第2章 第24話 選挙続行
「この5人が第1学年生徒会となりますっ! みなさん、大きな拍手をっ!」
横一列に並んだ龍華たちに、会場から大きな拍手が送られる。俺たち負け組がいるのはその後ろ。前列は背が低い子ばかりのため、拍手が貫通してきて悔しさが増す。
「それでは1人ずつ挨拶をしてもらいましょう! まず見事1位に輝いた翠川龍華さん! お願いしますっ!」
「……はい」
穂火さんからマイクを受け取った龍華は、一度腕で目を拭く。きっと外からは嬉し涙に見えてるんだろうな。
「……1年Z組、翠川龍華です。生徒会役員としてふさわしい姿を見せられるようがんばります。ありがとうございました」
所信表明での大暴れが嘘だったようなテンプレじみた挨拶。マイクが霊御さんへと送られる。
「沙耶、今データを送りました。スクリーンに映してください」
「ぇ……? あ、はい……!」
マイクを通して指示されたことに驚いたのか、沙耶は反抗することなくタブレットを操作し始めた。
「私はお友だちが何より大事だと思っています」
沙耶への指示に続き、またも意味のわからない言葉を発する霊御さん。所信表明の龍華みたいなまどろっこしい話でもするのだろうか。
「この世界の全ての人がお友だちだったら、争いなど起こらない。そうは思いませんか?」
「……沙耶、ストップ」
順位順に並んでいるため、霊御さんと沙耶。どちらにも近い美季が小さく言葉を漏らす。
「でもこの世界はそんな楽園ではない。そう諦めるのは、早計です」
「沙耶っ!」
「ぅえっ!? な、なにっ!?」
美季がタブレットを奪い取ろうと沙耶に手を伸ばしたが、咄嗟に避けようとした沙耶の腕がぶつかってしまい、タブレットが霊御さんの前に転がる。
「私はお友だちだけの世界を作ります。この桂来学園はその第一歩。私は桂来学園を、お友だちだけの学校へと変えます」
「蓮司! それ拾ってっ! あたしの予想が正しければ――」
霊御さんが誰よりも早くタブレットを拾い、タップすると。
「なので、私のお友だちに相応しくない方はこの学園にはいりません」
「――蓮司は奴隷になるっ!」
ステージの横側にかけられたスクリーンに、映像が映し出される。……確か霊御さんの部屋だ。龍華、斬華、霊御さん、杭座さん、如月さん、斉賀が話している様子の映像のようだ。
「これ……あの時の……!? まさかカメラで撮っていたなんて……!」
隣の杭座さんが動揺の声を上げるのと同時に、ホールの質のいいスピーカーから、映像の音声部分が流れた。
「俺は3年生徒会副会長、亀川龍也さんから推薦を受けた」
それは間違いなく、斉賀の声。
そして同時に。退学の可能性がある、生徒会選挙の反則行為の映像だった。
「斉賀怜生さんは、私に信用してもらうために、生徒会選挙規約8条2項にて禁止されている推薦人の公開を行いました」
そして霊御さんは、言う。
「私は斉賀怜生さんを退学処分にすることを提言します」
何が起きているか全く理解できずざわめく会場に、霊御さんの声だけがやけにはっきりと聞こえた。




