学院編:第十九話:ほこりが落ち着く
パルティ酒場の賑わいはさらに増していた、行き交う冒険者、学生、商人、平民、そして貴族たちがそれぞれのテーブルに座り、冒険の危険や貨物の値段、平凡な日常、最近の集まりでの面白い話題などを語り合っている。
レオンは椅子に座り、酒場の窓から外の景色を眺め、やがてフロントのジャスミンに視線を移した、彼女は昨日の片側三つ編みの少女に何かを伝えている、少女はジャスミンの依頼を聞き終えると、うなずき、穏やかな口調で答えた。
「大丈夫です、お客様、チュッチュのこと、必ず気をつけておきますから。」
ジャスミンはその言葉を聞いて満足そうにうなずき、振り返ってレオンを見た。
「はい、本当にありがとうございます。」
「レオン様、その他の細かいことはすべて手配済みです、そろそろ出発できます。」
「行こう、誰かが待っている。」
レオンは口元に微かな笑みを浮かべ、窓の外を指差し、立ち上がって木製の扉へ向かう、ジャスミンは扉をそっと押し開け、少し体を横にずらしてレオンを先に酒場の外に出し、自分はその後ろに従った。
朝の光と喧騒が、レオンとジャスミンに同時に押し寄せる、陽光は均等に行き交う人々の上に降り注ぎ、清潔な石畳の道では、レオンは頬を打つ微風に、一夜明けてもまだ消えていないかすかな冷たさを感じた。
空気には、焼きたてのパンの香り、貴族の香水の匂い、革と飼いならされた魔獣の複雑な臭い、そして遠くの埠頭から漂うかすかな生臭さが混ざり合っていた。
通りには人々が行き交い、平民は壁際にしゃがみ込み、熱いスープを軽く吹きながら啜っている、冒険者は武器を背負い、手で口を覆いながらあくびをしている。
商人は腰をかがめて商品を整理し、時折額の汗を拭う、レオンと同じく学院へ向かう貴族の学生たちは馬車に座り、興奮した笑顔を浮かべている。
頭上では、貴族の少年がグリフィンに乗って埠頭へ向かって飛び去り、魔法使いが空飛ぶ絨毯に寝転がりながらゆったりと煉金工房の方へ漂い、魔女たちは箒に乗って教会へと向かう。
レオンは目を細めて光に慣らす。遠くに一台の古びた馬車が停まっていた、ポントは新しい平民服に着替え、あの茶色いローブはもう着ていない、彼はレオンの方に手を振り、豪快な笑みを浮かべた。
「ははは、こっちだ、ここだよ、レオン、ジャスミンさん。」
レオンとジャスミンは歩み寄り、互いにうなずいて挨拶を交わす、その時、頭上でグリフィンの鳴き声が響いた。
一輪の白いバラが空から舞い降り、素早くジャスミンの前に落ちる、彼女は反射的に手を伸ばして受け止め、赤い瞳を空に向けた。
「君に捧げるよ、美しい淑女!」
グリフィンに跨った貴族の少年が彼女にウインクを送る、その笑顔には貴族子弟特有の誇張と軽薄さが滲んでいた、彼はグリフィンの頭を軽く叩き、方向を変えて別の場所へ飛び去った。
「いやはや、薪火の街では朝しか飛行が許されてないのが幸いだな……でも、ジャスミンさんは本当に魅力的だな、ははは。ああいう貴族の坊ちゃんは好きになれませんね……」
ポントの声がジャスミンとレオンの耳に届く、彼は何かを思い出したように頭を掻き、レオンを見て申し訳なさそうに言った。
「すみません、あなたのことじゃなくて……」
「構わないよ、私もああいう人間は好きじゃない。」
レオンはポントを見て、とても穏やかな口調で言った、その言葉にポントは内心ほっと息をつき、レオンに対してより一層の敬意を抱いた。
ジャスミンは手の中の白いバラを少し迷いながら見つめる、レオンは彼女の前に歩み寄り、目に優しい笑みを浮かべて言った。
