学院編:第十五話:謎かけ
トントンと、茶色の扉が叩かれた、ファムヤは窓辺から振り返り、厳しい口調で言った。
「入れ。」
扉が開かれ、一人の青いドレスを着た少女が、ややはにかみながら入ってきた、年齢は十四歳ほどで、その血のように赤い瞳には笑みが満ちていた。
輝く金の長い髪が、彼女の歩みに合わせて絶えず揺れていた、目の前の少女を見て、ファムヤの顔に浮かんでいた厳しさは、すぐに温和な寵愛へと変わった。
「ヴィオラ、私の愛しい娘よ、何か用か?」
ヴィオラはファムヤの前に歩み寄り、白い小さな顔を突然膨らませると、両手を広げてファムヤの腰に抱きついた、ファムヤもその流れで少女を抱き上げ、自分の席に回ってから少女を自分の膝の上に座らせた、ヴィオラの口調には、彼女特有のいたずらっぽさが込められていた。
「お父様、またベランドお兄ちゃんを叱ったでしょう? 彼はもうとても頑張っているのに、もう罰しないでくださいよ……」
少女の細い腕が彼の首に絡まり、その期待に満ちた瞳をまっすぐに見つめてくる、ファムヤは仕方なさそうに少女の頭頂を撫でながら、少し頭が痛いと感じていた。
「愛しい娘よ、これは叱っているわけではない、彼のためであり、薪火の街の人々のためでもあるのだ……」
「分かっているわ、でもお父様、ベランドお兄ちゃんは本当に頑張っているのよ……彼を海に放り込んで龍鰐の餌にしないでくださいよ……ね? いいでしょう?」
目の前の愛らしい少女を見て、ファムヤは仕方なさそうに顔を覆った、その眼底には苦さが満ちていた、なぜか彼には、自分の娘が自分よりも彼の養子を気にかけているように思えてならなかった、それでも彼はそっと少女の額を指で弾き、寵愛を込めた口調で言った。
「よし、約束しよう、だが、これが最後だぞ。」
ヴィオラはファムヤの膝から飛び降りた、彼女は父親の同意を得たからといって得意げになることはなく、まず父親のために茶を一杯注ぎ、彼の手に渡した。
それから彼の背後に回り、そっと肩を揉み始めた、ヴィオラの力は非常に弱く、ファムヤの肩を揉むには全く力不足だったが、彼は気持ちよさそうなふりを装った、彼は少女の行動に大きな欣慰を覚えていた、彼にとって、自分の娘はこんなにも愛らしいのだ。
彼は茶碗を手に取り、そっと一口含んだ、その時、再び扉の外からノックの音が聞こえてきた、彼は手にした茶碗を木の机の上に置いた。
「入れ。」
ファムヤの口調は厳しさに満ちていた、しかし次の瞬間、あの木の机がついに耐え切れず、ドンという音とともに粉々に砕け散り、木屑の山と化した……
扉が開かれ、ロウが入り口に立っていた、無表情で地面の木屑を見つめている、ヴィロシアがロウの背後から顔を覗かせ、その視線は満ちる木屑へ、そしてファムヤのまだ宙に浮いた手へ、最後に脇に立つヴィオラへと向けられ、その口調には困惑が満ちていた。
「ファムヤ叔父様……あなたは……何を……しているのですか……」
ファムヤの手はまだ茶碗を置く動作のまま固まっていた、彼の表情は凍りつき、口を開けかけては、この状況を説明する言葉を探したが、結局沈黙を選び、一言も発しなかった。
しばらく沈黙した後、彼はゆっくりと手を下ろし、まるで自分に関係のないことでも起きたかのような平静な口調で言った。
「机が……品質不良だった。」
ヴィオラは口を押さえ、その瞳にはさらに笑みが濃くなり、肩が微かに震えていた、ヴィロシアは一瞬呆け、奇妙な表情を浮かべた、ただロウだけは相変わらず無表情だったが、何も言わず、ただ再び扉を閉めた、彼はこれが紅竜統領に残す……最後の体裁だと考えたのだ。
