第13話 入学試験開始
それから間もなく、四人が王都アカデミー指定の試験会場に到着した時、目の前の光景にクスマは完全に呆気にとられた。
「うわっ……多すぎだろ?」
彼はくちばしを大きく開け、驚きのあまり塞ぐことも忘れ、その壮観な場面に、言葉を失うほど圧倒されていた。
広大な広場は、入学試験に参加する受験生たちで埋め尽くされていた。見渡す限り、黒い塊がどこまでも続き、終わりが見えないほどだ。
無数の話し声が巨大な音の波となって集まり、「ガヤガヤ」と響き渡り、空の雲さえも震え散らしてしまいそうだった。
空気中には様々な複雑な匂いが充満していた。緊張した汗の匂い、弁当の香り、そして無数の植物が混じり合った奇妙な匂い。まるで巨大な植物園のようだった。
ここにはありとあらゆる種類のひよこがいた。
あるものは羽毛が色鮮やかで、歩く虹のようだった。またあるものは常識外れに筋肉隆々で、今にも弾けそうな筋肉が羽毛をパンパンに押し広げ、歩くたびに風を切るような迫力があった。
そして彼らの頭上の共生植物は、さらに奇妙奇天烈で、まるで生きた植物図鑑のようだった。
クスマが適当に見渡しただけでも、ある受験生の頭には凶暴な「ハエトリグサ」が生えており、その二枚の巨大な捕虫葉が「パカッ、パカッ」と開閉し、非常に攻撃的に見えた。
またある者は、まだ咲いていない「ヒマワリの蕾」を乗せていたが、その緑色の小さな蕾はまるで自意識を持っているかのように、頑なに太陽の方角を向こうとしていた。
花茎が強引に向きを変えるせいで、下の宿主はいい迷惑だ。
そのひよこの体は前に進んでいるのに、頭は上の「主人」によって無理やり横に向けられており、まるで寝違えた不運な奴のように見えた……
さらに視線を横に向けると、もう一つ「トロピカル」な奇抜なスタイルが目に飛び込んできた。
ある受験生の頭には小さな「ヤシの木」が生えており、その上にはミニチュアのヤシの実が二つもなっていて、彼が動くたびにブラブラと揺れていた。
(……あの二つのヤシの実、食えんのかな?喧嘩して疲れたら、その場でもいでヤシジュースとして飲めるのか?自給自足型?)
クスマはごくりと唾を飲み込み、少し気落ちして翼を上げ、自分の頭を撫でた。
(……それに比べて、俺のもやしは……涙が出るほど貧相だな)
あの細く弱々しい、少し萎びたもやしの感触を確かめながら、彼は心に哀愁を覚え、まるで貴族の宴会に紛れ込んだ貧民のような気分になった。
「師匠?」
ふゆこはずっとこっそりとクスマを気にしていた。彼が頭を触って黙り込んでいるのを見て、周りの派手な共生植物にショックを受けているのだと勘違いした。
彼女は慌てて近寄り、翼の先を強く握りしめ、揺るぎない眼差しで小声で励ました。
「師匠!緊張しないでください!あいつらの共生植物がどんなに強そうに見えても、私は師匠こそが最強だと信じてます!」
(……君のフィルター、分厚すぎだろ)
その盲目的な信頼に顔を赤らめつつ、クスマは気まずそうに咳払いをし、平然を装って言った。
「ゴホン、だ、誰が緊張してるって?師匠はただ……敵情視察をしてただけだ。それに、真の強者ってのは、外見で威圧する必要なんてないんだよ。分かるか?」
そう言い終わると、心虚しさを隠すために、彼は急いで顔を背け、他の二人のチームメイトを観察するふりをした。
彼とふゆこに比べて、他の二人は明らかに落ち着いていた。
みぞれは相変わらず波風立たない様子で、冷静に周囲のライバルたちを見回しており、その余裕のある佇まいは、騒がしい受験生たちの中で一際浮いて見えた。
そしてクレイの奴は……完全にお坊ちゃんが散歩しているような態度だった。
彼は動作に合わせて揺れるあの銀色のアホ毛を靡かせ、キョロキョロと周りを見回し、品定めをするような顔で、不屑さを隠そうともしなかった。
突然、クレイは何か笑えるものでも見たような顔をした。
「おい、みぞれ、見ろよあいつ!」
彼は遠慮なしに翼を伸ばし、遠くのサボテンを頭に乗せた受験生を真っ直ぐに指差して、嫌悪感を露わにツッコミを入れた。
「あいつ頭トゲだらけじゃんか、寝る時自分に刺さらないのかよ?超マヌケに見えるぜ。俺様は絶対にあんな奴と同じベッドで寝たくないね」
(……お前のそのアホ毛の方がよっぽどマヌケに見えるけどな?それに、お前があいつと同じベッドで寝る機会なんて一生ないだろ!)
