学院編:第十二話:正体不明の少女
夜が更け、夜空の星々は絶え間なく瞬き、耀く光を放っていた、月は相変わらず清冷で明るく、永遠に白く潔い輝きを湛えている 、時折、一筋の流星が滑り落ち、この静寂を打ち破るが、やがて再び循環の中へと戻っていく。
草原の微風が絶え間なく吹き寄せ、茂る緑草は一方向へと傾く、そんな平凡な夜の中で、一叢の暖かな焚き火がひときわ不調和に映り、数十人の人々がその周りに座り込んでいた。
薪がパチパチと燃え弾ける音がする、月空を眺めて美景を楽しむ者、ノエロアが料理を整える様子を見つめる者、些細な日常を語り合う者、ジャスミンは火光の中で反転する焼き羊をじっと見つめ、喉がそっと上下に動いた。
ティーロとポントはその様子を見て大笑いした。その笑い声は豪快で、嘲りは微塵もなく、ただ少しのからかいが混じっていた。
「はははは、ジャスミンさん、これこそガルーン砂漠の名物料理なんですよ、他地域から来た人たちが初めてガルーンを訪れた時、真っ先に酒場で焼き砂羊を一頭注文するんです!」
「そうそう、セムールの名物料理がフラン菓子だとしたら、こっちは生まれつき肉が主食です、あなた方のように優雅にはできませんが、大口で肉を頬張り、酒を飲むのもまた、悪くないでしょう? ははは」
レオンの視線は手にした書物に注がれたままで、微動だにしなかった、しかし彼らの会話はすべて、はっきりと彼の耳に届いていた。
火焰は絶えず燃え上がり、熱気を放つ、焚き火の上には薄い煙が立ち上り、空気中には香辛料の香りと羊肉の芳醇な匂いが満ちていた。
人の半身ほどの大きさもある焼き砂羊を、ノエロアが絶えず火の上で反転させている、少女はとても華奢に見えるが、この大きさの砂羊を前にしても、まったく苦にしていない。
じゅうじゅうと、羊肉の中から脂が絶えず浮き出てくる、砂羊の表皮は微かに焦げ、香辛料の香りが脂と混ざり合い、その風味が完全に引き出されていた、羊肉全体が油の光沢を放ち、脂肪が溢れ出しては火の上に滴り落ち、一筋の煙を立ち上らせる。
遠くの周囲では、一群の黒風狼が絶えず徘徊していた、その縦瞳には貪欲さが浮かび、口からは涎が知らず知らずのうちに地面に垂れていた、彼らは焦れたように悲鳴を上げ続ける。
ティーロとノエロアは視線を交わした、少女はその意をはっきりと理解し、砂羊の最も堅実で肉厚な二本の後脚を引き裂いた、焦げた皮と淡い白い脂が流れ出し、ジャスミンは思わず唾を飲み込んだ。
「はははは、さあ、味わってみてください、レオン、ジャスミンさん。」
レオンは書物をしまい、顔には相変わらずあの温和な表情を浮かべていた。
「皆さん、ありがとうございます、しかし、この料理は量が多いので、私は少しだけで十分です。」
「はははは、それもそうだ、私のミスだ、君を大人扱いしてしまった。」
ティーロはポントの肩を叩き、思わず大笑いした、その笑い声に周りの者たちも釣られて笑う、笑い声の中で、誰かが酒杯を掲げてレオンの方に差し出し、レオンも微かに頷いて応えた。
あむ、とジャスミンがそっと羊腿に噛みつく、焦げた表皮が口の中でパリッと音を立てる、羊肉は非常に噛み応えがあり、肉の旨味と香辛料の香りが絶妙に絡み合い、互いに引き立て合って、さらに一段上の味わいを生み出していた。
彼女は思わず片手で頬を覆い、瞳を微かに細め、顔中に満足げな笑みを浮かべた、ここ数日の疲れさえも一瞬で吹き飛んだようだった。
「本当に美味しい! こんなに美味しいものを初めて食べました!」
「ははは、それはもちろん、でも、ずっと食べ続けると、少し脂っこく感じるかもしれませんよ。」
「ですから、麦芽酒や果物、野菜と一緒に召し上がることをお勧めします、羊肉はやはり少し脂っこいですからね。」
