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14話 フライタイイング頑張りますっ!


「午後の自由時間は明日に備えてフライタイイングをしようと思う」



 澪と二人で缶詰の昼飯を食べ終えた私は、こう切り出した。


「フライタイイング?」



 予想通りの切り返しだな。


 釣りですら広く社会に膾炙してるわけじゃないのに、さらにその中のフライ(・・・)だもんな。当たり前である。


「釣りの疑似餌を作るってことだよ」


「疑似餌? ルアーを作るの?」


 うんうん。バス釣りブームがあったからルアーは知られてるんだよね。

 私も最初はルアーでバス釣りから始めたよ。

 バズベイトをがりがり引いて、クランクで底をつっついて、ミノーを操ることに情熱を注ぐ。

 で、ある日、管理釣り場でミノーを使ってトラウトをやっていたら、隣で軽いフライを巧みに操るおねえさんがいたんだ。


 それはもう惚れたね。フライが着水する前にトラウトが跳び上がってぱくりといったんだ。

 飛沫を散らしながら暴れるあの勇姿。一度見たら病みつきになるその姿。


 それからはフライばっかやってたな。タイイングのための道具も買って、フライも自分で作った。

 ルアーと違って、比較的簡単に作れるのもいい。まあ、簡単とはいえ難しいんだけどね……


「いや、ルアーじゃなくてフライ。ほら、こんな感じのやつだ」


 私が取り出したのは『エルクヘア・カディス』。

 カディス——トビケラのパターンだ。

 カディスの成虫(アダルト)の中で最も有名と言っても差し支えないのがこれだ。


 比較的簡単に短時間で巻けるからタイイング初心者におすすめだな。

 それに、色んな使い方のできるフライだから、これ一つでも十分に楽しめるところがいい。陸生昆虫(テレストリアル)にもなるしな。


「なんだか可愛いわね」


「だろ⁉︎ 可愛いよな! 澪ならわかってくれると信じてたぜ」


 ふふふ、フライは可愛いってことをアピールして、私以外の女性フライフィッシャーを増やしてやるぜ……!

 一人でやってると寂しくなるからな。


 そう、あれはいつだったか……緑萌ゆ渓流に私は一人。糸の先には力強く躍動し、その体をうねらせる大きな岩魚。上へ下へと大暴れ。終いに一つ大空へと飛び上がり、 陽の光を一身に受け、散った水と共に煌めいた。


 私の網の中には大人しくなったら岩魚がいる。

 だが、これの体験を語る相手は……って何だこれ?


 私、テンカラなんてやったことないんだけど……?

 なんか前にもこんなことがあった気がするんだけど……具体的には解体を頑張ったあとね。

 ……うん、でもまあいっか! 気にしてもしょうがないよね。テレビかなんかで観たのを思い出しただけだよね。


「よし、じゃあ始めよう!」


「おー!」


 今回要るものは


 バイス

 ボビン

 ボビンスレッダー

 ニードル

 シザース

 ハックルプライヤー

 ヘアスタッカー

 フィニッシャー


 材料は


 フック(#14)

 スレッド(ライトケイヒル8/0)

 コックハックル クリーム

 ダビング材

 エルクヘア


 バイスはフックを固定するためのものだな。

 フックにスレッドを巻くときに使うのがボビン。

 ボビンのノズルに糸を通すときに使うのがボビンスレッダーだ。

 ニードルはヘッドセメントを付けたり、ピッキング——ダビング材をかき出すときに使う。

 シザースはあれだ、ハサミだ。

 ハックルプライヤーはその名の通りハックルを巻くとに使う。

 ヘアスタッカーは毛先を揃えるために使う。

 フィニッシャーは巻き終わったあと、最後にほつれないように結ぶときに使う。


 まあ、ざっとこんなもんかな? まだ他にウイングフォーマーってのがあったり、バイスやフィニッシャーは細かく分けられたりするんだが、冗長になるから今は話さない。

 フライフィッシングって楽しそうだなーって思った人はより、詳しく調べてみてくれ。


 次は材料のほうか。

 まずはフック。これはそのまま針だ。ちなみに数字が小さい方が大きい針で、『エルクヘア・カディス』を作るときは大体#10〜#14を使うな。

 スレッドっていうのはフックにマテリアル——羽とか毛とかだな、を留めたり、巻きつけるための糸だ。

 ハックルっていうのは鶏の羽のこと。コックは雄鶏で、雌鶏はヘンって言うんだ。ドライフライのときは水を弾く力の大きいコックハックルをよく使うな。

 ダビング材はボディを作るための素材だ。

 エルクヘアっていうのは鹿の毛だ。ヘアは剛毛、ファーだと柔毛だな。


 よし、じゃあいよいよ巻いてみようか。

 フックをバイスで固定したら、まずはスレッドの下巻きだ。

 ウイングを留める余裕——アイ一つ分くらいを残してスレッドを下巻きするぞ。

 アイの方からまっすぐな部分に巻いていくんだ。


 あ、ごめん。アイっていうのは針の先端じゃあない側で、丸い輪っかが付いている方だ。


 ん? どれどれ……うん! いい感じだな。

 次にハックルを留める。ハックルの根元まで毛があったら、毛先が揃う辺りまでむしってくれ。

 そうしたら、フックがまっすぐで一番先端に近いところに巻きつける。ハックルの根元がまっすぐな部分の半分辺りに来るようにするといいかな。


 そしたら、ダビング材を少しづつよる。

 で、ハックルをフックと垂直になるように立たせてから、隙間ができないように今度は先端からアイの方に向かって巻いていく。


 できたら今度はハックルを6回くらい巻きつけて、スレッドで留める。それができたら余分なところはカットだ。

 そうしたらニードルを使って飛び出しているハックルを針の先端の方へと分ける。


 エルクヘアは適当に切っておき、綿毛を取り除いて長さを揃える。

 スタッカーから抜いて根元の方を持ったら、毛先がフック端に来るところにあてがう。


 開けておいたアイの辺りでスレッドを最初は軽く、後からきつく巻いていく。2回は軽く、3回はきつくで5回くらいかな。


 巻き終わったら余っているエルクヘアを針の先端の側に折り返して押さえて、フィニッシャーを使って結んで、スレッドの余りは切る。


 で、最後に余ったエルクヘアをアイの上で切って、正面から見てハックルがハの字になるように切り揃えれば完成だ。


「見て見て! いい感じじゃないかしら?」


「おお、初めてだっていうのに上手いな! 澪は手先が器用だな」


「えへへ」


 褒められてはにかむ澪。かわいい。


「じゃあ次は今回作ったフライを持って裏の渓流に行こうか」


 てなわけで次回は釣りです。


 釣りいえば、昔はいっぱいあったのに最近釣りゲーって出てない?

 釣りゲー中々好きだったんだけどなぁ……画期的な64bitや初代追伸の釣りコン、その後継機のも持ってたしね。

 もちろんランディングシリーズとかよかったよね……でも、一番好きなのは糸井さんのアレですから! ここ大事だよ!

糸井重里のバス釣りNo.1決定版! が好きでした。

スイッチはこれの続編が出たら買います。PS4はアーマードコアの新作が出たら買います。

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