新しい部屋の扉が開かれた、ヴィオラはヴィロシアの隣に座り、腕をヴィロシアの腕に絡め、頭をヴィロシアの肩に寄せかけた、少女は手を上げてそっとヴィオラの小さな顔を抓み、その口調は温和だった。
「こんなに長い間会っていなかったのに、相変わらずやんちゃなんだね。」
「えへへ、ヴィロシアお姉ちゃん、みんな私のことが大好きなんだよ!」
ファムヤとロウは一方に座り、ファムヤはロウを見つめて表情を厳しくした。
「君たちはあの場所にそんなに長くいたが、本当に大丈夫だったのか?」
「それは……何せ帝皇のご指示ですから、ヴィロシア王女は……いつかは知るべきことですからね……」
ロウはしばらく考えてから答えた、その口調も厳しさに満ちていた。
「今、王都に戻ろうとすれば、おそらく困難だろう……私の得た情報によれば、まだ運航している船隊は、一社だけだそうだ……」
「王都の船については……ふん……あの他の派閥の連中が、そんなに親切なわけがない、私を標的にするので精一杯だろう……」
ファムヤは冷笑を一つ漏らし、顔には不屑の色が満ちていた、彼の心の中では思わず考えが巡っていた。
かつて自分が一身でこの薪火の街を支えていなければ、あの老いぼれ権臣派どもが、自分と妻、そして帝王派全体をどう扱っていたことか、今なお対等な立場を保っていられるのは、すべて帝皇のおかげだ、しかし帝皇の身体は……
彼はヴィロシアとロウを見つめ、関心を込めた口調で尋ねた。
「君たちはいつ出発するんだ?」
ヴィロシアはファムヤを見つめ、目を上げて天井を見つめ、しばらく考えた後、探るように言った。
「明日の正午前に出発したいのですが……よろしいでしょうか、ファムヤ叔父様?」
彼はヴィオラの目を見た、少女は彼にこっそりとウインクしていた、ファムヤは頷いて返事をし、その口調は温和だった、それは彼が自分の目で見て育ってきた子供に対して、最も心からの関心を示すものだった。
「もちろん構わない、いつでも手配できる、今夜は統領署で泊まっていきなさい。」
「それでは、ファムヤ叔父様、お世話になります。」
ヴィロシアは頷いた、彼女の言葉が終わらないうちに、興奮したヴィオラが立ち上がり、彼女の手を引いて部屋を出ていってしまった、残されたロウとファムヤは顔を見合わせ、仕方なさそうに苦笑いを浮かべるしかなかった。
埠頭では、ベランドとテミスが海上で船に乗っていた、二人は感知魔法を使って龍鰐の群れの手がかりを探索していたが、やはり何の変化もなかった。
テミスは魔法を解除し、そのまま船の上に動かずに寝転んだ、船体が彼の横たわりに合わせて、かなりの水しぶきを上げた、彼は青い空を見つめ、頭がひどく痛んでいた。
「ああ~本当に面倒だ、この龍鰐の群れは一体どこに隠れているんだ、俺が最上位の強者なら、ここらの水を全部汲み出してやるのに!」
ベランドも魔法を収め、船の上に座ることを選んだ、彼は果てしない海面を見つめ、潮風が彼の短髪を吹き、耳元には海鳥の鳴き声と波の音が絶えず響いていた。
「こんな調子では確かに解決にならないな、こうしようか……お前を海に放り込んでみて、龍鰐が襲ってくるかどうか見てみよう。」
「おいおい! 俺たちは兄弟じゃないのか? そんな風に兄弟を扱うのかよ!」
テミスは慌てて体を起こし、恨めしそうな顔でベランドを見つめた、ベランドはその様子に思わず笑いをこらえきれなかった。
その時、二人の耳にファムヤの声が響いた。
「お前たち、調査は一旦中止だ、あの唯一まだ営業している渡船商会の船主のところへ行き、金貨百五十枚で二つの席を買え、金のことは、明日お前たちが届けろ。」
「達成できなければ、今夜戻ってきたらお前たちの足をへし折る!」
ファムヤが言い終えると、声は消え去り、すべては再び正常な軌道に戻った、テミスは苦笑いを浮かべた。