ティーロは頷き、ジャスミンが満足げな表情を浮かべるのを見ていた、ポントが麦芽酒を差し出すが、ジャスミンは手を振って断り、婉曲な笑みを浮かべた。
「ありがとうございます、でも、私はレオン様をお守りしなければならないので、お酒は結構です。」
ノエロアが一皿の野菜を差し出す、ジャスミンはその中の、まるで六芒星のような形をした紫色の果物を手に取り、少し疑問を含んだ口調で尋ねた。
「この果物の名前が気になるのですが、何というのですか?」
「その果物か、それなら、ポントに説明してもらおう。」
ティーロは隣で麦芽酒を飲んでいるポントを指さした、ポントは杯の麦芽酒を一気に飲み干し、笑いながら答えた。
「その果物はな、生命果って言うんだ。自慢じゃないけど、俺の家は代々この生命果を専門に栽培しているんだ、その話は、ある一人の人物から始まるんだよ。」
レオンは顔を上げてポントを一瞥し、それから再び羊肉を少しずつ味わった、ジャスミンは手にした羊腿を置き、興味津々で耳を傾ける、他の者たちは仕方なさそうに首を振った、彼らはよく知っていた、誰かが生命果に興味を示すたびに、この商隊の十八番が始まるのを。
ノエロアは生命果を一口かじり、不満げな小さな顔に諦めの色を浮かべたが、その声はとても小さく、自分にしか聞こえなかった。
「また始まった……」
ポントは爽やかに大笑いし、手で口元の酒の泡を拭い、わざとらしく喉を鳴らしてから、その眼底に一抹の回想を浮かべた。
「ガルーン砂漠の辺境に、『生命の街』と呼ばれる都市がある、ずっと昔、そこは環境が過酷で、一年中水源を見つけるのが難しく、よく人々が渇きで死んだものだ。」
「そんな中、一人の男が生き延びるために、僅かに残った真水だけを持って水源を探しに出かけた、彼は多くの危険に遭遇した。」
「洞窟では石岩蛇に出くわし、噛み殺されそうになり、野原では石甲熊に襲われ、生きたまま食われそうになった、まあつまり……数え切れないほどの困難に直面したんだ。」
「そしてついに、彼は果てしない砂漠の中で倒れてしまった、水はすべて二日前に飲み干していた。だから、そこまで生き延びられたのは……まあ、皆さんもお分かりだろう……」
「食べ物の邪魔になるといけないから、詳しくは言わないけど、そして、彼の喉は乾燥してもう煙が出そうで、意識も消えかけ、命がまさに終わろうとしたその時……」
ポントはわざとらしく一旦言葉を切った。彼はジャスミンと皆を見渡し、顔に微笑みを浮かべた、ジャスミンは疑問に思い追及し、他の者たちも興味があるふりをして彼を見つめた。
「それで?」
「そうだ、それでどうなった?」
レオンは他の果物を手に取り一口かじり、それから再び食事を続けた、一方、ノエロアは白目を剥き、皆を無言で見つめるような表情を浮かべた。
ポントは満足げに、ノエロアから受け取った麦芽酒を一気に半分ほど飲み干し、顔が少し赤くなった、茹でた蝦のようだった。
「ははは、それでな、彼は一人の短髪の銀髪の少女に出会ったんだ、まるでジャスミンさんの髪の毛みたいにな、そういえば、君の髪色は本当に珍しいな。」
ジャスミンは微笑みを返すだけで、説明はしなかった、彼女はポントの話を聞き続け、時折羊肉を一口頬張った。
「それで、その少女は彼に紫色の六芒星の形をした果物を一つ投げてよこしたんだ、彼が一口かじると、もう煙が出そうだった喉が潤い、体中が生命で満たされたように感じたそうだ。」
「少女は彼に一袋の種と、いくつかの生命果を渡した、彼はそれらの種を持って街に戻り、それ以来、彼はガルーン砂漠で初めて生命果を栽培した人物になったんだ。」
ジャスミンがさらに問いかける、その眉間には戸惑いの色が満ちていた。
「その少女は?」
「その少女はな……伝説で『生命の意志』と呼ばれる、ルートヴィヒ様だよ。」
