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偏差値20の頭脳戦~頭が全ての学校で誰よりも馬鹿なはずなのに、なぜか無双してモテてしまう~  作者: 松竹梅竹松
第2章 生徒会選挙

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第2章 第29話 真実 2

「龍華。蓮司にはああ言いましたが、私はあなたを退学させる気はありません。ただお友だちになりたいだけなのです」



 興奮を必死に押し留めるような気色の悪い笑みを浮かべ、霊御さんは龍華さんへと近づいていく。



「あなたは私に必要な人間です。目的のためならそれ以外の全てを切り捨てられる人間。中々いるものじゃありませんからね……ぜひ、ほしい」



 距離を詰められてるのにも関わらず、龍華さんは動かない。動けない。ただへたりこみ、虚ろな瞳で霊御さんを見上げている。



「あぁ……。いいですよぉ、その表情。大変唆ります……。るかぁ……私のものになってくださ……」

「……霊御さん」



 霊御さんと龍華さんの間に、小さな人影が入り込む。



「龍華の代わりに、私を退学にしてください」



 斬華さんが、龍華さんの前に出て床に額をつけた。



「……翠川さん。あなたに興味はありません。あなたは必ず退学にしますし、龍華は必ずお友だちにします。交渉になりません」



 霊御さんの顔がスン、と無表情になり、侮蔑の視線を斬華さんに向ける。表情が変わったのは霊御さんだけではない。



「ああああああああっ!」



 色を失った龍華さんの瞳に怒りの炎が燃え上がり、土下座する斬華さんを押し退けた。



「あんたはっ! みんなを守るんでしょっ!? なに甘えてんのっ!? 斬華はっ! 翠川斬華という人間はっ! わたし一人を守るために死ぬような普通の人間じゃないっ!」

「龍華……?」



 激昂し、そして龍華さんは。



「わたしが退学になる。その代わり斬華と蓮司くんの借金を返済してください」



 斬華さんがいた場所で、同じように土下座をした。それを受けて霊御さんは。



「ぇ……へへ」



 気持ちよさそうに、笑った。



「わかりましたよ美季があなたを嘘つきだと言っていた理由が。……龍華。本当はあなた、お姉さんのことが好きなんですね? それを隠して、生きていた。嘘で全身を塗り固めて」



 一瞬。ほんの一瞬だが、空気が、止まった。だが時間は止まらない。



「……斬華のことは嫌いだよ。ノブレス・オブリージュなんて理解できない頭がおかしい! わたしにはできないすごいことだからっ! ……わたしが守るの。嫌いだけど大切な人だから。わたしが守らなきゃいけないの」



 私に人の真偽を見抜く力などない。それでもわかる。



 龍華さんは、心の底から真実を語っている。



「知ってる? みんなのために行動するとね、怒られるんだよ。誰かの味方をすることは誰かの敵になることだから。そのくせ全然褒められない。感謝されない! 怒られるっ! わたしはそれが許せないっ!」



 一度壊れたダムは戻らない。想いの洪水が、溢れてくる。



「だからわたしがおねぇちゃんを守るのっ! これ以上みんなは増やさない! 面倒なことは全部わたしがやるっ! 守るものが少ないわたしが! それを譲るわけにはいかないのっ!」



 ふるふると震えて。龍華さんが、斬華さんを見る。



「……おねぇちゃん。いままでごめんね。わたしのせいで、迷惑かけたよね」

「龍華……私は……!」


「でももう大丈夫だよ。わたしたちには、蓮司くんがいる。蓮司くんは褒めてくれる。感謝してくれる。怒っても、すぐ謝ってくれる。だからもう、わたしはいらないよね」

「龍華聞いて……! 私は……!」

「霊御さん」



 姉の言葉を逃げるように避け続け、龍華さんは再び頭を下げた。



「わたしのことは好きにしていい。だからもう、許してください」

「嫌です」



 だが霊御さんは、その本心を受け入れなかった。



 たぶん、その心に霊御さんは興味がなかったから。



「如月、翠川さんを抑えていなさい」

「え、あ、はいっ!」



 霊御さんの三歩後ろで控えていた如月さんが、斬華さんの小さな身体を後ろから抱き、口を抑えた。



「龍華さん。顔を上げて舌を出しなさい」

「な……にを言って……?」

「いいから出しなさい」



 ここから、始まる。



「もっと聞かせてください、あなたの本音を」



 霊御さんの、調教が。

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