わたしのせいじゃないよ、たぶん
『ガハハハハハハ!強いな!我は殴り合いを予想していたのだが!!!』
「バカなの?やっぱり一回死ぬ?」
龍姫様が呆れたように言う。
『何度も止めたのだがな…』
ゴールドドラゴンと呼ばれる黄金のドラゴンが溜め息。
これで闘いは終わったらしい。
皆が脱力している。
ブラックドラゴン、ゴールドドラゴンと談笑する龍姫様だが
「元カレに見えなくもない」
「…まあ、確かに」
ざっくばらんに親しげに話すのだ。
殺しに来い、とかも含めて、なんかそれっぽい。
「話は終わり。引き上げるわよ」
龍姫様が戻ってこられる。ふと、気になったことを聞く。
「龍姫様もドラゴンの形状になられたり出来るのですか?」
キョトンとした顔をされた後
「出来るの?」
ゴールドドラゴンに聞く龍姫様。
『出来ない道理はない。試してみたらどうだ?』
「そうね。面白そう。みな、下がってなさい」
そして、服をすべて脱ぎ去り、私に預ける。
全裸の龍姫様、エロい。
そして
「!!!!!!!!」
ドラゴン。ドラゴンだ。でもそれは龍姫様だと一目で分かる神々しさ。
『ほう。美しいな』
ゴールドドラゴンが驚いたように言う。
『俺の卵産まない?』
ブラックドラゴン
『殺すわよ』
龍姫様。ああ、ドラゴンになって飛ばす念話の声も美しい。
『実際あまりドラゴン化はしないほうがいいかもな。若者が恋焦がれる』
『ドラゴンに言い寄られるとか最悪だからそうするわ』
そう言って龍姫様は元の姿に戻った。
「龍姫様、お召し物を」
急いで駆けつける。
「ふむ、まあドラゴン化ができれば、最悪暴れ回れるからいいわね」
そして
「みんな、引き上げるわよ」
全員で引き上げた。
それから半年近く、帝国は安定しつつあり、聖女側も動きはない。
カリスナダも向こうで仲良くやっているようだ。
館の中のトラブルは相変わらず。
そんな中、龍姫様に呼び出される。
「ダルジェスト公爵から、不穏な手紙が来たわ」
「不穏、ですか」
「読んでみて」
目を通すと
「公国の待遇改善の話ですね。なぜ龍姫様に?」
「大皇后様に言っても埒あかないからでしょうね」
溜め息をつく。
「今の陛下はともかく、大皇后様に帝国治世を任せるのは難しいわ。早くご成人されて欲しいのだけれども」
「しかし、龍姫様にお願いしても、どうしようもないのでは…ああ、黙って黄金回してくれと」
「そうよ。それが叶わないなら反乱すると言ってるようなもの。ああ、面倒くさい」
手をひらひら振る龍姫様。
「私が行きましょうか?」
「いきなり大量の黄金持っていってもアレだわ。それなりの数に抑えましょう。それで様子見てきて」
「畏まりました」
着いてすぐ泣きつかれました。
「どうか!このままでは公国の維持ができんのだ!!!」
龍姫さまー。
「顔をお上げください。公爵様。僅かですが、まずは手土産を持って参りました」
「ありがたい。だが、最近の飢饉と人口流出は深刻なのだ」
人口流出。
どこに?
答え:聖女を信奉している隣国。
この大陸には3つの国が聖女の信仰をしている。
そのうちの一つ。エルメルダ王国。
ここは豊か。聖女の力のおかげで砂漠がメインだった国土はあっという間に農地に転換。
一方で領土が接している、この公国は相変わらず砂漠メイン。
丁度国境で砂漠と農地が分かれている。
自在に土地の生命力を操れる聖女の威力は凄まじい。
それを見た領民は一気にエルメルダに移動。
「公爵様、この国の危機は龍姫様にしかとお伝えします。龍姫様にとっては聖女は不倶戴天の敵。必ずやお力添えをされるはずです」
「ありがたい。ありがたい。とにかく、この国の現状をご覧ください。案内は長男にさせます。おい、マナカルディア」
「は。ここにおります。父上」
まあ、美少年。
「フェルライン殿に、この国の現状をお伝えしながら城を周りなさい」
「かしこまりました」
ふと思い出す。
龍姫様に一度聞いたことがあるのだ
「男を龍族にするのは禁じられているとおもいますが、人族の男性を囲いにされることは考えられなかったのですか?」
その答えが
「考えなかった話ではない。実は検討はした。美少年ならいけるかな?ぐらいは思っていた。ちょうどその頃、聖女の豚の事を調べていたら、あの豚、初代は美少年と美少女両方囲っていたらしい。その結果、初代は囲いの男に殺されるという愉快な事態を招いた。特に私はオリジナル・ドラゴン。この館にいるだけで龍族のエネルギーは満ちる。あの豚の囲い以上に警戒しなければならないから自制している」
そして
「あと、わたし女の子好きだし」
だそうな。
因みに龍族は男の興味がない訳ではない。
単に禁じられているからやらないだけである。
だから、館から離れる時には普通に貴族の妾となれるわけだ。
中には真性で女性好きもいる。
マディアクリアとカリスナダは、この館に来る前から、女性好きだった。
ああ、あとチャズビリス。
あれは「男の悲鳴を聞くのが好き」
という頭が痛くなる性的趣向だったが
そしてわたし。
おじさん嫌い。美少年好き。
好みです。
「フェルライン様、こちらです」
可愛いな。何歳かな?13ぐらい?