ポントは笑い、再び杯の麦芽酒を一気に飲み干した、ジャスミンはルートヴィヒという名を聞いた時、その赤い瞳に一瞬の異変が走った、しかしすぐに、また「なるほど」という表情を浮かべた。
一方、レオンはとっくにすべての根源を明確に把握していた、ただ手にした食物を置き、その場の全員がもう十分に食べたことを確認すると、そろそろお開きの時間だと判断した。
ティーロはレオンの動作と、ジャスミンの異変に気づいた、彼女はポントの肩を叩き、ノエロアの位置に視線を向ける、少女は慌てて立ち上がり、ポントの背後に回り、少し諦めたような口調で言った。
「話はここまでにしましょう、この男……また飲みすぎました、レオン様、ジャスミンさん、時間も遅いですし、明日もまた旅が続きます、お早めにお休みください。」
ポントはまだ何か言おうとしたが、少女に手で口を塞がれた、彼女の顔には笑みが浮かんでおり、この男が酔いすぎているという様子だった、レオンは立ち上がり、ティーロと皆に向かって頷き、再び感謝の意を表してから、ジャスミンを連れて自分の馬車へと向かった……
朝、陽光は明るく、空気は清々しさに満ちていた、近くの水たまりには、大勢の一角獣が集まっていた、空では鳥たちが囀り、一片の生気に溢れていた。
レオンとジャスミンは洗面を済ませ、ノエロアが差し入れてくれたガルーン砂漠のパンと、生命果を絞ったジュースで簡単に朝食を済ませると、ティーロの商隊に従って再び旅立った、ジャスミンはティーロと会話を交わし、レオンは静かに本を読む、道中はとても気楽なものだった。
ポントは馬車に寄りかかってうつらうつらしており、どうやらまだ酔いが覚めていないようだ、ノエロアは御者台の端に座り、足を揺らしながら、手にした一冊の古びたノートを見つめていた、どうやら日記のようだ、他の者たちはその後ろに続き、皆が素朴な笑顔を浮かべており、他の商隊に見られるような堅苦しさは微塵もなかった。
彼らは話を交わしながら、荷物が落ちていないか注意を払っていた、それぞれが自分の持ち場で職務を全うし、ただ時折、天を突くような高塔に視線を向けることがあった、雲霧が塔身を巡り、古朴で重厚な雰囲気を漂わせていた。あれがダンジョンだった。
時は瞬く間に過ぎ去り、旅路は長かった。毎晩、ティーロはレオンとジャスミンを食事に招待した、そうして五日が過ぎ、彼らはついに王都に最も近い都市に到着した。
「レオン、ジャスミンさん、私たちはもうすぐ薪火の街に着きます、ここで一旦お別れです、私は渡し舟の商人を探して、船団を手配しなければなりません。」
「その時に、あなた方の分も一緒に申し込みます、明朝、薪火の街の埠頭で集合しましょう、一緒に渡し舟に乗ればいいですから。」
ティーロの声が届く、ジャスミンは振り返って馬車の中のレオンを見た、レオンは静かに頷き、馬車から身を乗り出してティーロを見た。
「分かりました、それでは、これからよろしくお願いします、費用はその時に、ジャスミンからお支払いします。」
ティーロは爽やかに大笑いし、顔に笑みを浮かべて手を振り、豪快な口調で言った。
「ははは、面倒だなんてことはありません、その時はまた話しましょう。では、ここで一旦別れましょう、今日という日をしっかり楽しんでください。」
ジャスミンは馬車を操り、他の私設馬車の列に並んだ、一方、ティーロたちは商人用の入口を選んだ、それぞれの城門の前には、銀白色の鎧を身にまとい、背中に赤いマントを羽織った聖騎士たちが整列していた。
すべての聖騎士たちは表情を引き締め、視線で人々を鋭く見張っていた、特に怪しい人物には注意を払っている、彼らは主に城門の治安、人流の検問、そして入城料の徴収を担当する重要な力であった。
行き交う冒険者、平民、貴族、商人、そして他種族の来訪者たちは絶え間なく続き、それぞれが各々の心事を抱えていた。
