顔合わせ
3日後、例の使いの人が来る日
準備は着々と進んでいる。作るものがないと思っていたが、忍術を魔法で代用していくと楽しくなっちゃって。もうすでに、手裏剣、煙玉、カギ縄、景色に同化する用の布一式などなど。忍術オタクではないが、オタクだと言われてもこの際は仕方がない。
時間にすると10時くらいだろうか、訓練場の入り口からタキシードに身を包み白髪まじりの髪をオールバックにした男性が入って来た。
訓練場は基本的に立ち入り禁止にしてあるはずだ。ギルドマスターとマリーさんくらいしかここに入る者はいない。つまりはこの日、この場所に来る人の用件はなんとなく分かる。
「あの〜、もしかしてあなたが?」
「私、ダルセン家の執事をしておりますスチュアートと申します。本日はリョー様と行動させていただきます遣いの者を連れてまいりました。」
「連れてまいりました…って1人やん、入り口にでも隠れてんの?」
スゥーーーーっ
スチュアートさんの影から全身黒タイツ…とまでは行かないが、黒一色で揃えた服装の女性が現れた。
「どわぁあ!なんか出たぁあ!」
「驚かせてしまい申し訳ございません。自分はこのたび、リョー様と共に調査をさせていただく、黒豹族のセナと申します。」
黒い女性、改めセナさんは、口元の布を取り払いながら近寄ってくる。
ふーん、獣人か…街にも何人かはいるけど話すのは初めてだな。
一応知り合いに獣人がいないだけでリースにヒト族以外の人はちょいちょいいる。リースにいる冒険者の3〜4割はヒト族じゃないし、武具屋の店主も確かドワーフだったはず。
「あ〜…リョー・ヤマモトです。冒険者をしています。」
「当主より伺っております。念動と変わった武器で戦いになるんだとか。」
「ええ。まぁ、武器は故郷の忍術という古武術をベースに…今回はその古武術を参考に魔法やらいろいろ使って隠密行動をする予定です。」
「忍術…恐れ入りながら少々興味があります。連携や参考のために見せていただけないでしょうか?」
「分かりました。では手始めに…【インビジブル】っ」
「!!」
「っと…こんな感じです。どうでしょうか?」
「素晴らしい…魔法にこんな使い方があったとは…感服いたしました。」
よくわからないが俺の見せた魔法道具流忍術はセナさんの予想を超えていたらしい。
「本来これらの忍術は魔法を一切使いません。長年の修行を積んで初めて使えるようになるものなんですが、自分にはこういうタイプの使い方しかできません」
「充分すぎるかと。次は自分の版ですね。【シャドウハイド】!」
「いかがでしたか?」
「一切無駄な動きがありませんでした。闇魔法を用いて隠れ、毒針や暗器で仕留める。これなら忍術と相性が良いはずです。
出発までにセナさんの分の道具も用意しましょうか?」
「是非!!!」
目の色の変わったセナさんは俺に抱きつくかと思う勢いで、俺に迫る。
やーれ困ったな…責任重大すぎる。
その日から午前は各々の仕事を、午後は訓練場に集合ということが決まり、その日はスチュアートさんがストップをかけるまで忍術について質問責めをされた。