クスマは心の中で静かにツッコミを入れ、白目を剥いた。
その時、まるで雷鳴のような轟音が広場の上空で炸裂し、全員の鼓膜を痛くさせ、クスマの思考を強制的に中断させた。
「受験生諸君、静粛に!」
その声には強大な魔力の威圧が混じっており、実体のある波のように拡散していった。
先ほどまで市場のように騒がしかった広場は、瞬時に静まり返った。
厳粛な表情の試験官が高台に立ち、鋭い眼差しが鷹のように会場全体を掃射し、多くの受験生が無意識に首をすくめた。
「王都アカデミーへようこそ!今回の入学試験は、『サバイバル戦』だ!」
「君たちが合格するには二つの方法がある。一つ、これから向かう秘境で、半日間、無事に生き延びること。二つ、昆虫族を一体、成功裏に討伐すること。いずれかの条件を達成すれば、合格と見なす」
この言葉が出るや否や、下の受験生たちはすぐにざわめき始めた。
「昆虫族?あの伝説の凶暴な……俺たちを食うっていう?」
「よかった、半日隠れてればいいんだな。かくれんぼなら得意だ!穴掘って埋まってやる!」
下の議論の声が大きくなり、パニックで悲鳴を上げる者さえ出始めたのを見て、試験官は眉をひそめ、冷たく一喝した。
「静粛に!」
強大なオーラが瞬時に全ての議論を押し潰し、試験官の声が再び響き渡った。そこには粛殺の気配が漂っていた。
「聞き間違いではない。君たちの相手は、まさに我々ひよこ一族最大の敵——昆虫族だ!」
「ただの虫だと思うなよ。奴らは我々と同じく、独自の文明、厳格な階級制度、そして強力な魔力回路を持っている」
下の騒ぎは一気に静まり、全員が息を殺して聞き入った。
「数百年もの間、我々と昆虫族は秘境の資源を巡って、数え切れないほどの戦争をしてきた。奴らは我々の天敵であり、不倶戴天の宿敵だ」
試験官は一呼吸置き、鋭い眼差しで会場全体を見渡した。
「この秘境は、双方が合意した『合同演習場』だ。そして君たちが今回直面するのは、昆虫族の中でも最大数を誇る——アリ族だ」
「普通のアリなら取るに足らないが、君たちが遭遇するのは『アリ族の覚醒者』だ」
「いいか、アリ族の数は星の数ほどいる。その膨大な母数の中で覚醒に成功した個体は、例外なく一万に一匹のエリートだということだ」
そこまで言うと、試験官は話を変え、眼差しをさらに鋭くした。
「決して我々の基準で奴らを測るな。なぜなら昆虫族の修行体系は、本質的に殺戮のために存在するからだ」
「我々は共生植物が与える『多様な能力』に依存する。対して奴らは、覚醒初期において派手な技を捨て、魔力の全てを『肉体の鍛錬』に注ぎ込み、自身を殺戮兵器へと変えるのだ」
「つまり、双方が覚醒したばかりの初期段階において、能力の扱いに未熟な我々初心者に比べ、強靭な肉体を持つ奴らは、往々にして絶対的な制圧力を持つということだ」
下の受験生たちの顔色がますます青ざめていくのを見て、試験官はまだプレッシャーが足りないと思ったのか、さらに重い一撃を加えた。
「さらに、君たち個人の臨機応変な対応力を試すため」
彼は翼の先を一本立て、多くの者が最初から徒党を組もうとしていた幻想を無慈悲に打ち砕いた。
「秘境に入る際、転送地点は完全に『ランダム』だ。つまり、君たちは完全にバラバラにされ、秘境の至る所にランダムに配置され、たった一人でこの未知の危険に直面することになる」
「仲間に頼りたいか?なら、まずは中で生き残り、互いを見つけ出すことだな!」
受験生たちの深刻、あるいは絶望的な表情を見て、試験官はようやく口調を少し和らげた。
