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第20話 再来の森と重荷の騎士(後編)

 行軍を開始してから数日が経過し、ようやく森の木々の隙間から、見覚えのある石造りの遺跡が見えてきた。

 夕日に照らされ、神聖な静寂を湛えたその場所、かつて大山羊が守り、自らの命を懸けて修復した大山羊の遺跡である。

「……やっと着いたわね」

 先頭を行くエリーナが、安堵の溜息をつきながら遺跡の正面に近づく。

 遺跡の入り口は、大山羊が力を振り絞って直した時のまま、美しく復元されている。

 かつてここで繰り広げられた魔獣との死闘が嘘のような、穏やかな空気が満ちていた。

 ゲイルは最後の力を振り絞るようにして一歩を踏み出し、遺跡の敷地へと踏み込んだ。

 ドスン、と重い音を立ててゴーレムの箱を下ろすと、彼は膝をつき、大きく肩を揺らした。

「……騎士の稽古と思えば……どうと言うことはない……」

「ありがとう、ゲイル! 本当に助かったわ。しばらくは休んでいてちょうだい。」

 エリーナの労いの言葉に、ゲイルは拭った汗の裏で満足げに口元を緩めた。

 カイもまた、背中の結晶機材を地面に下ろし、膝を軽く叩いた。

 カイが視線を向けると、子猿と共にいた仔山羊が、懐かしそうに「メェ」と鳴き、2匹は修復された石碑の周りをトコトコと駆け回っている。

「さて……遺跡が修復されていると言うことは、ここからは、あの大山羊が守っていた『封印』の真実を探る事ができそうね。」

 エリーナは羽ペンを握り直し、夕闇に沈む遺跡の奥へと凛とした眼光を向けた。

 神捨ての遺構で得た知識と、この遺跡に眠る封印の記憶。

 それらが交わる時、どのような真実が浮かび上がるのか。

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