第2章 第25話 一転
「お……おい……。これ……どういうことだよ……!?」
誰もが言葉を失う中、斉賀の声がする。
「そのままです。あなたは私にとって不要なので退学してください」
霊御さんの声もだ。でもその声の質はずいぶん違う。
「なんでだよ……!?」
「くどい。そういうところが嫌いです」
動揺と、高揚。
「俺は……優秀だ……! コミュ力もあるし……勉強だって……!」
「あなたはお友だちを優劣で決めるのですか? 私はあなたが嫌い。だからお友だちになりたくありません」
「そ、れは……!」
「それはそれとして。あなたは普通に無能ですよ? 多少人と話せ、勉強ができるだけ。それが具体的に何の役に立つのですか? あなたが必死に自分だけを生かしたのに対し、蓮司は自分以外を救いましたよ? はぁ……脳がないのなら黙って私に従っていればよかったのに。下手な策など打つから死ぬのです」
……斉賀は、もう駄目だ。
「あなたの価値は、蓮司の礎と見せしめのみ。もう何をしようが無意味です。そもそも自分が悪いのではないですか。私は何も言っていないのに、あなたが勝手に教えてきたんです。もし私を恨んでいるのだとしたら逆恨みと言うのですが……わかりますかね?」
「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
こんな大人数の前でズルをバラされたらもう無理。どうしようもない。
「俺は生徒会に入ったんだ……! こんなチンケな違反くらい、どうにでもできるっ!」
「そう思うのならどうぞ。私、本当にあなたに興味がないのです。問題は次です」
問題は、次。他に、霊御さんの前で推薦人を明かした奴はいるのかどうか。
「今日は大変良いお友だちができそうです」
龍華が、怯えている――!
「俺を舐めんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「桜花、話がある」
感情のままに霊御さんに殴りかかる斉賀の拳を左手で受け止め、話す。
「俺がお前の言う友だちってのになる」
「駄目です」
「何でも言うこと聞いてやる」
「嫌です」
「だから」
「ありえません」
霊御さんの顔は見えない。でもたぶん、何よりも気持ちよさそうに笑っているのだろう。
「私は龍華を退学させます」




