲板に飛び乗る、人々と冒険者たちがすぐに彼らの周りに集まり、笑顔を浮かべる。
「今回は本当にあなた方のおかげです、あなた方がいなければ、私たちはどうなっていたか……」
「そうだよ、ベランド隊長、あなたの指揮は本当にタイミングが良かった!」
「さすがはファムヤ様の右腕だな。」
「テミス隊長のあの氷の船の救援は本当に助かりました!」
テミスとベランドは目を合わせ、先ほどの六十数人の冒険者たちと、今の四十数人を見比べる、彼らの眉はしっかりと寄せられ、海面に向き直り、仕方なさそうに首を振る、その口調は重い。
「いや、これは俺たち二人だけの手柄じゃない、立ち上がってくれた皆さん……そして帰らなかった勇士たち……全員の手柄だ。」
「そうだ、俺たちはただ臨時の指揮を執っただけだ、本当に戦線を支えたのは、皆の連携だ。」
この言葉を聞いて、人々の表情はそれぞれ異なる、隣の仲間の肩を叩いて大笑いする者、亡くなった者たちを惜しみ敬う者、ベランドとテミスの傷を気遣う者もいる。
皆が勝利の雰囲気に浸っているが、ベランドとテミスの二人だけはどこか悲しみを感じていた、心の底にある、戦死者への重い想いは、勝利によって消え去ることはなく、見えない透明な傷跡として残り続けていた。
ジャスミンの顔の疲れはさらにひどくなっていた、レオンは彼女の様子に気づき、話しかけようとしてきた冒険者や同じ学院の貴族の少年少女たちを手で断る、彼はジャスミンを見て、優しい顔で言う。
「ジャスミン、ご苦労だった、もう全て終わった、先にしっかり休みなさい、夕食は後で持っていくから。」
ジャスミンは軽く笑う、顔の疲れは隠せないが、その笑顔には変わらず優しさが満ちている。
「そんなにお手数をおかけしなくても大丈夫ですよ、レオン様、お知らせいただければそれで結構です。」
彼女は足を踏み出して休憩区へ向かう、その時、話し込んでいたティロとノエロア、ポントたちがジャスミンとレオンの方を見る、ティロはポントに何かを伝え、急いでノエロアを連れてジャスミンを追いかける。
二人はジャスミンを支える、ジャスミンは自分は大したことはないと言うが、それでも二人の好意に包まれ、彼女たちに支えられるままに任せる、ポントはレオンのそばに歩み寄り、甲板の手すりに軽く寄りかかり、レオンを見て感慨深げな口調で言う。
「お前のあの一撃……本当に速かったな。」
「はは、ただ咄嗟に剣を出しただけだ、大したことじゃない、何しろあの鱗の破片は二重の護盾で力を殺がれていたから、元々たいした威力はなかった、俺はちょうどいいタイミングで手を出しただけだ。」
レオンは彼の隣に立ち、両手を手すりに掛け、表面は静かな血の海を見つめながら、少し冗談めかした口調で言う。
ポントは水平線の彼方を見る、真っ赤な夕日がゆっくりと沈み、全ての人を照らし出し、非常に幻想的に見える。
レオンは彼を見る、ポントの視界では、夕日がレオンの片方の横顔を明るく照らし、もう片方の横顔は影に隠れている、輪郭はぼんやりとして、いつでも闇と一体化してしまいそうだ。
血の色の海面には竜鰐の断肢が漂い、海に沈む夕日は血の色をさらに恐ろしく映し出す、楽しそうに語り合う人々――三つの光景が重なり合い、画家が描いた奇妙な絵画のようであり、夢のように朦朧とした雰囲気に満ちている。
ポントにはやはり、少年が何を考えているのか分からない、彼は波打つ空間からゆっくりと二つの生命果を取り出し、一番大きなものをレオンに差し出し、笑顔を浮かべる。
「まあ……追求しないことにするよ、それぞれの秘密ってやつは、口に出したら秘密じゃなくなるからな、ほら! 生命果を一つ食べて、しっかり補充しな。」
レオンは断らず、生命果を受け取り簡単に礼を言うと、口に入れて一口かじる、濃厚な果実の香りと微かな甘みが彼の口の中に広がる、彼は隣のポントに視線を向け、穏やかな口調で言う。
「ところで、君たちは今回王都に行った後、今後はどうするんだ?」
ポントは一口で生命果をかじり、体をかがめてゆっくりと甲板に座る、顔には相変わらずあの爽やかな笑顔が浮かんでいる。
「さあな……俺はただティロの姐さんについて行って暮らしてるだけだ、商売のあるところに、俺たちは行くんだ。」
彼は顔を上げて少し考え、また生命果を噛みながら、ぼんやりとした口調で言う。
「うーん……でも、もし予定通りなら、俺たちはここの取引が終わったらガレンムー砂漠に戻る、その後は……もしかしたら律枢亜に行くかもしれない。」