「今度は終わったな、足をへし折られて、それから龍鰐の餌か……」
「まあいい、まずは岸に戻ろう、大したことじゃない。」
ベランドは立ち上がって体を動かし、手を上げて風魔法で船を推進させた、テミスも迷わず、同時に風魔法を使用した、二つの緑の竜巻が融合すると、強力な推力が生まれ、船は岸に向かって高速で突進していった……
有一家商会、二人は商会の大扉の前に立っていた。テミスは思わず息を呑んだ。
「本当に金持ちだな、贅沢なパリモーム材で扉を作り、銀皮で縁取りするなんて? 正気の沙汰じゃないぞ……」
ベランドは顔を覆った、彼は本当に思っていなかった、貴族の坊ちゃんが、まるで人間社会に一度も触れたことのない野生人のように振る舞うとは、彼はため息をついた。
「お前の貴族としての教養はどこに行ったんだ……」
傍らの水夫が二人の聖騎士隊長の来訪を見て、顔に敬意を浮かべた、彼らの名は薪火の街では、非常に代表的な強者として知られていた、水夫は二人の前に歩み寄り、探るような口調で言った。
「ベランド隊長、テミス副隊長、本日はどのようなご用件で当商会へ?」
「船主にお目通りしたい、ファムヤ統領のご指示だ。」
水夫は紅竜統領の名前を聞き、一片の躊躇もなく、別の若い水夫と互いに頷き合うと、すぐに脇の扉の内部へと向かった。
しばらくして、二人は許可を得た、若い水夫に案内され、水晶石で作られた階段を通り抜け、一つの扉の前に到着した、扉の前の使用人が二人に向かって微かに一礼し、扉を開けた、ベランドとテミスが中に入ると、再びそっと扉が閉められた。
「お二人の聖騎士隊長、ようこそお越しくださいました、それで……ファムヤ様に何かお力になれることはありますでしょうか?」
リリンは色気を含んだ顔を平静に保ち、相変わらずソファに座っていた、耳元の紅瑪瑙がそっと揺れ、その血のような赤い長裙が彼女を一層魅力的に引き立てていた、彼女は手を上げて二人に合図し、二人は龍鰐の皮の上を踏みしめ、一片の躊躇もなく次々と腰を下ろした。
リリンはまた手を叩き、扉の外の使用人が茶菓子を二人の前に運び、再び微かに一礼して去っていった、ベランドは目の前の女を見て、第一印象は非常に攻撃的であると感じたが、具体的にどこが違和感なのかは言えなかった。
しかし、テミスはベランドが話し出すのを待たずに、先に口を開いた、しかもファムヤから指示されたこととはまったく関係のないことだった。
「リリン船主、あなたはこんなに美しいんですね!」
リリンはテミスの言葉を聞いて、表情が一瞬固まり、すぐに口元を押さえた、その瞳は深く、しかし笑みに満ちていた。
彼女は無数の商人を見てきた、貴族も、冒険者も、役人も、誰も彼女の前に来れば、同じ芝居を演じているようだった、台詞は立派だが、目は隠せない、彼女はそれをあまりにもはっきりと見すぎて、飽きるほどだった。
彼らの目に宿る彼女への欲望は、すべて彼女の目を逃れなかった、お世辞でも、探りでも、前置きでもなく、彼はただ彼女が美しいと思ったから、それを口にしたのだ、彼女の心の中で思わず考えが巡った。
「面白い。」
リリンは手で紅い唇を覆い、その瞳の奥は深く、しかし笑みは少しも消えていなかった、彼女は笑いながら言った。
「テミス副隊長、冗談はおやめください、ファムヤ様のご用件についてお話ししましょう。」
ベランドは肩でテミスを軽く突き、顔に諦めの表情を浮かべ、軽く手を上げて咳払いを一つすると、さらに続けた。
「あの……リリン船主、ファムヤ様があなたのところで二席購入したいとのことですが、まだ船券はありますでしょうか?」
「金貨については……明日、お持ちします。」
