第2章 第17話 開票
「それでは投票を締め切ります」
ステージから狼煙さんの声がする。これで5分か……。すごく長く感じた。
「顔色が悪いですよ、沙耶」
いつもと全く変わらない薄い笑顔で、霊御さんが語りかける。
「ずいぶんな博打に出たようですしね。無理もありません。ですがさすがは美季。ポーカーフェイスはお手の物ですか」
「当たり前でしょ。こんな賭け、何度も乗り越えてきた。あたしにとってはこんなのギャンブルの内に入らないよ」
美季は気づいていないだろうが、この子賭け事してると強気になるんだよな。それをわかっているのか、霊御さんはそれ以上何も言わず静かに紅茶を啜った。なんでこいつこんな優雅なの?
「結果が出たようなので1位から……」
「はーい! ここからは第2学年生徒会書記、穂火明日那が司会を代わるよーっ!」
真面目で粛々とした狼煙さんの声が、あのアイドルっぽい先輩の大声にかき消された。
「穂火さん、勝手なことをされては……」
「だって3年生固すぎるんだもんっ! 順番に発表してもつまんないでしょ? せっかくのステージなんだし、エンターテインメントしないとねっ」
その後しばらく狼煙さんが話そうとしたが、全て穂火さんの大声にかき消されたため、とうとう司会が入れ替わった。
「さてさて! じゃあまずは10位! 残念ながら最下位になっちゃった子から発表だよっ!」
ドラムロールの音が流れ、いよいよ始まったと実感する。
生徒会自体に興味はないが、落選で1000万のマイナス。そしてどれだけの人が俺の策に乗ったかわからないため、ここで来る可能性も充分ある。
「第10位! 第2学年生徒会会長、黒峰幻推薦! 渡牙鎖っ!」
……渡牙さんが、最下位か。
「りんりん……」
「……仕方ない。元々こういうの向いてなかった」
渡牙さんも如月さんもたいして悔しそうな顔は見せず、抱き合っている。
「……票数言ってくれないんだね」
美季が小さく言葉を漏らす。もう既に切り替え、現状を把握しているのか。
「続いては……惜しい! あともうちょっとだった第6位です!」
「注目だね。これでだいたいみんなの順位がわかる」
「なんで?」
「組織で動いてる以上、同じチームでそこまで開きがあることはないからね」
……つまり6位がわかれば、その付近。当選となる5位辺りもわかるかもしれないということか。
「第6位! 第3学年生徒会会計、無堂虚推薦! 如月朔夜っ!」
「まじかー!」
名前を呼ばれ、如月さんが一層強く渡牙さんを抱きしめる。やはり悔しさは微塵も感じられず、どちらかというとホッとしている感じがする。
「美季、これどういうこと?」
「……勝った」
勝った? それって……。
「この選挙、もう結果は出たってこと。如月さんと渡牙さんは同じ5人チーム。6位と10位が同じチームってことは、残り3人はその間だと考えていいと思う。つまりあたしたち3人と、霊御と龍華さんでほとんど決まり!」
「マジ!? よっしゃぁぁぁぁっ!」
「おめでてーなー……。どいつもこいつも」
美季とハイタッチをすると、わざとらしく馬鹿にするような口調で斉賀くんが口を開いた。
「残念だけどあんたは特にないと思うよ。女子からの評判悪いし」
「ずいぶん偉そうだなぁ、美季。後悔するぜ? 生徒会役員に悪口を言うとな」
「だからあんたは落選確実だって。そんなこともわかんないの?」
「それはこっちの台詞だよ。ここまで言ってもわかんねぇか? 俺は当選確実だってよ」
斉賀くんが……当選確実……?
「美季……」
「ありえない。負け惜しみか、理屈もわからないただの馬鹿だね」
美季はそう断言するが、俺にはそうは思えない。
この自信は間違いなく、本物だ。
「いいか? 全員聞け」
そして斉賀くんは全員の視線を集め、言う。
「雅、俺はお前らを裏切ったんだよ」
ランキングチャンスギリギリ届きませんでした( •̥ ˍ •̥ )
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