「そうか……そうなると、しばらく会えなくなるな、あるいは、もう二度と会えなくなるかもしれない。」
レオンはうなずき、また一口生命果をかじる、口調は淡々としており、顔には考え込むような表情が浮かんでいる、視線は遠くに漂う竜鰐の死骸を見つめ、次に甲板で忙しそうに動き回る冒険者たちに向けられる、彼らの手には特製の解体ナイフが握られている。
冒険者たちが忙しそうに動く様子を見ると、どうやら海面へ出る準備をしているようだ、しかし彼や同じ貴族の学生たちにとっては、そんなものは必要ない、所持金も十分にある。
一方、戦いに参加した学生たちは甲板に座り込み、貴族の風格など微塵もない、今はただ疲れ果てており、しっかり休みたいだけだ、収集する必要など全くない、何しろ彼らのそもそもの目的は、心から船に乗っている人々を助けたいというものだったからだ。
もちろん、戦いに参加しなかった学生たちも全く気にしていないし、非難する者もいない、どう行動するかは、それぞれの個人の選択の結果だ。
「そうだな、でも運命ってやつは……結局は自分次第のものだ、もしかしたら、いつかまた会えるかもしれない。」
ポントは最後の一口の生命果を口に放り込み、片手で体を支えて立ち上がる、そして、ついていない埃をはたき落とし、笑顔でレオンを見る。
レオンは微かに微笑み、手を上げてポントにご自由にと示す、ポントは他の冒険者たちと共に船の下へ材料を収集しに行く。
レオンもゆっくりと立ち上がる、海風が彼の黒いローブを吹き上げ、半空で絶えず揺れる、彼の目はベランドとテミスの二人に向けられ、瞳には彼らの姿が映っている、何を考えているのかは分からない。
彼はまぶたを伏せ、背筋を真っ直ぐに伸ばし、ゆっくりと休憩区へ歩いていく、背後では人々が絶えず話し合い、騒いでいるが、全ては彼には関係ない。
空の雲はとっくに晴れ渡り、空気には雨上がりの清新な湿り気、雪の後の空霊さと微かな寒さ、そして処理された後の竜鰐の血が染み込んだ血色の海面から漂う、かすかな生臭さが混ざっている。
月は白く清らかな光を放ち、血色の海面に映る姿は極めて異様だ、まるで海の底に沈む巨大な生物の眼のように、全ての船の窓に映る人影を静かに見つめている。
「うはあ! やっぱり戦いの後は、麦酒を一杯やるのが最高だな!」
ティロは一杯の麦酒を飲み干す、唇にはまだ酒の泡がたくさん付いており、顔は喜びに満ちている、彼女のそばには、戦いに参加した冒険者たちも大勢いて、今日の戦いの詳細や収穫について語り合っている。
「知ってるか? 俺が例の竜鰐をやった時、この巨槌の攻撃がどれだけ強烈だったか! 半年かけて貯めた資産で作り上げた強力な武器なんだぞ!」
ドワーフの冒険者は顔を赤くして飲み、笑顔で自分の仲間を見ながら、自分の戦いの過程と武器について語り、杯を掲げて向かいの蜥蜴人の冒険者に乾杯を促す、
隣の蜥蜴人の冒険者は口元を緩めて笑みを浮かべ、ドワーフの冒険者と乾杯し、自分の杯の麦酒を一気に飲み干す、鱗に覆われた手にはまだ焼き肉のプレートを持っており、大口を開けて噛みながら、少しぼんやりとした口調で言う。
「うーん……プラティ、お前のその巨槌は確かにすごいが、俺のこの猛毒ダンジョンの素材で作った短剣も負けてないぞ、ははは!」
「そうだな! 使う者が誰かってのもあるけどな! はははは!」
プラティは焼き鳥の腿を引きちぎり、無造作に口に放り込む、髭には酒の泡と食べ物の油がべったりと付いているが、彼は全く気にしない、ドワーフ一族はこんな風に大ざっぱなのだ。
プーヤは軽く椅子に寄りかかり、目は食堂区の中央にいる冒険者たちを見つめている、空気中には食べ物と酒の香りが漂い、賑やかな話し声と笑い声が絶え間なく続く。
彼らは陽気な踊りを踊り始める、姿勢はとても滑稽だが、ホールに流れる音楽に合わせると、意外にもリズム感がある、一人ひとりの顔には活力が満ち溢れ、戦いの疲れもすっかり吹き飛んだようだ。
「プーヤ様、今日の戦い、お疲れ様でした。」
アリットは手にした赤ワインを軽く一口含み、その目は珍しく穏やかになる、それを見てプーヤはゆっくりとため息をつく、彼女はまた少年に叱られると思っていた、アリットも自分のためを思ってのことだと分かっているからだ。
「いいえ、私にはまだまだ学ぶことがたくさんあります。」
