ブラックドラゴン攻防戦
マディアと報告すると、龍姫様は頷かれ、マディアには、準備するように伝えた。
そして私だけ残されたのだが
「フェルライン、ジュブグランがいるうちはどちらにせよ大戦は難しい。帝国もまだ幼帝。しばらくは戦いはないわ」
「はい」
「カリスナダの派遣の真意は足止めよ。カリスナダが内部にいる状態で向こうも邪魔は出来ない。聖女との間が落ち着いている間に一個やらないといけないことがあるの」
「なんでしょうか?」
「ブラックドラゴンを征伐するわ」
「…は?」ドラゴン?私達が?
「これは伝えていないから当然の反応。いい。他言は無用。私をオリジナル・ドラゴンにしたのは、ブラックドラゴンよ。そいつの目的は、私と龍族連合での戦い」
「自分と闘わせるために、わざわざ龍姫様をオリジナル・ドラゴンにしたのですか?」
「バカでしょ?」
「そう思います」
「あのバカドラゴンには100年待てって言ったのだけれど、いい頃合いかもしれない。今の戦力ならば闘いになるかもね。フェルライン、バカドラゴンのところに行って伝えなさい。時は来た、と」
「畏まりました」
連続転移で、龍姫様から指示された場所に飛ぶ。そして
「ここか」なにもない山。岩しかない。
すると
『久しい匂いだ、やつの眷族か?』
「龍姫様からの御伝言です。時は来た、と」
『ふむ。やつの言うとおり、待つ時間はすぐ過ぎる。心得た。楽しみにしていると伝えてくれ』
「畏まりました」
『せっかく来たのだ。珍しいものを見せてやる』
「……?え?あ、りゅ、龍姫さま!!!」
目の前にビジョンが見える。そこで気の強そうな眼差しで、ドラゴン達を見つめている、まだ幼い龍姫様。
「うわぁ…ちっちゃい頃の龍姫さま、かわいい…」
お人形さんみたいなのだ。しかし意志が強そうなのと、なんかやさぐれてる。
『奴と初めて会った時だ』
「めっちゃ可愛いですね」
『これが次に来た時』
「あ、この頃は今の御年齢と変わらない感じです。でも髪型は違うのですね」
ブラックドラゴンと龍姫様のビジョンを眺めてしばらく過ごしていた。
「お疲れ様、フェルライン」
「龍姫様、ただいま戻りました」
転移するなり、龍姫様にご挨拶。
「大切な妾を犠牲にする気はないわ。既にあのバカドラゴンに勝つ策はある。みんなを集めて。会議をするわ」
大広間。
龍族が全員揃う。
司会はわたし。
「それでは、龍姫様」
「ええ。みんな、いつもありがとう。今日は我々が為さねばならないことについて伝えます」
みな、黙って聞いている。
「わたしは龍族を産み出すオリジナル・ドラゴンと呼ばれる存在。けれどもそうなったことには理由があります。それが、ドラゴンの行った儀式。それにより、わたしはオリジナルドラゴンとなった。その際に盟約があった。ブラックドラゴンを殺せ、と」
さすがにざわめく一同。
「とはいえ、いくら龍族とは言え、空を飛び、ブレスをはくブラックドラゴン相手では、何人も死にます。そのような事は決して望まない。その為の策があります」
そして一同の中から
「チャズビリス」
「はい」
チャズが前に来る。
「あなたの冷気魔法が鍵になります。ブラックドラゴンの動力を氷付けにする」
「畏まりました」
「それだけでは足りません。ブラックドラゴンのブレスの方が射程が長い。そこで、エールミケア」
「こちらにおります」
エールミケアが前に出る。
「あなたの魔法でブレスの防護をします。一撃しか防げないでしょうが、その一撃分で十分です」
「畏まりました」
「そしてアリスウル、チャズビリスは移動速度が期待できません。あなたが背負ってブラックドラゴンの懐まで移動しなさい」
「畏まりました」
「マディアクリア、あなたは5人率いてブラックドラゴンにひたすら鈍重の魔法をかけ続けなさい。エールミケアの防護は一撃しか防げない。万が一にもニ撃をさせてはいけない」
「畏まりました」
「カレンバレー。弓でひたすらブラックドラゴンの目を狙いなさい。集中力を乱すのが目的です」
「畏まりました」
「最後に、やつは私のドラゴンの殺し方を熟知している。必ず対策をとっています。おそらく、氷耐性の魔法をかけているはずです。それを解除しなければならない。それは私が行います」
「ひ、姫様が?」
「危険ではないのですか?」
みながざわめくが
「昔話をしたはずよ。わたしはドラゴン殺しで名を馳せたの。必ず今回も成功させるわ」
龍姫様と龍族の出陣。
前代未聞だ。私が来てからは初めて。
館に残る皆が心配そうにしている。
「ユレミツレ、私も、マディアも、カレンもいない。あなたが館をまとめるのよ。よろしくね」
「出陣できないのは無念ですが、ご期待にはお応えします」
「サウザント、聖女の監視よろしくね。なにかあればすぐ連絡して」
「はい。おまかせを」
この2人がいれば、館と聖女の抑えにはなる。
私達は必ずここに帰ってくる。
そう決意して出発した。
転移、転移をやり続け、目的地につく。
これだけで、何個転移石を使ったのか。
そしてブラックドラゴンの元に揃うと
「来たわよ、バカドラゴン」
『ふむ、なかなかの陣列だ。楽しめそうだな』
「これが最後の挨拶になるわ。おかげでそれなりに楽しかったわ。文句は腐るほどあるけど」
『それは僥倖。では来い』
「フェルライン!作戦開始!」
「はい!!!予定通りだ!カレン!ウル!チャズ!いけーーー!!!」
カレンの弓が怒涛の勢いで放たれる。
ウルが常識外れのスピードで、チャズを担いで一気に迫る。
マディアと5人、そして、エールは魔法展開。
そして龍姫様もウルと同じく一気に迫り
「バカドラゴンが!氷耐性など!対策済みよ!」
龍姫様が鱗を取り出し地面ドラゴンの足元に投げつける。
それがなにかは分からない。
だが、ブラックドラゴンに焦りらしきものが見える。
『流石だな。だが、ブレスの前では無力よ』
そして構えブレスが来る!
「エール!」
「発動!!!!」
龍族全体への防護魔法
『ドグォォォォオ!!!!!』
と凄まじい勢いでブレスは周辺をなぎ倒すが、私達は無事だった。
そして、ウルとチャズはもう、目前
「チャズ!!!!!」
「龍姫様のお心のままに!」
氷魔術発動。
そして
『GYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!』
ブラックドラゴンの絶叫。
効いてる。チャズはそのまま詠唱を続けるが
『勝負はついた、ここまでだ』
目の前に
黄金色に輝くドラゴンが現れた。