「いいよ、持っていこう、その花は……君によく似合う。」
ポントはうなずき、馬車の前まで行って扉を開け、振り返ってレオンとジャスミンを見た。
「親分は、あなたたちが酒場に馬を預けているから、埠頭まで行くのが不便だろうって言って、迎えに来るよう俺に言ったんです。」
「ありがとう、君とティロに感謝する、さあ、出発しよう。」
レオンは馬車に歩み寄る、馬車は少し古びていたが、内部は意外なほど清潔だった、ジャスミンの周りの空気が揺らぎ、彼女は白いバラを空間魔法に収め、レオンに続いて彼の向かいに座った。
「出発だ。」
ポントは御者台に座り、鞭を手に取って馬の尻を軽く打つ、馬車の車輪が回り始めた、瞬く間に、馬車は密集した商店街を抜け、住宅地へと入っていく……
平民たちは建物の前に洗濯物を干し、戸口に座って世間話をしている、通りかかった大勢の商人が馬車を止め、空き地に果てしなく続くテントを張り、商品を並べ始める、それを見た貴族や冒険者が集まり、まるで別の都市の繁華街に来たかのような賑わいを見せる、商店街よりも、ここはより自由で開放的な空気が流れていた。
馬車の中で、ジャスミンはカーテンをめくり、窓の外の景色をひと目見てから、再びレオンに視線を戻した。
「レオン様、もう住宅地に入りました、埠頭まではもうすぐです。」
「分かった、しかし、ここの住宅地は本当に賑やかだな。」
レオンは子供のような笑顔を浮かべ、窓の外を一瞥してからジャスミンに答えた、二人の雑談と、時折挟まれるポントの相槌の中で時間が過ぎ、昼近くになって、ようやく馬車は埠頭に到着した、ポントはジャスミンにいくつか伝言を頼み、その後ティロのところへ向かった。
馬車の中では、空気中の生臭さがさらに強くなっていた、ジャスミンはレオンが微かに眉をひそめたのに気づき、自分とレオンに浄化魔法を施した。
浄化魔法は透明なマントのようにレオンに纏わりつき、彼の眉をひそめさせた臭いを完全に遮断し、吸う空気も清々しくなった。
ジャスミンは先に馬車の扉を開け、軽やかに降りて、レオンが降りるのを待つ、レオンが馬車を降りると、地面の石畳は水が染み込み、隙間の苔と水たまりが混ざり合って、ぐちゅぐちゅと音を立てた。
馬車はティロの商隊の仲間によって曳かれていった、レオンとジャスミンは互いにうなずき合い、ティロのいる場所へ歩いていく。
ティロはまだノエロアやポントと乗船の手配をしているところだった、彼女は顔を上げてレオンとジャスミンの方を見ると、設計図をポントの胸に押し付け、笑顔を浮かべた。
「ははっ、いよいよ今日出発だ、準備はもう大丈夫か?」
「問題ない、ジャスミンがすべて手配してくれた。」
レオンはジャスミンを一目見る、彼女は地面に伏せて眠るグリフィンたちを眺めていたが、やがて視線をティロとノエロア、そして商隊の他のメンバーに向けた。
全員が茶色いローブを脱ぎ、普通の私服に着替えていた、特徴的な白いシャツに粗い麻のズボンという格好だ、ティロとノエロアは商隊で唯一の女性二人として、男たちのように粗末な服ではなく、質感の良い長いスカートを身にまとっていた。
ティロは淡い黄色のロングスカートを着て、小麦色の肌と首元が空気に晒され、陽光の下で成熟した女性の美しさを放っている。
ノエロアは薄紫色の紗のスカートをまとい、陽光の下で少女の清純さを漂わせ、肌は白く透き通り、周囲の冒険者、貴族、水夫、漁師たちがこっそりと彼女たちを眺め、声をかけたいが拒否されるのが怖くて躊躇している。
