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偏差値20の頭脳戦~頭が全ての学校で誰よりも馬鹿なはずなのに、なぜか無双してモテてしまう~  作者: 松竹梅竹松
第2章 生徒会選挙

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第2章 第16話 念

「投票直前に全校生徒を買収するっ!?」



 この話をした時、それはもう非難轟々だった。



「いい? 蓮司。買収の基本は組織のトップにだけ声をかけること。全員に行き渡るだけのポイントなんてあるわけないんだから」

「それに規約には引っかかってないけど怒られちゃいそう……」

「何より票が読めないのが最悪よ。どれだけ金をかけても届かないかもしれない。そんな手、博打にもほどがあるわ」



 美季、沙耶、奈々からのたぶん正しい意見が容赦なく飛んでくる。でもだからこそだ。



「トップにだけしかポイントが行かないなら、末端は飛びついてくれるだろ。俺でもわかるけど、上にいる人間より下の方が数が多いんだ。かなりの票が望めるし、怒られるのは慣れてる。充分行けるはずだ」




 こうして実行が決まった最大の博打。俺の言葉に、会場はかなり動揺している。頭が悪いと思われているのかもしれないが、心を揺さぶれたのは間違いない。



「投票するところを画面録画してくれるだけでいい。それだけでポイントが……」

「狼煙、止めろ」

「はっ!」



 説明を続けていると、狼煙さんという女子生徒が俺に飛びかかってきた。右手にはレイピアのような細長い武器が光に反射して輝いている。当然鉄ではできていないだろうが、当たれば悶絶は確実。避けなければいけない。……いや避けなくてもいいか。



「おそすぎっ!」

「っ!?」



 狼煙さんが右手を突き出してきたところを蹴り上げ、レイピアを吹き飛ばす。こんなもんが当たるわけないだろ。



「そんな……馬鹿な……!?」

「後で怒られるんで今は黙っててください。こっちは借金のピンチなんだよ!」



 呆然としている狼煙さんから離れる。くそ、斬華にちゃんとした場だから革靴で行けと言われたから買ってもらったけど動きづらいな。



 2年生徒会と3年生徒会はそれぞれステージの左右に寄っている。この人3年生徒会って言ってたし、永夢さんの方にいれば安全だろ。



「蓮司くん、やっぱアツイね~」

「でしょっ!? 一応俺もあんたに借金を負わすわけにはいかないんで真剣です!」

「かっくい~」



 さて、説明を続け……。



「赤道くん! あなたの出番ですっ! やりなさいっ!」



 赤道……? どっかで聞いた名前だな……。



「あ? なんでてめぇの言うことなんざ聞かなきゃなんねぇんだ。せっかくおもしれぇことになってんだから見させろ」

「くっ……!」



 赤道と呼ばれた金髪のチャラそうな男は動く気はないようだ。……あの人、強そうだな。たぶん俺でも片手間で相手にするのは難しいだろう。よかった。



「沙耶! アレ出してっ!」

「名前出さないでくださぁいっ」



 文句を言いながらも沙耶はタブレットを操作し、右端にあるスクリーンに、美季の所持ポイントの画面が表示される。



「2億ありますっ! 遠慮なく俺たちに投票してくださいっ!」



 美季と沙耶が10日で集めてくれたポイント総額。これだけあれば支払われないんじゃないかという不安も起きないだろう。本当にがんばってくれた。



「時間ないんで一度だけ! 今から入れてほしい人を言いますっ!」



 本当に、こんなにがんばってくれた人を裏切るのは心が痛む。



「外村蓮司! 樹美季! 出田沙耶! 翠川龍華! この4人ですっ!」

「「はぁっ!?」」



 ステージ裏から美季と沙耶が本気で驚く声がする。龍華のことは2人には秘密にしていた。でもこれだけは譲れない。



「1人入れてくれたら1万! 全員入れてくれたら4万ポイントですっ! 残り1人は誰に入れてくれてもいい! あ、できれば斬華! 霊御さんにだけは入れないでっ! あの子怖いからっ!」



 最後にそれだけ言い、俺はマイクの電源を切る。やれることはやった。後は1万5000の敵がどう動いてくれるかだ。



「待て」



 ステージ裏に帰る直前、眼鏡をかけた真面目そうな男に呼び止められた。確か狼煙さんに命令を出していた人だ。てことはこの人が3年生徒会長……?



「貴様、永夢のだな」

「ちちち違いますけど!?」

「覚えておけ」



 その男は横目で俺を睨み、力強く言う。



「貴様のような金目的の奴に生徒会はふさわしくない。報われるのは真面目にがんばっている人間だ」

「あ? 俺だって俺なりに真面目にがんばってんですけど? あんたの常識に俺を当てはめるな」

「……行け」



 なんだこの人えらそうに。まぁえらいんだろうけどさ。



「蓮司っ! あんた何考えてんのっ!? またあの女に騙されたっ!?」

「4人なんて2億じゃたりないよっ。どうしよどうしよぉっ!」

「……マジすんません」



 ステージ裏に帰ると、めちゃくちゃ怒ってる美季と沙耶に詰め寄られる。



「調教の成果、出たようですわね」

「言ったでしょ? 蓮司くんはわたしがコントロールできるって」



 その反対側では霊御さんと龍華が薄笑いを浮かべてしゃべっている。



 ……大丈夫。俺は間違っていない。



 今はそう、思い込むことしかできなかった。

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