プーヤは冒険者たちから視線を外し、アリットの顔に向ける、彼の言葉を聞いて、プーヤは指先で耳元に垂れる髪をそっと巻きつけ、唇を軽く引き結ぶ。
そう言って、彼女は隣のミルクを手に取り、アリットと乾杯する、二人は目を合わせ、思わず軽く笑い合う、プーヤは杯を唇の辺りに留め、こっそりとティロの方を見てから、再び杯の中のミルクに視線を集中させ、ためらわずに一気に飲み干す。
ポントはレオンの隣に座り、向かいにはノエロアが座っている、三人は食堂区の中央にいるティロを見つめている、彼女はあの戦場にいたエルフの冒険者と話し込んでおり、二人の顔には笑顔が満ちている。
「ははは、今日のお前のあの一矢、見たぞ! すごかったな!」
「ふふ、そんなことありません、私一人でできたことではありません、皆さんの成果です。」
しかし遠くで二人の会話を見ている三人には、ティロが何を話しているのか聞こえない、ただ、二人の顔に笑顔が浮かんでいるのを見ると、雰囲気は良さそうだ。
「いい雰囲気ですね〜」
ノエロアは左手を机に突き、白くて可愛らしい顔を支えながら、穏やかな口調で言う、その明るい瞳は微かに細められている、彼女は右手でそっとプリンを一口すくい、口に運ぶ、柔らかくて弾力のあるプリンが口の中で溶け、濃厚なミルクの風味と微かな甘みが広がる、彼女の好みにぴったりだ。
「ははは! 見ろよ、ノエロアはこういう姿が可愛いんだよな! いつものあの不機嫌そうな表情はどこに行ったんだ?」
ポントはレオンと目を合わせ、その後ノエロアを見て思わず大笑いする、顔にはからかうような表情が浮かんでいる。
「うるさい! 可愛いとか! そんなの私には似合わない! 私は姐さんのような女になるんだ!」
ノエロアは白目をむき、ポントを見てまたあの不機嫌そうな表情を浮かべる、両頬を膨らませて、まるで河豚のようだ、しかし彼女の様子に気づいた他の人々から見れば、ノエロアはとても可愛らしい。
レオンは彼らの軽口の応酬を聞きながら、耳元に二つの足音が聞こえてくる、彼の視線がその方向をかすめ、すぐにまた戻される、彼は再びナイフとフォークを手に取り、柔らかくてジューシーなステーキを切り分け、ゆっくりと口に運ぶ。
新鮮な肉汁が口の中に広がる、黒胡椒の風味が絶妙に牛肉の旨味を引き出し、とても美味しい。
ザアザアと、耳元に波の音が響く、明月は依然として空に浮かび、血のように赤い海面に映っている、ただし色はかなり薄れ、海面はピンク色に変わっていた、空気中にはあの嫌な臭いが残っている。
トントンと、足音が階段に響き、一つの扉の前まで続く、ベランドが木の扉を押し開け、テミスを先に出してやる、彼の手にはまだ二杯の麦酒があり、扉を開けるのは不便だからだ。
一陣の微風が彼らに向かって吹き付け、二人の短い髪を揺らす、少し寒気を感じさせる、月光が彼らの肩に落ち、二本の長い影を引き伸ばす。
甲板には既にかなりの人が立っていた、麦酒を手に月を眺めながら考え込む冒険者たち、手すりにうつ伏せになって海面を見つめ、時折仲間と振り返って何事かを小声で話し合う商人たち、そして一緒に立ち話をして人脈を広げる貴族の学生たちもいる。
「やっぱりここが落ち着くな、ただ、何かが足りないんだよな……」
テミスは手すりに寄りかかり、手に持った一杯の麦酒をベランドに差し出し、軽く眉を上げる、杯は宙に浮かんでいる。
「お前の言いたいのは、あの銀髪の少女のことか? やめとけ、ははは、あの人は法則級の達人だぞ。」
ベランドは笑い、手を上げて杯を受け取り、テミスと共に海面に向き直る、片手を手すりに置き、もう一方の酒を持った手を手すりの外に掛ける、船体の揺れに合わせて、手の中の麦酒も微かなさざ波を立てる。
二人の顔は喜びと安らぎに満ちている、しかし笑っているうちに、二人は沈黙する、空気には一抹の悲しみが漂う、テミスは酒をゆっくりと傾ける、麦酒が海面に飛び散り、ジャブジャブと音を立て、多くの泡が浮かび上がる。
ベランドもテミスと同じように、その目は複雑な色に満ちている、二人は再び目を合わせ、惜しむような口調で、共にその言葉を口にする。
「帰らなかった勇士たちに捧ぐ、あなたたちこそ真の英雄だ、あなたたちの貢献に感謝する……」
ベランドとテミスのこの行動が、戦死した冒険者たちに伝わったかのようだ、彼らの想いが通じたかのように、空からはいつしか数本の黒い羽根が舞い落ち始めていた。