「ティロ、ノエロア、その服、とても似合っていますよ。」
ジャスミンは二人の前に歩み寄り、じっくりとその服装を眺めて、穏やかな口調で言った。
「ははっ、街に着いたときから着たかったんだが、いろいろ忙しくてな。」
ティロは両手を腰に当て、偉ぶる様子もなく、ジャスミンにうなずきかけた。
一方、ノエロアは軽く息を吐き出し、白い小さな顔に不満をたっぷり浮かべていた。
「私は違います、姐さんに無理やり着せられたんです……」
ティロはゆっくりとジャスミンとノエロアの手を取ると、空き地へと引っ張っていき、少女同士の話題や女性同士の話題を交わし始めた、レオンは軽く笑い、続々と船に運び込まれる荷物に視線を向ける……
空気中の生臭さに多くの人が顔をしかめていたが、ティロの商隊はジャスミンがいたおかげで、全員がその臭いから遮断され、呼吸が楽になった、多くの人が笑顔でジャスミンにお辞儀をし、感謝の言葉を述べた。
「ジャスミンさん、ありがとうございます、ずいぶん楽になりました。」
「そうですよ、この匂い、本当に耐えられなくて……」
レオンは一瞬通り過ぎた影に視線を集中させ、目を沈思させる、遮断された生臭さを除いても、空気の中には異様な芳香が漂っていた、彼は船々を見渡し、視線を一つの商会の方向に留める、何かに気づいたように、彼の口元が微かに弧を描いた。
「ふっ……なかなか賢いやり方だ……」
とある商会の二階、陽光が窓を通して、リリンのだるそうで艶めかしい顔を照らしていた。彼女はブルーサファイアのイヤリングに替え、家着の楽な私服をまとい、だるそうに贅沢な木製の椅子に寄りかかり、手にした望遠鏡を目の前に掲げて、口元を微かに吊り上げていた。
「天気は上々、すべては計画通りだ。」
埠頭では、キュウプが船首に立ち、拡声魔法でその声を全員に明確に伝えていた。
「諸君、船はまもなく出航する、至急乗船されたし。争うことなく、時間は十分にあるので、順序よく整列されたい!」
人々が動き始める、学生、商人、貴族、冒険者たちはそれぞれ船券を手に、対応する船を探し、秩序正しくスムーズに乗船していく。キュウプの言葉に苛立つ者はいなかった。
レオンとジャスミンはティロの商隊と共に一号船へと向かう、この船は他の船とは一線を画していた、船体は金属で作られ、表面には上等なチーク材が貼られ、かすかな木の香りを放っている。
板材と船壁の塗装は光沢があり、床はしっかりと沈み込む感触で、一切の雑音がない、これまで彼らが乗ってきた船とはまったく異なる——何しろ、一歩踏むごとにギシギシと鳴るようなボロ船を好む者などいないのだから。
船は全四層で、それぞれ休憩区、飲食区、娯楽区、最上層の展望区に分かれている、各階層は非常に広々としており、船内には優雅な音楽が流れ、とてもリラックスできる、先頭船として、全長七十メートルを超える船体は埠頭の中でもひときわ目立っていた。
「いやあ、すごいな……でもよ、姐さん、どうやって一号船の船券を手に入れたんだ?」
ポントは展望区に立ち、遠くのカモメたちが鳴き、波の打ち寄せる音が混ざり合う中、ティロを見て驚きの目を向けた、乗船してからというもの、全員がポントと同じように好奇心と疑問でいっぱいで、今ここに立っていてもまだ夢を見ているような気分だった。
「それはね……」
ティロは視線をレオンに向け、口元に含み笑いを浮かべる、レオンは微かに首を振り、よそを見た、彼女はこっそりノエロアと目を合わせ、助け舟を求める、ノエロアは慌てて前に出て、不満げな小さな顔を赤らめながら言った。
