第2章 第15話 最大最強の博打
「ただいまより生徒会選挙を始めさせていただきます」
5月31日。ついに生徒会選挙当日となった。
「司会は私。第3学年生徒会書記、狼煙玲花が務めさせていただきます」
ステージの方から凛々しい声が聞こえる。今ステージに立っているのは、2年生徒会と3年生徒会の10人。俺たち候補者10人はステージ裏に待機し、行く末を見守っている。
「私の説明終了後5分間が投票可能期間です。生徒会にふさわしいと思った5名、順位、推薦者をお手持ちのスマートフォン、タブレットで記入してください」
選挙自体はどうでもいいが、問題はこれだ。最大300万のマイナスは俺たち候補者にも適応される。あぁそういえば落選したらマイナス1000万ポイントだったっけ。所持ポイント数百の俺では一瞬で持ってかれてしまう。
「蓮司でも緊張するのですね」
スマホを取り出し準備をしていると、どこかから持ち込んだソファーの上に座る霊御さんが声をかけてきた。
「当然だよ。蓮司くんは借金濃厚なんだもん」
その隣には、薄い微笑みを浮かべている龍華がいる。
「でも安心して。蓮司くんが借金を抱えてもわたしが助けてあげるから」
「心配いらねぇよ。俺が生徒会長になってやるから。……いや生徒会長にはならなくていいな。生徒会の下っ端になってやるんだからなっ!」
「ふふ。これを見てもそんなこと言えるんだ」
龍華と霊御さんの周りには、囲うように斬華、杭座さん、斉賀くん、如月さん、渡牙さんがいる。対して俺側は美季と沙耶だけ。構図的には7対3だ。勝ち目なんてない。だが、
「悪いけど俺の敵はお前らじゃない。この学校の生徒全員だ」
「沙耶、そろそろだよ。覚悟はいい?」
「うぅ……もう決めましたよ……。やればいいんでしょやればぁっ!」
そう。元より相手は7人じゃない。1万5639人なんだ。
「それでは投票をはじめ……あれ?」
司会をしている狼煙さんの声が急激に小さくなる。
「やっちゃった……やっちゃったよ……」
犯人はハッキングマスター、沙耶。手元のタブレットで操作し、会場のマイク全ての電源をオフにしたのだ。
「申し訳ありません会長。マイクトラブルのようです」
「問題ない。代わりのマイクを使えばいいだけだ」
ステージの方から3年生徒会の小さな会話が聞こえてくる。だがそれは無理だ。今使えるマイクは、俺が持っているものただ一つ。
「コソコソ裏で買収なんてするかよめんどくせぇ! どう考えてもこれが一番てっとり早いだろっ!?」
そして俺はステージに飛び出て、叫ぶ。これが俺の策。最大最強の博打だ。
「今から言う人に投票してくれたら、1人につき1万ポイントあげますっ!」
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