「だが、過度に恐れる必要はない。秘境の中では、特殊な法則が君たちを守る。致命傷を受けたり死亡したりした瞬間、即座にここへ転送されるだけでなく、全ての傷は転送の瞬間に完全に回復する」
「だから、何の後顧の憂いもなく、恐怖を捨て、存分に実力を発揮したまえ!」
そこまで言うと、試験官の口元の笑みが突然どこか意味深なものになり、声のトーンも低くなった。
「ただし一つだけ、特別に忠告しておこう」
「体は回復するが、戦闘中の痛覚は本物だ。怪我をした時の痛みは、これっぽっちも減らないぞ」
「痛みと無念を抱えて脱落したくなければ、気骨を見せろ!諸君の幸運を祈る!」
─ (•ө•) ─
試験官の一声と共に、試験会場の中央に位置する、あの数十人が腕を回してやっと囲めるほどの巍然と聳え立つ巨大な古木が、幹の中央からゆっくりと裂け、「ガラガラガラ――」という重苦しい轟音を立てた。
大地が微かに震える。
衆人の目の前に現れたのは、無数の発光する蔓が織りなす巨大な転送ゲートだった。
蛍光を放つ緑色の枠の中には、星雲のようにゆっくりと回転する魔力の渦があり、五色の光を放ち、魂さえも吸い込みそうなほど深く、魅惑的でありながら危険だった。
この壮観な光景に、その場にいた全てのひよこは思わず息を呑んだ。この未知に満ちた入口を前に、先ほどまで騒がしかった広場は一瞬の死寂に包まれ、ただ魔力が流れる低い音だけが残った。
「今より、順次秘境へ入れ!」
試験官の威厳ある声が再び響いてようやく、人々は夢から覚めた。
受験生たちは困難そうに唾を飲み込み、目には昆虫族と未知への恐怖が書かれていたが、それでも覚悟を決めて、一人また一人と、その奇怪な渦の中へと歩み始めた。
列が進むにつれ、この発光する巨門はまるで貪欲な巨獣のように、一口また一口と、並んでいる受験生を無慈悲に飲み込んでいった。
ある者は胸を張って歩き、ある者は腰を抜かして試験官に蹴り入れられた。前方の人数が減っていくにつれ、その圧迫感もまた押し寄せてきた。
「師匠……」
この粛殺の雰囲気に当てられ、ふゆこは緊張して翼の先でクスマの服の裾をギュッと掴み、羽毛さえも止まらずに震えていた。「あいつら……本当に強いんですか?」
「あ?おお、安心しろ!」クスマは平静を装って彼女の頭をポンポンと叩いたが、実は自分の足も震えていた。「師匠がいるんだ、どんな虫だろうが、全部肥料にしてやるよ!」
(……こっちが肥料にされなきゃいいけどな)
その時、極めて空気を読まない声が冷ややかに割り込んできた。
「ふん、世間知らずの臆病者が」
クレイは不屑そうに口を曲げ、この粛殺の雰囲気を全く眼中にないようだった。
「クレイ!」
その刺々しい嘲笑を聞き捨てならず、みぞれは眉を吊り上げ、彼を忌々しげに睨んだ。
その後、彼女はクスマとふゆこに向き直り、表情を一瞬で和らげ、隣のお姉さんのような安心感のある微笑みを見せた。
「お二人とも、決して無理はなさらないでください。危険を感じたら逃げてください、命が大事ですから……すぐに合流しましょう」
「うん!分かった!」
クスマとふゆこは慌てて頷いた。クレイでさえ「チッ」と舌打ちしただけで、反論はしなかった。
この短い会話の間に、前の人影は完全になくなっていた。いつの間にか、あの回転し続ける巨大な渦が四人の目の前に立ちはだかり、目と鼻の先にあった。
ついに、彼らの番が来た。
クレイは全く気にすることなく、大股で中へと歩いて行き、振り返りもせず、まるでピクニックにでも行くようだった。みぞれは優雅に羽毛を整え、軽やかに光の幕へと踏み入り、その姿は一瞬で消えた。