「秘密!」
ノエロアはポントに向かって軽く舌を出し、他の仲間たちに質問する隙を与えず、ティロとジャスミンの手を引いて船首の甲板へと向かった。
ジャスミンが引っ張られていく中、レオンはただ軽く笑い、声を極限まで低く抑え、かすかな音波がジャスミンの耳元で小さなさざ波を立てる、彼はジャスミンに伝音魔法を使った。
「構わない。船の上では楽しむといい、自由に行動してかまわないよ。」
レオンの言葉を聞いて、ジャスミンはおとなしくうなずいた、今、残されたのはレオンとポント、そして彼の仲間たちだけ、ポントは仲間たちを見て、仕方なさそうに笑いながら首を振った。
「ははは、俺たちは聞かない方がよさそうだな。」
「そうだよ、せっかくこんな体験ができるんだ、楽しもうぜ。」
「じゃあ、解散だ、それぞれこの旅を楽しめ、行こう、レオン。」
ポントは手を叩き、仲間たちを見て穏やかな笑みを浮かべると、それ以上彼らに関わらず、レオンを連れて飲食区へと向かった……
飲食区には、多くの冒険者、商人、そして彼と同じ服を着た少年少女たちが集まっていた、彼らは学校へ向かう途中の出来事や、船の豪華さを称賛し、すべてに対する憧れのときめきを語り合っている。
レオンは椅子に座り、目の前にはコーヒーと温かいミルク、そして果物が置かれている、ポントはレオンと同じ服を着た少年少女たちを見て、疑問を浮かべた。
「同級生たちと話してみないのか? 友達を多く作ることは、学院生活に役立つと思うぞ。」
レオンは彼らに視線を向け、次にカップの中の温かいミルクに落とし、目に思索を浮かべる、しばらくして、彼はポントを見た。
「君の言う通りだ、ただ、私は普段貴族の子弟とあまり付き合いがない、彼らと交流するのは好きじゃないんだ。」
「なるほどな……それも一理ある、好きじゃない世界に無理に飛び込む必要はないということか。」
「何をするにしても、自分を無理強いすることはない、自分が楽しくなることこそが目的だからな。」
ポントは笑い、窓の外の海面に視線を向ける、青く、穏やかだ、しかし、その穏やかな海面の下には、言葉にできないほどの荒波と危機が常に潜んでいることを彼は知っていた。
その時、再びキュウプの声が響く、その口調は真剣だった。
「諸君、今回の王都までの旅はおよそ五日間である、船はまもなく出航する、その際、船は方向転換を行うので注意されたい!」
キュウプの言葉が終わると同時に、シュッ、ドーン! と花火の炸裂音が窓の外から聞こえ、続いて無数の花火が爆発する、船体が突然揺れ、備えていなかった数人が危うく転びそうになるが、ほとんどの人は即座に手すりを掴むか、重力魔法で体を固定した。
船体が微かに震動し、埠頭から遠ざかっていく、四層に立つ人々は埠頭の家族に手を振って別れを告げ、黙って見送る者もいれば、声を上げて泣き出す者もいた、周囲の視線を浴びて気まずさを感じた彼らは、やがて静かになった。
ジャスミン、ノエロア、ティロはテーブルに座っていた、頭上には大きな傘が広げられ、彼女たちはジュースと麦酒を飲みながら、ある話題に軽く口を押さえて笑い、また別のことに悲しみを共有する、ジャスミンは遠ざかる埠頭を見つめ、やがてティロに視線を落とした。
「ついに、私たちは王都へ向かうのですね。」
ティロは海を見つめ、感慨を込めた口調で言う、彼女は手を上げてノエロアの頭を撫で、笑みを深めた。
「そうだな……ここまで来るのは、本当に大変だった……」




