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【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@完全無欠の悪女です2月下旬発売
中等部二年

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65.オープンスクールデー 2


 家に帰ってからは、ギャンギャンと彰仁に絡まれた。やっぱバレてたよね。


「姫奈子、なんであんなところにいるんだよ! しかも変な格好して!! なんなんだよ!! 修吾に笑われたんだからな!」


 あら、修吾くんに笑われちゃったのか。


「ちょーっと、用事があったのよ。オホホホホ」

「お嬢様は銀杏を洗っていました」


 綱がバラす。やめてくれ。


「オホホホじゃねーよ! なんだよ銀杏て!!」

「あの裏に素敵なイチョウがあってね。ちょっと拾って洗っただけよ。ほら紅葉もみじ狩り的な? 風流でしょう?」

「紅葉狩りじゃないだろ! なんで洗ってんだよ!」

「うちに帰って処理したら臭くてたまらないでしょ? だから学校で綺麗にしてからと思って。ああ、銀杏は乾いてから焼いてあげるわ」

「焼き銀杏の話はしてない! あの後、生徒会ベストに話しかけられたんだぞ!」

「あら良かったじゃない。光栄ね?」

「なんだよ、なんでそんなに平然としてんだよ? そんな調子で、淡島先輩や氷川先輩に変なこと言ってないだろうな?」

「いえ特に? 世間話など?」

「世間話? 世間話できる仲なのか?」

「別に世間話位するわよね? 綱」


 綱に振れば、綱は無表情で答えた。


「氷川くんとは同じクラスですからね」

「じゃあ、淡島先輩とは何だよ! 芙蓉でもないくせに学院で何してんだよ!」

「別にいいじゃない」

「良くないよ! 淡島先輩だぞ!? わかってるのか?」

「ええ、存じ上げてましてよ?」


 腹黒淡島先輩だ。良ーく知ってるともさ。私が一番怖さを知ってるとも!


「失礼なことしてないんだろうな?」

「してるかもしれませんね」


 綱がシレっと答える。


「ちょっと! 綱! 冗談でも止めて!」

「お嬢様なら氷川くんにも失礼なことをしそうです」

「姫奈子! マジで止めてくれよ??」

「私だって命は惜しいもの! 綱、変なこと言ってたら注意してよ!」


 そう言えば、彰仁が黙った。そう、私だって命は惜しい。もう二度と没落の憂き目はご免である。


「私が側にいる限りではフォローいたしますよ、お嬢様。彰仁さまも今のところはご心配なく。生徒会ベストの方々には親切にしていただいておりますから」

 

 綱が笑う。綱が言うなら大丈夫だろう。


「ああ、そうだったわ。綱、来年からは彰仁のことも呼び捨てしてね」


 思い出して綱にお願いする。入学前までに打ち合わせておかなければならなかった。綱は気まずそうに彰仁を見た。


「ああ、そうだ! 綱。そうしてくれ。学校で後輩に『さま』つきなんておかしいもんな」


 彰仁が屈託なく言えば、綱は戸惑ったようだった。


「そうよ。氷川くんが『くん』なのに、彰仁に『さま』なんておかしいわ」

「……そうですね。善処いたします」

「試しに、名前で呼んでみてくれ、綱」


 彰仁が天使の全開笑顔で笑えば、綱は一瞬息を飲んだ。

 そして顔を真っ赤にして、絞り出すようにして名前を呼んだ。


「彰仁……」


 その声があんまりにも深く美しくて、彰仁が赤面した。


「やっぱり、何か慣れませんね?」


 照れたように綱が笑った。


「綱の声、なにか……すっごい? えっち?」


 思わず呟く。


「姫奈子のバーカ! バーカ! ばーか!!」


 彰仁は捨て台詞を吐いて逃げていった。それだけの威力だったのだろう。


「変な子」


 思わず笑えば、綱がジッと私を見た。


「どうしたの?」

「いえ……」


 言ったきり、黒い瞳が私を見つめている。不思議に思って首をかしげる。


「ねぇ、姫奈」


 家の中で不意打ちの名前呼びに、ボッと耳まで火照る。

 綱の声は、酷く美しい。思わず顔を覆った。変な顔をしていそうだ。そんなの見られたくない。恥ずかしい。


「ちょ、っと、やだ。なによ、急に」

「別に、彰仁さまをお呼びしたので公平にと思ったまでです」


 穏やかに微笑まれて、胸がバクバクと鳴る。


「綱の、綱のばーか!!」


 私もその場を逃げ出した。


 語彙力皆無のヘタレ姉弟である。




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