元々「淫乱」と詰られるぐらいには性的欲求が強いので、抑えるのが大変。
だが、抑える。
龍族たるもの、龍姫様の命に逆らうわけにはいかないのです。
「深刻ですね」
一通りまわった結論。
マズい。公国として成り立っていない。
幼帝が立ち、政策が止まったこの一年で、この公国は破滅寸前だった。
食糧、武器、金銭。全てが足りない。
「すぐに龍姫様にご報告します。よき返事をおまちください」
龍姫様の元に戻る
そして
「深刻です」
「……フェルラインは、どれぐらいもつと?」
「半年もすれば反乱を起こされて瓦解します」
「そう。即断するしかないわね」
憂鬱そうに言う龍姫様。
「大皇后様に話をしたけれども、決断出来なかったわ」
「……そうですか」
「独断でやりましょう。いくら必要?」
「かなりの規模です。金塊が……」
龍姫様と打ち合わせしていると
「た!大変です!!!龍姫様!!!」
顔を真っ青にしたマディアが飛び込んでくる
「な、なにごと!?マディア、あなたがそんな入り方するなんて」
龍姫様の部屋に入る前には作法がある。
こんな入り方なんてマディアがする訳がない。
「せ、聖女が!死にました!!!殺されました!!!やったのは内相のザディア!!!」
『はあああああああ!!!!????』
龍姫様と私がハモった
「カリスナダから報告です!ザディアが!突然狂ったように暴れたと!」
記憶操作がなにかのキッカケで解けたのかな?
わたしのせいじゃないですよね?
「本来聖女を守るべきガジャロブが動けなかったと!」
ザディアの狂乱で記憶操作が解けたのかな?
わたしのせいじゃないですよね?
「聖都は大混乱です。カリスナダも、ジュブグラン、ヒルハレイズと共に混乱収拾に動いているようで……」
「転生エネルギーで周囲は吹き飛んだでしょ!?被害は?」
「ザディア、ガジャロブの姿が確認出来ないそうです。おそらくその2人は間違いなく。あと宰相、司祭、外相の姿も見えないとのこと」
「ちゅ、ちゅうかく、全部吹き飛んだって事じゃない」
震える龍姫様。
あれ、わたし、大変なことやっちゃいました?
「すごいわ!!!フェルライン!!!あなた最高よ!!!こんな結末になるとは!!!!これでしばらくあの豚も動けないわ!!!!!」
あ、喜ばれた。良かった。やり過ぎかと怒られるのかと。
「マディア!カリスから続報が入っている!被害が凄いぞ!!!」
「今遠距離会話の妨害展開を止めます!私に直接つなぎなさい!」
龍姫様が直接カリスナダと話す。
「カリスナダ、状況は聞いたわ。貴女はなにで動いているの?……そう。ジュブグランとヒルハレイズの指示に従い動きなさい。嫌でも被害が分かるわ。わかり次第伝えなさい。あと転生……」
突然、龍姫様の背筋が伸びた。
「豚!!!脳に直接語りかけるな!!!!」
龍姫様の絶叫
「マディアクリア!カリスナダと状況把握の報告とこれからの指示をしなさい!フェルライン!あなたはこれから指示するところに跳びなさい!そしてその娘をジュブグランに預けなさい!」
「わ!分かりました!」
「くそ!豚!!!司祭死んだからって私を頼るな!ああ!腹立つ!!!」
龍姫様は地団駄を踏んで怒っていた。