ベランドの言葉を聞いて、リリンは机の上の白い花柄の茶碗を手に取った、淡い紅色の茶はかすかに湯気を立てていた、彼女はそっと息を吹きかけ、慌てず騒がず一口含んだ、茶碗の縁には赤い唇の跡が残り、褐色の瞳に浮かんでいた笑みは次第に平淡になっていった。
「もちろん構いませんよ、ただし……」
リリンの言葉が微かに止まる、二人の顔に疑問が浮かび、彼らは一緒に問いかけた。
「ただし?」
「ふふ、別に意味はありません、ファムヤ様からのお金は結構です、これは……私からの心ばかりの贈り物だと思ってください。」
「船券については、入り口にいるチュプに伝えてください、彼が階下のフロントに連れて行ってくれますから。」
リリンは淡々と頷き、茶碗をそっと机の上に置いた、テミスは視線を茶碗の縁の紅い唇の跡に向け、次に女の精緻な顔立ちを見つめた。
その細長いまつ毛が微かに震え、何気なくリリンと目が合うと、彼は気まずそうに忙しいふりをして、視線を部屋の中の贅沢な装飾へと向け、思わず褒め言葉を口にした。
「はは……こ、これは大きな虎の牙だな……」
リリンは彼の気取った演技に思わず笑い、手で唇を押さえながら、笑って答えた。
「あれは象牙よ、虎の牙じゃないわ。」
二人のこの何気ない雑談は、ベランドの思索を妨げることはなかった、彼は頷いて言った。
「分かりました、では、リリンさん、ファムヤ様にその旨をお伝えします、失礼します。」
彼はソファから立ち上がった、テミスは何か言いたげな様子だったが、それ以上何も言わず、ベランドに従って立ち上がった。
リリンはそっと頷き、その口調は平静に満ちていた。
「ええ、では、お見送りはしません、また機会があればお会いしましょう。」
ベランドはテミスを連れて扉を開け、チュプに数言伝えると、彼は二人を連れてフロントへ向かった、フロントでの確認を経て、ベランドは簡単に船券を手に入れた、彼が帰ろうとしたその時、テミスが足を止めた。
テミスがついてこないのを感じ、ベランドは振り返ってテミスを見た、その表情は疑問に満ちていた。
「どうした?」
「ベランド、ここで数分待っていてくれ! ちょっと用事がある!」
そう言うと、テミスはベランドの返事を待たずに、急いで水晶石の階段を駆け上がり、再びリリンの部屋へと入っていった、リリンの顔には少しの好奇心が浮かんでいた、彼女はテミスを見つめた、テミスは深く息を吸い込み、真剣な表情で一言だけ言った。
リリンは少し信じられないように感じたが、その眼底には微かに見分けがたい笑みが浮かんでいた、彼女はテミスの顔を見つめ、美しい瞳を微かに細め、ゆっくりと一言を返した。
リリンのその言葉を聞いて、テミスの顔から真剣な表情は消え去り、喜びだけが残った、彼はソファに座る女を見つめ、彼女と見つめ合った。
彼女は彼が初めて部屋に入った時と同じように美しかった、彼はリリンに向かって手を振った、リリンはただ微かに頷くだけで、テミスは振り返って立ち去った、ただ、リリンの眼底には……見分けがたい計算の色が浮かんでいた……
ベランドはフロントでしばらく待っていた、テミスが戻ってくるのを見て、安堵の息をつき、からかうような口調で言った。
「びっくりさせやがって、まさか悪いことでもしに行ったのかと思ったぞ、そうなれば、ファムヤ様の顔に泥を塗ることになる。」
「ははは、俺はいい人だぞ、悪いことなんかするわけがない、さあ、帰ろう。」
テミスは戻ってからというもの、その顔の笑みが止まることがなかった、ベランドは何があったのかは知らなかったが、さっきの言いたげで言えない様子よりは、今のテミスの方がずっと見ていて良かった。
「ああ、帰ろう。」