目に無関心さを浮かべる者、口元に笑みを浮かべる者、入城料の揉め事で言い争い、足を止めてそれを見物する者もいた、退屈な行列に比べれば、小さなトラブルが彼らの退屈を紛らわせてくれた。
「ふざけるな! 入城料が金貨一枚だって? 俺が一ヶ月必死に働いてやっと五枚の金貨を稼いでるんだぞ! これは強盗じゃないか!」
一人の大男の顔は憤怒に歪み、怒りで額の青筋が浮き出ていた、逞しい体躯は高く威圧的で、背負った巨大なハンマーは非常に重そうに見えた、彼は一人の女性聖騎士と言い争っていた、女性聖騎士も困った様子で、首を振った。
「あの……このお兄さん、これは私が決めたことではありません、憲法の規定で、セムール市民としての当然の義務なのです。」
「じゃあ、融通は効かないのか? 金貨一枚は小さな額じゃないんだぞ。」
大男が女性聖騎士に近づく、女性聖騎士は彼の前では見上げるしかなかったが、彼女は少しも慌てず、困ったような顔をしていた。
「申し訳ありませんが、それはできません、一度やってしまえば、その後何度も繰り返すことになります。これは規則です。」
目の前の女性聖騎士の言葉を聞いて、心の中の怒りはまるで綿に打ち当てたかのようだった、彼がどれほどの力を持っていようと、大勢の聖騎士を前にして、衝動に訴えるのが最も効果的な方法ではないことは明らかだった。
「まったく最悪だ! 何てゴミみたいな街だ! この五枚の金貨は、俺が街で一ヶ月必死に働いた成果なんだ、猫を捕まえたり、手紙を届けたり。」
「毎日あんな悔しい討伐任務をやって、冒険者ギルドはまったくの詐欺師だ、あれだけの任務をこなして、たったこれだけの金、今、城門に入ったばかりで、俺は何もしていないのに金貨一枚が減ってる!」
「ありえない、クソ冒険者ギルド、クソ街だ!」
彼は金貨一枚を隣のカウンターに強く叩きつけ、顔色は水を絞ったように陰鬱で、罵りながら街の中へと歩いていった。
人々は騒ぎを見終えると、黙って再び列に並んだり、散開したりした、ただ女性聖騎士だけが軽くため息をつき、眉間を揉みながら残された、彼女は非常に頭を悩ませていた、毎日こういう状況に遭遇するので、とっくに慣れてしまっていた。
そんな喧騒な城門の前で、一台の白い馬車がレオンの馬車の隣にしっかりと停まった、車体は全体が素白で、白い木材で作られており、複雑な装飾はなく、車の角にだけ小さな竜頭の紋様が彫られていた、注意して見なければ、木目とほとんど一体化して見えないほどだった。
馬車の窓は白い絹のカーテンで遮られていた3その時、一つの白い手が絹を少し持ち上げ、一人の少女の顔が現れた。
柔らかな輝く金色の秀髪が彼女の肩に広がり、その薄紫色の瞳には貴気と端然とした品格が満ちていた、彼女は顔を上げてレオンを見た、レオンもまた少女に気づいた。
少女を一瞥した後、レオンの視線はあの目立たない竜頭の紋様に留まり、一瞬止まった、そして彼は少女に軽く頷いた、少女も淡い浅い笑みを浮かべ、レオンに挨拶を返すと、馬車のカーテンをそっと下ろした。
少女の様子を見て、レオンは何かを思いついたようだったが、その口調には一片の動揺もなく、何事も彼を妨げることはできないかのようだった。
「幻月紗、白霜木……これは……王都の貴族か? あの目と輝く金色の髪色……」
「おそらく、王都の王族に属する帝王派、どこかの重要人物の子孫だろう。」
そして彼は再び馬車の窓辺に寄りかかり、手元に残った一冊の書物を開いた、この数日で、携行していたすべての書物を読み終えていた、すべての理論と知識は、レオンによって明確に記憶されていた。
彼は書物のページに視線を落とし、神色は普段通りだった、彼にとって、これはただのいつも通りの一日に過ぎなかった。