ふゆこの番になると、彼女は深呼吸をし、翼の先を握りしめて自分に気合を入れ、それから目を閉じ、死地に赴くかのような悲壮な覚悟で突っ込んでいった。
瞬く間に、周りにはクスマ一人だけが残された。
光と影が流動する転送ゲートの前に立ち、押し寄せる古の魔力を感じながら、彼は深呼吸をして、激しく高鳴る心臓を落ち着かせようとした。
「スー――ハー――」
ところが、勢いよく吸い込みすぎたせいで、さっき駆け込んでいった換羽期の受験生が残していった綿毛を、不運にも鼻の穴に吸い込んでしまった。
「ハ……ハクションッ!!!」
そのくしゃみは盛大なもので、反動で体が一気に前傾し、よろめきながら前へと突っ込んでしまった。
「うわぁぁ――!」
ブレーキなど効くはずもなく、彼はこうして衆人環視の中、極めて無様な「土下座スライディング」で、無様に転送ゲートの中へと転がり込み、完全に姿を消した……
─ (•ө•) ─
元々の喧騒は瞬時に遮断され、代わりに、果てしない暗闇と激しい回転が襲ってきた。
まるでドラム式洗濯機に放り込まれ、最大回転数で回されているようだった。クスマは五臓六腑が位置ズレを起こし、胃の中の朝食が逆流しそうになるのを感じた。
「ドサッ!」
クスマは顔から、湿って冷たく、そしてぐちゃぐちゃとぬめる地面に、結構成大に叩きつけられた。
「うぅ……」
この一撃であやうく全身の骨がバラバラになるところだった。彼は地面にしばらく這いつくばり、ようやく魂がゆっくりと体に戻ってくるのを感じた。
目眩が潮のように引いていくと、代わりに刺すような寒気と、顔に張り付く気持ち悪い感触がやってきた。
彼は泥の中から苦労して顔を引き抜き、口の中の泥をペッペと吐き出し、茫然と顔を上げた。
「ポチャン……ポチャン……」
冷たい水滴の音が空虚な洞窟に響き渡り、空気中には濃い土の生臭さと腐敗臭が充満しており、まるで長い間密閉されていた冷たい地下室にいるようだった。
この死のように静まり返り、圧迫感のある環境の中、クスマと彼の頭の上の小さなもやしは、一際ちっぽけで、無力に見えた。
しかし、この静寂は長くは続かなかった。
「ザッ……ザッ……」
微かだが毛骨が逆立つような摩擦音が、突然足元の土の深層から聞こえてきた。
クスマは全身を硬直させ、反応する間もなく――
「ドゴォォォン!」
前方の地面が猛然と炸裂した!土が飛び散り、砕石が舞う!
一匹の、屈強な体格をしたアリが、猛然と土を破って現れた!
その甲殻は強靭な油光を放ち、まるで分厚い鎧を着ているようだった。強化されたあの大顎は、開閉する間に「カチャ、カチャ」と澄んだ音を立て、まるで木の枝さえも軽々と噛み砕きそうだった。
その感情のない複眼が、死んだようにクスマをロックオンした。
あの冷たい瞳に見つめられ、クスマは周りの空気が凝固したように感じ、隠すことのない殺意が真正面から押し寄せ、息もできないほど圧迫された。
(マジかよ!聞くのと実際に見るのとじゃ大違いだぞ!こ……怖すぎるだろ!)
誰にも頼ることのできない極限状態の中、クスマの心臓は胸を突き破りそうなほど激しく高鳴った。
彼はこの試験における、そして彼の人生における、本当の意味で最初の実戦を迎えたのだ。
しかし、この命懸けの重要な瞬間に、どうやって敵を倒すかを考えるべきクスマの頭は、制御不能な方向へと脱線してしまった。
あの寒光を放つ大顎を見ながら、彼の脳裏には今、ただ一つの考えだけが残っていた:
(……終わった、さっき試験官が痛覚は本物だって言ってたよな……あんなもんに挟まれたら、絶対超痛えじゃねえか!)




